実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第427回】DVD第3巻:Act.11の巻(7)


特報】アニメ版にも、ついになんか動きがあったようだ。
『なかよし』8月号セーラームーン情報ページより。



要チューモク 真夏の日産スタジアムで何かが起こる!


セーラームーン新アニメの主題歌を担当する「ももいろクローバーZ」が、8月4日に日産スタジアムで開催する夏ライブ「ももクロ夏のバカ騒ぎ」。ちょーアツくなることに間違いなしの1日に、サプライズが起こるとウワサに!?


刮目して待て!!

1. やってきましたミュージカル画像第一弾


もうみなさん御覧になっているでしょうが、今度のミュージカル『美少女戦士セーラームーン -La Reconquista-』のキーヴィジュアルがお目見えした。「レコンキスタ」である。
最近では「リメイク」という言葉が古いのか、リブートだとかリ・イマジネーションだとか、いろんな言い回しが出てきた。しかし「レコンキスタ」って、我々は「国土回復運動」って教わったけどな。狙うは竹島か。
ミュージカル版をご存じない方のために付け加えておくと、タキシード仮面が「マスク無し」仕様なのはセラミュの伝統を踏襲している。が、もちろん女性によるタキシード仮面は初めてだ。あとタイトルのロゴがおなじみのアニメ版ではなく、実写版以来のものであるところに武内先生の意志がうかがえる。アニメ版のリメイク実現はかなり困難であろうと改めて実感した。



そのほか、コスチューム細部のリファインなどについての検討は、またの機会としたい。今回のはデジタル加工が多分に施された、どちらかといえば「イメージ映像」的なものに思われる。記者会見等で実際の舞台コスチュームが披露されてから、また取り上げてみよう。



しかし、しつこいようだが去年のパリのやつはひどかったな。


2. モバイル栄枯盛衰


うさぎとまことは、美奈子が心配なだけ、といいながら、結局はミーハーな好奇心が先立ち、ナース姿に変身して病院に潜入する。一方、クラウンに残った二人は、まじめにネットでセーラーVの研究をしている。レイは過去の関連記事のプリントアウトに目を通し、亜美は新情報を検索中。



亜美が使用しているパソコンは、おそらく液晶一体型デスクトップだろう。Appleが初めて液晶一体型のiMac(G5)を発表し、SONYがVAIOのtype-Rを発表したのが翌2004年だから、2003年の段階でこういう機種をもっているとは、さすがクラウンの秘密基地、けっこう最新の技術を投入している。
セーラーマーキュリーとコンピュータといえば、特にアニメ版で小道具に使われていたポケコンが印象に残っている方も多いだろう。私もそう。2003年当時、実写版にもそういうものが登場する機運はそれなりにあったと思う。Apple社のNewtonは1990年代前半に失敗していたが、2000年代には、いわゆるPalmPCもしくはポケットPC(いまのWindows Mobile)対応のPDA機が新しい携行用デバイスとして注目を浴び、ザウルスとかHPのiPAQシリーズとかが出てきた。2002年にはスマートフォンの元祖といえるNokia 7650イメージング・フォンも発表されている。


シャープ最後のザウルスSL-C3200(2008年生産終了)


その後ネットブックの一時的な流行を経て2007年にiPhone、2010年にiPadが登場、並行してクラウドコンピューティング環境の進化という流れで、今日のタッチパネル型モバイル機の普及に至るわけで、この時点で実写版の亜美が、アニメのイメージを踏襲して、手のひらサイズのポケコンで妖魔の戦闘能力を分析していれば、放送当時は「まだそんなもん使ってんのかよ」とか言われたかもしれないが、後になって「すげえ、さすが亜美ちゃん、この時点でアイフォンみたいなものをもっている」と、その先見の明を讃えられることになったのではないか。ま、世の中の流れなんて、どうなるものか分からないですね。


下はGoogleが開発中のヘッドマウント型デバイス「Google Glass」

3. 正義の味方‼ セーラーV


レイが読んでいるのは、どこかのポータルサイトに掲載されたニュース記事のプリントアウト。まず一枚目。これがちょっと驚きの内容である。



  正義の味方?! セーラーV


 19日(水)深夜 23時ごろ、東京湾に中国からの密入国船が到着した。船には、中国人男性が19名乗っていたが、そのうちの5名は中国で盗品の密輸に関わっているとして、中国で指名手配されていた人物らだった。舟に積載されていた荷物のなかからは、中国で先日盗まれた竜王石を含む、約200点もの宝飾品が見つかった。5人の詳しい容疑内容はまだ不明だが、警視庁ではこの5人の容疑者を逮捕し、テロ組織との関係などについても5人を追求する方針でいる。又、同じ船に乗船していたその他の密入国者らについても何らかの関わりがあるものとして捜査をしている。
 今回のこの大きな事件を解決に導いたきっかけとなったのは、またしてもセーラーVの活躍だった。
 しかし、警察が現場に到着した時、すでにセーラーVの姿は無く、今だ正体は不明のままである。


そして写真とともに「ついにとらえた!これがセーラー!?」というキャプション。
冒頭の19日(水)という日付は、2003年カレンダーで確認すると、11月19日(水)となる。実写版セーラームーンの物語内の時間が、原則として放送時の現実の時間と並行して進んでいることはこれまで何度も実証した。だからこれはだいたい、Act.7「高井君のしゃっくり騒動の巻」(11月15日放送)と、Act.8「まこととレイのホテル脱出作戦の巻」(11月22日放送)の間に起こった出来事である。
それにしても東京湾で中国人密輸団の悪事を暴く活躍をしていたとは!いままで実写版のセーラーVの行動原理、行動の目的がどうもよくわからない、と何度かボヤいてきたが、それなりに前提みたいなものはあった。それが崩れた感じである。だって、Act.ZEROのラストで前世にめざめ、戦士の使命を自覚してからの彼女の目的は大きく二つだったはずだ。


(1)プリンセスの影武者となること。
(2)エンディミオンとプリンセスの再会を阻止すること。


(1)は、セーラー戦士として活躍することによって、プリンセスから敵の攻撃の矛先をそらそうとする陽動作戦、(2)は前世の悲劇の繰り返しを守るため。でも中国密輸団の逮捕は、どちらにも当てはまらない。強いて言えば(1)の範疇には入るだろうが、それが妖魔やダーク・キングダムの注意を向けさせる手だてになっているかというと、かなり怪しいと思う。ひょっとすると武内直子先生の漫画『コードネームはセーラーV』へのオマージュかもな。原作版セーラーVのエピソードのひとつに、いかにもありそうな感じの話ではないか。このAct.11と同じ高丸監督による「Act.ZERO」のキューティー・ケンコー一味というのも、似たような感じの悪の組織立ったし。


4. 確かにこいつは「矛盾の男」だ!


さて、レイがこのプリントアウトをめくると、次に出てきた記事が、これもこれでかなりショッキングなニュース。



  ●謎のヒーロー「セーラーV」の活躍


 2日(木)深夜23時頃、東京都港区にある宝石店「CHADONNE」に強盗が入り、宝石、指輪などの貴金属類約100点が盗まれた。しかし、現在世間で噂の謎のヒーロー「セーラーV」と言われる少女がそれを未然に阻止し強盗は未遂に終った。
 被害にあった宝石店は、高級ジュエリーの専門店として業界では有名な店で、現在は古代ローマの秘宝を公開していることもあり、盗まれていた貴金属の総額は、およそ十億円に及ぶものだった。
 警視庁は強盗未遂事件として調査中だが、未だに犯人の足どりは見つかっておらず、唯一犯人と接触したセーラーVの行方も探している。
この「セーラーV」と呼ばれている謎多き少女は最近の強盗・窃盗事件を多く阻止しているが正体は全く不明なままである。


そしてこちらにも、イマイチ不鮮明な写真と「本誌独占!これがセーラーVだ!」のキャプション。
で、この事件なんですが、2日(木)という日付から考えて、2003年10月2日と見なしてよいと思います。ということはつまり……



河辺千恵子は可愛いな。いやそうではなかった、以上はAct.1の画像です。朝、うさぎがテレビのワイドショーで「正義の味方?! セーラーV 宝石泥棒を阻止‼」というニュースを見ていて、学校を遅刻してしまう。それで居残り掃除をさせられていたところへ、なるちゃんが現れて、うさぎは大喜び。そのうさぎの背景の黒板の日付を見てください。10月3日(金)。その前日が10月2日(木)となる。つまりさっきの記事は、Act.1の冒頭でタキシード仮面が宝石泥棒をはたらき、セーラーVに阻止されるという、あのアヴァンの一場面のディティールを解説した記事だったのである。
そういうふうに考えて、もう一度さっきの記事をとっくりお読みください。強盗が狙ったお宝は「宝石、指輪などの貴金属類約100点」であり、それらは総額にして「およそ十億円に及ぶ」というのだからタチが悪い。これがタキシード仮面の仕業なのである。この人、ほんとうは「幻の銀水晶」を狙っていただけではないのだ。



夢の中に出てきて「幻の銀水晶を、お願い」という声に誘われて、自分が誰なのかを知るために、夜な夜な、いわば強迫神経症的に宝石泥棒を行なわずにはおれなかった哀れな奴。これまで衛のことをそう思って、少しは同情もしていたのだが、こいつはそれだけではなくて、ついでに時価10億相当の貴金属をどさくさまぎれに持ち出そうとしていたのだ。
なぜだろう。たぶん、カゴの鳥みたいな自分の生活がイヤだったのだ。東映公式ページに載っていた衛の基本設定を確認してみよう(ここ)。


タキシード仮面こと地場衛は、幼いころ、記憶を失って日下家に引き取られました。
「地場衛」というのも本名かどうか。(人の名前ですらないかも)
彼の脳裏を時々よぎるのが、「幻の銀水晶をお願い…」という《プリンセス》のイメージ。そこで彼は、過去の手がかりを求め、「幻の銀水晶」を探しはじめました。――怪盗・タキシード仮面に変装して。
その活動を通じてセーラーVと、そしてセーラームーンとも出会っていったわけです。
衛が独立してフリーに活動してこれたのは、日下氏の援助のおかげ。
実業家の日下氏は、衛を後継者にと見込んでいるのですね。
フリーな行動を許された期限は、学校卒業まで。卒業後は、陽菜と婚約し、渡英して経営学を学ぶのが、日下氏と衛の約束なのです。


フリーな行動は期間限定で、最終的には「陽菜と婚約→渡英→婿養子に入って経営者」みたいな路線が敷かれちゃっている。そんな束縛だらけの人生がイヤで、いざというとき、手切れ金をビシッと渡して出て行けるようにと、幻の銀水晶を探すついでに、高価なお宝をゲットしていたのだよ、この人は(推定)。まことが言うようにただのドロボーだったのだ。私の地場衛に対する人物評がちょっと変わってしまったな。残念だ。

5. 優等生の再会


さあそして、亜実の見ているパソコンの画面には、最近のセーラーVに関するニュースの数々。



その見出しの内容も考察していこうかと思ったが、画面途中で切れちゃっているのでまあいいか。
というわけで、うさぎ&まこと組とは対照的に真面目にやっている亜美&レイ組。亜美がいわくありげな告知サイトを見つけ出す。




亜 美「レイちゃん、ルナ!」



ル ナ「は? “星のまつり、月と火星と水星と水星と木星大集合、ゲストは……V”⁉」



亜 美「これ、英語なら、ムーン、マーズ、マーキュリー、ジュピター」
レ イ「私たちのこと、それで、VはセーラーV?」



亜 美「うん」



ル ナ「偶然にしては揃いすぎるわね」
亜 美「今日開催みたいだし、いちおう調べた方が良いかも」



レイとルナ「うん」


はたして一体この告知は何を意味しているのでありましょうか。というあたりで以下次回。
ちなみにこの優等生おふたりは、実写版セーラームーン終了後7年の時を経て、2011年の映画『パラダイス・キス』において再会を果たすことになる。感涙にむせぶ客席の我々と較べて、本人たちはいたってクール(ほんとうは観客の我々は当初、泉里香が出演していることに気付いていなかったという実話もあるが)。



てなわけで、んじゃまた。



P.S.
コメント欄で、筑前町のMEW13さんの書き込みを読ませてもらって、今日(午前零時過ぎちゃったけど)が七夕であることにようやく気づいた。七夕にはこの曲を聴かなければいけないので、拙速ながら動画ファイルを作ってみたので、よければお聞きください。解説は、だいぶ前に精魂込めて書いたので(ここ)そちらをご参照いただければ幸いです。
ではまた。