1. 大混戦
困ったなあ。
ディズニー『アナと雪の女王』が大化けした。すでに日本での興行収益は100億円を突破、150億円に迫ろうとしている。
もともと本国アメリカでも記録的なヒット作ではあった。ただディズニー社もかねがね「我々の作品がトップを取れないのは日本だけ」と公言しているように、日本はディズニーにとって難しいマーケットだ。独自のアニメ文化が発達しているので、他の国では通じる「ディズニー=正しいアニメ」という公式が通じない。実際、若い人の中には「ディズニーのアニメは、すぐに歌って踊るし、動きはグニャグニャだし、キャラには萌えないし、変」という意見もある。『ファインディング・ニモ』(110億円)や『トイ・ストーリー3』(108億円)があるじゃないかと思われる方もいるかもしれないが、あれは買収された子会社のピクサーが制作した作品であり、ディズニーは配給を担当しているに過ぎない。ディズニーが自社スタジオで制作したアニメで、日本で最もヒットした作品は1993年の『アラジン』であり、43億円近く稼いだが、このくらいの数字なら夏のポケモンが何度も出している。
それがいきなり100億円である。まあそれでも、我が国の歴代ベストスリーには遠く及ばないが(『千と千尋の神隠し』304億円、『ハウルの動く城』196億円、『もののけ姫』193億円)大変な数字である。まだまだ数字を伸ばして今年上半期の最大ヒットになることは間違いない。
で、本題だが、この強敵に加え、ハリウッドからは『アメージング・スパイダーマン2』が参戦、迎え撃つ邦画番線は『テルマエ・ロマエ II』と『相棒 III』である。
フジテレビ・東宝の『テルマエ・ロマエ II』は前作の大ヒットもあってかなり強気、今回のオープニング週も前作以上の数字を出している。
テレビ朝日・東映の『相棒 III』は孤島の連続殺人ということで、これまで以上に娯楽性を前面に出している。でもこれだけ内外に派手なライバルがいるせいか、今回は主演の水谷豊まで番宣に動員されて、テレ朝のバラエティに出ている姿を見た。必死さが伺える。
加えてこのシーズン常連の『名探偵コナン』に『クレヨンしんちゃん』も、数字的には昨年以上の快調な滑り出し。……という、以上が私たちのライバル、いやライバルと呼ぶにはあまりにも強力すぎる敵の布陣である。そして本日より、いよいよ私たちの彩未先生も参戦だ。
まあ何と言っても『アナと雪の女王』の、予想をはるかに上回るヒットがかなり痛い。
そんなわけで、もう私なんか最近、自分が悪夢ちゃんである。いやホント、昨晩なんか夢の中に剛○彩芽さんが出てきた。
『ガッチャマン』4億円、『黒執事』5億円、そしてこのゴールデン・ウィークにぶつけてきた新作『L・DK』も3億円ギリギリの惨敗で、早くも撤退の構えという剛○さん。その意味するところは分析しなくても明らかであろう。これが予知夢でないことを願ってやまない。ていうか、もう私は『悪夢ちゃん The 夢ovie』の目標値を興行収入5億円に設定することに決めた。5億円を越えたら、名古屋支部では「大ヒット」という扱いにするから。いいね。
ところでキムラ緑子さんは、『悪夢ちゃん』では校長先生で、『テルマエ・ロマエ』では上戸彩のお母さんだったけど、今回の映画ではどちらにも出ていらっしゃるのかな。
2. コンパクトで変身
さて本題、といいたいところだが、そのまえに訂正とお詫び。
前々回、「実写版の戦士はみんな、変身携帯テレティアSを使って色々な服装に変身できるが、原作やアニメ版ではうさぎだけ」と書いたが(その場で百日紅さんにご指摘いただいたとおり)大ウソでした。これはもともと愛野美奈子の能力だったのである。『るんるん』1991年夏休み号に読み切り作品として掲載された、記念すべき短篇『コードネームはセーラーV』(通称「チャンネル44」パンドラの野望編」)より。すべてはここから始まった。
要するに『セーラーV』が『セーラームーン』に発展し、主人公が愛野美奈子から月野うさぎにバトンタッチしたとき、この変身機能も主役の特権としてうさぎのものとなったのである。それで美奈子はあまりこの能力を使わなくなるが、これも百日紅さんのご指摘があったので番外編の短篇をパラパラ見ていたら、ちびうさ編とか受験戦争編とかで変身シーンを見せていた。なるほどね。
うさぎのアイテムが「変装ペン」だったのに対して、元祖・美奈子は三日月型のコンパクト(クレッセント・コンパクト)を使っていた。コンパクトで変身、というのは、やはり赤塚不二夫『ひみつのアッコちゃん』の影響だろう。
そういえば一昨年に公開された『映画 ひみつのアッコちゃん』の興行収入は6億円。まああれは『ひみつのアッコちゃん』というより、ペニー・マーシャル監督、トム・ハンクス主演『ビッグ』(1988年)のリメイクみたいな内容だったけど、『悪夢ちゃん』も、せめてこのくらいは行って欲しいよなぁ(結局その話から頭が離れない)。
てなわけで、本題。
と思ったけど、ごめん、あの話題が残っていた。
3. セーラーゾンビ第2話(まだやるのか?)
突如あらわれた進撃の巨大女子高生ゾンビ(向井地美音 ex AKB48)。こちらに向かってゆっくり直進中。到達すれば、間違いなく藤美女子高は踏みつぶされる。
天才リケジョのイオリ(飯田祐真)。この人の考案した自家発電システムで、校内では電気が使えているのだ。
そのイオリがサックリはじき出した計算によれば、巨大ゾンビが到達するまでのタイムリミットは2時間。
朝から夢のお告げで巨大ゾンビの出現を予言していたアリナ(小池里奈)は、祈りの力で奇跡を起こそうと訴え、賛同する信者たちと顔をペイントし、怪しげな御祓いの儀式を始める。
意味不明な祈りの言葉を唱える小池里奈の顔が、ときどき半笑いになっている気がする。
一方、ヒロインの舞子(大和田南那)たちは、巨大ゾンビの身に付けているものが、マフラーもセーターも、女子高生たちに人気のブランド「システィーヌ」の商品ばかりであることに気づく。
「巨大ゾンビは生前システィーヌを愛用してた……もし目の前にシスティーヌが飛んできたら追いかける!」舞子たちは段ボールを集めて巨大なバッグの模型を作り、屋上へ運ぶ。
組み立てて、金ピカのシスティーヌのブランドマークを貼り付け、風船を着けて飛ばす。風向きはリケジョのイオリが計算済みだ。
巨大ゾンビはシスティーヌのバッグにつられて方向転換。
みごと作戦どおりになって、大喜びの舞子たち。
自分の祈りが通じて奇跡が起こったと、大喜びのアリナとその信者たち。
エピローグ、入浴中の舞子と睦美の会話が良かった。睦美のセリフが心に沁みました。
睦 美「あっ、流れ星。願いごとした?アイドルになりたいって」舞 子「見逃した……まあどうせ叶わないし……」睦 美「夢は叶うよ。だって私の夢、叶ったもん」
舞 子「睦美の? どんな夢?」
睦 美「世界が終わりますように。宿題、試験、世間体、常識、親。面倒なもの全部なくなれ、って夢。だから今、楽園だと思ってんだ私」舞 子「睦美っぽい」睦 美「舞子の夢も叶う。応援する」
舞 子「ありがと。でも睦美の夢のせいで難しくなった気がする」
睦 美「それは許して。でも必ず叶うから」
こうして危機は無事、回避された。だがその翌日、アリナは占いをしながら、そんな安堵も一瞬にふっとぶような恐ろしい可能性を指摘する。
アリナ「最近、理由もなく生徒が消えている。前に聞いたことがあるの。人と見分けがつかない特殊なゾンビが存在するって」
洋 子「どういうこと?」
アリナ「生徒のなかに紛れ込んでいるんじゃないかなぁ、そのゾンビが……」
「えーっ!」ってところで以下次回。
いや今回もマジで面白かったんですけど、私ってば大丈夫だろうか。
巨大女子高生ゾンビというビジュアルもよかった。今年は新年早々、ロジャー・コーマン制作『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』という映画も公開されている。巨大女のプチブームがくるのかも知れない。
私、別に巨大女フェチじゃないんですけど、ウチのブログには、わりとコンスタントに「巨大女」というキーワードで来客があるもんですから載せておきました。
くだらないネタばかりやっていないで、そろそろ本題だ。DVDレビュー。実写版セーラームーンAct.12。
十番病院に入院中の美奈子だったが、妖魔は美奈子の事務所の社長に憑依して襲いかかってきた。追っ手を逃れて走る美奈子。
あっすいません、もうゾンビの話は終わりだ。改めまして走る美奈子。
10年後のマラソンランナーを知っている我々からすれば、軽く流している感じに見えるが、いずれにせよ病院の廊下を走っちゃいけないよね。と、わきからニョキッと手が伸びて、美奈子を引き込む。
美奈子「!」
と思ったんだけど、もうだいぶ書いてしまったので、今回はこれまで。
この他にも、新作アニメのボイスキャスト決定、ミュージカルの新マーキュリー決定などの話題もあるけれど、また機会を改めてということで。
次回こそちゃんとDVDレビューを再開したいと思う。がんばります。
では、みなさま良い連休をお過ごしください。
そしてがんばれ!負けるな!『悪夢ちゃん The 夢ovie』。私も息子と行きます。