実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第219回】DVD第2巻:Act. 6の巻(その10)

1. マコトトマコ(「まこと」と「まこ」)


以前、実写版セーラームーンAct.41の木野まこと(安座間美優)と、現在放映中の『侍戦隊シンケンジャー』第13幕の白石茉子(高梨臨)が、同じカメの着ぐるみを着ていた話をしましたよね。万丈さんから教えてもらったネタだった。

そうしたらこんどはジャガイモである。実写版のAct.31では、戦士の力に目覚めるためには苦手なものを克服しなければならない、というルナの無茶な指導で、まことが苦手なじゃがいもを食べる特訓をしていた。「コロッケとかならいいんだけど、このままってなんかモソモソして、のどにつっかかる感じして」。
そうしたら、先日放映されたシンケンジャー第28幕でも、茉子が苦手な「粉ふきイモ」に挑んでいるのだ。いわく「一回、喉に詰まらせてから、どうしても……」。

セーラージュピターの「まこと」とシンケンピンクの「まこ」。いったい何の符合なのか?ジュピターは後半、戦士としての使命のために恋愛感情を捨てようと悩むとけど、ピンクもそうなるよ、という暗示だろうか。さしあたって殿様との関係が注目されるわけだが、小林先生だけに、かなりどろどろな展開になる可能性も考えられ、気になりますね。
ていうか、小林靖子先生はジャガイモが苦手なのだろうか?

2. モモコ13歳


さて、DVDAct.6レビューの続きだ。

火川神社で、うさぎにまことを紹介されるなり、霊感が働くレイ。

ル ナ「レイちゃん、感じた!?」
レ イ「もしかして、四人目の戦士…」
うさぎ「うそ、まこちゃんが!」

そんなレイも、根が「ドM」なので、バスケのイケメン男の前では、始末に負えない変な顔になる。「私ってばこんな変な顔なの。思いっきりさげすんで!」

いや違う。イケメンのバスケ少年に夢中で、顔が変になっちゃっているのは、レイではなくて、なるだ。

うさぎ「え〜っ、今日もバスケ見に行くの?」
な る「だってタケルさん見たいんだもん」

というお昼休みの会話どおり、なる、そして香奈美と桃子の三人は、またタケル君の活躍を見にバスケット・コートに来ている。アバン・タイトルではちょっと遠慮して遠まきに見守っていた彼女たちだが、いまはもう、他のグルーピーみたいな子たちと一緒に、コート脇まで寄っています。感激のあまり、なるちゃんなんか、もう顔面崩壊寸前。

画像をキャプチャして気づいたが、このあたり、戦士のバトルシーンなみにものすごく動きが激しい。いや、バスケをしている少年たちの動きも、もちろん激しいんだが、それよりも、このグルーピー状態の女の子たちがすごい。声援を送り、シュートが決まると歓声をあげ、とにかく大変な騒ぎようで、顔がブレていない瞬間をとらえるのが難しい。
もうちょっと細かいことを言うと、香奈美・なる・桃子の順に動きが激しい。これはたぶん、キャラクター設定とは特に関係ない現象ですね。つまり、香奈美は背が小さいから跳んだりはねたりのアクションが大きくなりがちになる。一方で桃子は、背が高いし、いちばん年下だから、どうしてもおとなしめになってしまうのだ(あくまで比較の問題で、普通の意味ではぜんぜんおとなしくないが)。
そうそう、桃子は実写版レギュラー中、最年少だから忘れないでね。以前つくったこちらの資料をご覧ください。うさぎのクラスメート、十番中学3年1組の生徒を演じている俳優たちの、放映当時における実年齢のリストである。

平井 愛子(阿倍香奈美) 1986年10月10日生まれ(17歳)
河辺千恵子(大阪 なる) 1987年 2月24日生まれ(16歳)
沢井 美優(月野うさぎ) 1987年10月23日生まれ(16歳)
有   紗(黒木 ミオ) 1988年 4月16日生まれ(15歳)
浜  千咲(水野 亜美) 1988年10月11日生まれ(15歳)
清浦 夏実(木村 桃子) 1990年 7月 4日生まれ(13歳)

桃子を演じた清浦夏実は当時13歳。かたや香奈美を演じた平井愛子は、背は低いけど17歳で最年長。我々40を越えた身には、ぼんやりとしか実感できない遠い昔の出来事だが、中学1年と高校2年というのは、当の本人たちの感覚から言えば、ものすごい年の差だよね。そういう意味で、香奈美やなると仲良しグループを演じてきた清浦夏実にも、それ相応の苦労はあったと思う。こういう、三人がはしゃいでいるシーンなんかも、よくよくチェックすると、桃子がいちばん子供っぽいと同時に、センパイがたにそれなりに気を遣って、芝居が遠慮がちになっていたりとか、13歳らしい姿が見えてきて楽しい。それがどうしたと言われても困るが。

3. Focus


さてしかし、ここでドラマが描こうとしているのはもちろん、桃子でも香奈美でも、なるでもない。カメラは、バスケットコートサイドでおおいにはしゃぐ彼女たちから、その背後の木陰に視点を移していって、ひとりそっと、タケルの姿を目で追っているまことを捉える。さっきは「あっ、あたし、そろそろ行かないと」なんて火川神社を去ったけど、ほんとうはタケルが見たくて、その足で直行したんだね。
画面手前は嬌声を上げる少女たち。奥手に、静かにタケルを見つめ続けるまこと。
こういう対比を描くときには、普通なら、そうですね、ワンカットで手前から背後にフォーカス移動するとか、ズームインするとか、そういう手法をつかいますよね。たとえばAct.36では、手前に熱いキスを交わす月のプリンセスと地球の王子、奥手には嫉妬に燃えながらそれを盗み見る、貧しい身なりのベリル、という光景が出てくる。場所は前世の月の練馬区の、光が丘下車徒歩8分のところにある「四季の香公園」だ。

鈴村展弘監督は、まずラブラブの二人を画面手前におおきく捉える。そして二人が顔を寄せ合うところで、奥のベリルにピントを合わせて、そのあとベリルのアップというカットにつなぐ。こういうのがまあ、常識的な演出だと思う。(前世のシーンでキスもあるから、画面全体にボカシというか紗がかかっていて、わかりにくいかも知れませんが、ちょっと他の例が思い浮かばなくてすみません。)
ところがAct.6の舞原監督は、ここでも、かつて黒猫亭さんが指摘されたような、「奥行き」への視線を重視した、ちょっとエキセントリックなカメラワークを見せる。
いやまあ、要するにズームインなんですよ。技術的なことは分からないが、技法としてはただのズームインなのだろう。しかし画面で観ているぶんには、普通のズームを越えたダイナミズムを感じる。カメラはまるで、手前ではしゃぐ三人娘の間を割って入るかのように、なると桃子の間をかき分け、ぐいぐい進んでいって、その先に、ぽつんと木陰に立ち、ひっそりとタケルを見つめ続けるまことの姿を発見するのである。
これ、キャプチャ画像だけでは、私の言いたいニュアンスがうまく伝わらないかも知れない。カメラ自身が先へ先へと突き進んでいくようなベクトル感覚が失われ、やっぱりただのズームインに見えちゃうんだよね。だからいちおう、以下に画像を出しておきますが、ビデオをお持ちの方はぜひここで実際の映像をご確認いただきたいと思っています。
   
   
   
   
   
まことは最初から、騒いでいるなるちゃんたちの後ろに小さく映し出されている。でも誰も気づかない。カメラだけが気づいて、一直線に彼女に近づく。この視点が、続く教室のシーンの、うさぎの視点につながっていく。うさぎは香奈美が撮影したタケルのスナップ写真をちらっと見て、地縛霊みたいに写り込んだまことの姿に気づく。誰も知らないまことの姿を、うさぎだけが発見するのだ。
ところで、このシーンを観ていて思い出すのは、まことの物語のフィナーレである。このAct.6では、カメラはぐんぐん奥へと前進して、画面上の人物が誰ひとり注目していなかったまことに近寄って行く。逆にSpecial Actのラストでは、カメラは全員の注目を浴びながら引いて引いて、最後にたどり着くのが、まことなのだ。
   
   
   
   
   
   
大はしゃぎのなるや香奈美や桃子。そんなにぎやかな輪からはずれ、後ろからそっと見守るまこと。Act.6でタケルを見つめていた時とほとんど変わらない構図である。でもそんな彼女に、今度はみんなの視線が集まってしまう。誰にも気づかれなかった少女が、やがてみんなの視線に囲まれて祝福を浴びる、実写版のまことの物語は、そういうふうにまとめることもできるんじゃないかと思う。

4. モモコ19歳



そういえば香奈美役の平井愛子は、この8月にようやく、半年ぶりくらいにブログを更新して、ちょっとアダルトな感じの写真をアップしている。記事はここだ。
まあアダルトと言ったって、さっきも紹介したように、彼女はもともとセーラームーンの時点で17歳。1986年の10月生まれだから、来月には23歳である。このくらいは年齢相応と言って良いだろう。
一方、さっきとりあげた木村桃子こと清浦夏実。前回のコメント欄に控えめに書いてみたら、だ〜れも食いついてくれなかったのでもう一度きちんと目立つように書く。「近日発売予定の清浦夏実の新曲のCDジャケット写真はすごく素敵だ」ブログによれば本人も満足だそうだ。大人っぽくなったね。でもまだ19歳か。

   

清浦夏実ニューシングル「悲しいほど青く/虹色ポケット」
 (テレビ東京系アニメ『ささめきこと』OP&EDテーマ)
   2009年10月21日発売予定/VTCL-35076/税込1,260円
【収録曲】
  1.すぐそこにみえるもの(作詞:西直紀/作曲・編曲:窪田ミナ)
  2.悲しいほど青く(作詞:清浦夏実/作曲・編曲:窪田ミナ)
  3.虹色ポケット(作詞・作曲:佐々倉有吾/編曲:山本隆二)
  4.悲しいほど青(−without natsumi−)
  5. 虹色ポケット(−without natsumi−)
  6. すぐそこにみえるもの(−piano solo−)

清浦夏実はアニメの主題歌というかたちで、これまでシングルを3枚リリースしている。
アニメの主題歌っていうと、なんかこう、くっきりとメリハリのある歌声を連想する。だからセーラームーン関係で言えば、パンチの効いたボーカル・スタイルの神戸みゆきや黒木マリナや河辺千恵子、あるいは、つややかで良く伸びる歌声の弓原七海といった方々がアニソンを歌っている。
でも清浦夏実はそういうタイプではなくて、静かで穏やかな草食系ナチュラル・ボイスである。最初のシングル「風さがし」(2007年)は、1970年ごろのフォーク・ソングみたいなアコースティック・ナンバーだった。「1970年ごろのフォーク・ソング」なんてアイマイな表現をしたが、はっきり言えばベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」(1969年)とか、そういう感じです。透明感があって癒される声、だけどおとなしめで、ギターだけならともかく、伴奏に厚みが出てきたらどうだろうか、そんなにつぶしがきくかな、とも思ったんだよね私は。
しかしそれは私の不明であった。済まない。続く2作目「旅の途中/約束のうた」(2008年)は、小峰公子と吉良知彦の作品。つまりザバダックである。実際、エキゾチックな曲調、プログレッシブ・ロック風のスケールの大きなアレンジ、男性コーラスと、収録曲2曲ともザバダックの新曲みたいだ。当然ファンとしては(私がそうなんですけどね)いやでも上野洋子や小峰公子のボーカルと清浦夏実を頭の中で較べてしまうわけで、これは不利だなあ、と思っていたが、意外と彼女の声は決して力負けしていなかった。それを聴いて私、深く反省しました。この人はシンガーとして才能あります。まあ欲を言えば、大人の女性の魅力がもうちょっと欲しいところではあるが、まだ20歳前なんだからしょうがない。
そして3枚目の「僕らの合言葉」(2008年)。『ケロロ軍曹』のエンディングテーマということで知名度的にはいちばん高いかなと思う。これもナチュラルで自然体で(同義反復)、しかも元気の出る良い曲だなあ。しかも同時収録の「ネバーランド」は、清浦夏美自身の作詞作曲である。
というわけで、個人的にはいまイチオシのシンガーソングライター、なんていうと七海党に怒られそうだが、ぜひ実写版セーラームーンのよしみで、こちらも応援してあげてください。これまで出た3枚のシングルの内容については、私が保証しますから。私が保証しても何の役にも立たないが。
と、話題が本編から離れたので、今日はこのへんで。最後は「ほんもののM」の画像でシメよう。セーラーM。

いやホントに成長したな、キヨ。