実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第218回】DVD第2巻:Act. 6の巻(その9)


以前、銃刀法の改正で「刃渡り5.5センチ以上の両派の剣」が所持禁止になった話をしたが(第211回)、こんなポスターを街なかで見かけて思わず噴いた。別にパロディではなくて警察庁謹製である。

愛用のダイバーズ・ナイフの先端をちょん切ったパンツエッタ・バンジョルノさんは、ご覧になってどう思われただろうか。こういうのも爪切りでちゃんと切っておけよ、とか。

1. 吉祥寺をかける少女


まことの手を引っ張って、商店街を案内するうさぎ。二人はサンリオショップの巨大な金色のハローキティの前を駆け抜ける。運動神経女優、沢井美優ならではのスピード感。

引っ越したばかりで「買い物とかがまだ、ちょっと」ってことだったけど、必要なものが買えたんだかどうだか。
ま、ともかく、あちこちお店をまわった後は、どこかのお店で、クレープを食べながら一休みである。

うさぎ「引っ越してきたばかりで大変でしょう」
まこと「うん。独り暮らしだから」
うさぎ「うそ。まこちゃん独り暮らしなの?」
まこと「うん。両親が小さい頃から死んじゃってるからね」


『ブザー・ビート』の北川さん程度で「棒読みだ」とか騒ぐような奴に、このまことのセリフを聞かせてやりたいね。それにしてもお花がきれいです。どこのお店だろう。
ここでは両親の死因については触れられていない。が、原作をお読みの方は、まことが、空を飛ぶジェット機の轟音に異様におびえる、という話があったのをご記憶だろう(『なかよし』連載のメインストーリーの方ではなくて、『るんるん』に載った短編連作の「外伝」の方だったと思う)。まことには、幼いころ航空機事故で両親をなくしたトラウマがあるのだ。
この航空機事故とは、おそらく1985年夏のアレであろう、と私は思う。以前、原作と実写版の水野亜美の生年月日を検証して、原作の彼女は1978年生まれであろうと考えた(第151回)。これは他の戦士たちにもあてはまるはずだから、原作の木野まことは1978年12月5日生まれ。御巣鷹山の日航機墜落事故が起こった時、彼女は6歳だった。たぶんこの事故の犠牲者のなかに、彼女の両親はいる。まあしかし、この問題については深くは触れるまい。
さて、さきほどの考察にしたがえば、実写版の木野まことは、平成元年(1989年)12月5日生まれということになる。あ、ついでだから、セーラー戦士の生年月日をとりまとめて表にしておこうか。

戦 士原作の生年月日実写版の生年月日実写版のキャストアニメ版のキャスト
火野 レイ1978年04月17日1989年04月17日1986年08月22日(北川 景子)1961年10月20日(富沢美智恵)
月野うさぎ1978年06月30日1989年06月30日1987年10月23日(沢井 美優)1967年12月08日(三石 琴乃)
水野 亜美1978年09月10日1989年09月10日1988年10月11日(浜  千咲)1968年11月12日(久川  綾)
愛野美奈子1978年10月22日1989年10月22日1986年07月23日(小松 彩夏)1963年08月08日(深見 梨加)
木野まこと1978年12月05日1989年12月05日1986年12月26日(安座間美優)1963年08月08日(篠原 恵美)

  • 旧「浜千咲」の誕生日(11月10日)については、現「泉里香」の誕生日(10月11日)に合わせて補正した。この問題についてはあちこちで議論されたが、たとえば本ブログこの日のコメント欄などご参照ください。

で、なんだっけ。実写版のまことは「両親が小さい頃から死んじゃってるからね」とだけ言って、死因については特に触れていない。ふた親がそれぞれ別の原因で矢継ぎばやにこの世を去っていった、という可能性もなくはないが、この言い方からはやはり、事故か何かで両親をいっぺんに失ったような印象を受ける。私としては、実写版のまことは、もと兵庫県の出身ではなかったかと考えている。つまり、1989年12月05日生まれの彼女は、5歳になって間もない1995年1月に阪神・淡路大震災を経験し、家と家族を失った、と思うんだけど、これもまあ、これ以上深入りするような話題じゃない。
いずれにせよ私は、この時点では、まことの両親については、これから後のエピソードで、もう少し詳しい説明があるものとばかり思いこんでいた。逆に、亜美とママ、レイとパパの確執が、これほどしつこく後々まで尾を引くとは、予想してもいませんでした。

2. アニメ版のケンカもけっこう好きである



ま、とにかく、まことからたまたま両親のことを聞かされて、「そっか……」としばらく考え込んだうさぎに、また新しい思いつきが浮かぶ。

うさぎ「そうだ。もう一箇所案内するよ。困ったとき神だのみする場所!」

というわけで場面は火川神社。この展開は原作に準じている。初対面でまことの顔を見るなり、すぐさまレイの霊感がはたらき、目の前の少女が第4の戦士であることを無意識的に直感するのも、原作どおりだ。もっとも原作のレイは、火星の衛星の名をつけた二羽のカラス、フォボスとデイモスにレエサをやっている。実写版では、フォボスとデイモスはAct.3で空をぐるぐる回っていただけで、その後はまったく登場しなかった。
ついでに、前回もアニメのことに触れたので、アニメと比較しておくと、アニメは、放課後にうさぎがまことをゲームセンター「クラウン」に連れて行くと、そこに亜美とレイ、そしてルナがやってきて、とりあえず四人と一匹が一堂に会する、という、たいへん分かりやすい展開になっている。


亜 美「うさぎちゃん!ここにいたのね」
うさぎ「何?」
亜 美「うん。ルナがね、あの子のこと、気になるんだって」
うさぎ「あの子……まこちゃん?」
ル ナ「うん」
うさぎ「考えすぎよ、ルナは……ま〜こちゃん」
まこと「何?」
うさぎ「紹介するね。きょう十番中学に転校してきた木野まことちゃん。
まこと(立ち上がって)「よろしく!」

亜美とレイ(背の高さにびっくり)「よ、よろしく!」
うさぎ「んでね、こっちはかしこい亜美ちゃんと、そして意地悪なレイちゃん」
レ イ「だーれが意地悪だって」
うさぎ「レイちゃん」
レ イ「聞こえなかったわ。誰が?」
うさぎ「レイちゃん」
レ イ「あたしが何年何月何日何曜日何時何分何秒に意地悪をしたのよ!」
うさぎ「そういうところが意地悪なのよ!」
まこと「あんたたち、仲がいいね!」

アニメ版はすでに25話。もう火野レイは、原作の神秘的な美少女の面影もない。原作が月刊誌の連載なので、まことが登場する第5話は、連載開始後半年近く経っている。そのペースに合わせてアニメをやっているうちに、キャラクターがどんどん一人歩きして、まことが初登場するころには、もうこんなになってしまったのである。原作者はあまり気に入っていなかったと言うが、まあこれはこれでバカバカしくて楽しい。それにケンカするときはうさぎ並みのレベルだが、やっぱりお姉さんなのである。アニメ版第25話「恋する怪力少女 ジュピターちゃん」の放送は1992年9月5日。火野レイ役の富沢美智恵さん(1961年10月20日生まれ)はこの時、もうすぐ32歳になられるところであった。お声はじゅうぶんお若いとはいえ、当時25歳だった三石さんを初めとする他の戦士たちにくらべれば、お姉様だ。そういう要素はアニメのキャラクターにも反映されていた。
セーラーマーズ以外の、富沢さんのアニメの当たり役というと、もちろんクレヨンしんちゃんのまつざか先生だ。まつざか先生がしんちゃんを叱るとき、ほんの一瞬、レイがダブって、私はまつざか先生に萌えてしまうことがある。ちょっと困る。キャスト入れ替えとなったドラえもんでは、三石琴乃さんがのび太のママをやっているが、零点のテストを見て「のび太!」とママが叱るとき、一瞬だけうさぎの声になって、私はポーッとしてしまう。これも非常に困る。葛城ミサトのベッドシーン以上に困るね。

3. でもやっぱり実写版だな


話を戻します。火川神社ではレイがルナと話している。もうルナは、今後の方針とかセーラーVの正体を推理するとか、そういった頭脳労働の部分に関してはうさぎを見限っちゃって、亜美の頭脳と、レイの霊感を頼りにしているわけね。

ル ナ「そう、レイちゃんの占いでも、セーラーVの居場所は分からないのね」
レ イ(頷いて)「私も彼女には何か感じるものがあるんだけど」


ここのセリフ、再放送レビューの時にも書いたんだが、一度も会ったことがない相手に「感じるものがある」もへったくれもないと思うんだ。たとえばこの後、レイはまことと挨拶を交わしただけで、四人目の戦士ではないかと、ピンと来る。霊感というのは、そういうふうに、直接会った相手にはたらくものだと思うんだけどね。だからこの段階で、すでにレイはセーラーVと会ったことがあるのだろうと、私は推測している。
レイばかりではなくて、うさぎも、いままで描かれたエピソードのなかでは、セーラーVと対面していない。でも次回Act.7の冒頭でいきなりセーラーVを見ても、特に驚いた様子もなく、後を追って話をしている。あんまり初対面という感じではないんだよね。だから、このAct.6までのエピソードで語られた部分以外のところで、うさぎもレイも、あるいは亜美も、すでにセーラーVと出会っているのかな。とも思うんだけど、まあセーラーVのことは、もう少し後でまた考えよう。
そんなところへ、無邪気な笑顔のうさぎがやって来る。前回Act.5で「(友達が)増えればいいってもんじゃないわよ」と忠告され、しかもその忠告通り亜美ちゃんとの件で大失敗したばかりなのに、けろりとした顔で初対面のまことをレイに引き合わせようというんだから、バカかと思うが、案外「この二人なら意外と合うかも」という無意識の計算が働いているのかも知れないね。


うさぎ「レイちゃーん……あれ、ルナも来てたんだ」
レ イ「どうしたの」
うさぎ「ちょっと紹介」
  うさぎの手招きに駆け寄るまこと。「おっと」とレイの陰に隠れるルナ。
うさぎ「今度転校してきた、まこちゃん。すっごい男前なんだよ。まこちゃん、ここの巫女さんのレイちゃん」
まこと「よろしく」
レ イ「こちらこそ……」
まこと「なにか?」

レ イ「あ、ごめんなさい」
ル ナ「ハッ!」
まこと「あっ、あたし、そろそろ行かないと。今日はありがと」
うさぎ「うん。じゃあまたね」
  去っていくまこと。
ル ナ「レイちゃん、感じた!?」
レ イ「もしかして、四人目の戦士…」
うさぎ「うそ、まこちゃんが!」
 まことの後ろ姿

アニメも良いって書いたばかりだけど、う〜んやっぱり実写版の落ち着いたレイはいいね。無邪気なうさぎを間にはさんで交わされる、思慮深そうなふたりの少女の視線。

ちゃんと「イマジナリー・ラインの法則」も守っているし(笑)。
ここでもう少し話せば、お互いのことが理解できるのになあ、と思うところで「そろそろ行かないと」と去っていくまこと。時計を見て、いかにも何か用事がありそうだけれど、本当は、初対面の人とはそう長くは話せないタイプなのだろう。うさぎが例外なくらいで。
冒頭でうさぎを助けたときも、去っていくまことのカットでアバンが終わり、主題歌だったが、ここでも、去っていくまことの後ろ姿で、Aパート終了である。

じゃまた。