実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第148回】Special Actの巻(15)

1. Bridge over the Moon


ガシュン!寝過ごした、寝過ごしたよ。
私は基本的に土曜日は自宅で書類書きというか、要するに休みなので、ゆっくり寝ていたいのだ。でもだいたい『レスキューフォース』が始まると、息子に「お父さんごはん作って〜」と起こされる。まあ『レスキューフォース』は8時始まりなんで、いいかげん起きなきゃいけない時間なわけだが。
で「R-4 白木寿里」とかを観ながら、洗濯機のスイッチを入れ、家族の食事の支度をしているうちに、上の娘と妻が起きて、家族で朝食、それから妻は洗濯物を干し、私は食器の洗い物で、終わったら『Amitié du weekend』の準備、というパターンなのだ。
ところがどうしたことか、今週は妻が「たまにはお父さんをゆっくり寝かせてあげて」とかなんとか、いつにない思いやりを示して、朝ご飯を自分で用意した。って、娘に聞いたらトーストに飲み物だけだったらしいけど(笑)。
まあとにかくそういうわけで、すっかり寝過ごしてしまいました。某所で私のアップロードをアテにされていた方々(たぶん10人くらい)すみませんでした。ちなみに来週の土曜日だが、この日は午前11時から中日劇場で『ウルトラマンプレミアステージ2』である。できれば家を出る前に予約録画をセットして、帰って来てちゃんと録れていたらアップしたいと思う。
『ウルトラマンプレミアステージ2』といえば、ウルトラマンと怪獣のバトルにワクワクしながらやってくるちびっ子や、そういうちびっ子に付き添いつつ、黒部進や森次晃嗣の出演に胸躍らせるお父さんや、平田弥里さんがお目当ての成人男子や、吉岡毅志君や杉浦太陽君がお目当ての……う〜ん、どういう方々かイマイチ分からないが、要するに第2部のドラマを観に来る客層がメインだ。しかしそのなかに、第1部の弓原七海こそメインであるという固い信念をもった一群の人々がやって来る。カシオペアさんは全日参加みたいである。まもるさんは2日、4日、6日参加ということで、ちゃんと『Amitié du weekend』の放送日を外してあるところが偉大だ。
しかも、これとは別に、5月4日には安座間美優が栄のセントラルパークにやって来る。私も万難を排して現場に赴きたい。しかし男子禁制のイベントらしいので、遙か後方で様子をうかがう所存である。もちろん『少林少女』も公開中だし、ゴールデン・ウィークの名古屋は、もう大変である。

2. Hard-boiled Jupiter


その安座間美優といえば「ハードボイルド・ジュピター」である。私がAct.6再放送レビューでそう書いたら、D.S.さんが面白がって『は〜どぼいるど☆じゅぴた〜』というタイトルの安座間美優ファンサイトを作ったりしてくれた。
これは安座間美優のセリフ回しを、「棒読み」という禁句を使わずにどうやって表現するか、それなりに考えたあげく出てきたフレーズである。しかし思いついた私自身、それから考えれば考えるほど「まことってハードボイルドだよな」という確信が、ますます強くなっていった。
木野まことは、実写版セーラー戦士の中で、最も探偵の素質に恵まれている。たとえばAct.18で、衛と陽菜がどういう仲なのかを古幡から聞き出そうとするとき、まことは古幡がいちばん喜ぶカメ吉の餌を切り札に用意していて、それを利用して必要な情報を引き出している。Act.20では、衛と陽菜が婚約していることをうさぎに伝えようとするうちに、気がつけばうさぎと衛、ひかりちゃんと大地君のダブルデートを尾行している。しかも最後には「タキシード仮面の正体を突き止める」という成果まで上げてしまっているあたり、根っからの探偵気質を物語っている。
とくに失踪者の探索に関しては抜群の能力を誇る。Act.8では、パパの秘書の車に乗ったレイを追っかけて、ホテルに軟禁状態のレイを見つけ出したし、Act.21では、ダークマーキュリー化して失踪した亜美の所在を突き止めている。Act.41で、児童館から失踪したショウタ君を古幡と二人で捜索したときも「ちょっと待って、何か聞こえない?」と最初にショウタ君の所在に気づいたのは、まことだ。
(注:ただしAct.14でクンツァイトに連れ去られたうさぎを発見したのは亜美だし、また、うさぎが行方不明になるAct.37で、プリンセス・ムーンの奏でるハープの音に真っ先に反応して、先頭を切って駆けつけているのはマーキュリーである。うさぎを捜すことだけに関して言えば、亜美の能力の方が勝ると思う。)
そんな名探偵、しかも安楽椅子に腰かけて推理をめぐらすのではなく、とりあえず捜査に飛び出すハードボイルド型名探偵のまことであるから、おそらくこの『Special Act』でも、ルナから知らせを受けて「え、うさぎが?」と言った直後には、うさぎを捜して街に飛び出していた。でも戦士の力を失ってからだいぶ歳月も過ぎたし、かつてのような勘ははたらかず、あちこと彷徨ったあげく、日暮れ時にしおしおと自分のマンションに戻ってきたのである。たぶんそうだと思う。
で、場面は夜、まことのマンションである。部屋の中にはたくさんの鉢植えと、椅子にはウミガメのクッション。昼間の捜索が失敗に終わったまこと(推定)は「うさぎたち早く助けないと」と苛立ちを押さえられない様子。でもルナは、なんだか分からないが、テーブルの上で妙にそっくり返ったまま「ちょっと、落ち着いて。静かにして」とたしなめるが、まことは聞く耳もたない「何で落ち着けるわけ!?今だって街の人たちが襲われるのに」。偉いなあ。まことはうさぎたちのことだけを心配しているわけではないのだ。ただし滑舌は悪い。
業を煮やして「やっぱりじっとしてられない!」と出ていこうとするまことだが、その時、不思議な気配に足を止めて振り向けく。私はファッションショーを真剣に観たことがないので間違っているかも知れないが、こういうときの振り向く感じとか、スタイルが良くて首が長くて顔が小さくて、格好いいモデルさんの、格好いい仕草なんだろうと思う。髪型はポニーテールだし、ジーンズに、何というのか、半分肩の出ている服、という実にラフでありながらこの格好良さ。ちょっと普通の子の着こなしではない。ついでに言えば、セリフの滑舌の悪さも、ちょっと普通の女優じゃない。やっぱりモデルさんだよ。

3. Princess Cerenity


で、窓から差し込む光の先はテーブルまで届く。テーブルの上には『ヨーロッパスタイルのフラワーアレンジメント』とか、何かの『体験レッスン』とか『THE FLOWERS フラワーデザインの世界』などといった、お花関係の本が積まれていて、そこに小さなクイーン・セレニティの立体映像が浮かび上がる。おどろくまこと。そりゃおどろくよ。こんな人、シリーズ本編には出てこなかったんだもの。なのにルナに怒られる。

まこと「わ、何これ!」
ル ナ「まこちゃん、失礼よ。…クイーン、プリンセスとエンディミオンが…」
女 王「分かっています。ここまでひどいことになるなんて…。それに、プリンセスの心がとても乱れていますね」
ル ナ「うさぎちゃんが?」
女 王「でもそれはプリンセスが自分で解決する問題です。いまは戦士たちに頑張ってもらわなければ」
まこと「でも、変身が…」(その声にクイーンはゆっくりとまことの方を向く)
女 王「それなら私がなんとかします。月の王宮にある、伝説の剣を送りましょう。戦士の魂と言われる、強い力を秘めた剣です。この剣はきっと、みんなに力を与えてくれるはずです。心をひとつにすれば…」

さっき「何これ」と驚いたわりに、あいさつも抜きに「でも、変身が…」と語りかけるまこともまことだが、いきなり「それなら私がなんとかします」と答えるクイーンもすごいが、ただ私、どうもこの実写版のクイーン・セレニティが好きになれないのだ。私が好きなクイーンは、原作漫画で、戦士たちが月の廃墟を訪れたときに姿を現し、こんなふうに語ったクイーンだ。

「プリンセス・セレニティ、おぼえておいて。幻の銀水晶は、すべてあなたの心しだいなの。強い信念と協調、そして深い愛情、それがないと悪魔である<あれ>を消し去ることはできない。プリンセスであり、正義の戦士セーラームーンであることに、誇りと自信をどうかもって。そして、忘れないで。あなたがひとりの女の子であるということも。あなたが生まれかわったほんとうの意味も、そこにあるのだから。
 セーラーマーズ、マーキュリー、ジュピター、そしてヴィーナス、力をあわせて、どうぞプリンセスを守って。そしてこの王国を、このムーンキャッスルをもういちど……セレニティ、しあわせになって……」

プリンセスには銀水晶を守らなくてはならない使命があること、そしてそのためには信念をもって戦士として戦わなければならないことを女王として伝え、その一方で母親として娘の幸せをも願っている。「忘れないで。あなたがひとりの女の子であるということも。あなたが生まれかわったほんとうの意味も、そこにあるのだから」というひと言は、セーラームーンの主題を端的に言い表していると、私は思う。そして、それに続く「力をあわせて、どうぞプリンセスを守って」という戦士たちへのメッセージも「娘をお願いします」と会う人ごとに頭を下げる、田舎から上京してきたお母さんの味わいがある。ところがこの実写版のクイーン・セレニティには、そういう温もりがほとんど感じられない。無機質なのだ。
どうしてかな。沢井美優が演じているのに声が沢海陽子のせいだろうか、などと思いながらぼーっと観ていたら、なあんだそういうことか。沢井美優の芝居が明らかに「プリンセス・ムーン」なのである。沢井さんは、観ている側の頭の中でセレニティとプリンセス・ムーンが重なることを、たぶん狙って演じている。特に目の芝居がプリンセス・ムーンそのままで、冷ややかだ。だから「いまは戦士たちに頑張ってもらわなければ」と言うときも、原作のような「娘をヨロシク」的なニュアンスはなくて「あんたらプリンセスの家来なんだから、しっかりうちの子を守りなさいよ」という、少々高飛車な感じがつきまとうのである。設定としては、これは月の宮殿のコンピューターから投影された映像なのだから、それでもいいのだろうけどね。
ともかく、クイーンが月の王宮から地球に転送してくれた聖剣を捜しに行く、という目標ができたので、即座に行動するハードボイルド探偵まことは、夜中にもかかわらず出動だ。なぜかルナと手をつないで、マンションのエントランスを走り出る。いや、これ本当は「手をつないで」ではなく「手を引いて」という意味なんだろうな。ルナはチビなのでまことより足が遅い、それがまどろっこしくって、まことはその手を引っ張って先を急いでいる、という演出なのだろう。ところが小池里奈もけっこう足が速いもんだから、なんだか二人でお手々つないで仲良く走っているような画面になってしまった。そうして、二人はマンションの出口に停めてあった車に乗り込む。
冒頭のうさぎのモノローグによれば、まことは今「あこがれのフラワーアレンジメントの仕事につけるように、猛勉強中」ということだった。これがいったい、どういう資格を得るための勉強なのか、以前【第130回】で調べてみた。そしたら、社団法人日本フラワーデザイナー協会(NFD)の「フラワーデザイナー資格」とか、厚生労働省の「フラワー装飾技能検定」とか、フラワーデコレーター協会(FDA)のフラワーデコレーターの資格とか、あんがい色々ありましたね。で、これらの資格についての資料を読むと、異口同音に「自動車免許証の取得は必要条件です」というようなことが書いてあった。そういやうちの近所の花屋の前にも、しょっちゅう車が停めてあって、お店の人が鉢植えとかを搬入しているなあ。花屋に免許は欠かせないんだね。だからまことが免許を取得済みなのは、当然である。
それはいいのだが、このとき二人が乗った、亀のアクセサリーだらけの緑の車、これは古幡元基の車である。Act.21、ダーク化が進み、遊園地で意識不明に陥った亜美と付き添いのまことを、古幡が病院まで連れて行ってやったときの車である。またAct.38、古幡が地下の駐車場でネフ吉にぶつかられ、クラウンに運ぶ大量の食品を落っことしてビンを割っちゃったりしたときに、かたわらに置いてあった車である。それと同じ亀のアクセサリーだらけの緑の車で、間違いなく古幡の車だ。
あのさあ、婚約者同士でもないのに、そんな、勝手に車まで自由に使わせて貰っているって、それはちょっと古幡の厚意に甘えすぎというか、彼を利用しすぎではないのか、まこちゃん。

4. Drive my Car


まあいいや。ともかく、次は明け方、囚われの二人の前にネフライトとジェダイトが登場、「花婿を迎えに来た」と衛を連れ去ろうとする場面が続くが、これは前々回の日記でざっと触れたので、もういいや。ともかく、衛がネフライトとジェダイトを相手に立ち回りをしている隙に、うさぎは後ろ髪引かれる思いを胸に、ひとまず逃げだします。で、次が亜美。日本に帰って来た。
さっきはまことが車を運転したが、今度は亜美がタクシーを運転して暴走しちゃうシーンだ。もう少し後では、美奈子もバイクに乗る。つまりここから一連のシークエンスは、あれから4年、当時中学生だった戦士たちも、もう運転免許を取得しました、ということをアピールしているのだと思うのだが、違うか。ともかく、亜美は最初、タクシーの後部座席に乗っている。空港からタクシーを飛ばしてきたのだろう。
この「後部座席に座る亜美」について、私は色々と考えてみたのだが、結論から言うと、亜美が自動車の後部座席に座っていることに、大して重要な意味はないと思う。いったいお前は何が言いたいのかと思われる方もいるだろうが、まあお聞きください。
たとえば美奈子にとって、車の後部座席というのはいわば聖域だ。いつもスケジュールに追われ、大人たちに囲まれている芸能人の彼女が、仕事の合間の移動の時間、ほんのひととき自分に戻れる空間である。当然、前の席には運転手とかマネージャーがいるのだろうが、テレビシリーズ本編では、その存在は多くの場合、ほとんど空気のように無視され、美奈子は後部座席で、わりと平気でアルテミスと話していたりする。だから私は、これは、なかなかクラウンの作戦室に行けない美奈子にとっての、代理の作戦室だったのではないかと思う。戦士のリーダーなので、個人用の作戦室をもっているのである。ここには相棒のアルテミス以外、誰かが同乗することはない。
ただし、彼女が命をかけて仕えているプリンセスだけは別だ。Act.12で、襲いかかる斎藤社長(に憑依した妖魔)から逃れて病院を飛び出した美奈子とうさぎは、二人でタクシーの後部座席に乗る。Act.35で、記憶を奪うオルゴールをゾイサイトから渡された美奈子は、街を歩いていたうさぎを食事に誘って、隣りに乗せる。美奈子の車の隣りに座ることを許されているのはただ一人、彼女の「主人」であるプリンセスだ。
一方、レイが乗るのはパパが神社によこす黒塗りの車だ。いつもなかば強引にパパのもとに連れて行かれる。Act.8では冷たい感じの秘書(宮下今日子)が隣りに座っていたし、Act.34では、運転していた秘書の西崎(菊池均也)がやたらに話しかけたりしていた。だからレイにとって車の後部座席とは、一人でいることの自由を奪う、息詰まるようなオリである。
まことはどうか。Act.21では、遊園地の木馬で意識不明になった亜美を病院に連れて行くために、古幡の車に乗せてもらった。Act.26では、成田空港まで行って、ロンドンに行っちゃう前に、なんとか衛をうさぎに引き会わせようと、新しい武器セーラースタータンバリンでタクシーを呼び止め、降りるときは領収書を請求した。まことが車に乗るのは、他人のために急いで何かしなくちゃならないときに必要な、ハードボイルド探偵としての行動手段だ。
で、うさぎは、そういう美奈子やまことの同乗者になっているが、うさぎ自身に、車に乗ることの積極的な意味はない。むしろ衛のバイクの後ろに乗ることの方が重要だ。というような考えを踏まえたうえで、じゃ、亜美にとって「車に乗る」ことはどんな意味があるのか、何もないのか、2、3日のあいだ深〜く考察したあげく「何もない」という結論に至ったのである。みなさんあきれましたか?でも、ともかく車の後部座席に乗っている亜美というのは、映像としてはレアである。それだけだが。
さあそして、次に道化師妖魔が現れ、いよいよ亜美の免許証を見ることができるわけだ。でもアメリカに留学していた亜美は、いつの間にどうやって国内の運転免許を取得したのか。ここで、かつてコメント欄でこっちよ!さんが指摘していた、亜美=CIA疑惑が出てくるわけだが、う〜んそれは次回でまとめてみよう。今日はこのくらいで。