実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第225回】DVD第2巻:Act. 6の巻(その14)

ちょうど次回更新日くらいまでの上演なので、宣伝しておこう。効果は薄いだろうけど。
   
   
(初日の会場より。関西支部よりお花が届いていたそうです。Photo by ちみっこさん)   


 TEAM NACS SOLO PROJECT「ライトフライト〜帰りたい奴ら〜」

脚本:戸次重幸
演出:福島三郎
出演:川原亜矢子・六角慎司・野中イサオ・蘭香レア・小松彩夏・福島カツシゲ・川井”J”竜輔/戸次重幸・加藤貴子


   
(『モップガール』第8話より六角慎司さんと北川景子さん。情報提供by StreamKatoさん)


 【東京公演】 サンシャイン劇場(2009年10月16日〜25日)
 【大阪公演】 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(2009年11月12日〜15日)
 【北海道公演】道新ホール(2009年11月19日〜23日)
  *チケット入手方法等については公式ページ
嗚呼、行きたいなぁ。(だったら来い、とStreamKatoさんに言われそうだ)




  

さて、先日のヤフーオークションに、港区立十番中学校の生徒手帳が出品された。商品なのか懸賞グッズなのか詳細は不明だが、アニメ版ブームの最中に出回ったものと思われる。「十番中学の沿革、十番中学校オアシス運動、校歌歌詞、服装規定」なんて、ちょっと見てみたい。
出品者も「非常にレアで入手困難な逸品」と自負していて、強気の最低価格12,800 円からスタートしたが、残念ながら誰も入札しないままに終わってしまった。入札者評価制限(初めての入札者や、過去にトラブルを起こした入札者はオークションに参加できない)がかけられているので、入札経験のない私にはハナから参加不可能なのだが、参加できたとしても、アニメの関連グッズに1万円以上というのは、ちょっとな、という感じだ。

1. すでに恒例「前回の訂正と補足」(もしくはコメント欄の整理)


まずは恒例化しつつある「前回の訂正」、今回は二点かな。第一は時間割問題の続きである。
発端は私が、2年1組の時間割に英語の時間がやたらと多い理由を推測して「レギュラーの先生役が英語で担任の桜田先生(大寶智子)しかいないので、桜田先生の出番が多くても不自然に思われないよう、スタッフが英語だけ多めに配したのではないか」と書いたことだ。そうしたら、こっちよ!教務主任(仮)が「たとえば私立の進学校などの場合、このくらい英語の時間を増やすことは、現実的にありうる。というか、この2年1組の時間割は、十番中学のロケに使用された目白学園中学校(現・目白研心中学校)のものを、まんま流用しただけなのではないか」と指摘された。
これは確かにその通りなので、私も教務主任(仮)のお考えを受け入れた。しかし私はこれをそのまま「つまり実写版の十番中学は、私立進学校なのだな」と理解したんですね。

一方、教務主任(仮)はそこまで意図していなかった。あくまで、美術スタッフ(小道具係)がなぜこういう時間割にしたのか、そういう現実的な事情を議論していただけで、そこから、十番中学は私立だ、という結論を引き出すつもりはなかったそうです。だいたい、CBCの公式HPではうさぎたちが「区立十番中学校2年生」と紹介されているから、ドラマのなかの十番中学は、あくまでも公立と考えた方が良いです。


で、これと絡んで第二の、まことの引っ越しをめぐる問題。まことは、実写版テレビシリーズ前の出来事である「Act. ZERO セーラーV誕生」の中で、不動産屋めぐりをしている。つまりこの時点で、すでに前の学校は退学しており、引っ越し先を探しているいるみたいだ。なのに十番中学に転校してきたのは、それから一ヶ月以上経ったAct.6の時だ。その間、学校にも通わずどうしていたんだろう、という話でした。
これについて万丈さんが「まことは、Act. ZEROの時点では、まだ転校先の学区内に不動産物件が見あたらなくて、前の学校に通っていただけではないか」と指摘された。
私も、その可能性を考えなかったわけじゃないです。でも、そんなに近場の学校への転校だったら、住居まで引っ越す必要はないし、たとえ引っ越すにせよ、まことの性格だったら、まず転校だけさっさと済ませておいて、それからアパート探しなどを始めるはずじゃないか、とも思った。つまりさっき書いたように、十番中学が私立だったら、学区は関係ないから「まだ学区内に住んでいないから登校できない」という理屈はありえないんですよね。私はそういう前提でいたんです。ところがこれが公立中学校ということになれば、自ずと結論も変わってくる。
公立学校は、住んでいる学区によって通う学校が決まるわけだが、最近は、公立まで人気と不人気の落差が激しくなっている。これは名古屋市の、うちの娘の学校もかかわっている実例だが、人気の公立中に通わせるために、書類上の現住所に細工をする保護者までいる。その学区内にある祖父母や親戚の家に住んでいることにしたり、あるいは、実際には住まないアパートやワンルームマンションを借りるのだ。対する学校側も、実際に学区内に住んでいるかどうか、事前に抜き打ち的に家庭訪問をして、調査する。

ともかくそういうわけで、十番中学が公立であるならば「まことは、引っ越し先がまだ決まっていないために、十番中学への転校が先送りされている」という事態はありうる話だ。
以上の考察を踏まえ「Act. ZERO」のまことは、(1)すでに前の学校でトラブルを起こして、転校することは決定していた、(2)ただし十番中の学区内に引っ越すまでは、転校は許されない状況であった、と見なしておく。当然、さっさと学校を移りたいので、アパートを探しているんだが、中学生の独り暮らしと告げると、どの不動産屋も渋る。だんだんイライラしてきて、――と考えれば、十番不動産からあっさり追い出されたことに腹を立てて、ついその辺にある消火栓を蹴飛ばす、という、クールでハードボイルドなまことらしからぬシーンも納得がいくというものだ。そして最後には「あちこちの不動産屋をわたり歩いて、やっと校区内の物件が1ヵ月後にみつかった」ということなのだろう。
さらに万丈さんは、こういうまことの遍歴が、最後の「そうか……あたし、そうだったんだ……ずっと行かなきゃいけない気がしてた。その理由が分かったよ。失恋したせいじゃない。仲間に会うためだったんだ」というセリフにつながる、ということも書かれているが、それについてはラストシーンになったら振り返ってみましょう。

2. 「やっぱり亜美には向いてなかったのね」


もうひとつ、StreamKatoさんが採録してくれた、Act.33の亜美とママの会話も引いておきたい。シチュエーションはご存じですよね。明和大学病院に勤める外科医、水野冴子のもとに警察から連絡が入る。一人娘の亜美が、昨夜遅く保護されたというのである。亜美はレイと共に、真夜中に現れた妖魔と戦うために外出していたところを、運悪くパトロール警官に出くわしてしまったのだ。
知らせを聞いて、さっそく亜美を勤務先の病院に呼びつける冴子。


冴子「ママね、塾にも電話してみたのよ。最近休みが多いって聞いてびっくりしちゃったわ」
亜美「それは…」
冴子「二人の間には秘密をつくらない。何でも話す。話せないときは伝言板に書く。それがルールだったわよね」
亜美「ごめんなさい…」
冴子「やっぱり、亜美には向いてなかったのね」
亜美「……」
冴子「…前から考えてたんだけど、転校した方がいいと思うの」
亜美「ええっ?!」
冴子「中学までは普通の学校もいいんじゃないかと思ったけど、やっぱり…いろいろ影響されちゃうものね」
亜美「えっ、違う!学校は全然関係なくて…」
冴子「じゃあ、なあに?」
亜美「それは…」
  (冴子にコールがかかる)
冴子「ごめん。…大丈夫。勉強に集中して。ね」

StreamKatoさんも言っているとおり、常識的に考えれば、ここで水野冴子が「中学までは普通の学校もいいんじゃないかと思ったけど」と言っている「普通の」とは「公立の」という意味だと思って、まず間違いないだろう。もっとも、他の可能性もなくはない。「普通の」というのは「日本の」という意味かも知れないし。

(A)冴子は、自分自身が私立で育ったので、最初は亜美も、幼稚園か小学校ぐらいから一貫教育の名門私立に入れようと考えていた。でも我が身を振り返って、あまり世間知らずなのも大人になって困るかな、と思って、中学までは普通の公立校に入れようとしていた。でも亜美が塾をさぼったり、夜、無断で外出をしたりし始めたので、やっぱり私立に転校させようと思った。
(B)冴子は、亜美の幼少時代から、娘がなみ外れた知性の持ち主であることに気づいていたので、英才児教育にも融通がきくアメリカあたりに移住して、飛び級でさっさと大学にでも入れようか、と思っていた。でも、そういうやり方でいびつな性格になってもよくないかな、と思い、中学までは普通に日本の学校で育てようと思っていた。が、やっぱり、一般人向けの学校教育は天才児には向いていないな、と思い、アメリカへの転校を決意した。

ま、しかしこれ以上のことはAct.33のレビューになったら考えてみる。何年後のことになるかは知らないが。
ともかくこの会話も、ドラマの中で十番中学校が、どういう学校として位置づけられているかを考えるうえでの、ひとつのポイントであろう。ピンクに統一された机、なるママや亜美ママの職業、一戸建てに住むうさぎ、なんて見ていると、私なんかちょっとハイソなお嬢様学校をイメージしてしまうんだが(じゃ、ひこえもんたちは何なんだ)わりと「普通の学校」なのである。
じゃAct.6に戻る。前回書いたように、今週は土・日ともに忙しくて、あまり先に進めませんが。

3. 戦士となったこの家を、女となって出て行くの



「私に恋愛なんて似合わないって!」タケルに寄せるほのかな想いをうさぎに見破られていささか狼狽気味のまことは、怒ったようにそう言い切って歩き去る。少々過剰な反応ぶりに、うさぎが「…違うかなあ…」と小首をかしげている間にも、まことはずんずん去っていく。ロボットみたいなそのぎこちない歩き方が、照れ隠しっぽくて可愛いじゃん、というのはやっぱりヒイキ目かなあ。考え込んでいたうさぎも「あ、待って」と後を追う。そんな二人を見下ろす校庭の大樹。これって何の樹でしょうか。

この日、まことがそのまままっすぐ家に帰ってしまったのか、結局は追いついたうさぎのペースに巻き込まれて、また買い物の続きをすることになったのかは分からない。とにかく、少々の時を隔てて、日暮れ時の公園のバスケットコート。いつものにぎやかさとはまるで異なる静けさの中、夕焼けに紅く染まり、一人ゆっくりとドリブルを続けるタケルの姿だけが見える。ボールが地面を叩く音がパルスとなって、昨日術をかけた少女たちに招集の指令を送っているらしい。
一方、帰宅するまこと。エントランスからして、わりと立派なマンションである。『Act.ZERO』で、十番不動産のおじさんから「中学生の独り暮らしはムズカシイんだよ」と、にべもなく断られていたことを思えば、どうやってこんだけ立派な部屋を借りることができたのかな、とも思う。やっぱり、身元保証人に来てもらったのかな。
以前、まことの経済事情について仮説を立てたことがある(【第41回】の「4. まことはなぜ「領収書」と言ったのか?」)。まことの生活費および教育費は、両親の遺産とか、両親が事故死だとすればその保険金とか慰謝料とかから出ているのだろう。部屋のなかを見る限り、広くて優雅で、金銭的にはかなりまとまった額を遺されているはずだ。でもまだ中学2年のまことが、その全額を自由に扱えたはずがない。おそらく、親戚のオジサンとか弁護士とか、とにかくそういった誰かが、後見人として存在しているのだ。

でも、この「後見人」に当たる人がどんな方かは分からないが、とにかく金銭に非常に小うるさい人であるには違いない。何しろAct.26を観ると、まことはちょっとした距離のタクシー代を払う時、運転手に領収書を請求しているのである。これは、後で後見人の人に報告して、月々の仕送りにタクシー代を上乗せして貰うためではないかと思う。でもちゃんと領収書を取っておかないと、あとで経費として認められないのだ(推定)。
本当はアパート探しだって、最初からこの後見人の名前を出しておけば、もっとすんなり行っていた話なのだ。でもまこと的には、そんな小うるさい、自分をしばる大人の力を借りたくはなかったんだね。それで初めのうちは、自分一人の名義で借りられそうな家を探した。でもあっちこっちで断られてしまう。それが『Act.ZERO』の頃のまことだ。結局まことは、仕方なしに後見人に助けを求めることで、ようやくなかなか高級感のある賃貸マンションに引っ越すことができた。……のではないだろうか。
ちなみに『Special Act』で、プリンセスクイーン・セレニティの指令を受けたまことが、「伝説の剣」を取りにルナと飛び出していく場面でも、エントランスのつくりはこのAct.6と同じだ。まことは4年後もここに住んでいる。セーラー戦士になると同時に入居したこの家を、古幡元基の妻となって出て行くのである。


う〜ん。今回も、もう少し進む予定だったのに、そこまでいかなかった。まあ仕方がない。日曜も色々ありますので、今回はこのへんで。なお、木野まことの部屋番号は202号室であった。


次回はDVDレビューはお休みで、スペシャル企画の予定。
ただし土曜日から名古屋ではじまるカルタゴ展を観に行けたら…の話ですが。