実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第315回】DVD第2巻:Act. 8の巻(その4)

1. 最近、社会派ブログっぽいイントロばかりですみません。


2ヶ月前の新聞記事。

経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時、東京電力の福島第一原発1号機で原子炉の心臓部が損なわれる「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたという。燃料が溶けて漏れ出たと考えられる。炉心溶融が事実だとすれば、最悪の原子力事故が起きたことになる。炉心溶融の現象が日本で確認されたのは初めて。(『日本経済新聞』2011年3月13日)

東京電力の小森明生常務は12日夜の記者会見で、爆発があった福島第一原子力発電所1号機から放出されたとみられるセシウムが検出されたことを認め、「炉心そのものが通常とは違う状況になっている可能性はある」と述べた。原子力安全・保安院が指摘した「炉心溶融の可能性」を認めた。(『朝日新聞』2011年3月12日)

どちらも震災の翌日、3月12日の会見であり、政府も東電も、すでに明確にメルトダウン(炉心溶融)の可能性に触れている。ところがこの件、それっきりになってしまった。
で、その後2ヶ月の間に、メルトダウンを前提としない冷却工程計画を立てておいたくせに、5月12日になってから、改めて「でも実はメルトダウンでした」と発表するという、これはいったい何なのか。国民から一斉に「知っとるわ!」とツッコミを入れてもらうために、わざとボケたとしか思えないよね。

東京電力は12日、福島第1原発1号機で、燃料棒(長さ約4メートル)が冷却水から完全に露出して溶け落ち、圧力容器下部に生じた複数の小さな穴から水とともに格納容器に漏れた可能性があると発表した。東電は、この状態を「メルトダウン(炉心溶融)」と認め、格納容器ごと水を満たして冷やす「冠水(水棺)」作業の見直しに着手した。冷却作業に遅れが出るのは確実で、事故収束に向けた工程表は大幅な見直しを迫られることになった。(『日本経済新聞』2011年5月13日)


ところで、最初の政府会見で「炉心溶融」の一語を口にした中村幸一郎議官は、以降は記者会見に姿を見せなくなる。このあたりにも怪しい説がでている。

その日、経済産業省原子力安全・保安院の中村幸一郎・審議官が、「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」と記者会見で明らかにした。ところが、菅首相は審議官の“更迭”を命じた。
「菅首相と枝野官房長官は、中村審議官が国民に不安を与えたと問題視し、もう会見させるなといってきた」(経産省幹部)
さらに状況が悪化すると、菅政権は人事で目くらましを図った。
13日になって蓮舫・行政刷新相に「節電啓発担当大臣」を兼務させ、辻元清美・代議士を災害ボランティア担当の首相補佐官に任命した。(『週刊ポスト』2011年4月1日号)

本当だとすると、今の日本では真実を口にしただけで「国民に不安を与えた」と更迭されちゃうことになる。皆さんも気をつけましょうね。
あとドサクサで節電啓発担当に任命された蓮舫。いまのところ「節電啓発」に関して、事業仕分けの時ほど颯爽としたアピールが出来ておらず、人気はダダ下がり。そこで私がひとつ知恵を授けたいと思う。ビキニである。この夏の節電ファッションの決定版として「女子はみんなビキニで出勤しよう」と提言してみてはいかがか。

東日本大震災を受けた節電対策のため、環境省は13日、職員にノーネクタイや上着なしでの勤務を推奨する現行の「クールビズ」を強化し、ポロシャツやアロハシャツ、Tシャツの着用も許容する「スーパークールビズ」に取り組む方針を明らかにした。6月1日から実施する。(『毎日新聞』2011年5月13日)

ひょっとして若い人には注釈がいるかも知れないが、私ら世代のイメージとしては、蓮舫といったら要するにクラリオンガールで、グラビアアイドルである。だったら昔取った杵柄で、やはりここは一番、ビキニで国会へ!全国の働く女性たちへ、女性のための個性的な「スーパークールビズ」の提案だ。



どうかな。需要があるかどうかは知らんが、けっこう訴求力をもつと思うし、必然性のあるビキニだ。
何よりも「ビキニ」という単語の響きが、現在の日本がかかえる切迫した危機感を端的に象徴している。



いかん、そろそろ本題に入らねば。
Act.8のレビューを再開します。

2. 闇の王国の間取り


前回はクラウンで、レイとまことが睨みあうまで、続いてはダーク・キングダムである。台本のシーン7。


   ピアノを弾いているゾイサイト。
   そこへ入ってくるジェダイト。
ジェダイト「ゾイサイト、頼みがある」
ゾイサイト「私は今、セーラーVに心を合わせている」
   目を閉じてピアノを弾き続けるゾイサイト。
   ジェダイトが鍵盤を叩き、不協和音を奏でる。
ジェダイト「聞け。俺はセーラー戦士を倒したい」
   目を開けるゾイサイト。


ゾイサイトがピアノを弾いているこの部屋は、前回Act.7で初めて出てくる。この第1クールの段階では、Act.10に登場する妖魔「プリンセスへのレクイエム」を作り出すためのアトリエみたいなものだし、台本を見ると、ただ「一室」としか書かれていない。だから脚本家自身も、この部屋を今後どのような場として利用するか、当初は十分に意識していなかったのかも知れない。しかしここは、シリーズ後半の重要な舞台となっていく。具体的に言うと30番台の前半、Act.30からAct.35あたりがピークかな。

Act.30でロンドンにいる衛の部屋の鏡に、このピアノ部屋が映り、ゾイサイトがマスターを誘う。Act.31のラストからAct.32にかけては、ゾイサイトに導かれ、衛がこの部屋にやって来る。するとそれに引き寄せられるかのように、ジェダイト、ネフライトが姿を見せ、クンツァイトまでもが「これは何の集会だ?」と登場する。四天王の言い争いを耳にした衛の脳裏に、前世でもまったく同じように、かれら四人の忠実なしもべたちが言い争っていた光景がよみがえり、思わず「止めろ!」と叫ぶ。すると初めてマスター・エンディミオンの姿を、一瞬だけ垣間見せる。

こういったやりとりを経て、ジェダイトはようやく、自分の前世をおぼろげながら自覚するが、それでもAct.33で、いまの自分の主人はベリル様以外にはありえない、とゾイサイトに決意宣言し、これが最終回への伏線となる。一方でクンツァイトは、あらためてマスターへの復讐を誓い、Act.35で、ベリルのエンディミオンへの恋心を利用して、二人とも破滅に導いてやろうというたくらみを打ち明け、かつての朋友ゾイサイトと対立する。唯一、アホのネフライトは、いまいち全体の状況が呑み込めないまま、Act.36でベリルに見殺しにされ、転生してクラウンでバイトを始める。いやネフ吉はアレとしても、エンディミオンと四天王のドラマは、このこのピアノ部屋を中心に展開していくのである。
だからAct.45で、死に逝くゾイサイトの「別れの曲」を耳にしたジェダイトが、主を失ったこの部屋にふらりとやってきて鍵盤を叩くシーンは余韻に満ちている。そこにマスターも姿を見せるが、すでに彼の体内には、Act.42で他ならぬジェダイトによって「命を吸い込む石」が埋め込まれている。



ただ、身もフタもない言いかたをすると、Act.10までのピアノ部屋と、後半に出てくるゾイサイトのピアノ部屋は、明らかに違う場所で撮影されていますね。それから特殊効果の面でも、このAct.8に出てくる初期のピアノ部屋は、天井が岩盤になっていて、空間的にダーク・キングダムの洞窟とつながっている印象を与える工夫がされている。実際、Act.7で、クイン・ベリルに謁見した後のジェダイトとネフライトが、洞窟内で言い争いをしていると、そこにジェダイトの弾くピアノが響く、という描写があるから、ピアノの間とクイン・ベリル謁見の間は、けっこう近いのだと思う。
これに対して、後半のピアノ部屋は天井にシャンデリア(てほどの電灯でもないか)があったりして、ただの部屋だ。でもやはり、ゾイサイトが部屋でピアノを弾けば、ベリルの洞窟まで音がよく響くようなので(考えてみれば迷惑な話だよな。騒音公害である)そう遠くはないはずだ。

となると、これは前に書いたかも知れないが、階段が怪しい。Act.30で、クンツァイトとジェダイトが階段の前でちょっといざこざを起こす場面があるが、ここが洞窟とピアノの間をつなぐ通路なんじゃないですかね。ジェダイトはベリル様への謁見を終えて階段を降りてきて、クンツァイトは呼ばれて、上を睨みつけながら階段を上っていく感じなので、この階段の上に、洞窟へと通じる路があって、階段の下には四天王の宿舎とかゾイサイトのピアノレッスン室(防音装備まったくなし)がある。あとあれだ、Act.36以降、ダーク・キングダムに拉致された地場衛が滞在することになる「黒木ミオの部屋」も、この階段を降りた先のどこかにあるんじゃないか。
コメント欄でときおり触れているように、私、生まれ育った実家がロケ現場の近くだもんで、子供の頃はよくこのへんで遊んだりしたものです。そういう感覚で言うと、ベリル様のダーク・キングダムは吉見百穴の方にあるけど、このゾイサイトのピアノ部屋とか、黒木ミオの部屋とかは、隣にある「巌窟ホテル」内にしつらえてあるんじゃないかという印象が強くて、そういうことにしております。巌窟ホテルは、安全上の理由で、もう10年以上も前から封鎖されてしまっているようだけど、私が子供の頃はけっこう出入りが自由だった。


ダーク・キングダムに関しては、あとAct.28で、クンツァイトがチェス・ゲームよろしく亜美とうさぎを追い詰める迷宮の森がどこにあるのか、とか、まだ幾つか問題があるような気もするけど、疲れてきたから(最近いつもこれだよ)今回はこのへんで。続くベリルのシーンだけさっと振り返っておこうか。


   クイン・ベリルの前に歩み寄るネフライト。
ベリル「ほぅ、ジェダイトがセーラー戦士を……」
ネフライト「はい。エナジー集めも失敗続きのくせに大きな口を……。そろそろ見限られてはいかがかと」
ベリル「ネフライト、わらわに愛されたいと懸命な者の方が、口ばかり動かす者より可愛いと思わぬか?」
ネフライト「! お、仰せの通り、かと……」
   ネフライトが悔しそうに一礼する。
ネフライト「ジェダイトめ……」
   微笑でネフライトを見詰めるベリル。

Act.36でベリル様に見捨てられて命を捨てるネフライト。今風に言えば、ここですでに死亡フラグが立っている、という感じのシーンです。

3. 伏線の賞味期限



それで最近、ちょっと思ったことがある。いま書いたとおり、ここでベリルは、早くもAct.36のネフライトに対する仕打ちを予告するような態度をとっている。それに、そもそもAct.8というエピソード全体が、レイとパパとの確執を描くAct.33とAct.34の伏線と言える回になっている。
Act.8のオンエアは2003年11月22日。一方、Act.33が2004年5月29日で、Act.34が2004年6月5日、そしてネフライトがベリルに捨てられるAct.36は2004年6月19日に放送された。伏線がたたまれるまでに、およそ半年のブランクがあるわけで、そんなもん、メインの視聴者であるべき子供たちはとっくに忘れているよ、もう完全に大きいお友達めあてだな。
というのが従来の小林靖子の脚本に対する評価でもあり批判点でもあったわけだが、私は最近ふっと「伏線を貼ってからたたむまでの、この半年というブランクは、ひょっとしてビデオリリースを意識したものかな」とも思ったわけだ。

2003年11月22日 Act.08放送
2004年04月23日 ビデオ第2巻リリース
2004年05月29日 Act.33放送
2004年06月05日 Act.34放送
2004年06月19日 Act.36放送

Act.8を最終話として収めた実写版セーラームーンのVHSビデオとDVDビデオの第2巻は、2004年4月23日に発売されている。私なんかは当時、少ない小遣いはたいてせっせと購入しては娘と観ていた。それで「ああ、最初の頃はこんなエピソードがあったなあ」なんて思っていた。



実写版セーラームーンの前は、娘が夢中だった『おジャ魔女どれみ』シリーズのビデオを、新しい巻がリリースされるたびにTSUTAYAでレンタルして観ていたな。実写版のあとは、『ウルトラマンマックス』とかを、やはりそうやって息子と観ていた。
と考えてみると、つまり「新作ビデオのリリースと再視聴」という要素を加味して考えた場合「伏線を貼って、およそ半年後にそれを回収」というタイムスケジュールは、意外とリーズナブルなものかも知れない。あまり思い出せないんだけど、ひょっとすると私自身、そういうかたちで、ほんの2、3週間前にAct.8を観ていたからこそ、Act.33とAct.34のすんばらしい出来に深く感心できたのかも知れないのだ。
この件に関しては、数日前に思いついたばかりなのでよく分からない。何かご意見のある方はコメント欄にでもお知らせください。


ていうあたりで、こんなところで。「今回のキャプ画は野郎ばかりじゃないか」という心ない方々の非難を浴びそうなので、サービスに一枚つけておきます。



追補
今回、個人的にお会いしたこともあって、ひろみんみんむしさんのブログの、渋江譲二主演映画『ふるさとがえり』舞台挨拶レポが面白いです(いまのところいちばん新しい記事はここ)。
彼女が名古屋駅のJR高島屋でおみやげものを買うのにお付き合いしたんですが、宅配便で地方発送の手続きをしたとき、お店の方に「あの、岩手県はいま震災の影響で配送できません」と断られてしまいました。「そうか。当然ですよね」とかつぶやいておられたのが、とてもひろみんみんむしさんらしかったです。
渋江君や、地元の制作団体のスタッフの方の反応も同様で「えっわざわざ岩手から駆けつけてくださったんですか」と、申し訳ないやら嬉しいやらで感激している一方、そのホワンとした雰囲気に「でもこの人、あまり被災地から来られたという感じがしないなあ」と戸惑っていて、本人はそんなことをあまり意識しておられない。そのへんが、私のお会いした印象と重なるんです。渋江君は戸惑いのあまり、サインの日付に「2010年」と書いている(笑)。






おまけ

プチマッチョな北川さん(ここの記述参照)