実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第141回】Special Actの巻(11)


仰げば尊し。娘が小学校を卒業した。ほんとうは私も万障繰り合わせて卒業式に出席できるはずだったのだが、急に仕事上のことで奔走するハメになってさあ、ちぇっ。ってグチ書いててもしょうがないや。しかし気がつけば4月から中1である。このままでは、気がつけばうさぎちゃんと同じ学年になっていて、5年後には「私たち、結婚します」になっちゃう。う〜ん、お父さんそれはちょっと困るなあ。ちなみに卒業生には全員、ナゴヤドームのドラゴンズオープン戦の外野席の親子ペアチケットがプレゼントされたが、これは名古屋市の慣習なのでしょうか。
そういえば、関西支部も気がつけばお誕生日だそうだ。おめでとうございます。夢は世界のディズニーランド。まずは香港ディズニーランドでしょうか。


閑話休題。訂正とお願いです。【138回】の「2. そして北川問題(承前)」で、『Special Act』の北川さんの出番が少ない理由を考えたとき、私は「他の仕事による多忙が理由か。いやそれは違うよね」と書いた。『Special Act』は、2004年の10月中には撮り終わっているはずだし、最初の出演映画『水に棲む花』のクランク・インは、おそらく2005年に入ってからだろう。だからスケジュールはかぶっていない、という意味だった。
ところが、最近ふとWikipediaの北川さんの項目を見たら、『水に棲む花』について「撮影は2004年におこなわれたが、公開は2006年」と書かれている。これが確かな情報だとすると、やはり『水に棲む花』の制作スケジュールと重なったことが、『Special Act』のバトルシーン欠場のおおきな理由なのかも知れない。どなたか『水に棲む花』のパンフレットとか、資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら、コメント欄にてご教示お願いします。

1. この項、ほぼすべて脳内補完ですから


さて本題に入る。今回まず考えたいのは「ルナはなぜ、すぐうさぎにレイの負傷のことを伝えなかったか」という問題だ。
黒木ミオが降臨し、そのとき放たれた激しい光でレイが倒れる。次のシーンは深夜で、「ピエロの王国」での道化師たちのパーティーである。そしてまた場面が変わると、十番病院の一室に横たわり苦しげにあえぐレイ、そして「どういうこと?どうしてレイちゃんが……」と不安を胸に街を走るうさぎである。すでに一夜明けていて、あたりは明るい。
ということは、ルナは、レイが負傷してすぐには、うさぎにそのことを伝えていなかったわけだ。もし即刻、知らせを受けていたら、うさぎは何を置いても、その日のうちにレイのもとに駆けつけて、夜には看病していたに違いない。でもルナはそうせず、朝になって初めてうさぎに連絡をとった。だからうさぎは夕暮れ時ではなく、午前の白々しい空の下を、大あわてで走っているのだ。しかもこの時点で、ルナはまだ、まことには何も告げていない。もちろん海外の亜美と美奈子にも。
たぶんルナは、できることなら、もう戦士の力を失った5人には何も知らせないまま、ことを済ませたいと考えていたのだね。ところが、京都のお山で霊能力にいっそうの磨きをかけたレイは、事態を察知してすぐにやってきた。しかもこんなにあっさりやられてしまった。残された自分ひとりで防ぎきれる自信はない。ルナは悩みながら、ともかくタクシーを拾って、負傷したレイを十番病院に担ぎ込み、徹夜で看病していたのである。
明け方になって、ようやく意識を回復したレイは、ルナにこう言った「ごめんね、力になれなくて。でも今あいつと戦えるのは、ルナ、あなただけよ。お願い、私のことはいいから、行って。みんなが危ない」。
ルナは後ろ髪を引かれる思いで病室を後にして、復活した妖魔の後を追うことにした。そして迷った末、うさぎに電話したのだ「うさぎちゃん、聞いて。敵が甦った。レイちゃんがひどい傷を負ったわ。いま十番病院に入院している。大丈夫、私が何とかするから。でもうさぎちゃん、あなたも用心して」。びっくりして質問を投げ返すうさぎを無視して電話を切り、次に衛にかける「衛君、うさぎちゃんをお願い。もしかしたら敵が狙っているのは、プリンセスかも!」。
衛は、ただならぬ様子のルナの声に不吉な予感を憶え、ただちにうさぎの家に向かう。しかしすでにうさぎはいなかった。「あらぁ、うさぎなら、さっき飛び出していったわよ。なんかレイちゃんが十番病院に入院したって大あわてで。ねえ衛君、朝ご飯まだなんでしょ。パクチーたっぷりのアジア風オムレツ、食べていかない?花粉症に効くってうさぎが言ってたわよん」というママを、まもなく義母になるのでそう邪険にもできず、断るまでにちょっとタイムロスしてから、衛は街に飛び出した。
という展開があって、さっきの場面につながるのだろう。病室に横たわるレイ。ルナが出ていくまでは気丈に耐えたが、ひとりになった今は、痛みに思わず喘ぎ声がもれる。傍らには、明け方までルナが座っていた見舞い客用のスツールが、主を失ってぽつんと置かれている。
一方うさぎは「どういうこと?どうしてレイちゃんが」と不安な思いを胸に、病院への道を急ぐ。さらにそのうさぎを追う衛。ふと気がつくと、手にはタキシード仮面変装グッズ一式の入った風呂敷を持っているではないか。青春の記念にタンスの奥にしまっておいたはずだが、ルナの電話を受けてマンションを飛び出したとき、無意識につかんでいたのだ。
ルナはルナで、セーラールナに変身し、妖魔の邪悪な気配をトレースして調査を開始し、間もなく目的地に到達しようとしている。が、すでにその時、うさぎは運命に導かれるように、まさしくその、妖魔の出現ポイントに足を踏み込んでいた。そこはつくばセンタービルのアイアイモール。テレビショッピングをやっていたビルの大型ビジョンの画面が一瞬乱れ、聞き覚えのあるメロディとともに現れたその姿はなんと「何これ。嘘、ミオちゃん?」。

2. ここも思い出の場所


大型ビジョンのなかで、チャッピイを片手にかつてのヒット曲『Change of Pace』を歌う黒木ミオ。行き交う街の人々は足を止め、忘れられたアイドルの突然の復活に、とまどいつつざわめき出す。
2004年に彗星のごとく登場して、一時はあの愛野美奈子に迫る勢いの人気者となりながら、いつの間にかいなくなってしまった幻の一発屋、黒木ミオ。それが2008年の春にいきなり復活するのって、現実の世界だとどういう感じなのか。2004年のビッグヒットと言えばマツケンサンバ?だけど、これはちょっと性格が違う。2004年の一発屋と言えば、まあ今もそれなりに活躍していらっしゃるので失礼なんだが波田陽区である。つまり、きょうびの都心の大型ビジョンにいきなりギター侍が現れたという感じか。でも、それもちょっと違いますから、残念!
ちょっとしっくりはまる例が思いつかないので、話を戻す。ミオの登場に誰よりも驚いたのは、もちろんうさぎである「何これ。嘘、ミオちゃん?」。

「みなさんお久しぶり、黒木ミオでえす。スーパーアイドルだったミオだけど、今度、地球のクイーンとしてデビューすることになりました!でも、そのためにはみんなのエナジーが必要なんだよね〜。ねえチャッピイ。うん。協力してくれるよね。今から、可愛いピエロ君たちが、みんなのエナジーを集めに行っちゃいます。抵抗なんかしちゃダメだよ。よろしく!」

ミオのメッセージを合図に、総勢十数名の「可愛いピエロ君」たちがあちこちから飛び出して、まずはおどけてみせる。ステッキを手にしていたり、風船を持っていたり、石垣の上でパラソルを広げたり。通行人たちも、最初は何のことか分からず、花一輪を手渡されたりして喜んでいる。しかし突然、ピエロたちの態度が豹変する。
最初の犠牲者になる女性は、どうもウチトラ、つまり内輪(スタッフ)のエキストラ出演っぽかったので、公式ページの「ダーク・キングダムの縁の下」でスタッフの方々の顔写真を確認してみたところ、たぶんメイク担当の生田友希(しょうだ・ゆき)さんが演じていらっしゃるのではないかという結論に達しました。で、お花をもらって嬉しそうにしていた生田さんは、いきなりピエロにがっちり顔をつかまれ、エナジーを吸い取られて倒れる。吸い取られたエナジーはピエロの持っていた風船のなかにためられる。それを合図に、ピエロたちは一斉に通行人に襲いかかるのだ。
この場面はAct.7の、カメ愛好家の高井君(納豆妖魔)が、カメのリュックにエナジーを吸収するのと同じ趣向である。あの回もピエロが出てきて風船が飛んで、人々がばたばた倒れた。うさぎが思わず「妖魔!」と息を呑むと、ピエロはうさぎの方を向いて、エナジーを吸い込んだ風船をもって、不気味におどけてみせる。
思わず胸元に手をやるうさぎだが、もちろん変身アイテムのペンダントは存在しない。それでもたまらず、襲われている人々に向かって「みんな、こっちよ、逃げて!」と叫ぶが、もはやそんな声は通らないほど、あたりは大混乱だ。
ばたばたと倒れる人々のなかに、「ママー」と泣きながら立ちすくんでいる女の子がいる。うさぎは思わず、その子に襲いかかる青い道化服のピエロを突き飛ばし、レストラン通りの方へ逃してやる。この女の子は誰でしょうか。クレジットにもない。セントラルグループの子役タレントだと思ってセントラルのHPをざっと見てみたが、特定はできませんでした。
獲物を奪われた青い服に白い水玉模様のピエロは、今度は剣をかざして、うさぎにじりじりと迫る。うさぎちゃん危機一髪。というところで、タキシード仮面の登場だ。
このシーンの舞台となるつくばセンタービルのアイアイモールは、本編ではAct.25に使われている。衛の気持ちが自分から離れたことを知ってしまった陽菜が、街にさまよい出て妖魔に襲われるシーンである。
倒れた陽菜を抱きかかえた衛は、苦渋の表情で「お前が嫌だというまで、おれは一緒にいる」と誓う。しかし、居合わせたうさぎが「はやく逃げて!」と言い残して戦いの場に向かうのを見ると、どうしても放っておけず、すがる陽菜の手を解いて行ってしまう。陽菜はベンチに横たわり、静かに目を伏せながら「うさぎちゃんだったんだ」とつぶやく。そして衛はタキシード仮面のマスクを手に取り「これが、最後だ」と心に誓う。
そんなふうに自ら引退宣言をしたまさにその場所で、タキシード仮面が限定復活するというのが、このシーンの眼目である。

3. おぢさん殺しの演出


さて、この『Special Act』レビュー、ダラダラ10回以上もやっているわりに、舞原監督の演出については、ほとんど何も言わずに済ませてきた。これといった特徴が見つからなかったからなんだけれど、ここからはちょっと違うぞ。いま挙げた一連のシーンで、私が気に入っているところを、幾つか並べてみよう。
(1)このシーンからうさぎの衣装が変わるんだけど、この服、背中のところがおおきく開いているんですよね。テレビシリーズでは(本来の視聴者層を考慮して)キッズブランドの服ばかり着せられていた主役のうさぎだが、今回のお話は「あの戦いから4年後」ということもあって、着るものもちょっとだけ大人っぽくなっている。それでも、結婚前の女の子にしてはやはり幼い。これは「基本的なキャラクターを崩したくない」という舞原監督のこだわりなのではないか、とも思うが、ともかく、そのへんの微妙さ加減がいいのだ。
このシーンでは、ビルの画面に映ったミオを見上げるうさぎや、ピエロに襲われるうさぎを、背後から捉えたショットがある。髪を両脇でお団子にまとめて、しかも背中の開いた服を着ているので、うさぎの、うなじから背中までがよーく見えるのだ。別に全然いやらしい服ではないのに、嫁入り前のムスメのきれいな背中の、ホクロまで確認できる。こういうの、もうおぢさん、小松さんのグラビアより感じちゃいます。舞原監督もきっとそうだ。
(2)アイアイモールは、東映特撮でよく使われるロケ地だ。高丸監督のAct.25だけ観ると、どうってことない公園みたいに感じられるが、店舗に囲まれた円形の広場の一部に、階段とか石垣とかが立体的に配置されていて、演出次第では面白い効果を発揮できそうな空間である。そして『Special Act』の舞原監督は、そういう特性をよく活かしている。まずはピエロ軍団を、起伏に富んだ舞台のあっちこっちに登場させる。フラットな公園スペースで通行人に花を渡すピエロもいれば、階段で曲芸を披露したり、石垣でおどけてみせる者もいる。カメラはそれをさーっとなでる。ピエロ役者がたった十名そこそこそとは思えない賑やかさだ。つぎにそのピエロが油断した人々に襲いかかるシーンは、階段の上の方からの俯瞰で、逃げまどう通行人を画面の手前や奥手に捉える。画面奥には、襲われた群衆が蜂の巣をつついたような大騒ぎ、手前では、はいずるように階段を横切って逃げる別の被害者がいる。
正直なところ「謎のピエロたちの出現で恐怖に突き落とされた街」を表現するには、敵も被害者も、圧倒的に役者の人数が足りないのだが、奥行きのある画面に人物を散らすことによって、実際以上のスケール感を与えることに成功しているんじゃないだろうか。
(3)ウルトラマンにはない、東映特撮ヒーロー独自の魅力のひとつに「生身の戦い」ということがある。ウルトラマンの場合、巨大怪獣と戦うためには、自身も変身して巨大化するしかない。でも相手が等身大の怪人ならば、生身で戦うことも可能だ。
かつての仮面ライダーたちは、みんな初めから変身はしなかった。普段は大抵、まずショッカーの戦闘員がわらわらと現れて、本郷猛は変身せず、そいつらをひとしきりバッタバッタと倒していって、それからおもむろに見得をきって「変身!」するのである。そういう演出もあって、昔のヒーローは、変身前から十分にヒーローだった。だから藤岡弘、や宮内洋は、本郷猛であり風見志郎であると同時に、変身前から、すでにライダー1号やV3に他ならなかった。特に宮内洋のキャラクターは強烈で、彼を主役に、変身後よりも変身前のヒーローの魅力に重点を置いた『怪傑ズバット』なんて作品まで作られた。
そういうのを刷り込まれて育ったおぢさんたちにとって、やはり最近の仮面ライダーは食い足りない。そもそもザコの「戦闘員」があまり出てこないので、本命の怪人が姿を現わすと、主人公はすぐにライダーに変身してしまう。しかも最近のイケメンのお兄ちゃんたちは、藤岡弘、や宮内洋みたいな「オレは変身ヒーローだ。普通の人間じゃないんだ」という濃厚な(ちょっと濃厚すぎる)「ヒーローの自覚」をビタ一文持ち合わせていない。まあこれは、話自体がそういうふうになっているのだから本人たちの責任ではないけどね。
ところが沢井美優は、変身前から、たぶん藤岡弘、や宮内洋に匹敵するくらいの「変身ヒーローの自覚」を持っている。どうしてかというともちろん、セーラームーンはマスクをかぶらないので、アクションシーンも(もちろんスタントは使うけど)基本的にやらなくちゃならなかったからである。でも他の戦士たちの「ヒーローの自覚」がそこまであるかというと、そうとも思えないので、やはり沢井さん自身のうちに、もとから藤岡弘、や宮内洋と同じくらい濃厚な「ヒーロー魂」があったのだと思う。
ただテレビシリーズ本編では、いちおう(顔はそのままだが)メイクアップしてセーラームーンに変身してからの活躍が主だった。でもこの『Special Act』のうさぎは、もう変身能力を失っている。だからピエロたちとも、生身で戦わなければならない。ここのところで、沢井さんのヒーロー魂がスパークして、もう変身できないにもかかわらず、逃げられずに泣いている少女を救いに向かうのである。生身のうさぎちゃんの戦いだ。
ということで、ちょっと書き足りないけど『ゴーオンジャー』の時間になりました。また来週。