1. 帽子はいいね
木野まことと言えば「キャスケット」もしくは「ハンチング」なのに、今朝のズムサタのみゅうみゅうは、珍しくカンカン帽。画像は『M14の追憶』がアップしてくださるでしょう(大家さんのズムサタに対するモチベーションが下がりっぱなしなので、盛り上げるために店子はそれなりに努力しているのです)。
*注:と書いたものの、何かここまで来ると無理強いを謝りたくもなる。
それと比較していただくために、以前、帽子にうるさい黒猫亭さんからいろいろ教えて頂いて「ハンチング」問題を考察したときの木野まこと帽子画像を再アップします。
……って、黒猫亭さんのアレは、別にまだ終わったわけじゃないか(笑)。
2. いきなり迷走
まずはアバン・タイトル。前回の映像が流れる画面の隅に、三日月型に窓がくりぬかれて、そこにセーラームーン登場(引用画像は、何かと「ぱ●ちら」とかウルサイStreamKato仕様でおとどけします)。
セーラームーン「私たちの中学に転校してきたまこちゃんは、なんと、セーラージュピター。ついにセーラー戦士が4人、揃いました(拍手)」
(前回のラストから)ルナ「力をあわせて、プリンセスと幻の銀水晶を捜しましょう」
セーラームーン「ルナは、正義の味方セーラーVがプリンセスと思っているみたいだけど、そうだったらすごいけど、私としては、タキシード仮面の正体が知りたい気分だったりして……」
どうってことないと思われる方もいるだろう。しかし、だいぶ前に作成したアバンの一覧表(第43回)をごらんいただければ分かるように、「変身後」のセーラー戦士が、アバン・タイトルのナレーションを担当した例は、このAct.7しかない。貴重である。
で、セーラームーンはどこでしゃべっているのかな。よく分からないが、普通に考えればクラウンではないか。だとすると、これもかなりの貴重映像。
戦士たちがクラウンの部屋で変身した姿を見せた例はあっただろうか。放送当時の次回予告では、最後に主題歌CDとか絵本とかのプレゼントコーナーがあった(当然ながらDVDには未収録)。そういう時には、変身した姿だったことがあったかも知れないけど、どうだったかな。私がはっきり覚えているのは、「いっしょにおどろう! セーラームーン・スーパーダンスレッスン」(VHS)の最後で、うさぎ、まこと、ルナの3人が変身して「キラリ☆セーラードリーム」をワンコーラスだけ歌った場面だ。これは、小学館の学習雑誌(『幼稚園』『めばえ』『小学一年生』各誌)の2004年8月号についていた応募券で申し込むと、もれなく全員がもらえたサービスビデオだ。
ところで、上にもあげたAct.6のラストシーン、シーバンスの前で並ぶ四人の戦士のカットだが、【前々回】に「おまけ」として載せたら「北川、浜、沢井、安座間のキャラクターの違いが如実に現れておもしろい」という批評をいただきました。
そこで、ついでに言っておくと、やはりこの場面でも、最終的には北川景子がいちばん目立っている。この場面の後、さっきのアバンにも出てきたルナの「力をあわせて、プリンセスと幻の銀水晶を捜しましょう」というセリフになるんだけど、それを受けてルナを見おろす四人のカットに画面が切り替わると、なぜか北川景子のマーズだけがエラソーに腕組みしているのである。こういうところをこまごまとチェックしていれば、今日の北川景子のひとり勝ち的状況が予見できたかも知れない。出来なかったかも知れないが。
3. MAX MAX MAX
余談になるが、みなさんもうご存じの通り、北川さんはこのたび『月の恋人〜Moon Lovers〜』という、まるでセーラームーンのリメイクみたいなタイトルのドラマに出られる。私はこのドラマにはほとんど関心をもてない。『Mr.BRAIN』の綾瀬はるかさんと同様「キムタクのドラマが間違ってもコケたりしないよう、今いちばん旬の女優を入れて保険をかけておこう」的な起用の仕方が気に入らないのである。だからよく知らなかったのだが、なんと満島ひかりも出演するのだという。うわぁ。
聞いていた話では、篠原涼子、リン・ チーリン、北川景子の三人のうち、どれが本物のヒロインか(どの人がキムタクの本命か)っていう興味で引っ張る物語ということだった。だから、たぶん金メダルは篠原涼子、リンさんが海外からのご招待枠で銀メダル、北川さんはまだこれからがあるから銅メダルという扱いかな、というドラマ内ランキングを勝手に予想していたのだ。
ところがここに満島ひかりが投入されるとなると、下手をするとこの人が、ダークホース的に銅メダルをかっさらって、北川さんは上村愛子状態になる危険性も出てきた。いやまあ、人気が逆転するとかそういう事態まで想定しているわけではないが、何しろ満島ひかり(安座間美優とほぼ同期の叩き上げ)は芝居巧者だからなあ。
(これについては本文最後に追加記事を書いたので、最後にご参照いただきたいが、北川さんの場合、手前の沢井美優の芝居につられて思わず泣いた、という雰囲気だ。一方、満島ひかりさんのこのカットは、他の役者との絡みなしに、一人芝居でこのウルウルの表情が作れるのだ。この差がポイントです。)『ウルトラマンマックス』でエリーが泣いたのは、科学的には死んだはずのミズキ隊員が、カイトの愛の力(と人口呼吸)でよみがえったことを、オシログラフで確認したからだ。「人口呼吸」という言い訳があるとはいえ、ウルトラマン役の主人公とヒロインのキスシーンを正面から描いたウルトラマンシリーズはこれが唯一ではないか。そして、この二人が結婚して、幸せなじいさんばあさんになって暮らす姿をラストにもってきたウルトラマンシリーズもこれが唯一ではないか。私は『ティガ』以降のウルトラマンの中では『マックス』がいちばん好きなんだよね。
なのにミズキ隊員の長谷部瞳さんは、このたびブログで芸能界からの引退を表明されました。残念ですが、もともと生き馬の目を抜くようなこの世界にはちょっと水が合わない方だったかな、という気もしないではない。ありがとうミズキ隊員。おつかれさまでした。ちょうど25歳。これからが本当の人生。芸能界の経験や思い出も大切にして、新しい世界でがんばって、そんで幸せになってください。
【追補】すみません。ネット上に出回った「長谷部瞳、引退か?」の情報を鵜呑みにしていろいろ書いてしまいましたが、長谷部さんは所属事務所を離れるにあたり、ブログ上で一時休養宣言をされただけでした(その表現がちょっと引退ともとれるニュアンスだったために誤解が広まったようだ)。ブログも、2010年7月よりアメブロで再開されています(ここ)。不確定な情報に基づく記事で、長谷部さんおよび関係者の方々にご迷惑をおかけしたかも知れません。たいへんすみませんでした。
ただ、競争の激しい芸能界を、他人を押しのけてサバイバルしていくタイプの人ではないよな、という印象は私の本音です。またテレビや映画などで元気な姿を見せていただけそうなのは嬉しい話ですが、どうかご自身のペースを崩さず、いままでどおりの長谷部さんでいてください。
おいおい話がどこへ行くんだ。戻るぞ。
4. 差異と反復
アバンが終わるとクレジットであるが、今回はクレジットも画期的だ。これについても前に書いたよね(第86回)五人の戦士の変身前と変身後の役名が、主題歌バックの字幕にとひととおり出そろうのは、これがほとんど初めてのことなのである(Act.1では、まだレイもまことも出てこないが、ご祝儀的に全員のクレジットが出る)。ちょっと戦士ごとに整理しておこう。
ややこしいのが美奈子。Act.1では「愛野美奈子 セーラーV/ヴィーナス 小松彩夏」と出るが、ヴィーナスの出番は当分ない。ていうか、美奈子としての出番すらない。というわけでAct.2ではノンクレジットになるこの状態がAct.2からAct.6まで続く。ただしAct.3では、夜の街を「Vちゃん走り」で疾走するセーラーVと、それを追うルナ、というカットがちょっとだけある。そこでクレジットも「愛野美奈子 セーラーV 小松彩夏」となる。今回のAct.7は、この表記が使われて、うさぎ・亜美・レイ・まこと・美奈子の変身前と変身後の両方の役名が揃って表記される初めてのエピソードなんである。すばらしいですね。パチパチパチパチ(ひとりで拍手)。
その後は、Act.11までこれが続いた後、自分がヴィーナスでありプリンセスであることを明かすAct.12 で、表記はAct.1の時の「愛野美奈子 セーラーV/ヴィーナス 小松彩夏」になる。で、Act.13 からは「セーラーV」が消えて、「愛野美奈子 セーラーヴィーナス 小松彩夏」という最終形態に落ち着くのである。なんかしかし、こうして見ていくと、美奈子のテロップって、やたらとパターンが多いわりに、ただ「愛野美奈子 小松彩夏」というだけのシンプルな表記が無いことに気づかされる。これではまるで、セーラーVでもセーラーヴィーナスでもない、ただの「愛野美奈子」なんて、ドラマの中にまったく存在しなかったかのようである。そう考えると、Act.45で美奈子がアルテミスに放ったセリフは、やっぱり事実なのかな、とも思えて、ちょっと切ない。
アルテミス「何で君はそうガンコなんだ。ヴィーナスじゃなくて、愛野美奈子として話してくれ」
美 奈 子「愛野美奈子なんて、明日にでも消えちゃうような存在よ。でも、ヴィーナスは消えない」
タンクトップ姿の美奈子の胸元を見上げるアルテミス。そのしっぽがびんびんに立っているのがちょっと気になります。
アニメ版の場合、最初の2クールはうさぎ・亜美・レイの三戦士体制で行ったので、オープニングにも二人の映像は入れずに構成できたが、実写版の場合はなかなかそうもいかず、いろいろ考えたんでしょうね。と、いつもより短めですが、すみません本日は出かける用事があるのでこれまで。
M14さん、カンカン帽の安座間さんをよろしくお願いします。んじゃ。……って、こんなペースじゃまた一話に一年かけてしまうかも……。
【追記】
今回、満島ひかりと比較する意味で、Act.10の北川景子のうるうるカットを載せてみました。そしたらコメント欄で、M14さんから、この「もらい泣き」は台本で指定されていたのではなくて、北川景子が素で泣いてしまったものではないか、とのご指摘があった。
大家さんはあと、Act.27の「亜美ちゃんを取り戻そうよ」「そうね」という場面と、Act.28の「おかえり」のシーンの北川さんも、同様に素でウルウルしているのではないか、と推定している。このうちAct.27というのは、私にはパッと思い出せなかったが、これでしょうかね。それからAct.28というのは、たぶんあっちの世界から亜美を呼び戻すときの、このカットのことを言っていらっしゃるのだと思う。もしくは、戦い終わって「待ってたわ」という場面かな。ここもマーズの瞳はやはり潤んでいる。一方、「牛縄」こと「失はれた週末」主筆の黒猫亭さんからは、Act.22について同様のご指摘があった。で、そういう指摘もあったので、改めて「失はれた週末」Act.22レビューを読んでみたのだが、こんなふうに書かれている。
たとえば、今回のクライマックスでレイ・まこの流す涙、これが沢井の迫力溢れる芝居を受けてのマジ泣きであることは、一目視ればすぐわかるだろう。掛け合いの芝居において、これほど強力な肉体性を表現する芝居は、共演者にも良い影響を及ぼす。北川と安座間の芝居は、沢井の芝居に引きずられて本来の何倍もの力を発揮している。
オレが沢井を実写版における「座長」と奉る動機は、主役としてのカリスマに基づくこうした強力な牽引力によるものだ。主人公月野うさぎという人物の行動力が、これまでのドラマを強力に牽引してきたように、それを演じる沢井美優の演技が、素人揃いの主演陣の演技レベルを実際以上に底上げしている。
同じ指摘がAct.10のラストにもあてはまるのではないか。ここでも、北川景子の涙を誘っているのは、沢井美優の迫真の涙なのである。でもスズヤンはそっちより北川さんの方にピントを合わせちゃった。このあたりに、現在に至る「沢井美優問題」(何だそれは)の根幹があるような気もするが、それについては改めて考えよう。
ついでだが、さっきの引用箇所の直前で、黒猫亭さんは次のようにも書いている。
断っておくが、オレ個人は沢井美優のファンではない。現時点では北川景子演じるレイちゃんがいちばんのご贔屓ではあるが、四月からの小池里奈登板きっかけで、たとえ役柄がちびうさであっても、あっさりそっちに鞍替えする腹づもりだ。
このスタンスでずーっと今日まで来ているわけだ。なんか始末に負えないくらい毅然としていますね。
【さらに追記】
こっちよ!さんのご指摘により、Act.10のもらい泣きが素であることについて、北川景子本人の証言が確認された。DVD第3巻の特典映像、沢井×北川トーク&インタビュー「セーラームーンにおしおきよ」である。これを忘れていたのはちょっと恥ずかしいな。恥ずかしいので画像を上げておく。
沢井「がんばったぁ」
北川「がんばったよね、この時」
沢井「すいませんね」
北川「あたしもそれを見て泣いたから」
沢井「もらい泣きするよね。」
北川「うん」
沢井「みんなもらい泣きのほうが多いよね」
北川「そう、あたし演技でもなんでもない涙が出てるからね」
沢井「他人(ヒト)泣いてるとヤバイよね」
北川「うん、ほら見てご覧、(あたし)泣いてるから」
しかし北川さんは、このころから本編の宣伝とかメイキングとか、そういう機会には変なメイクをする習慣があったのだなあ。