実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第314回】これが実写版Act.1 撮影台本だ!の巻

 

 

浜岡原発。一説によれば活断層が直下にあって、ご覧の通り海に近くて、なんか津波にも弱そう。
「原子力発電をやめたら生活に支障をきたす」という意見もあれば「いやそれなりに節電すればなんとかなる。計画停電なんていうのは、政府と東電の示威行為だ」という説もある。私にはどちらが正しいか分からない。こういうのは実際にやってみるのが一番なんじゃないか(原始的発想)。
 だからこれは好機だと思う。今年1年、わたしたち中部エリアの人間は、浜岡を停止して、本当になんとかやりくり出来るのか試してみようじゃないの。日本の将来を占う実験台だ。
それで夏にどうしようもなくなって、計画停電なんてハメになっても、それはそれでひとつの結果である。この春わたしたちは、たいした被災もしなかったわけだし、そのくらい辛抱しようよ。

 

  

 

さて前回に書いたような事情により、今回は実写版Act.1の撮影台本を、一切省略なしでご紹介します。ひろみんみんむしさんが、お手持ちのものをコピーして届けてくださいました。これ、実は、なるちゃんのセリフの部分だけマーカーでラインが入っていて「ひょっとして、千恵子さんが使っていたものかも」という興味深い一品でございます。
物語そのものに大きな変更点はなく、台本だけの「幻のシーン」もほとんどない。そういう点よりも、むしろ人物の設定が興味を引く。つまり、まだ第1話だけあって、レギュラー・キャラクターについても、それを演ずる俳優の個性を念頭に置いては書かれていない。だから、なるちゃんや育子ママなど、河辺千恵子や森若香織を想像せずに、活字だけを追うと、映像ほどポップではない、オーソドックスな人物像が浮かび上がってくる。そのへんが個人的には面白かった。また、すでに第1話の段階で、沢井美優がどれほど台本に書かれたうさぎのキャラクターをつかみきっているか、その才能のほども、活字との比較によって知ることが出来ると思う。

なお、名古屋支部が過去に公表した実写版台本はAct.8Act.48Final Actの3本。実写版研究のお供にご利用ください。というか、研究目的以外では利用しないでね。


『美少女戦士セーラームーン』Act.1  原作:武内直子/脚本:小林靖子

 

1. 街(夜)



   ――満月
   立ち並ぶ高級店や道は深夜のため無人だが、ショーウインドウは、夜間照明に輝いている。
   その中の一つに、ジュエリーショップがある。
   だが、ショーウインドウの中には、倒れた陳列スタンドのみで、宝石は一つもない。
   と、ダイヤが一つ、小さな音を立てて道に落ちる。
   その向こうを駆け抜けていく黒いマントの人影。
   タキシード仮面。
   無人の道をまっすぐに駆け抜けていく。

   しかし、ふと足を止めて正面を見据える。
   前方の時計塔の上に立つ人影がある。
   月をバックに立つセーラーVのシルエットである。
タキシード仮面「……」
セーラーV「……」
   一瞬後、タッとお互いに向かって飛ぶセーラーVとタキシード仮面。
   二人の影が交差する。
   タキシード仮面からこぼれる宝石に、月の光が反射する。
   光の中を舞うように走るセーラーVとタキシード仮面。

タイトル

 

 

2. 月野家・うさぎの部屋(朝)



   タイマー付きミニデッキから穏やかな美奈子の曲が流れている。
   部屋の中は女の子らしいインテリアで埋められ、美奈子のポスターが貼られている。
   流れ続けている曲。
   やがてモゾモゾと布団の中からデッキへ手が伸びる。
   それをベッドサイドに立って見下ろしている進悟。 
   手は途中で力尽きて落ちる。  
進 悟「うさぎ、ママが早く起きろってさ。遅刻すんぞ」
   布団の中からくぐもった声が聞こえる。


   進悟は黙って、机の上の時計を布団の中に入れる。
   間があり――
うさぎ「うそー!」
   布団を跳ね上げて飛び起きるうさぎ。
うさぎ「何で、こんな時間なのよー! 進悟、あんたデッキいじったでしょ!」
進 悟「リピートかかってんじゃん。何回聴いてんだよ」
うさぎ「えぇ⁈あーもー」
   制服をひっつかむと、部屋を飛び出していくうさぎ。
   転んだらしい騒々しい音が聞こえてくる。
進 悟「バカうさぎ」

3. 同・ダイニング



   弁当を詰めている育子。
   制服のボタンを止めつつうさぎが飛び込んでくる。
うさぎ「ママ、お弁当お弁当!」
育 子「どうして毎朝毎朝あなたはもー」
   うさぎはテーブルの上の物を適当に口に放り込む。
うさぎ「パパは?もう行ったの?」
育 子「あれの取材」
   育子が指さしたテレビ画面にはリポーターと、『セーラーV、宝石泥棒を阻止』という文字。
うさぎ「あ! また出たんだ、セーラーV。やっぱ正義の味方なのかなぁ」


育 子「さぁ。最初に正体を突き止めるのはどこか、新聞社で競争になってるんだって」
うさぎ「えー、正体わかんない所がカッコいいのに」
育 子「そう? 早く正体知りたいじゃない」
   しばし二人の手が止まってテレビに見入る。
   進悟が入ってきて、
進 悟「何やってんだよ」
うさぎ「やだ! 遅れるー!」
育 子「早く早く!」
   慌てた二人がぶつかったりして、進悟が大人っぽくため息で見る。

4. 道



   走って来るうさぎ。
   腕時計を見ながら懸命に走る。
   しかし、やはり息が上がって、スピードは鈍りがち。
   その時、突然上から落ちてきた何かがうさぎの頭に当たる。
うさぎ「きゃっ、何?」
   転がったまま動かないのはルナ。
うさぎ「ん?」
   周囲の建物を見上げるが、特に人影はない。
   首傾げつつも、ルナを拾って埃を払ってやる。
うさぎ「なんか……」
   じっとルナを見つめるうさぎ。


うさぎ「変わってる……」
   と、額の三日月に触れる。
   一瞬、青く光る三日月。
   が、うさぎは気づかず、腕時計を見る。
うさぎ「うわ、急がないと」
   ルナを塀の上に置いて再び走り出す。
   ルナが顔を上げる。
ル ナ「やっぱり間違いないわ。見つけた……」
   ルナの三日月が青く光っている。

5. 中学校・校門(本編未使用シーン)


   一人、必死に駆け込んでくるうさぎ。
   だが、チャイムが鳴り始める。
うさぎ「あ〜!」

6. 同・教室の中



   桜田にほっぺたを両側からムニムニこねられているうさぎ。
桜 田「月野さーん」
うさぎ「はい〜」
   ほっぺたを揉まれているのでモガモガしている。
桜 田「毎日30分前に来てる水野さんみたいな人もいるんですよ〜」
   既に教科書を開いている水野亜美がいる。
うさぎ「はい〜」
桜 田「それにくらべて今週は何と3回の遅刻! 先生がっかりでーす」
うさぎ「ごめんなさ〜い」


       ╳    ╳    ╳



   うさぎが一人残って机を拭いている。
うさぎ「はー、春菜ってば罰掃除までつける事ないのに」
   そこへ、ひょこっと顔を出すなる。
な る「う・さ・ぎ」
うさぎ「あれ、なるちゃん、まだ帰ってなかったの」
   なるは、持っていた雑巾を見せる。
な る「見捨てられるわけないでしょ」
うさぎ「うわぁ、やっぱなるちゃん最高だよ〜!」
な る「早く終わらせてさ、パーッと歌いに行こうよ。クラウンに愛野美奈子のアルバム曲入ったよ」
うさぎ「うそ、マジで!行くー!」
   うさぎが飛びはね――

7 カラオケボックス・クラウン・中

 

   いきなりうさぎが熱唱している。
   盛り上げているなる。
   飲み物を飲んだり、歌本広げたり、踊ったりしているうさぎ達。


       ╳    ╳    ╳



うさぎ「え、××センター?」
な る「うん、うちのママがね、明日からそこで新作ジュエリーの発表会するの」
うさぎ「そっか、なるちゃんのママ、ジュエリーデザイナーで有名だもんね』
な る「今日会場の準備してるんだけど、この後行かない? 結構すごいショーらしいよ」
うさぎ「行きたい! 行こ」
   即座に立ち上がるうさぎ。

8. 同・外(本編未使用シーン)


   出てきたうさぎとなるが歩き出す。
   すると、どこからともなく現れるルナ。
   うさぎ達の後を追う。

9. 展示会場・全景


  

 

10. 同・中



   ステージなどの建て込みは終わり、搬入が進んでいる。
   照明のセッティングに助手と共に立ち会っているのは大阪まゆみ。
なるの声「ママ!」
   まゆみが振り返ると、なるとうさぎが来ている。
まゆみ「なる! うさぎちゃんも、よく来たわね」
うさぎ「こんにちは」
な る「順調?」
まゆみ「当然。明日の成功は間違いなしよ。どう、この感じ」
   と会場を指し示す。
   まだ雑然としてはいるが、華やかな雰囲気はある。
な る「うん、なかなかいいんじゃない?」
うさぎ「すごい。何かパーティみたい」
   ステージ上でモデル達がリハーサルしている。
うさぎ「うわぁ。カッコいー。いいなぁ」
な る「見て見て、あのウエスト。ほっそー!」
   うさぎとなるがうっとりと見詰める。
  


       ╳    ╳    ╳


   うさぎ達の様子を離れたところから見ているルナがいる。
   が、「!」と顔を上げて別方向を見る。
   額の三日月が赤く光る。
  

 

11. 同・通路



   搬入途中の物が置いてある。
   その中のモデル達の衣装を見ているうさぎ。
   一着を体にあてて、姿見にポーズをとってみるが、
うさぎ「……」
   ため息をついて、服を元に戻そうとする。
   と、横合いから来た男とぶつかってしまう。
うさぎ「ごめんなさい!」
   男は地場衛である。
   衛はうさぎを睨んだだけで通り過ぎていく。


うさぎのM「感じワル」
   その時、携帯で話しながら通りかかる助手。
助 手「モデルが一人いなくて。そこら辺でさぼってると思うんで捜してきます」
   ふと振り返る衛。
   衣装を手にしていたうさぎが慌てて手を振る。
うさぎ「え、あ、私違います。モデルじゃないです」
   それを聞いてワザとうさぎの全身にサッと目を走らせる衛。
 衛 「誰もそう思わないから安心しろ」


   一瞬わからなかったうさぎがムカッとなる。
うさぎ「な……!」
   通路を出たラウンジでは、一人のモデルが「すいませーん」と駆けて来て助手と合流している。
   衛も通路を出て行く。
   その背中を睨んでいたうさぎは、髪を手でセットし、出来る限り格好いい歩き方で衛を追いかけると、わざとぶつかって追い抜いていく。
うさぎのM「何よ、ヤなヤツ!」
   衛は、そんなうさぎの後ろ姿をちょっと見るが、すぐに会場の方へ目をやる。
   飾られていく宝石。
 衛 「ここなら、見つかるかもな……。幻の銀水晶」

12. 同・中


ル ナ「何か……いる……」


       ╳    ╳    ╳


   物陰で妖魔の陰が蠢く。
  

 

13. 同・全景(夜)


  


 

14. 同・通路(夜)


  
   携帯で話しながら歩くまゆみ。
まゆみ「うん、今晩も徹夜。ごめんね」

15. なるの家・中(夜)


  
 電話しているなる。
な る「大丈夫。明日、何か差し入れしようか。何がいい?」

16. 展示会場・通路(夜)


まゆみ「ほんと? じゃあ、なるお得意のカツサンドがいいな」
な る「了解しました」
まゆみ「ありがと。じゃね。おやすみ」

  
   笑顔で携帯を切ったまゆみが、きびすを返す。
   が、その目の前にいるのは妖魔。
まゆみ「!」


       ╳    ╳    ╳


   助手が駆け寄る。
助 手「先生、ここでしたか」
   振り返ったまゆみは無表情。

17. 月野家・全景(夜)


  
うさぎの声「おやすみなさーい」

18. 同・うさぎの部屋の中(夜)



   パジャマのうさぎが入ってくると、欠伸しつつベッドへ潜り込む。
   だが、何かに気づいてガバッと起きあがる。
   枕元に、ルナがいるのだ。
うさぎ「これって、朝の……。何で――」
ル ナ「うさぎちゃん」
うさぎ「え?」
ル ナ「うさぎちゃん」
うさぎ「ぎゃー!」
   悲鳴を上げて部屋を飛び出そうとするが、ルナはその前に素早く回り込む。


ル ナ「驚かないで。私の名前はルナ、あなたを探してたの」
うさぎ「⁈」
育子の声「うさぎ?どうかした?」
ル ナ「お願い、話を聞いて」
   見詰めるルナの瞳に、何とか落ち着くうさぎ。
うさぎ「(外へ)ううん、何でもない」
    言いながらもうさぎは、後じさってベッドにストンと座り込む。
ル ナ「うさぎちゃん。今地球で大きな悪が動き出してるの」
うさぎ「は……?」


ル ナ「その悪と戦う事が出来るのは、プリンセスと四人の戦士だけ。あなたは、その戦士の一人なのよ」
うさぎ「え……?……戦士?」
   驚愕でルナを見詰めるうさぎ。
   だが、急に現実逃避する。
うさぎ「そっか、夢だ。ありえないから、これ」
   うさぎは布団をひっかぶってしまう。
ル ナ「うさぎちゃん! お願い、一緒に戦って」
うさぎ「夢だ、夢」
ル ナ「地球がどうなってもいいの」
うさぎ「ひつじが一匹、ひつじが二匹……」


   ルナはムーッとして布団を見詰める。
ル ナ「私だって……、ホントはあなたみたいに普通すぎる子が戦士なんて信じられないわよ」
   ひつじを数える声が止まる。
ル ナ「でも額の三日月はあなただて言ってる」
   ルナは携帯アイテムを枕元に置く。
ル ナ「信じる気持ちになったら連絡して。それと、あの展示会場には近づかない方がいいわ。危険よ」
   ルナが窓を抜けて出ていく。
   残された携帯アイテム。
うさぎ「……」


 

 

19. 展示会場・全景(翌朝)


 

 

20. 同・控え室



   ドアが開き、入ってきたまゆみが部屋の中を見て、
まゆみ「ここは関係者以外立ち入り禁止よ……」
   だが、きょとんと見返したのはなる。
な る「ママ、何言ってんの?」
   まゆみに一瞬間があり、
まゆみ「ああ……。ちょっと見間違えたわ」
   なるが不審そうにまゆを見る。
まゆみ「何か用?」
な る「え? だって、これ――」


   なるが持っている弁当の入った紙袋
まゆみ「何?」
な る「覚えてないの? 昨日、持って来るって言ったじゃん」
まゆみ「ああ……そうだったわね」
   まゆみを見つめたなるが、少し後じさる。
な る「中身言ってみて……。ママがリクエストしたんだよ」
まゆみ「……」
   二人が見つめ合う。

21. 月野家・うさぎの部屋


  
   寝ぼけ眼ながらガバッと起き上がるうさぎ。
うさぎ「ん? 今日って……土曜……」
   途端に元気よくベッドから飛び降りる。
うさぎ「やった、お休み〜! ママー! ショッピング行こショッピング」
   と、バタバタと逃げだしていく。
   机に残されている携帯アイテム。

22. 展示会場・控え室



   ジリジリとまゆみから後じさるなる。
な る「言ってよ……。昨日ママがリクエストしたもの」
まゆみ「いいから早く渡しなさい。ママ、忙しいのよ」
   まゆみが弁当を無造作につかもうとするが、なるが避ける。
な る「……違う……ママじゃない……」
まゆみ「……」
な る「……誰?」
まゆみ「ママよ……」
   両手を広げて迫るまゆみを、なるが突き飛ばす。
な る「いや!」
   なるが控え室から走り出す。

23. 同・通路


  
   控え室から飛び出したなるが走る。
   ゆっくりと後を追うまゆみ。

24. 同・外(本編未使用シーン)


   走って来るルナ。
ル ナ「やっぱり、いる……!」

25. 同・通路



   逃げるなる。
   追うまゆみ。
な る「助けて……!」
   なるが角を曲がったその時、向こうから来た助手にぶつかる。
な る「あ、助けて! ママが変なの、ママが――」
   しかし次の瞬間、助手の姿はジェダイトに変わる。
な る「!」
   なるを気絶させるジェダイト。
   後ろから来るまゆみ。
   まゆみが妖魔の姿になる。
ジェダイト「そろそろショーが始まる。女達が美しい宝石に目を眩ませた瞬間のエナジー、思い切り吸い取ってやれ。我らがクイン・ベリル様のために」
   ぐったりしているなるを抱えて、奥へ消えるジェダイトと妖魔。


       ╳    ╳    ╳



   物陰から見ていたルナ。
ル ナ「大変……! 何とかしないと……!」
   その時、上からポカリと靴が落ちてくる。
ル ナ「イタ!」
   と見上げた上方の窓に、忍び込んだうさぎがぶら下がっている。
ル ナ「うさぎちゃん⁈」
うさぎ「な、なる……ちゃん……、今、行く――」
   耐えきれずついに落下するうさぎ。
うさぎ「きゃぁ!」


ル ナ「!」
   避ける間もなくルナが下敷きに。
うさぎ「いったぁ……」
ル ナ「う、うさぎちゃん、何してるの!」
うさぎ「チケット持ってないから入れてくれなくて、それで……」
ル ナ「とにかく、どいて」
うさぎ「あ、ごめん」
   うさぎが立ち上がる。
ル ナ「どうしてここに? 危ないって言ったでしょ」


うさぎ「だって……」
   必死の表情になるうさぎ。
うさぎ「だって、何かわかんないけど、なるちゃんが危ないってわかったんだもん! 何でかわかんないけど……、早くなるちゃん助けないと……!」
ル ナ「うさぎちゃん、わかるのはあなたが戦士だからよ」
うさぎ「え……」
ル ナ「それにしても……」
   ルナが上の窓を見る。
ル ナ「あなたが戦士である理由がちょっとわかった気がする」
うさぎ「え?」
ル ナ「うさぎちゃん、一緒になるちゃんを助けましょ!」
   ルナが取り出す変身アイテム。

 

26. 同・外



   窓からモデル達の姿が見える。
   覗いているうさぎとルナ。
ル ナ「携帯アイテムでモデルを映してみて」
うさぎ「? うん」
   うさぎが携帯アイテムで写真を撮ると、途端にモデルに変身するうさぎ(以下Mうさぎ)
Mうさぎ「え!何これ!」
ル ナ「映したものに変身できるの。これで堂々と乗り込めるでしょ」
Mうさぎ「すごすぎ……」

27. 同・入り口


   警備員が立っている。
   そこへ颯爽と歩いてくるMうさぎ。
   胸にぶら下げたスタッフカードで難なく通過。
   にんまりのMうさぎ。

 

28. 同・中



   派手な音楽と共にショーが開始される。
   様々な宝石を身につけてステージを歩くモデル達。
   観客達はうっとりと、時に歓声を上げて見詰めている。
   舞台袖から見ているまゆみ。
まゆみ「そうよ……。もっと夢中になって……もっと……」
   音楽と照明がさらに派手になる。
   モデル達がステージ上に勢揃いする。
   拍手が高まる。
   その瞬間、真由美が突き出した両手から激しいスモークが噴き出す。


   スモークに襲われる会場。
   モデルも客も、全員が倒れる。
   舞台袖から出てきたまゆみが、会場を見回して笑みを浮かべる。
まゆみ「エナジーを……いただくわ……」
   だがその時、スモークの向こうに立つのはうさぎとルナ。
うさぎ「待ちなさい!」
まゆみ「お前達……なぜ平気でいられる……」
うさぎ「それはね! それは――(ルナに)何で?」
ル ナ「戦士だから」


うさぎ「そっか。それは私が戦士だからよ!」
まゆみ「戦士……」
   妖魔が正体をあらわす。
うさぎ「やだ! 何あれ!」
ル ナ「妖魔よ!」
   襲いかかってくる妖魔。
うさぎ「きゃー!」
ル ナ「うさぎちゃん、今よ」
うさぎ「う、うん」


   うさぎが変身アイテムを取り出す。
うさぎ「ムーンプリズムパワー、メイクアップ!」
   うさぎからうさぎへ、そしてセーラームーンへ。
   照明が輝く中に立つセーラームーン。
セーラームーン「愛と正義の戦士セーラー服美少女戦士、セーラームーン! 月にかわっておしおきよ!」
   たじろぐ妖魔。
   物陰から見詰めるジェダイトが驚愕する。
ジェダイト「セーラームーン……? 何者だ?」
   セーラームーンも、自分の姿にちょっと驚いている。


セーラームーンのM「何か、これってすごくない⁈」
ル ナ「セーラームーン! 来るわよ!」
   妖魔が唸りを上げて襲いかかってくる。
セーラームーン「きゃあ!」
   かろうじて避けるセーラームーン。
   だが攻撃は次々と襲ってくる。
セーラームーン「やだやだやだやだやだ! 怖いー!」
ル ナ「大丈夫、落ち着いて! 戦い方はわかってるはずよ! あなたは選ばれた戦士なんだから!」
   セーラームーンのティアラが輝く。


セーラームーン「あ……」
   妖魔の攻撃を、今度は華麗に避けていくセーラームーン。きらめくライトやミラーボールが、その姿を映し出す。
   そして最後にピンスポが当たった時には、必殺技のポーズを決めているセーラームーン。
   現れるムーンライトスティック。
セーラームーン「ムーンヒーリングエスカレーション!」
   必殺技が決まる。
   きらめく蒸気となって消える妖魔。
   まゆみが元に戻って、気絶したまま倒れる。
セーラームーン「やった!」


   だがその時、セーラームーンの背後からジェダイトが氷のナイフを放つ。
   セーラームーンの背中に突き立つかと見えたその瞬間、セーラームーンを抱えて転がるタキシード仮面。
セーラームーン「きゃ!」
ル ナ「セーラームーン!」
   床に刺さるナイフ。
   舌打ちしたジェダイトが消える。
   床に刺さったナイフを見、そして自分を抱きかかえているタキシード仮面を見るセーラームーン。
セーラームーン「あ、あの」


   タキシード仮面が立ち上がる。
タキシード仮面「目当ての物は見つからなかったが、面白いものがみられたな」
セーラームーン「助けてくれてありがとう。あの、あなたは……」
タキシード仮面「タキシード仮面」
   言い残して立ち去るタキシード仮面
セーラームーン「タキシード仮面……。変なの……。でも……」
   見詰めるセーラームーン
セーラームーン「何かカッコいい……」

29. 同・控え室


  
  なるが目を覚ます。
な る「あれ? 夢かな……」

30. ダーク・キングダム・中


  
  クイン・ベリルが見詰める水晶。
ベリル「誰だ……我が行く手を邪魔だてするものは……。許さぬ……!」
   カッと水晶に爪を立てるベリル。

31. 同・屋上


  
   ルナとセーラームーンが立っている。
セーラームーン「私が、セーラームーン……」
ル ナ「そうよ、プリンセスを守る戦士の一人。戦いが始まるわ。これから」
セーラームーン「……」


       ╳    ╳    ╳


   イメージ。
   タキシード仮面、セーラーV、ジェダイト。
   他の戦士たちのシルエット。
  


       ╳    ╳    ╳


  
セーラームーン「何か、ワクワクなのか、不安なのかわかんないけど……、心臓がドキドキしてる……」
   セーラームーンの頭上に真昼の月が白く浮かんでいる――。



つづく。






大人になった渋江君