実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第597回】DVD第4巻:Act.14の巻(1)

1. 夜空ノムコウ


 あからさまにメッセージソングを狙った「世界にひとつだけの花」より、個人的な痛みや悲しみの感情が結果的に時代の気分とつながっていた(良いポップソングとはそういうものだと思う)「夜空ノムコウ」の方がだんぜん好きだ。切なく美しくやや投げやりで、今となっては彼らの運命を予告していた。活動終了前に、最後に一曲歌ってくれるなら、やはり「夜空ノムコウ」が良かったよなぁ。たぶん今の彼らにしか込められない想いのこもった歌唱になっていたと思う。



あのころの未来にぼくらは立っているのかなぁ
全てが思うほどうまくはいかないみたいだ
このままどこまでも日々は続いていくのかなぁ
雲のない星空がマドのむこうにつづいてる


 超大物の陰に隠れてひっそりと、Dream5も今年いっぱいで活動休止だそうだ。12月26日にいきなりの発表。そして翌日12月27日、重本ことりが契約満了でエイベックスを去ることが明らかになった。そもそもこの春に桃奈が脱退して4人体制になってから、活動らしい活動はしていなかったのではないか。



 Dream5はながらく、全国のイトーヨーカドーのイベント会場をメインの活動フィールドとしていて、ミニライブをやって、ちびっ子たちと「ようかい体操」やって、グッズ販売と握手会というのが定番だった。ところが今年のヨーカドーの在庫監査で、イベントで大量に売れ残った重本ことり関連グッズを、浦和店に集めて計画的な在庫隠しをしていたことが発覚、ウワサによれば破棄処分で2億5千万円の損失を出したそうだ。で事態はそこから、無理なアイドルグッズ商売をムリヤリねじ込んだ企画会社とヨーカドー上層部の癒着という問題まで発展して、社長や役員が辞任したり降格になったりした。



 それでDream5はもうイトーヨーカドーでイベントができなくなってしまい、エイベックスは重本ことりと契約更改せず、グループは今年限りで事実上終わる。NHK教育の『天才てれびくん』から始まった手作り感のあるグループだったのに、「ようかい体操第一」の大ブレークに振り回され、イトーヨーカドーのお家騒動に巻き込まれ、大人達の思惑に弄ばれて空中分解したような印象で、とても悲しい。
 そんなわけで、2015年に続いて、アイドル界のパラダイムシフトが留まることなく進んだ2016年も本日限り。どちらさまもお世話になりました。元日をセーラー戦士の振り袖姿で迎えるための伏線として、今年最後の更新、DVDレビューAct.14の始まりでございます。

2. パストラル加須の戦い



 アバンタイトル。新年だから特別ということなのか、ふだんの赤いカーテンではなく、緑のカーテンが開いて猫ルナが語り出す。



 まあアバンについてはこれまでもエピソード冒頭で何度か考察しているので(たとえばひとつ前のAct.13レビュー第1回目→ここ)、今回は省略しちゃいますが、Act.10以降は「アバンでカーテンが開く場合、基本的にそこはクラウンのなかで、前回までのあらすじが紹介される」というお約束がだいたい成立している。第1クールまでの語り手はほぼうさぎで(セーラームーン1回を含む)、それ以外はAct.5の亜美とAct.9の猫ルナとAct.12の美奈子ぐらい。今回はAct.9に続いて2回目の猫ルナ登場である。
 で、前回までのあらすじが紹介されるわけだが、この部分のレビューを書いたのももう1年ぶりだもんな。ざっととおさらいしてみましょう。



ル ナ「とうとう、私達のプリンセス、セーラーヴィーナスが見つかったの」



ル ナ「一緒に四天王の一人も倒したし」




ル ナ「私たちは改めて、敵から地球を守っていくことになったんだけど……」


 いやここまではAct.12のあらすじ説明でしょう。Act.13がなかなか始まらないな。済まぬ。
 Act.13は、記憶喪失の善良な青年シンとマスターとの、時空を越えた再会の物語であり、シンがクンツァイトとして目覚めるまでの話だった。



セーラームーン「誰?」



クンツァイト「ダーク・キングダム四天王の一人、クンツァイト」


 と名乗りをあげて、「挨拶がわり」に自分の髪をセーラームーンに飛ばす。




タキシード仮面「待て!」





タキシード仮面「セーラームーン!」




ル ナ「大変だわ、セーラームーンが妖魔になってしまう」



 沢井美優さん、キレイですね。Act.13はこのあたりで終わっていたが、このAct.14アバンで続きが観られる。



 クンツァイトに支配されかかったセーラームーンはタキシード仮面に手を伸ばす。



 タキシード仮面としては手の打ちようがない。



 でも次の瞬間、セーラームーンのティアラの宝石が毒消しの光を放つ(たぶん)。



こういうときに適当な解説でその場をとり繕うのはルナの役目である。



セーラームーン「あれ……?」」


             
                                                                                                                                   
ル ナ「セーラームーン」


                                                                                                                                                        

セーラームーン「タキシード仮面!」
タキシード仮面「元に戻ったのか?」
セーラームーン「えっ?」



ル ナ「たぶん、セーラームーンの中にある戦士の力が、妖魔の力を押さえ込んだんだわ。セーラームーン、何ともない?」


セーラームーン「うん、ぜんぜん」



タキシード仮面「本当に大丈夫か?」
セーラームーン「うん」


 だがそのセーラームーンの首に、一瞬あの髪の毛の影が……。


 うなじがいいね。ここでタイトルだ。



 監督は舞原賢三だっ!Act.14、始まるよ〜。

3. ダーク・キングダム



 そしてダーク・キングダム。なにやら思案顔でベリルの元へ歩を進めるクンツァイト。



クンツァイト「ベリル様、クンツァイトただいま戻りました」



ベリル「ようやくだな……。あのまま人間界に捨て置こうと思ったが」
クンツァイト「セーラー戦士どもに苦戦されてるご様子。見たところ残ったのはこ奴のみ。これでは不安になろうというもの」



ネフライト「クンツァイト! 貴様のような失敗作、ベリル様のご温情がなければ、いまごごろ野垂れ死に……!」



クンツァイト「失敗作かどうか、すぐにわかる」



クンツァイト「ベリル様、大いなる悪の復活に、セーラー戦士どものエナジーはいかがか」



ベリル「何?」
クンツァイト「偉大なる悪の復活は、私がお引き受けしましょう。ベリル様はゆっくりお休みを。少々、お疲れのご様子」
ベリル「下がれ」



ネフライト「無礼者!」




 やはり窪寺君の存在感はこの時点でもずばぬけていますね。自分専用のお立ち台に上がられて不機嫌なベリル。
 それにしてもあれだね、この時点でクンツァイトはどの程度「記憶」をもっているのだろうか。実はまだベリルに植え付けられたニセの記憶だけで動いていて、傲岸不遜な態度はもともとの性格、という解釈もできるし、実はもう、心はベリルの支配を脱しているのだけれど、猫を被ってわざと下僕の振りをしているようにも見える。すでに前世の記憶を少しは取り戻しているようにも見えるが、地場衛がかつてのマスターでうさぎが月のプリンセスだったというところまでは、まだきっちり想い出せていないみたいだよなぁ。


 ましかし、こんなところで。今年もお世話になりました。みなさま良いお年を過ごされますよう。次は明日、元日更新だよ。