実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第129回】Special Actの巻(1)

小池里奈 写真集 里奈日和

小池里奈 写真集 里奈日和


年明け早々、沢山のお年賀コメントをいただき、ありがとうございました。二度も年賀のご挨拶をいただいた方もいらっしゃいましたが、まあお互い、お屠蘇気分ということで。それからNakoさんにおかれましては、お誕生日おめでとうございます。おいくつになられましたか、とか、そういうことは決して聞きませんからご安心ください。
さて年末年始にこのブログが初めてトライした連続更新記録は、昨日1月2日に更新をさぼって、4日でストップしてしまいました。雨の日も風の日も、いやなことやつらいことがある日も更新を怠らない『M14の追憶』や『ぽんたのエスティマ日記』は、本当に偉大だなとしみじみ思う。と思った矢先の、1月2日の『M14の追憶』には大笑いしてしまったが。
あと、突然だが、長瀬智也君に心から助言する。あなたも含めてTOKIOのメンバーって「交際中」とか「結婚か」とか、かなり盛り上がったすえに、結局うまく行かずに破局することが多いね。いやプライベートなことに口を突っ込んで済まないが、でもあなたも今年で30だ。もし真剣に結婚する気があるなら、メンバーでいちばん齢下だからとか、そんなことを気にせず、ここらでマジメに今後を考えた方が良い。私がする話じゃないが、なにしろジャニーズ事務所の人気者が結婚するっていうのは大変なことだ。
だからやっぱり、シブがき隊の薬丸さんとか、キムタクさんとか、アイドルとの「できちゃった婚」で、うまく結婚までこぎつけた先輩に相談してみると、すごく良いアドバイスがもらえるんじゃないかと、おじさんは思うぞ。大丈夫、今なら「できちゃった」はトレンドだし、あなたの実力なら絶対イメージダウンにはならないから。ぜひともがんばってください。

1. 「あれから4年後」の小池里奈(4年前)


さて余談はともかく、『Special Act』レビューだったね。しかしこのお話、のっけから次々にチェックポイントが出て来る。まずオープニング。カメラがうさぎの家の表札をとらえると、画面は屋内のダイニング・キッチンに切り替わる。テレビシリーズでおなじみだった、月野家の朝の光景だ。と思いきや、朝のワイドショーが流れる台所でトントンと玉ねぎを刻み、朝ご飯の支度をしているのは、ママではなくてうさぎだ。結婚を一週間後に控えて花嫁修業ということでしょうね。
実にどうでもいいことだが、このとき、ダイニングのテレビのなかで「HOTも〜にんぐ」という番組の進行をやっているのは武田あかりさん。NHK教育テレビ『まちへとびだそう』や『高校理科A・B』のレポーターで、局所的には有名な方である。最近では「西武園けいりん」のホームページで「競輪を、もっと身近に感じて欲しい」というコンセプトの「競輪ショートムービー」なるものを配信している。果たしてどれほどの需要があるかわからないが、ファンにはたまらないコスプレ集だ。いちおうリンクを張っておく(ここ)。
で、そこへ入って来たのは、うさぎと進悟ではなく、ママと人ルナである。ここが最初のポイント。
作品世界内では4年が経っているのに、ルナにはほとんど変化がない。現実世界での小池里奈さんの成長ぶりを知っていると変な感じがするが、しかしルナってもともとぬいぐるみなのだからと考えれば、別に不思議ではない。少なくとも「4年前」とまったく同じ進悟がここに居るよりは、まだ説得力がある。たぶん進悟ではなくルナを出したのはそういう理由だと思う。実際、ラストのチャペルウェディングで、中学生になったことを強調するためにぶかぶかの学生服を着ている進悟の方がおかしい。ひょっとして舞原監督、それをごまかして視聴者の目を牽くために、ママと一緒に号泣するうさぎの父親(田崎竜太)をすぐ隣りに配置したんだったりして。
それでも、このオープニングに、まずちょっと引っかかる。どうしてかというと、この月野家におけるルナのなじみ方は、どうしてもアニメ版『R』のちびうさを連想させるからだ。アニメのちびうさは、未来から来たうさぎと衛の娘なのに、こちらの世界では育子ママの娘として、うさぎと姉妹のように暮らしているのだ。
この冒頭で、ママと一緒に朝食のテーブルにつくルナは、まるでチビうさだ。すでに長いこと月野家に住み着いているとしか思えない。でもどうやってそういうポジションを得たのか。いくらあのママでも、素性の知れない女の子をすんなり引き取ったりはしないだろう。とすると、やはりアニメ版『R』のちびうさのように、ある種の催眠術を使って「両親の都合で一時的に月野家に引き取られることになったうさぎの従姉妹」というニセの設定をママ(やパパや進悟)の記憶に刷り込んだのだろう。でも、何もそこまでする必要はない。ルナは普段はぬいぐるみの猫としてうさぎの部屋にいて、外出したとき、必要に応じて人間体になればいいのである。まあとにかく、もともと実写版のルナ人間体って、ちびうさの代替物だったわけだが、それをさらにちびうさっぽく演じさせてみたのが、この冒頭の食卓の場面と言える。そんなことをごちゃごちゃ考えてみますと、どうもその「実写版ちびうさ」を演じさせることに、このシーンの本来の目的のひとつがあった、とさえ思えるのだ。

2. いちばん普通なまことの問題


そんなママとルナを振り向いて、うさぎが笑顔で「おはよう」と言ってストップモーション。ここで、前回も引用した「あの戦いから4年。戦士だった私たちも、今は普通の女の子してます」というモノローグが入るわけだが、しかし昨日のM14さんのコメントをお読みになれば分かるとおり、誰ひとり「普通の女の子」じゃありませんって。現実世界の2004年に14歳、中2だった女の子は、「普通」だったら、この2008年の春に大学や短大を受験したり、就職活動をしたりするのだ。悩める年頃である。
アメリカに留学して最年少ドクター目前の亜美、京都で巫女だか修験道だか真言密教だかの修行に没頭するレイ、国際派アイドルとしてロンドンで「グリッター賞」を受賞する美奈子の3人が、これっぽっちも「普通」じゃないことは言うまでもない。結局うさぎは、どうも自分のことを「今は普通の女の子してます」と言っているらしいのだが、しかしもう婚約者がいて、卒業してすぐに結婚する予定の女子高生というのも、今日の常識に照らし合わせるならば、かなり「普通」じゃないと思いますけど。
唯一「あこがれのフラワーアレンジメントの仕事につけるように、猛勉強中」のまことが、まあ何とか普通に近い。でもこれが逆に、作品世界的には、最もひっかかる部分なのだ。いきなり「あこがれのフラワーアレンジメントの仕事」って、まことがそんな仕事にあこがれていたなんて、本編には説明がまったくなかったではないか。
もちろん、もうだいぶ前の【第11回】に書いたように、グリーンのコスチュームにピンクのリボンをあしらった木星の戦士セーラージュピターは、基本的に木とか花とかの植物属性である。この人は戦士として(1)フラワーハリケーンなどの植物系の技、(2)大柄な身体から繰り出されるパワー、(3)シュープリームサンダーなどの雷系の技、という3種類の特性をそなえている。もちろん(1)の「植物系」という連想は「木星」や「木野」という名前から、(2)の「大柄」というのは木星が太陽系で最大の惑星であることから来ている。そういう意味では、こっちの方がわかりやすいはずなのに、むしろまことと言えば何よりも(3)「雷の戦士」というイメージが定着しているのは、アニメの設定がそっち優先になっているからである。
ご存じのように実写版は、それをかなり「植物系」の方向に向けて修正した。安座間美優の均整のとれた肢体は、アニメで定着した「大柄でガッチリした体格のまこちゃん」とは違うしなやかなイメージを作り出していたし、実写版には、アニメでは出なかった原作の技「フラワーハリケーン」も復活した。また初登場回となるAct.6や、失踪した亜美の居場所を探そうとするAct.21、戦士の力に目覚めるAct.31などに、風にそよぐ木々のざわめきと、それに耳を澄ますまこと(ジュピター)の映像を挿入して、彼女が「風と木の戦士」であることが強調されている。以前cap5lpさんからうかがったところでは、西洋の魔法の体系では、雷は風の魔法の一部だそうである。だから実写版の木野まこと(安座間美優)こそ、「雷の技も操る、大柄な植物系の戦士」というすべての要素を過不足なくまとめた、最もパーフェクトなセーラージュピターだと思う。

3. つまりは番外編ということなのだが


そういう事情を前提とすれば、『Special Act』のまことが「あこがれのフラワーアレンジメントの仕事につけるように、猛勉強中」であるのも、あながち唐突とは言えないだろう。がしかし繰り返すが、テレビシリーズ本編中に、そういう描写はなかった。
原作のまことは、料理はあくまで個人的な趣味の範囲であり、学校での所属は園芸部だったのである。これに対してアニメのまことは、料理研究会かなんかに入っていた。実写版のまことはそもそもクラブ活動なんかやらないわけだが、でも転校早々、可愛いお弁当を自作していたり、ダーク化しかかった亜美におかゆを炊いたり、元基にカレーを作ったり、家出したレイと亜美にお重を作ったりと、お料理上手であることを示すシーンは、わりと繰り返し出てくる。一方、独り暮らしのベランダでガーデニングをやったりとか、花屋でバイトしたりとか、クラウンの部屋に鉢植えを持ち込んだりとか、そういう描写は一切なかった。その意味で実写版のまことは、「お料理上手で家庭的」だが園芸部所属ではないアニメ版のまことの流れを汲んでいる。だとすればここは、そういうテレビシリーズで定着したイメージを利用して、たとえば「ケーキ屋さんを目指して特訓中で、うさぎのウェディングケーキを考案中」ぐらいの設定にしておけば分かりやすいと思うのだ。でも実際には「あこがれのフラワーアレンジメントの仕事を目指して勉強中で、うさぎのためにウエディング・ブーケをデザインしている」のである。
まあこれも、話を最後まで観ればどういう主旨かは分かる。冒頭でまことが、カメのぬいぐるみを傍らに置いてウェディングブーケをデザインしている。そしてラストでは、結婚式を終えたうさぎがそのブーケを投げて、それを元基がキャッチして、まことにプロポーズするのだ。うさぎの恋の成就を心から祝って作ったブーケが、プロポーズの言葉と共に自分に還ってくる。いつも自分のことは棚にあげて、他人のためにばかり尽くしているまことの無償の善意が、最後に彼女自身に幸福をもたらしたのである。恋愛に奥手な「歩みののろいカメ」と、そういう彼女を愛してやまないカメ愛好家のようやくのゴールイン。その時のまことのグリーンのドレスが、なんかAct. 41のカメの着ぐるみに見えてしまうのはご愛敬である。まあともかく、これはブーケあってこその演出だ。
だから目くじら立てて言うような話じゃないのかも知れない。ただ、冒頭わずか数分のうちに、「月野家の一員としてすっかりなじんでいるルナ」「前からなりたかったフラワーアレンジメントの仕事にむかって勉強中のまこと」という(原作やアニメを観ていれば違和感ないけど)テレビシリーズには少しも触れられていなかった設定が次々に出てくるので、観ている側としては「やはりこの話は、あくまで番外編であって、テレビシリーズ本編のストレートな続編として捉えるべきではないな」と思わずにはいられない。いわば仮面ライダーの劇場版みたいな世界である(今年の『電王』はストレートにテレビ本編とリンクしていたが)。そしてこの後、うさぎと衛が喧嘩した夜、ルナがシルバー・ミレニアムのクイーン・セレニティと交信するという、これまた原作もアニメも知らない人は「?」と首をかしげずにはいられないだろう、究極の裏設定が出てくるわけだ。
とにかく、東映公式ページに

企画段階では、「Final Act(仮)」と銘打たれてたストーリー。「これがホントの最終回!」というつもりで、鋭意制作中です。

と書かれていたこの『Special Act』であるが、単純に「テレビシリーズの最終回」として構想された話であるとは、どうにも思えない。そのへんのことについては【第88回】の「3. 番外編の流儀」でも触れたし、またその理由として、この『Special Act』は本来、実写版セーラームーンの「劇場版」として企画されていたものではないか、という想像(妄想)も以前の日記に書いたが、これを機会にもう一度、「番外編」としてのポイントも少し整理してみたいと思う。というわけでお正月特別スケジュールは本日で終了。次回は来週末から、また週一回更新ということで、ひとつ本年もお願いします。
 ところで冒頭の、アメリカ留学中の亜美ちゃんのシーンで、何か分からないが難しい手術を成功させた指導教授(?)のドクター役を演じている「ウォルフガング・レルツレ」って人については、情報が皆無である。実写版の外人キャストには、どうしてこうも謎の人物が多いのだろうか。