実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第611回】DVD第4巻:Act.14の巻(8)



絶賛発売中。やはりしばらくはこの路線で行くのか。


1. 西郷どんと神戸港


 北川景子のNHKドラマデビュー問題に関して、当名古屋支部ではかねてより、いきなり朝ドラにぶつけるには濃すぎる人なので、やはり大河のヒロイン、それも『卑弥呼』あたりで主演デビューなのではないか、という勝手な推測を立ててきた。勝手な推測をしつつ、しかも勝手に、おおいに不安や危惧の念をいだいてきた。大河ドラマの女主人公って、視聴率的に成功した事例が少ない。トップ女優にはリスキーな賭けなのだ。上野樹里(『江』2011年)も綾瀬はるか(『八重の桜』2013年)も井上真央(『花燃ゆ』2015年)も、そして今年の柴咲コウ(『おんな城主 直虎』2017年)も数字では苦戦している。



 その意味で今回、北川さんが2018年の大河ドラマ『西郷どん』で、女優としてNHK総合にドラマデビューを果たすというニュースに、私は半分胸をなでおろした。『西郷どん』の主演はあくまで鈴木亮平であって、北川さんはその相手役である。視聴率が苦戦しても、叩かれるのは鈴木亮平さんだ。いや頑張って欲しいけどさ。松山ケンイチさん(『平清盛』2012年)なんて可哀相だったもんなぁ。



 しかし半分は、やはり危惧がある。だって北川景子の演じる役は於一、後の篤姫だというではないか。『篤姫』(2008年)といえば、女主人公で大成功を収めた数少ない例外、宮崎あおいが大河ドラマ史上最も若い22歳で主演を務め、平均視聴率24.5%、最終回は28.7%という、とてつもない数字を叩き出したモンスター級のヒット作だ。宮崎あおいの芝居も高く評価された。同じ大河で、同じ役を演じるということで、北川さんはもう絶対、宮崎あおいと比較されちゃうだろう。そして天才宮崎あおいと較べられると、努力のひと北川景子は分が悪い。
 しかしまだ来年のことなので時間的余裕はある。私たち支援者は、いまからシミュレーションを重ねて、マスコミやら何やらのいわれなき北川叩きにどう対抗するか、策を練ろうではないか。
 それはさておき、ネットに流れた制作発表のニュース。似たような記事が色々あるが、まずは『映画.com ニュース』から引用します(2017年4月12日 13時12分)。北川さんのお話はあいかわらず真面目で固くて、こういうところは変わっていないなぁ。



 鈴木亮平が主演する2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の新キャスト発表会見が4月12日、東京・渋谷の同局で行われた。北川景子と高梨臨が大河初出演を果たすほか、北村有起哉、堀井新太、高橋光臣、沢村一樹、斉藤由貴、鹿賀丈史、小柳ルミ子が共演することが明らかになった。



 西郷隆盛役の鈴木をはじめ、会見には薩摩のキーパーソンを演じるキャスト陣がズラリ(北村はスケジュールの都合で欠席)。後の篤姫であり、西郷と淡い恋に落ちる於一役の北川は、「NHKの作品も、大河ドラマも初めて」と緊張の面持ちだが、「いつか出演したいと心のなかで目標にしていた大河ドラマに携わることができ、そして素敵な皆さまとご一緒できて光栄です。とても身の引き締まる思いです」とほほ笑む。続けて「過去に篤姫を演じた先輩方から、たくさんのことを勉強し、史実も勉強し、一生懸命に努めたいと思います」と真摯に語り、「大河ドラマのしきたりを知っていく、そういったところからスタートですが、皆さまとしっかりとコミュニケーションをとっていきます」と意欲をのぞかせた。


 以上を基本を踏まえた記事として、次に応用編というか、これに大胆な脚色を施した翌日の『東スポ』(2017年04月13日 16時30分)を読んでみよう。


北川景子「NHK大河」ヒロイン決定で神戸から“恨み節”


地元市民をがっかりさせている北川景子
 来年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主要キャストが12日、東京・渋谷の同局で発表され、注目のヒロイン・篤姫役に北川景子(30)が起用された。一方、遠く離れた神戸市民の一部が意外にも複雑な気持ちを抱いているという。
 大河初出演となる北川が演じるのは薩摩・島津藩の分家の姫・於一(おいち、のちの篤姫)だ。会見では「篤姫を演じられた先輩方や史実から勉強し、脚本のオリジナリティーも大切にしながら、一生懸命務めていきたい」と抱負を語った。
 鹿児島を舞台にした大河で華々しくヒロイン役を演じる北川だが、一方で地元・神戸市からの仕事を断っていた。それは今年開港150周年を迎えた神戸港のイメージキャラクターだ。



 メモリアルイヤーを盛り上げようと、神戸市は街を挙げて通年でイベントを開催している。結局は女優の戸田恵梨香(28)がその大役に起用されたが、神戸市関係者は「戸田さんより先にオファーをかけたのは北川さんでした」と明かす。
 港は神戸の象徴である。北川が10代で上京するまでを過ごした神戸港の“顔”になることを快諾してもらえると思っていた市側だったが、北川の事務所の回答は「『すみませんが、北川は世界で活躍する女優ですので』でした」(同関係者)という。
 確かに北川はハリウッド映画「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(06年)にも出演した世界的な女優。スケジュールやギャラの問題の可能性もあるが「まさか断られてしまうとは…」と別の神戸市関係者も肩を落としている。
 こうした経緯を経て鹿児島県が舞台の大河ドラマに出演する北川に、事情を知る神戸市の女性は「鹿児島がお好きなんですね…」と引きつった笑みを浮かべた。地元で一番株を上げたのは戸田かもしれない。


 ね。おかしいでしょ。そもそも「地元市民をがっかりさせている北川景子」という見出しからして本文と合致しない。私はてっきり、地元市民から「北川景子を神戸開港150周年のイメージキャラクターに」という声とか人気投票があったのに、北川さんがそれを蹴って「西郷どん」についた、という話かと思った。そしたらそうじゃなくて、市が北川さんにオファーしたんだけど断られて戸田さんにしたというだけの話である。そんな事情、一般市民は知るよしもなく、記事を読む限り、がっかりしているのは「神戸市関係者」と「事情を知る神戸市の女性」だけである。だから正確には「地元市民二人(関係者含む)をがっかりさせている北川景子」だよな。
 おそらく2018年大河ドラマの話が秘かに進行していた段階で、2017年、年間通じてまるっと神戸港のイメージキャラクターになってくれ、という依頼が市からあって、ちょっとそれはイメージ的にもスケジュール的にも道義的にも無理、ということで断ったのだろう。
 この場合「鹿児島がお好きなんですね」という非難はあたらない。彼女は地元の依頼を蹴ってNHKと鹿児島を選んだのではない。イメージキャラクターの仕事を断って、女優の本職である演技の仕事、それもドラマのレギュラーを採ったのだ。当たり前ではないか。
 それから事務所が「すみませんが、北川は世界で活躍する女優ですので」と断った、という話は相当怪しいぞ。そんな失礼きわまる物言いを地方自治体相手にできるような人は、その場でマネージャー失格だと思う。スターダストの社長に問い合わせたいところである。



 しかも記事はその「世界で活躍する女優」ってところに「確かに北川はハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』にも出演した世界的な女優」とかぶせてくるが、これはちょっと恥ずかしい。この記者は本当に『ワイルド・スピードX3 』を観ているんだろうか。北川景子より柴原理恵のセリフのほうが多かったように記憶しているが。
 もっとも『東スポ』は、昨年末『バイオハザード・ザ・ファイナル』が封切られたときも「ローラが女戦士コバルト役で出演しているのも注目(中略)出番はそれほど多くはないが、エンドロールではキャスト陣の9番目にクレジットされており堂々のハリウッドデビューといったところだ」と言っているので、「ハリウッド映画出演」の定義が、私の考えとはちょっと違うのかもしれない。「米アカデミー賞作品(『バベル』作曲賞のみ)に出演した小松彩夏(劇中のテレビに流れるCM出演)」とかも通用するかな。
 マジメに考えると、神戸市が、開港150周年のイメージキャラクターに戸田恵梨香、イメージソングにWEAVERを起用すると発表したのは昨年末だったけど、おそらく、そのとき関係者が「最初は北川景子にオファーしたんだけど理由もよく分からず断られて」的な裏話を、誰かにポロリと漏らしたんだろう。で、それを小耳に挟んて記憶していた取材記者が、このたびの大河ドラマのキャスト発表に「ああそういうことか」と合点がいった。で、このふたつを絡ませて売れる記事を書こうとしたら勢い余ってしまった、だいたいそんなところが真相ではなかろうか。
 『東スポ』相手に大人げないとは思うが、どちらかといえば北川さんより戸田恵梨香さんに非常に失礼な記事であると感じたので(後ろめたいのか、最後は「地元で一番株を上げたのは戸田かもしれない」と戸田さんを持ち上げている)あえて苦情を書いてみた。
 さて本編、Act.14の続きだ。

2. マーキュリーVSマーキュリー

 

 うさぎのお母さんに所在を確認したなるが、速攻で亜美の家にやってきた。あせる亜美。2004年初頭の放送当時、河辺千恵子のセラミュの亜美ちゃんは、まだファンの脳裏に焼き付いていた(私のことだが)。その亜美ちゃんが実写版の亜美ちゃんと1対1、サシで対峙するのだ。胸躍る瞬間。



な る「遅くにごめんね。うさぎのお母さんに聞いて………。今日うさぎに返してもらう約束のCDがあるんだけど。明日どうしても要るんだよね」



亜 美「あ、ちょっと待って」


╳    ╳    ╳



亜 美「これ?」



 いったん亜美が引っ込んで持ってくるCD。ジャケットデザインがちょっと変だ。タイトルも読めない。「Mary」という字に読めなくもない。ともかく美奈子の知られざるCDではないよね。何か情報、ご意見、ご感想のある方、ぜひコメント欄にお願いします。
 しかし、なるは亜美への不審感をいだく。そりゃこんな態度を取られたら当然だよな。



な る「あれ? うさぎは?」
亜 美「え……ちょっと……」



な る「変じゃない? 顔見せないなんて? 私が来たって言ってくれた?」
亜 美「あの……」



な る「言ってないの? 私に会わせたくないわけ?」
亜 美「そんな……」



な る「うさぎ、いるんでしょ」
亜 美「待って!」



な る「ちょっと……」



亜 美「うさぎちゃん、寝てるの」



亜 美「嘘だと思うなら思ってくれていい」



亜 美「私のいじわるだと思ってくれてもいいから、だからお願い」


╳    ╳    ╳



な る「何なのいったい! でも、あんな亜美ちゃん初めて見た……」




 いつにない亜美の勢いに気圧され、何か深い理由があるのかな、的な複雑な表情で立ち去って行くなる。しかしうさぎの親友を自負するなるにとっては、やはり納得のいかない扱いではある。次週Act.15で、亜美はこの時のしっぺ返しをくらうことになる。
 そして、そんななるの様子を見守るストーカーの姿が!



 地場衛のストーキング行為は、セーラー戦士たちをひっそり見守るという役柄上、仕方のないことのようにも思える。しかし少し後のAct.15でも、けっこう楽しげに宝石泥棒たちの追跡をしているところを見ると、こういうことをするのが好きなのかも知れない。そしてAct.20では、逆に自分が木野まことに追跡調査されて正体を知られ、一発思い切りなぐられてしまうのである。


3. 黒い花びら


さて、そうこうしているうちに、ダーク・キングダムでイラつくベリル様の意向を受けて、クンツァイトが動き出す。一方ネフライトは、堂々たるクンツァイトの登場によってますます影が薄くなり、しかもそのことを自覚して内心不安である。



ベリル「クンツァイト! セーラー戦士どものエナジーはどうなった」



クンツァイト「セーラームーンを妖魔にして、戦士どものエナジーを吸わせるつもりなのですが、多少抵抗しているようです」



クンツァイト「私が出向いてカタをつけてきましょう」


 で、亜美の家では、うさぎの健康状態を管理しているパソコンがいきなり大きな警告音を鳴らし出す。クンツァイトの襲来だ。





(パソコンが大きな警報音を鳴らす)




亜 美「はっ!」



 こんこんと眠っていたうさぎが目を見開き、大魔神モードで変身すると、銀ギツネ妖魔になっていた。





亜 美「!」



 と思ったら、これも夢だった。なあんだ、と思ったら実はそれは正夢だった、というB級ホラー映画みたいな展開。今度こそクンツァイトの襲来だ。体温がグイグイ下がって、吐く息が真っ白になる。




ル ナ「亜美ちゃんっ、敵の気配よ!」



亜 美「えっ!?」



亜 美「はっ…!」



亜 美「うさぎちゃん!」


 同じころ火川神社で、うさぎが妖魔化しないよう祈祷し続けていたレイも何かを感じる。



レ イ「うさぎ!」



 ただ、まことは何をやっているのか分からない。コンチェルト・ホールには誰もいなかったから、家に帰ったんだろうけど。



 で、再び亜美の家。窓が開き、激しい風が入り込んでカーテンをはためかせる。そして黒い花びらが(羽根か)。



亜 美「はっ」




亜 美「きゃあっ!」




クンツァイト「目覚めよ! セーラームーン」



 クンツァイト降臨。と言っても声が聞こえただけ。黒い花びらがうさぎのうえに積み重なり、気がついたらうさぎの姿はない。



亜 美「あっ!」



亜 美「うさぎちゃん!」


╳    ╳    ╳



 すぐにマンションを飛び出していく亜美。いまだに待機していたストーカーがその後を追う。まだいたのか。



 衛 「まさか!」




亜 美「マーキュリーパワー」



亜 美「メイクアップ!」










マーキュリー「うさぎちゃん 絶対守るからっ!」



マーキュリー「はっ!」




トランポリンみたいにビルを飛び越えていくマーキュリー。こういうところが実写版の「原作原理主義」たるゆえんである。これまで何度も書いてきたように、原作者の武内直子先生は、当初マーキュリーを「加速装置のついたサイボーグ」という、エイトマンとかサイボーグ009のような設定で考えていたらしい。スピーディー、軽快、ジャンプ力。



 原作の亜美は頭脳も優秀だが、一方で(水星の戦士だけに)水泳が得意だったりもする。



 つまりその属性はパワーよりも敏捷さである。スピードを重視するぶん装備は軽くなり、坊御力は弱まる。そういう考え方で、原作のマーキュリーには肩のプロテクターがない。



 実写版もその設定を尊重して、プロテクターなしのノースリーブで、浜千咲(泉里香)の細い腕が強調される結果となった。



 新アニメ版(セーラームーンCrystal)も当然のようにノースリーブタイプ。



 オリジナルのアニメ版やミュージカル版はプロテクターありだ。特に旧アニメでは「敏捷さ」という属性はほとんど表現されず、参謀役に徹している。それにしてもミュージカル時代の千恵子さんは可愛いね。




 おもしろいのは、新ミュージカル(ネルケ版)もマーキュリーに関してはプロテクターありでノースリーブではないんだよね。小山百代。



 というような意味で脇道にそれたが、まあビルからビルへとぴょんぴょん飛んでいくマーキュリーって、ちょっと表現としてはアレだが、ここにもそういう、原作の本来の設定(マーキュリーの特性は敏捷さ)を活かして再構築する、という実写版のイズムを垣間見ることができるわけです。じゃ、今回はこのへんで。