実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第185回】新春企画第2弾:Final Act 撮影台本ぜんぶ公開の巻



実写版台本まるごと紹介、前回のAct. 48に引き続き、今回はいよいよFinal Actだ。念のために改めて説明しますが、これは実写版の撮影に使われた本物の台本である。
ご存じの方はご存じの通り、ネットのオークションにはしばしばこういう、映画やドラマやアニメの台本が出品される。多くの場合、コレクターの手に落ちて秘匿されるわけだが、実写版セーラームーンの場合、身銭を切って落札した台本の内容をブログで公開して、本編と比較考察してくださる、ありがたい方がいた。M14さんだ。
で、それを読んで台本研究の面白さを知った私やこっちよ!さんも、Yahoo!オークションに実写版台本が出品されるたびに参加するようになった。これまで3、4回あったかなあ。でも私は、駆け引きに失敗したり、オークション自体にアクセスできなかったりと、とうとう一度も落札できなかった。実績ゼロ。一方、こっちよ!さんは長年の競馬研究で培った勝負カンと資金調達能力で、うまいこと何冊か入手している。
そしたら年末に、こっちよ!さんから、お持ちの台本をスキャンしたPDFファイルが送られてきた。「ブログのネタにお役立てください」とのことだ。M14さんにも送られたらしい。いい人だ。しかも、ちょうど私はこの年末年始、入院した母に付き添って病院詰めの日々を過ごしていたもんだから、手持ちぶさたに病室でノートパソコンを開いて、その台本をず〜っとタイプしていたのである。気持ちを落ち着けるための写経みたいなものだ。
……という事情から、前回と今回の記事は、実写版セーラームーン最終2話の撮影台本そのまんま紹介、ということになりました。いや長い説明ですみません。
なお、いろいろお騒がせしましたが、母も退院へのメドが立ってきたので、このブログも、次週からは何とか通常営業に戻りたいと思います。お気遣いいただいた皆様、励ましのお言葉、力になりました。ありがとうございます。また、お読みいただいたすべての方々にお礼を申し上げます。普段はアクセス数などたいして気にしないのですが、何日か放置してもちゃんとカウンタの数字が増えていると、こりゃ前向きに頑張らなくっちゃと、それだけで励みになるものです。
こっちよ!さんは他にもAct.13とAct.15の台本ファイルも送ってくださったんですけど、それはM14さんが分析してくださるのではないでしょうか。私の方は次回から、まだ終わっていないAct. 5レビューの続きに戻ろうかね。

以下は実写版『美少女戦士セーラームーン』Final Actの撮影台本の全文です。テキストを一字一句たがわずに写したものです。あくまで研究のための資料提供を目的としております。利用される方はその点をよくご承知おきください。こっちよ!さんに感謝します。


『美少女戦士セーラームーン』Final Act  原作:武内直子/脚本:小林靖子

 

1. 前回より



   Mエンディミオンと対峙するセーラームーン。
       ╳    ╳    ╳
衛  「もしまた星を滅ぼそうとする奴が現れたらお前が倒すんだからな」
       ╳    ╳    ╳
   セーラームーンが剣を握る手に、幻の衛の手が重なる。
美奈子の声「星の運命を変えて」
   セーラームーンの目から涙がこぼれる。
セーラームーン「衛!」

ジュピター「やめろー!」
   セーラームーンの剣がMエンディミオンを貫く。
   静寂――
       ╳    ╳    ╳
   回想。
   うさぎと衛のデート
   海岸に座る二人。
   海岸でのキス――

2. ダーク・キングダム・窪地



   倒れたエンディミオンの側にへたりこんでいるセーラームーン。
   虚空を漂っている瞳。
   見つめるまこと、亜美、レイ。
レ イ「うさぎ……」
亜 美「……」
まこと「……」
   セーラームーンは動かない。
   その時、エンディミオンの側にベリルが現れる。

まこと「クイン・ベリル!」
   まこと達がセーラームーンを守るように駆け寄り、ベリルから遠ざける。
   が、ベリルはそれには目もくれず。
ベリル「エンディミオン……」
   ベリルはエンディミオンを見下ろす。
ベリル「クイン・メタリアも……消えたか……」
   ベリルの視線がセーラームーンに移る。
ベリル「プリンセス……、お前はなぜわらわから何もかも奪うのだ……。前世の昔から、エンディミオンも、富も権力も、そして、今度はクイン・メタリアまで……」

   無反応のセーラームーン。
ベリル「お前こそ災いをなす者ではないか……。大いなる悪だ……」
まこと「違う!うさぎはあんたやメタリアからこの星を守ったんだ!」
ベリル「エンディミオンを殺してな」
   セーラームーンの漂う目が、再び動かないエンディミオンを見る。
セーラームーン「エンディミオンを……殺した……」
   ハッと見る亜美。
セーラームーン「私が……」

   セーラームーンの表情が変わっていく。
亜 美「うさぎちゃん、だめ……!落ち着いて!」
セーラームーン「エンディミオンが死んだ……」
レ イ「うさぎ!」
セーラームーン「エンディミオン‼」
   激しい光が爆発すると共に、光弾が降り注ぐ。
   衝撃に弾き飛ばされる亜美達。
ベリル「!」

   光の中に立っているPムーン
亜美達「!」
   Pムーンは、一瞬、エンディミオンを見る。
Pムーン「……この星を……全てを終わらせる……エンディミオンと共に……」
亜 美「うさぎちゃん……!」
   Pムーンが剣を掲げると同時にベリルの周囲が弾ける。
   ジェダイトが現れ、ベリルに駆け寄ろうとする。
ジェダイト「ベリル様! 危険です!」

   だがベリルは自分の身を守るでもなく、じっと立ってPムーンを見つめている。
   剣を掲げたPムーンもベリルを見る。
   光弾の中、一瞬、二人の視線がぶつかる。
   降り注ぐ光弾と爆煙の中心に立つPムーン。
ベリル「……たかが、小娘と思っていた……」
   さらなる爆発がベリルを襲おうとする。
ジェダイト「ベリル様!」
   ジェダイトがベリルを庇うようにして消える。

   収まった爆発にまこと達が顔を上げると、Pムーンの姿がない。
まこと「うさぎは?」
   周囲を見回す三人。
レ イ「あそこよ!」
   奥へと歩いて行くPムーンが見える。
亜 美「うさぎちゃん!」
   走り出す亜美だが、Pムーンは振り返りもせずに剣をはらって光線を放つ。
   弾かれて倒れる亜美。

レ イ「亜美ちゃん!」
   駆け寄るレイとまこと。
まこと「私達まで、攻撃するなんて……」
レ イ「ホントに星を滅ぼしてしまうかも……」
   Pムーンを見つめた亜美が立ち上がる。
亜 美「止めなきゃ……。レイちゃん、まこちゃん、うさぎちゃん止めよ!……うさぎちゃんと戦っても」
レ イ「……!」
まこと「そんな事出来るわけない……、うさぎと戦うなんて……」

   亜美は、Pムーンを見つめる。
亜 美「……私、戦えるよ」
レイ・まこと「……!」
亜 美「ホントはうさぎちゃんが一番星を滅ぼしたくないはずだから……。だから戦う!」
まこと「亜美ちゃん……」
美奈子の声「星の運命を変えて……」
亜 美「……マーキュリーパワーメイクアップ!」
   変身したマーキュリーが走る。

   行く手を塞ぐように現れる白妖魔達。
   マーキュリーはかまわず突っ込んでいく。
レ イ「亜美ちゃん!」
   見つめたレイとまことが頷き合う。
レ イ「マーズパワーメイクアップ!」
まこと「ジュピターパワーメイクアップ!」
   マーズ、ジュピターも白妖魔達と戦う。
   Pムーンは、さらに奥へと進んで行く。
マーキュリー「どいて!」
   進もうとするマーキュリー達に、白妖魔達が襲いかかって――

3. 同・水辺



   攻撃を受け、水際に倒れ込むマーキュリー
   迫る白妖魔達に、マーキュリーはタンバリンで水を弾く
   同時にタンバリンは水の剣に変形
   白妖魔の攻撃を受けながらも懸命に攻撃する。
マーキュリーのM「うさぎちゃん、待って――」

4. 同・荒れ地



   白妖魔達にマーズが取り囲まれる。
   マーズは自分のタンバリンとヴィーナスのタンバリンを掲げる。
   二本の炎の剣となったそれで白妖魔達に突っ込むマーズ。
マーズのM「うさぎを行かせるわけには」
       ╳    ╳    ╳
   Pムーンがさらに進む。

5. 同・森


   転がってくるジュピターがタンバリンを掲げる。
   タンバリンは雷と共に剣に変形。
   襲い来る白妖魔達に、剣で雷を放つジュピター
ジュピターのM「うさぎ――」

6. 同・地下広場


   天井から光が落ちている。
   その中へ入ろうとするPムーン。
 
  だがその足下に弾ける攻撃。
   Pムーンが振り返る。
   攻撃を放った傷だらけのマーキュリー、マーズ、ジュピターが必死にPムーンを見つめている。
マーズ「うさぎ……」
Pムーン「……」
   だがそこへ、さらに何体もの白妖魔達が現れる。
   「!」と戦うマーキュリー達だが、既に力は尽き、やられる一方となる。
   Pムーンは光の中へ入りその体が発光を始める。
   揺れるダーク・キングダム。

7. 同・メタリアの間



   揺れている室内。
   ベリルの側に膝をついているジェダイト。
ジェダイト「ベリル様、ダーク・キングダムが崩れます……!」
   ベリルは慌てる様子もなく、祭壇を見つめている。
ベリル「……逃げたければ逃げれば良い。わらわはこの城から離れぬ」
ジェダイト「では私も――」
ベリル「もう良い。女王様遊びは終わりだ」
   ベリルが片手を揚げると、ジェダイトから黒い光が抜け、ベリルの手の中へ握り込まれる。
   一瞬、ハッとなって自分を見るジェダイト。
   その様子を見て、ベリルは背を向ける。
   が、しばらくして背後の気配に気づいて振り返る。
   そこには変わらず控えているジェダイトの姿。
ベリル「何をしておる。術は解いたはず」

ジェダイト「私は、ベリル様を主と決めております」
ベリル「何……?」
ジェダイト「絶対にお側を離れません」
   僅かに動揺を見せるベリル。
ベリル「……お前は、愚か者だな……」
ジェダイト「は」
   ベリルがジェダイトに手を差し出す。
   その手をジェダイトが取るが、落ちる瓦礫に二人の姿が見えなくなる。

8. 同・エンディミオンの部屋 (本編未使用シーン)


   建物が激しく揺れ、エンディミオンの絵が落ちる。

9. 同・地下広場



   マーズ達三人は、白妖魔達にボロボロにやられていく。
   輝くPムーンは、光の中、上昇を始める。
まこと「うさぎ!」
   ダーク・キングダムの揺れが激しくなる。
マーズの声「止められない……」
ジュピターの声「前世が、繰り返されるのか……?」
マーキュリーの声「うさぎちゃん、その向こうに、大切な人達がいっぱいいるんだよ……!うさぎちゃん!」
   Pムーンは上昇を続け、そのさらに上に地上の光が輝き――

10. 月野家・居間(夕方) (本編未使用シーン)


   扉が開いて育子が買い物から帰ってくる。
育 子「ただいまー。あー重かった」
   進悟はゲームをしている。
進 悟「おかえり」
育 子「うさぎ、帰ってきた?」
   進悟が首を振る。
育 子「もー、黙って出かけちゃって、どこ行ったのかしら。今日は久しぶりにパパが早く帰ってくるのに。ほら、今日のお肉はいつもより2ランクもあげてみましたー」
   と、肉パックを見せる。
進 悟「おー」

11. 商店街(夕方) (本編未使用シーン)


   平和に行き交う人々。

12. クラウン・受付(夕方) (本編未使用シーン)


   黙々と掃除するネフライト。
   その姿を、古幡がカウンターから見つめている。
古 幡「ネフリンさー、最近考え込んでるけど、もしかして辞めたいとか思ってないよね?」
ネフライト「……俺は――」
   ネフライトがエプロンをカウンターに置く
ネフライト「ここで生きていく事に決めた」
古 幡「え?」
ネフライト「買い出しに行って来る」
   出て行くネフライト。
古幡「何か……変わったよなぁ、あいつ」

13. 学校・教室(夕方) (本編未使用シーン)


   掃除をしているなる、桃子、香奈美等数名の学生達。
桃 子「なるが罰当番って珍しいじゃん」
な る「うさぎが元気なかったから代理」
   桜田が入ってきて、
桜 田「はーい、やってますかー。キチンと出来なかったらトイレ掃除追加ですよー」
な る「うそー」
   バタバタと慌てる生徒達だが、楽しげでもある。
   窓外で一瞬、空が光る事には誰も気づかない。

14. ダーク・キングダム・地下広場(夜)


   倒れるマーズ達がPムーンを見る。
Pムーン「……エンディミオン……」
   手を伸ばすマーキュリーだが、届くわけもなく、

マーキュリー「うさぎちゃん!」
   Pムーンがさらに輝きを増し――

15. 街(夜)



   一角から強い光が立ち上がる。

16. 月野家・うさぎの部屋(夜)


   窓から差し込む光を見るルナとアルテミス

ル ナ「アルテミス……」
アルテミス「同じだ……また星が滅ぶ……」
   強い光にフェードアウトする。

17. 同・居間(夜)


   消える育子と進悟。

 

18. 各所(夜)



   光に飲み込まれていく各所風景。
   掃除をするなる達や桜田。
       ╳    ╳    ╳
   亀吉にエサをやる古幡。
       ╳    ╳    ╳
   二千円を出し、小さな包みを受け取るネフライト。
       ╳    ╳    ╳
   行き交う人々。
       ╳    ╳    ╳
   倒れているマーキュリー達。
       ╳    ╳    ╳
   全てが消えていく。

19. 街・全景(夜)


   強い光の中、真っ白になって――

 

20. 砂漠(1)



   目を開けるPムーン
   砂丘に囲まれ、窪地のようになっている。
   砂漠を無表情に見つめる。
   やがて砂丘を上がっていくPムーン。
       ╳    ╳    ╳
   見渡す限りの荒野を見つめるPムーン。
Pムーン「星が……」
   やはりPムーンは無表情のまま。

Pムーン「……」
   突然、足下の砂に滴が落ちる。
   見開かれたPムーンの目から涙が零れている。
   涙が次から次へと溢れ出し、表情が戻る。
Pムーン「私……」
   そこへ聞こえる足音に、Pムーンが顔を上げる。
   立っているエンディミオン。
Pムーン「衛……」

   Pムーンを見つめるエンディミオン。
エンディミオン「うさぎ……」
   弾かれたようにPムーンが衛に駆け寄って、抱きつく。
Pムーン「私、ダメだったんだね。星を滅ぼさないって、約束したのに……。みんないなくなっちゃった……、みんな……!」
エンディミオン「ああ……」
   エンディミオンも辛くPムーンを抱きしめる。
エンディミオン「……でも、まだ終わりじゃない」
Pムーン「え……?」

   エンディミオンはPムーンを見つめる。
Pムーン「?」
エンディミオン「幻の銀水晶の力を、全部解放するんだ。今度は星を救うために」
   夢中で頷くPムーン。
Pムーン「やる。そんな事出来るならやるよ」
エンディミオン「その代わり、多分お前の命は……」
   Pムーンがハッとなって、一瞬視線を落とす。が、すぐに決意で顔を上げる。
Pムーン「それでもいい。みんなが助かるなら」

   エンディミオンが見つめて頷く。
エンディミオン「……多分これが、俺とお前がやらなきゃいけない事だったんだ。前世に決着をつけるために……。前世で滅ぼしてしまったもの達のために……」
Pムーン「……」
   もう一度衛がうさぎを引き寄せる。
エンディミオン「……ホントは、お前を助けたかった、ごめん」
   Pムーンが首を振る。
Pムーン「私こそごめんね」
エンディミオン「うさぎ……」
   ハープの音が響き始め――

21. 荒れ地


   歩くエンディミオンと、その手を握っているセレニティ姿のうさぎ。

うさぎの声「亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃん、美奈子ちゃん、みんな、私のせいで辛い思いさせてごめんね。いつも助けてもらってばっかりで、それもごめんなさい。……ずっと一緒でいてくれて、ありがとう……」
   巡礼のように歩き続ける二人――

22. 砂漠(2)


   向かい合うセレニティとエンディミオン。
エンディミオン「……」
   セレニティは小さく笑みを浮かべる。そしてキスをする二人から光が溢れ始める。

 

23. 地球・全景

   地球全体も白い光に包まれる。

 

24. 砂漠(2)



   光が満ちあふれている。   
   手をつないで倒れているセレニティとエンディミオン。
   一緒に握りしめている懐中時計。
   同時にフェードアウトして――

25. 海 (本編未使用シーン)


   穏やかな波が打ち寄せている。

26. 公園


   緑と花に溢れ、鳥の鳴き声が聞こえる。

 

27. 学校・全景



   チャイムが鳴る

28. 同・教室



   入ってくる桜田に、生徒達が礼をする。
生徒達「おはようございます」
桜 田「はい、おはよー。今日も全員揃って……あら、一人欠けているわね」
   席が一つ空いている。
   と、ドアが勢いよく開く。
   慌てて入って来るのはなる。
な る「すいませーん!」
桜 田「大阪さんーん、新学期になってちょっとたるんでますよー」

な る「はーい、ごめんなさい」
   なるは亜美にちょっと舌を出してみせる。
   微笑する亜美。
桜 田「じゃあ授業はじめまーす」
   何事もなく授業がはじまる。
   亜美の表情も変化はない。

29. 火川神社・境内


   巫女姿のレイが子供会達と鬼ごっこをしている。

 

30. 商店街


   楽しそうに買い物をするまことと古幡。

 

31. スタジオ前


   車が止まる。
   集まったファンから歓声があがる。
   車から降りてくる美奈子。

 

32 スタジオ・中


   美奈子がマイクの前に立ち、曲が始まる。

  

33. 街


   いつも通りに塾へ行く亜美が歩いている。
   街角のモニターから流れる美奈子の歌。

 

34. 商店街


   CDショップから美奈子の歌が聞こえる。
   まことがその前を通り過ぎる。


 

35. 道


   どこからか美奈子の歌が流れる中、歩くレイ。

 

36. 街



   歩き続ける亜美だが――
       ╳    ╳    ╳
   フラッシュ。
   うさぎの笑顔。
       ╳    ╳    ╳
   「!」と亜美の足が止まる。

37. 各所



   同じくまことも立ち止まっている。
まこと「え……」
       ╳    ╳    ╳
   レイが咄嗟に振り返る。
       ╳    ╳    ╳
   驚きの表情で歌をやめている美奈子。
美奈子「私……」   
         ╳    ╳    ╳

まこと「何か、忘れてる……」
         ╳    ╳    ╳
レ イ「そうよ……、大切な事……」
         ╳    ╳    ╳
亜 美「忘れられるはずない事……」
         ╳    ╳    ╳
   フラッシュ。
   うさぎが笑っている。
         ╳    ╳    ╳
四 人「うさぎ(ちゃん)!」
   亜美、レイ、まこと、美奈子がそれぞれの場所で走り出す
   四人のうさぎを呼ぶ声が響き渡る。
   うさぎ、うさぎ、うさぎちゃん、うさぎ――

38. イメージ空間



   暗い中、うさぎを呼ぶ声が小さく響く。
   やがて見える光が、呼び声と共にうさぎの姿になる。
うさぎ「誰……?」
   目を閉じたままのうさぎに、また亜美達の声。
うさぎ「私を、呼んでくれてる……。私のこと……」
   うさぎがハッと目を開ける。
うさぎ「みんな……!」
   同時に胸元にある懐中時計がカチッと動き出し、周囲が明るくなる。

   うさぎの側には衛もいる。
   顔を見合わせる二人。
うさぎ「どうして……」
   その時、うさぎの側にPムーンが立つ。
Pムーン「あなたを忘れない仲間がいる限り、あなたは生きる事が出来る。戻りなさい」
うさぎ「え……」
Pムーン「幻の銀水晶は砕け散ったけど、最後に一つ、命を残したから」
うさぎ「!」

   頷いたPムーンが小さく微笑を浮かべて消える。
Pムーン「やっと、前世が終わる……」
うさぎ「プリンセス……」
   衛がうさぎを微笑で見る。
衛  「良かったな、早く行け」
うさぎ「でも、衛は?」
衛  「俺の事はいいから」
うさぎ「そんな……。私一人でなんて――」

   だがその時、衛の後ろに四天王が立つ。
ジェダイト「マスター、あなたの命です」
   ジェダイトがエンディミオンの絵を見せる。
衛  「!」
クンツァイト「マスター、我々のためにも生きてく下さい、今を」
衛  「クンツァイト……」
ゾイサイト「我らはずっと、マスターと共に」
ネフライト「何かあれば必ず駆けつけます」

衛  「お前達……」
   ネフライト達は微笑で見つめている。
   うさぎと衛がお互いを見る。
   衛がうさぎの手をとり、
   そして二人が駆け出す――

39. 橋の上



   駆けてくる亜美、レイ、まこと、美奈子。
   その前方から、うさぎが走ってくる。
亜 美「! うさぎちゃん」
うさぎ「みんな!」
レ イ「うさぎ!」
まこと「うさぎ!」
美奈子「うさぎ!」
   仲間達へ走るうさぎを、バイクから微笑で見つめる衛。

   アルテミスと猫ルナも一緒にいる。
うさぎ「まこちゃん、亜美ちゃん、レイちゃん、美奈子ちゃん!」
   走るうさぎの手が、仲間達の元へもうすぐ届く。





   E N D