実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第746回】大寒に惑うの巻


 映画『屍人荘の殺人』がまだまだ絶賛上映中の浜辺美波の次の仕事は、また探偵役。2020年2月1日から始まる土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日)だ。



 大山誠一郎の原作は『本格ミステリ・ベスト10』2020年度版で1位に輝いている。新しい所轄に配置されて間もない新人刑事が、初めての休日、町に散策に出かけたら、腕時計の秒針が動いていないので、たまたま見つけた時計屋に飛び込む。若い女店主がひとりで営んでいる、そこは一風変わった時計屋だった。



 店内を見回した僕は、思わず目を疑った。「時計修理承ります」「電池交換承ります」という貼り紙があるのはいいとして、「アリバイ崩し承ります」「アリバイ探し承ります」などという怪しげな貼り紙まであるのだ。アリバイという言葉に思わずどきりとする。これは何かの冗談なのだろうか。
 彼女が作業を終え、こちらに向き直ったところで訊いてみた。
 「――あの、この『アリバイ崩し承ります』っていう貼り紙、何ですか?」
 「当店では、先代の店主の方針で、時計にまつわるご依頼は何でも承るようにしております」
 「――アリバイ崩しは、時計にまつわる依頼ですか?」
 「はい」
 彼女は真面目な顔でうなずくと、
 「アリバイがあると主張する人は、何時何分、自分はどこそこにいたと言います。つまり、時計がその主張の根拠となっているのです」
 「まあ、そうですね」
 「ならば、時計屋こそが、アリバイの問題をもっともよく扱える人間ではないでしょうか」
  (第1話「時計屋探偵とストーカーのアリバイ」)


 なんかおかしな話だけど、成功報酬が一件五千円と聞いて、刑事はつい、ここしばらく自分を悩ませている事件のアリバイ崩しを依頼する。すると店主は、刑事から聞いた情報だけで見事にアリバイを崩してしまう、という、いわゆる安楽椅子探偵ものである。



 だけどほんとうは、刑事がそうやすやすと、守秘義務を破って第三者に事件の詳細を伝えてしまうわけにはいかない。だからこのタイプの作品は、ジェイムズ・ヤッフェの「ブロンクスのママ」シリーズや都筑道夫の「退職刑事」シリーズのように、刑事の相談相手の探偵役は、実の母親だったり父親(しかも退職した元鬼刑事)だったりと工夫されている。鮎川哲也の「三番館」シリーズは、行きつけのバーのバーテンが「私」の話を聞いただけで事件を解決してしまうパターンだが、あの「私」は元刑事で今は私立探偵なので何とかセーフ。そう考えると、現職の刑事が、まったく見ず知らずの他人に事件の相談をしちゃうって、けっこう危ない設定だよね。



 ただ探偵役の時計屋の店主が、不思議な雰囲気の若い女性で、昨今のライトノベル系ミステリで、そういう設定もわりと馴染みがあるということもあって(西尾維新の「忘却探偵」シリーズや三上延の「ビブリア古書堂の事件帖」シリーズね)この作品の設定も、その手の流れにある現代的作品として成立している。長々と書いたが、要するに浜辺美波の主演ドラマとしてはうってつけだと思う。



 もっとも公式サイトによれば、ドラマ版はだいぶ設定がいじってあるらしい。まあ安楽椅子探偵ってわけにもいかないしね。たとえば刑事役が二人いて、おじさんの安田顕は、なんかしくじって本庁から所轄に飛ばされたプライドの高いキャリア組。浜辺美波にこっそりアリバイ崩しを依頼して、ぜんぶ自分の手柄にしちゃうらしい。



 そしてもう一人、お坊ちゃまの若い刑事も登場して、これが成田凌。浜辺美波に気があって、安田顕の見事なアリバイ崩しには何かウラがあると疑っている。



 総合プロデュースが『時効警察』の横地郁英ってことで、だいたい作品の雰囲気は分かりますね。まあ何にせよ、原作がしっかりしているから、安心して楽しめそうです。先日その制作発表があって、記事を読んでいたらメインキャストの浜辺美波、安田顕、成田凌の間にこんなやりとりがあった(以下の引用は『シネマトゥデイ』2020年1月22日配信記事より)。



 この日、記者会見会場となったよこはまコスモワールド内に世界最大の時計型大観覧車「コスモクロック21」があることから、「自分のなかで、これだけは世界一、これだけは誰にも負けないと思うところは?」という質問が飛び、安田と成田は「ないです、全く思い浮かばない」と即答。



 これに対して真面目な浜辺が、「これはがんばって絞り出さないとダメですよ!」とポジティブな気遣いを見せ、「わたしは寝起きがいいです。目覚ましが鳴って0.5秒くらいで覚醒するんですよ」とアピールした。すると成田が、「ちょっと待って! それは勝負したいなぁ。僕も自信ある。レディオヘッド(英国のロックバンド)のやさしい曲が1音鳴っただけで起きますから」と主張するも、浜辺に「(寝起きがいい)イメージないですよ」と一蹴され、あえなく撃沈。



これを聞いていた安田は、「でも、この間、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(同局系のバラエティー番組)の特番に出ていたとき、確実にうたた寝していたよね?」と鋭いツッコミが。すると浜辺は、「あれはホントに反省です。しくじったのはわたしです」と苦笑い。


 みんな観たかな?2020年1月11日に放送された「反面教師バラエティ」の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』。浜辺美波がこの回の「しくじり先生」武田真治の授業を受けながらうつらうつらと船を漕ぎ出したのだ。



 かわいいですね。本来、仕事中に若い子がうたた寝していたら叱るべきなのだが、これはもうかわいい。「忙しいんだろうなぁ」なんて心配までしてしまう。かわいいというのは本当に得だね、つくづく思います。で、これについて安田顕が解説する。


 さらに安田は「(撮影の)現場と現場のちょっとした合間に、確実に『しくじり先生』(うたた寝)状態の君がいるよね?」と追い討ちをかけると、苦しまぎれに浜辺は「いや、勉強机と車の中とかがダメなんですよ」と釈明した。これを聞いた安田は「いまの(浜辺の発言)を通訳すると、学生時代、忙しかったから、学校に行って授業を受けているときに寝ないと、寝る時間がなかったんですよね? でも、うつむいて寝ると先生に失礼だし、怒られるから、『話を聞いてますよ』という真剣な態度をとりながらうたた寝をする、という“技”を生み出したんです」と笑いながらチクリ。



 さすがの浜辺もこれにギブアップするかと思いきや、「わたしはソフトネッカー(首が座ってない)なので」と謎の反論を繰り出し、「体幹はブレずに首だけゆらし、『わたし、まったく寝てません』って顔するよね?」と安田を呆れさせ、会見場は大爆笑に包まれた。


  浜辺美波は現場でもよくうたた寝をする、という話は前から聞いていた。言っていたのは今をときめく東出昌大さん。以下は昨夏のお盆休みに放送された『ピュア! 一日アイドル署長の事件簿』にまつわる浜辺美波、東出昌大、監督の藤原知之へのインタビューより(『リアルサウンド』2019年8月13日配信記事より)。



記 者「記者会見では、自身と役柄に共通点はないとおっしゃっていましたが、撮影を通して感じたお互いのピュアな部分、腹黒い部分はありますか?」
浜 辺「えーー」
東 出「いいですよ。遠慮なく(笑)」



浜 辺「ピュアはあるんですけどね。かき氷を食べるシーンがあったんですけれど、そんなにたくさん食べられないのに、『いいですよ足してください』と氷も練乳もたくさん足して、最後お店の方にも『ありがとうございます』と言ってらっしゃって、そういうひとつひとつがさすがだなと、愛される理由だなと思いました。腹黒いところは……今のところ思いつかないです!(笑)」



東 出「浜辺さんって現場の合間合間ですごい寝るんです(笑)。前世猫なのか? ってくらい、ふと目を離すとうたた寝していて、その姿がまた愛らしいんですけど、ひとつの作品で、みんなで時間を共有してると本当に家族みたいな空気になるので、そういう意味では浜辺さんが寝てるというのが裏表のない印象を受けました。腹黒いところは特にないですね」
記 者「浜辺さんは現場の癒しみたいな存在だったんですね」



東 出「そうですね。可愛らしかったですね」
浜 辺「大丈夫ですか? けっこう良くないところなんじゃないかと(笑)」
東 出「いいですよね?」
藤 原「本番数秒前まで寝てましたもんね(笑)」



浜 辺「そうなんですよ。撮影が大変だったからです!(笑)」
東 出「もう少しワイワイしている現場もあるんですけど、今回スケジュールが立て込んでいたのもあって、休める時に休んでという感じでしたね」
浜 辺「色んな人に起こされました(笑)」



 このインタビューの最後には二人とも、ぜひ続編を作りたいと言っている。私も『ピュア! 一日アイドル署長の事件簿』のさらなるシリーズ化に期待していたんだが、現在の東出昌大の状況から考えて、当分はNHKへのドラマ出演は無理かもね。残念である。
 でも東出くんはすごいよ。『ごちそうさま』で杏と夫婦役を演じたら本当に夫婦になっちゃうし、『アオハライド』のときも、相手役の本田翼を本気で口説いていたっていうし(ウワサ)、そして今回、『寝ても覚めても』で熱愛を演じた唐田えりかと本当に不倫の関係になってしまったことが発覚した。演技に身が入りすぎてリアルで本気になっちゃうのだろうか。



  浜辺美波は「撮影の初日に、東出さんが撮影のスタッフさんの名前を全員覚えていらっしゃったのがすごく印象的でした。もちろん台本にはお名前が書いてあるんですけれど、それを一致させるのは難しいと思うんです。尊敬しました」と言っている。常に本気というか、かなり入れ込む人なのだ。私が監督なら、たぶん絶賛しちゃうよな。で撮影後もその気持ちをずるずる引きずって、相手役の女優とつきあってしまう。
 もちろん、そういうタイプじゃない演技者もいる。北川景子とかさ。2012年の春にNHKで放送されたドキュメンタリー『輝く女 北川景子』では女優としての自分のあり方をこんなふうに語っていた。



北 川「イメージでは私はガラスのコップなんですけど。私、不器用なので、いろんなことを興味もってやると、残りの容量が少なくなってしまって、今度は役を調整するときに、残りの部分で調整するみたいなふうになっちゃうので、あの、ピアノ習いに行っている女優さんとか、お習字している女優さんとか、聞きますけど、そんなことはできない。もう『書道の先生の役をやる』って決まったら、みっちり書くとか、もうばーっとやって、コップを空っぽにしちゃったのを、どんどんどんどん入れていって満タンにした状態で、クランクインに合わせていくっていう……。で、その役が終わったら全部ぱっと捨てて、また空っぽにして、みたいな、そういうイメージでいます」


 北川さんは、空っぽから役作りを初めて、満タンの状態でクランクインして、撮影が終わったら全部捨ててゼロに戻るということなので、こういう人だと、余韻を引きずって共演者とできちゃうとかいうことは、まずなさそうである。『パラダイス・キス』の向井理は北川さんに、やたらと濃厚な舌入れキスをしていたし、『抱きしめたい』の錦戸亮の、メリーゴーラウンドでの北川さんとのキスシーンもなかなかいい雰囲気だったが、その後は(騒いだマスコミはいたけど)どうということもなかった。満タンにして、やったら終わり。そういう北川景子の女優としての特性を踏まえたうえで出来たのが、仲村トオルに向かって「ベッドへGO!」と命じる三軒家万智のキャラクターである。いやすみません表現が下品で。



 でもその逆の、今回の東出くんと唐田さんのようなタイプ、つまり共演後もずるずる役が憑依しちゃって、それで人間関係が色々なことになる話のほうが、演劇界の界隈ではよく聞くし、もう職業病みたいなものではないだろうか。家庭を壊したといって非難する人もいるけど、奥さんサイドが世間に向けてまだ何も公表していない以上、少なくともいまは外野がどうこう言う段階でもないよね。そんなことを言っていては芸能マスコミは成りたたないんだろうが。
 とにかく、東出くんには頑張ってカムバックして欲しい。中村獅童なんて、竹内結子と結婚後たいして経たないうちに元カノと不倫して助手席に乗せて飲酒運転して検挙されて離婚したのに、その後は一般女性と再婚して京都文教大学客員教授になって、今ではNHKの大河ドラマ『いだてん』にも出演している。芸能界復帰の一作目はデスノートのリュークの声だったけど(笑)。そんで元カノの岡本綾は結局、干されて引退したんだから、あいつ本物の悪魔かもな。まあ、あの世界はまた芸能界でも特別か。なんにしろ、東出昌大と浜辺美波の『ピュア! 一日アイドル署長の事件簿』の続編を私は観たい。



 それから前回のコメント欄に書いたように、『庶務行員 多加賀主水』の第4弾が早くも放送される。安座間美優さんは今回もちゃんとメンバーに入っているか心配だったのだが、最初に公表されたスチルで、夏菜の後ろにしっかりが写っていたので一安心である。


(左から)高橋克典、市毛良枝、水沢エレナ、夏菜、安座間美優、高島礼子、仲村美海、風見しんご


 主演の高橋克典がかなり入れ込んでいて、安定的なシリーズとして続けたいらしい。といってもテラーの中島鮎子(安座間美優)は、いなくなっても視聴者に気づかれない、気づかれても「寿退社したのかな」くらいで納得されてしまう程度のキャラクターだし、安座間美優自身が、インスタとかツイッターとかで宣伝する気がほとんどないので(こんどの2月放送分についても、安座間サイドからはまだ何の告知も出ていない)こっちとしては新作が出るたびに「まだ安座間さんを出してくれるか」とハラハラドキドキである。高橋克典がケイダッシュ所属で、安座間美優がケイダッシュの子会社のパール所属なので、そういう関係だと思う。安座間美優は長らくヴァーテックスとパールという二つの事務所と関係しているのだが、その関係がよく分からない。詳しくはだいぶ前に書かれた『M14の追憶』のここをご参照ください。
 


 その『M14の追憶』で知ったんだけど、泉里香の新しいドラマ出演が決定した。東海テレビの『オトナの土ドラ』という枠で、これは昨年、安座間美優が出演していた高岡早紀・夏菜の『リカ』というドラマと同じ枠である。プロデューサーも『リカ』と同じ市野直親で、主演は羽田美智子。タイトルは『隕石家族』という。つまり安座間美優を起用した『リカ』のプロデューサーが、今度は本物の(というのかな)泉里香をキャスティングしたっていうことである。2020年4月11日(土)から5月30日(土)まで毎週土曜日23時40分~24時35分、全8話予定。



 舞台は巨大隕石が近づきつつある地球の日本。あと半年もすれば隕石は地球と衝突し、そうすれば世界は滅亡する。でも主人公の門倉一家は淡々と日常を過ごしている。いまネットで、きくちゆうき『100日後に死ぬワニ』という日めくり四コマ漫画が話題になっている。1日1話ずつ更新されるから、第100話が最終回で死ぬんだろうけれど、主人公のワニはそれを意識した様子もなく普通に日々を過ごしている。そんな感じなのかな。



 と思ったらそうでもないらしい。主人公の門倉一家(キャイーンの天野ひろゆきがお父さん、羽田美智子がお母さんで長女が泉里香、北香那がその妹で松原智恵子さんがおばあちゃん)は、隕石が落ちてくることも、そうなったら自分たちの生命がないことも、そのタイムリミットがあと半年だということも分かっている。知っているけどどうしようもないので、淡々と日常を続けているのだという。アダルトビデオで、どうせ世界が終わってしまうなら、最後の一日は大好きなAV女優とやろう、というようなのがあったけれど、そういう感じか。もうすぐ世界が終わるなら、大好きな泉里香と過ごそう、とか。でもそれは相手の同意があってのことである。



 どうも調子悪いのかな私。適当にマクラの話をしてから本編のDVDレビューに入ろうと思っているうちに、何か自分でもよく分からない迷路に迷い込んでしまった。中途ハンパだけど本日はこのくらいで。暦の上ではそろそろ大寒を過ぎたころ、みなさんお身体にお気をつけください。