実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第288回】DVD第2巻:Act. 7の巻(その18)


遊郭でプリンセスをみつけたクンツァイト


たぶん沢井党の皆さんにとっては、この間の『眠れる森の美女』が、年末活動のスタートで、あと映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、笹塚ファクトリーでの劇団アンドエンドレス『ゆめゆめこのじ』再演というふうに、2010年が締めくくられるのでしょうね。
もともと初演から人気の高かったアンドレの演目の再演、加えて今年は歴史ブームというか幕末ブームみたいなものもあって、『ゆめゆめこのじ』は初日から大盛況らしいですね。沢井さんはやはり遊郭の女たちのひとりなんですかね。
でも私は名古屋を動かず、年内は映画館にも行かないと思う。
なんて、もう言い訳しようもなくて開き直って、本日は久しぶりにAct.7のDVDレビューに戻る。あまり時間もないので短めに、サックリ行きます。

1. 美優&美優(みゆうみゅう)がもたらしたもの


どこまで行ったんだっけ。鏡の部屋で変身するところだね。

偶然、その現場を目撃し「まさか、あいつが……」と呆然とする地場衛に気づかないまま、その場を立ち去るセーラームーン。
ここで脱線して、戦士5人の変身シーンをアニメ版と比較していたんだっけな。
というわけで、舞台は所沢航空公園の屋外ステージへと移動し、クライマックスの戦闘シーンだ。
すでに見たようにAct.7は、冒頭の東京ドームでの戦闘場面で、すでに「アクションシーンの品質改善」という課題に対しては一定の成果をあげている。ただしそれは、運動神経抜群のスポーツ少女、沢井美優の単独戦だったからこそと思える面もあった。今度はコンビネーション戦である。
とはいえ安座間さんだって、アクターズスクールでダンスのレッスンも積んでいて身体能力はかなり高い。そういう安座間美優と沢井美優の組み合わせで、この所沢航空公園屋外ステージでの戦いは、過去のエピソードの戦闘シーンよりも頭ひとつ抜けたレベルに達した。こう言っちゃ何だが、北川さんが動けないという設定で戦闘に加わらなかったことが、結果的には功を奏したといえよう。実写版セーラームーンのアクション演出は、二人の美優によって新しい可能性を見つけたのである。大げさだが。

(レイのもとに駆け寄るセーラームーンとジュピター)
セーラームーン「レイちゃん!」
(あたりを見回すジュピター。そのマダムのような後頭部)
ジュピター(力なく倒れている人々の様子に)「ひどい……」
ルナ「セーラームーン、みんな命の力、エナジーを吸い取られているのよ」
(悲鳴が上がる。きっとにらみつけるセーラームーン)
(こういうときのセーラームーンの表情の格好良さったらない)
(犠牲者からエナジー吸収中の高井)
(エナジーでぱんぱんの亀)
レイ「あの、リュック……」
(高井の身体を捨てて姿をあらわす納豆)
(リュックを取って、なぜか舞台上に駆け上がる納豆)


おっ、ルナはまだCGで表現されているな。
レイが戦闘をリタイアするという展開は、けっこう斬新だった。私なんか最初のオンエアを見たときは、当然、後でレイも元気を取り戻してセーラーマーズに変身するんだろうな、と思い込んでいたものである。アニメ版とか、あるいはスーパー戦隊のフォーマットなら、そういうことになるはずだ。
でもこのAct.7で、実写版は必ずしも毎回、全戦士が出てくるわけでもなければ、出てきたからといって変身するとも限らない、という事実を知らされたわけである。そういう意味で実写版セーラームーンは、スーパー戦隊よりも平成仮面ライダーシリーズに近いとも言える。でも平成ライダー以上に自由で実験的だった印象がある。実際、このAct.7以降も、主役のセーラームーンは、いちおう毎回変身するが、次のAct.8ではわりとあっさり倒されちゃって、実質的にはマーズとジュピターがジェダイトを倒す。Act.9ではマーキュリーとジュピターがバトル担当で、セーラームーンは変身してタキシード仮面と逃げるだけ。ようやくAct.10で再び活躍、でもAct.11ではゾイサイトに催眠術をかけられて戦士同士の内ゲバ……というふうに、このAct.7から先、あまり決まった戦闘シーンのパターンというものが見いだせなくなっていく。そういう展開の先駆けとして、このAct.7ではレイがぐったりしたままで、最後まで変身しない。
Act.6でようやくヴィーナス以外の基本4戦士が揃ったんだから、ここでとりあえず一度くらい「全員で名乗りを上げてバトル、仕上げはセーラームーンのヒーリング」みたいな王道パターンを見せてくれてもいいのに、それをしないのだから脚本家もけっこうへそ曲がりだと思う。でも最初の放送を見ていた我々はそのせいで「なんだかこれは非常に新しいセーラームーンを作ろうとしているぞ」とわくわく期待したりもしたのだ。
しかし挙げ句のはてに火野レイは、Special Actでも変身しなかった。これはハッキリ言っていただけなかった。

2. いつものように心の眼で見て下さい。


納豆妖魔(もしくは藁妖魔)を追って回転しながら舞台に上がるジュピター。セーラームーンはその肩を借りてジャンプ、二人で納豆を挟み込む態勢を取って同時攻撃という流れるような展開。

セーラームーン「みんなのエナジー返して!」
(ハイキック時、足の太さが変わるジュピター)

まだ初期のくるくるひらひら的要素が強いが、後期のアクションシーンのハードな要素もちらほら入ってきて、妙なアンバランスさがこのエピソードのアクションの特色である。

ただこうやってキャプチャ画像を並べてその魅力を検証しようと思うと、その、いわゆる「パ●チラ画像」が増えてしまうので、妙な方面にリンクを貼られてアクセスが増える。ちょっと考えものである。まあ、そういう危うさも含めて、試行錯誤している感じが好きです。
しかし私はわからないのだが、「パ●チラ」だか「レオチラ」だか知らないけどさ、セーラームーンなんて、たとえばフィギュアスケートのアサダマオさんなんかに較べれば、表現としては、ぜんぜんおとなしいよね。フィギュアなんて、名古屋じゃもの凄く盛んで、うちの家族がよくテレビをつけるんで私もたまに見るんだが、これがまあ、中高生ぐらいの子からもっと大人の女性まで、あきれるくらい誰も彼もが全開だぞ(何が?)。なのにそういうのは国民的レベルで容認されて、なぜセーラームーンばかり「パ●チラ」だとか「レオチラ」だとか、あれこれ言われるのかな、とは素朴に思いますよね。ていうか、そのうちあれだぞ、下手にアサダマオさん物語を漫画化しただけで、このポーズは未成年による「性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張する」ものだ、とか言われて逮捕されてしまうような時代が来るかも知れないな。東京都に関しては。
いや東京ばかりじゃない。橋本知事下の大阪府青少年問題協議会・青少年育成環境問題特別委員会も「水着や下着での過激なポーズ写真」は「子どもの性的虐待の記録にあたる」と定義しているから、こんな画像をのっけているうちもアブナイよな。私も、もう二度とフィギュアスケートの写真は載せません。
しかしその手の、いわゆる「児童ポルノ法」問題のあれこれに関しては、だいぶ前に書いただけで、その後は大して勉強もしていませんので、これ以上は議論しないでおきます。
でも、しつこくつけ加えると、東京都の11月の改正案では「近親者間における性交を、不当に賛美し又は誇張するように、描写」している作品はアウトだから、『僕は妹に恋をする』は都内ではやばい。ただし「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く)」と規定されているので、禁書となるのは原作とOVA版だけで、マツジュンと榮倉奈々と平岡祐太と小松彩夏の実写映画(うちのレビューはここ)はOKということだね。いやセーラームーンだって、万が一原作やアニメがひっかかっても「(実写を除く)」という強力なひとことがあるので、実写版は安泰だ。違うかな。


閑話休題。このあと、ジュピターがシュープリームサンダーを放ち、同時、冒頭で代わり身の術に騙されたことを思い出したセーラームーンは、とっさの機転で反対方向にムーン・トワイライト・フラッシュを撃ち、みごとに敵をしとめる。

この場面に「正面に見える相手は、本当は背後にいる」という、さきほど「鏡の間」で得た教訓も活かされていることは、【第282回】の最後の方に書いたとおりだ。

ジュピター「おしおきだ!シュープリーム・サンダー」
セーラームーン「ムーン・トワイライト…(ハッと気づいて)…」
セーラームーン「フラーッシュ!」
セーラームーン「私だって学習するんだから」
ジュピター「やるね!うさぎ」

計測してみると、妖魔が高井の身体を捨てて姿を現してから、「やるね!」とセーラームーンとジュピターが腕をクロスするまでがジャスト1分。正味の戦闘時間は40秒弱なのである。これは短い。旗揚げした頃のパンクラスなみの秒殺である。
振り返って、このAct.7の冒頭もチェックしてみたが、深夜の東京ドームに「待ちなさい!」の声が響くオープニングから、セーラームーンの口惜しそうな「逃げられた」までが、ちょうど50秒程度。やはり印象以上にあっさりしている。
では他の特撮アクション作品と較べてどうか、と思って、録画が残っている最近のスーパー戦隊や仮面ライダーを何本かチェックしてみた。それで気づいたんですが、案外、バトルのパターンって固定化されてないですね。長かったり短かったり、でも短くても3分くらいはバトルがあるし、前回紹介した『仮面ライダーOOO』の東映東京撮影所の戦いなんか、8分ぐらい続いていた。
そういう意味では実写版セーラームーンって、東映特撮番組としては例外的なほど戦闘シーンの少ない作品だったんだなあと今にして思う。それは演出家たちに、小林靖子のドラマ性の高い台本をより活かせる時間的余裕を与えたんじゃないかと思うが、どうだろうか。


さて、戦いも終わり、妖魔の爆発と一緒にはじけ飛んだ亀を回収に行った二人だったが、そこに立ちはだかる怪しい影。

いったい何者!?な〜んてな。ていうあたりで、以下次回へ。しかし脚の長い安座間美優のポージングは、いちいち決まっている。




  

今週のイメージ】舞台の上で輝くプリンセス、見つめる二人の戦士