実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第765回】泉里香『隕石家族』最終話の巻


 新潟発の三人組ローカルアイドルグループ、NegiccoのMeguが結婚を報告した。以前ネギバンドでドラムを叩いていた人と、この6月に入籍するんだそうである。



 昨年の春、リーダーのNao☆が結婚したのに続いて、グループからの結婚は二人目である。Nao☆の時は発表のタイミングとか、ネットが炎上した時の対策とか、事務所もそうとう神経を使ったらしいけど、たいしたことは起こらず、ファンから寄せられたのは祝福のメッセージばかりだった。だから今回はスタッフもそれほど緊張しなかったんじゃないかな。実際、今回もファンの方々からお祝いされている。めでたしめでたし。
 考えてみれば「アイドルばかり聴かないで」なんて曲を出しても、何も問題が起こらず、シャレで済ませられたグループである。ファンの器が大きいというか、民度が高いのかも知れない。同じ新潟でもN●T48があんな歌を歌ったら、どうなるだろうか。



♪どんなにキミがアイドルを
好きだとしても構わない
でもどんなに握手をしたって
あのコとは
デートとか
出来ないのよ
ざんねーん!!


アイドルばかり聴かないで
だんだんバカになるんだよ
アイドルばかり聴いてると
身体に悪いことだらけ
アイドルばかり聴いてると
体脂肪も
血圧にも
よくないのよ
ざんねーん♪


(作詩・作曲:小西康陽 Negicco「アイドルばかり聴かないで」2013年)


 2003年に14歳でグループデビューして、ローカルアイドルとして、まあいろいろ苦労もあったろうけど、30歳を越えたところで結婚。ここまできたらもう「ママになってもアイドル続行」に期待したい。どうかお幸せに。



 話は変わるが、つい先日「映画ナタリー」の浜辺美波インタビュー動画「私の1本、私を作った1本 Vol. 5」を観て、またまた浜辺さんにやられてしまった。これは新進気鋭の若手俳優に、これまで自分が出演した作品のなかから「私の1本」を、そして自分に影響を与えた映像作品から「私を作った1本」を選び、その魅力を語ってもらうという連続企画である。で、たとえばVol. 3に登場した松岡茉優は「私の1本」に『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、「私を作った1本」に三谷幸喜の『ラヂオの時間』(1997年)をあげている。まあふつうはこんな感じだ。では浜辺美波はどうか。



 まず「私の1本」には『賭ケグルイ』を挙げている。これはまあいい。個人的には『咲 -Saki-』が良かったけど、ともかく『君の膵臓をたべたい』ではないわけだ。で問題は「私を作った1本」のほう。



 「私を作った映画は、『わが青春に悔なし』(1946年、黒澤明、東宝)です。この作品を初めて観たのは、あの、今の事務所に所属して、みんなで映画を勉強しようというときに、貸し出しをしてくれて、そこで借りてきて家で観たのがこの映画だったんです」



 「白黒の映画なんですけど、女優さん、原節子さんが、本当にすごく目が輝いていて、白黒だからこそ分かる、そして白黒なのに、すごく輝きを放っていたのが印象的で、そういう、目でお芝居ができる人になりたいなと思い、私のなかで心に残る作品でした」



 「その、原さん演じるヒロインの女性が、アップのところなんですけど、アップで男性の主人公と話し合うシーンがあって、そこがすごく、一番、目が輝いておりました」


 まいったなあ。浜辺さんは以前、映画『亜人』(2017年、東宝、本広克行)が公開されたときの『日刊スポーツ』のインタビューで、目標とする女優について聞かれたとき「司葉子さんには憧れます。何度か作品を拝見しましたが、関わった作品の数がすごい。いらっしゃるだけで絵になる」などと答えていたが(ここ)、司葉子の次は原節子ですよ。


『秋日和』(1960年、松竹、小津安二郎)右から笠智衆・中村伸郎・司葉子・原節子)

 司葉子と原節子、この二人のつながりも有名であった。司葉子のあこがれの先輩が原節子で、松竹の『秋日和』で親子を演じて、原節子の引退後も、2015年に原さんが亡くなるまで、ずっとやりとりがあったという。



 それはともかく、小津映画ばかりが評価される原節子を、あえて東宝の先輩女優としてリスペクトして、黒沢作品の名を挙げる。実は原節子さんは1920年6月のお生まれなので、今年は生誕100年。コロナさえなければ、ミニシアター系で回顧上映されてもおかしくない時期である。そこへこの浜辺さんのコメント。東宝シンデレラとして、もうこれ以上ないほどの模範解答だし、また(もしヤラセだとしても)こういうことを言ってピタリとはまる若手俳優なんて、他に求めようもない。




 さらに『賭ケグルイ』から『わが青春に悔なし』という流れで、主演女優の「目力」という共通テーマも押さえている。天才。おぢさんまた美波ちゃんにやられちゃったよ。



 さて、本日のお題は『隕石家族』最終回(第8話)「さよなら、家族」(2020年5月30日、原作・脚本:小松江里子/照明:生嶋航・森谷真由美・反方啓太/撮影:布川潤一・柳沢栄造・奥秋日和/監督:千葉行利)。「フジテレビュー」というフジテレビの番組紹介サイトに、最終回が「サザエさん」ふうに紹介されていて、内容紹介はこれでだいたい終わっているような気がする。



 さーて、今週の『隕石家族』は?
 パパです。
 今週は最終回だというのに、“隕石衝突”より、“パパ(天野ひろゆき)逮捕”の方が気になっちゃいましたよね~。“マッサージチェア”に“買いこんだ大量の食料”……状況証拠はすべて揃ってる!一体どうなっちゃうの~!?
 さて今回は、
「ホントにパパは盗ったのか?」
「娘たちのウエディングドレス」
「家族、最後の時」
の3本です!今週もまた見てくださいね~!!


 前回は、リストラされたパパ(天野ひろゆき)が、前の会社の商品(マッサージチェア)を倉庫から盗み出して売りさばいた容疑で逮捕されたところまでだった。そう言われれば、このあいだカニだの肉だのどっさり買ってきて、退職金の一時金が出たとか言っていたけど、実はそんなお金は出ていなかった。
 有無を言わさず刑事さんに引っ立てられ、留置所にぶちこまれると、そこは世界の終わりにヤケを起こした人たちでごった返していた。



 でもパパはお金を盗んだわけではなかった。実は娘の恋人の翔太君に借りたのである。翔太君が大金持ちのおぼっちゃまであることを知ったパパは、金の無心に行ったのだ。真実を聞いて「情けないパパ」とうなだれる結月(北香那)だが、翔太(中尾暢樹)の印象は違う。確かに金も借りたけど、本当は、絶交中だった意地っ張りの結月を説得して一緒に火星に連れていってくれるよう、翔太にお願いするために来たのではないか、というのだ。



和 彦「アイツは強情で、いちどこうと決めたら意地を貼り続けるところがある。でも、キミのことが大好きなんだ」



和 彦「私たち家族は何としても結月だけは生き延びて欲しいと思っている」



和 彦「だから、このとおりだ。なんとかもう一度説得して、結月を一緒に宇宙に連れていってくれないか?」



和 彦「お願いします」



結 月「パパが?」



翔 太「もしかしたら、お金を借りるのはついでで、そのことを本当は頼みたかったんじゃないかと思うよ」


もちろん久美子(羽田美智子)も、パパの本心がそこにあったことはお見通しである。では会社からマッサージチェアを盗んで売りさばいた犯人は? というと、パパの会社の久保田(影山徹)だった。パパもそのことはわかっていたんだけど、お人好しなので、かつての自分の部下を告発できなかったのである。でもその久保田も捕まって、無実の晴れたパパは釈放。わりとあっさり自由の身となる。



 あとはさっきの『サザエさん』ふう番組紹介どおり、隕石が落ちてくる前に、結月と翔太君の結婚式を家族で挙げよう、というイベントがあり、それから美味しいものを食べたり「人生ゲーム」をしたりしながら、最後の1日を過ごす、という内容で、物語上の展開のようなものはない。



 そんななか、我らが泉里香は、パパが退職金をもらったなんて嘘だってことを会社に問い合わせて確認してあきれてみたり、ボケて孫がわからなくなりつつあるお祖母ちゃん(松原智恵子)にネイルをしてあげたり、結婚式当日、なぜか妹の結月から手作りの花嫁のヴェールをもらったり、いろいろな表情を見せてくれてたのしい。



美 咲「嘘だったの、退職金どころか一時金だって一円も出ていないって」



美 咲「できた。どうお祖母ちゃん」
正 子「わあ、こんなに可愛らしくしていただいて」



正 子「……どなたでしたっけ」
美 咲「美咲だよお祖母ちゃん。お祖母ちゃんの孫の美咲」
正 子「……あ……」



正 子「こんところぼんやりしちゃってね……」



美 咲「ううん。だいじょうぶ。何回でも言うから。私は美咲。お祖母ちゃんのことが大好きな孫の美咲だよ」



正 子「美咲ちゃん」
美 咲「うん」



結 月「お姉ちゃん」
美 咲「ん?」



結 月「はいこれ。私からのプレゼント」




翔 太「結月はお姉さんと一緒に幸せになりたいんです。これも自分で作って」



結 月「裁縫は得意じゃないから、そこは我慢してね」



美 咲「こんなの貰ったって、ちっとも嬉しくなんかないのに」



久美子「美咲、もう」



和 彦「最後までひねくれてんな」
美 咲「うるさい」



美 咲「バカな妹のやりそうなことだって飽きれてんの……被ればいいんでしょ、被れば」



結 月「私がやる。はい」



結 月「うふふ、似合ってる。あたしほどじゃないけどね」



美 咲「どう見たって私の方が似合ってるよ」


 最後の晩餐は手羽先と肉まんとアメリカンドッグ。何が何だか。



 この手羽先は、パパとキャプテン(中村俊介)が待ち合わせしていた居酒屋のメニューとして何度か登場したんだけど、名古屋ではおなじみ「世界の山ちゃん」の手羽先である。



 『隕石家族』は名古屋の東海テレビの製作なんだけど、その関係で「世界の山ちゃん」は、5人前ぶんの手羽先を山盛りにした「隕石手羽先」(2,400円)というメニューを用意した。『隕石家族』放送中の4月、5月の期間限定で、明らかに歓迎会のグループ客を狙ったメニューであった。



 オリジナルのポスターにはご丁寧に「お持ち帰り不可」とまで書いてある。店舗で注文して、そのインパクトのあるビジュアルをみんなで撮影して、「#隕石家族」「#世界の山ちゃん○○店」をつけてSNSに投稿して、レジで見せれば、もれなく「特製隕石ガム」が貰えるという趣向であった。


「特製隕石ガム」


 しかし言うまでもなく、このコロナ禍で4月、5月は新歓コンパどころか、店舗自体が休業に追い込まれてしまった。そのため「世界の山ちゃん」は、ウーバーイーツで手羽先を注文してくれた人に、もれなくガムをプレゼントという方式に切り替えた。ついでに「世界の山ちゃん」公式ツイッターの「隕石家族応援ツイート」をフォロー&リツイートしてくれた人の中から抽選で「てばさき棒1年分(365本)」をプレゼントする企画もやっていたんだけど、果たしてどういう結果になったか。せっかく泉里香の出演するドラマをタイアップして応援してくださったのに、申しわけなく思う。いずれにせよ、この最終回ははからずも、現在「世界の山ちゃん」が推進中の「おうち時間のお供に手羽先を」を、ほかならぬ門倉一家が実践している感じの、最後の晩餐になったわけだ。



 そのあとみんなで線香花火をしたり、ここ半年の怒濤のような日々を回想したりして、いよいよカウントダウンが始まる。恐怖を抑えきれずに啜り泣きを始めたのは、意外なことに美咲だった。



結 月「お姉ちゃん……」



正 子「美咲も結月もどうしたの? 家族みんな一緒で、こんな幸せなことないのに」
久美子「そうですよね、お義母さん」
和 彦「そうだぞ」



美 咲「……そうね……」
結 月「……うん……」




 お互いに手を取り合って、その時を迎えようとする門倉一家。しかしそのとき、パパは緊張のあまり生理現象を催してしまう。



和 彦「トイレ、行きたくなってきちゃった」
久美子「パパ、いま?」



和 彦「いや緊張したからかな。ちょっと、一瞬だけ行ってきて良い?」
久美子「え〜、あ、私もガスの元栓閉めたかしら。ちょっと気になる、見てくる」



和 彦「いやどうでもいいよ」
美 咲「だったら私も携帯取ってきていい? 最後にみんなの写真を撮りたいじゃん」



和 彦「誰が見るんだよ」
結 月「パパ、ママ、お姉ちゃん、やめてよ、あともうちょっとなんだよ」




和 彦「でも生理現象は無理だ」
久美子「私もガスの元栓、気になるう」
美 咲「私もやっぱり携帯!」



結 月「ああもう、ダメ! トイレも元栓も携帯も全部ダメっ!」
正 子(眠り込む)



結 月「ああもうお祖母ちゃんも起きてぇ」






 これでおしまい、というわけにはさすがに行かず、最後は隕石が通り過ぎていった宇宙空間に、いちおう地球がきちんと残っている、というカットで終わる。ぎりぎりすれ違っていっちゃったのかな。



 しかしこの終わり方もどうか、という感じで、コマーシャルのあとにもうひとつオチがつく。



ラジオ「巨大彗星がまた地球へと軌道を戻し、2ヶ月後には……」



久美子「え?」



久美子「またぁ!?」


 これで本当に終わり。まあちょっと、蛇足っちゃ蛇足かも知れないが、このドラマにとって、本当に隕石が落ちてくるかどうかは結局どうでもいいことなので、こうする以外に落とし方はなかったかな、という気もする。とにかく二ヶ月間、けっこう楽しませてもらいました。以上『隕石家族』でございました。