実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第82回】DVD第1巻:Act.1の巻(前編)


 今年も関西支部と名古屋支部の間に緊張の糸が張りつめる季節がやってきた。たぶん今年もそれは秋まで続く。実は私、学生時代に関西に住んでいたころは、消極的に近鉄バッファローズを応援していた。でもこっちに引っ越して、名古屋弁もよく分からなかったしトヨタの車も持っていなくて、ドラゴンズを通じてしか、地元の方々とコミュニケーションがとれなかったのである。というわけで今週から来週にかけて、阪神VS中日戦が6試合も行われる。そして私の周囲には、これを勝ち越せば交流戦までは首位でいけるぞ、という期待の空気がみなぎっております。一方ぽんたさんは広島まで応援しちゃっているよ。ははは。

1. メイクアップしようよ


 さて実写版の再放送も終わって一段落ついたので、心機一転、ここら辺でちょっとブログデザインをいじってみようと思います。背景色とか、日記の題も変えてみようか。たいして考えずにつけたものだし。「Leo16@PGSMリターンズ」とか、「Leo16@PGSM踏み逃げOK!」とか、「Leo16@PGSM美しい素肌は自分で作る!」とか、いや最近ニキビに悩んでいる娘が読んでる本が近くに投げ出してあっただけで。まだ小学生なのにね。
 それから、かなり適当に毎回のタイトルをつけてきたので、上の方の小さな「日記一覧」をクリックしても、題名だけではいったい何のことが書いてあるのかさっぱり分からないような記事が多い。だからカテゴリ分けとかしてみようと思う。まあ[再放送レビュー][セーラームーン関連][実写版の周辺]ぐらいのカテゴリを立てれば十分カバーできるはずだ。で[再放送レビュー]には第何話のレビューか分かるように明記する。それから日記の表示形式も、今は過去5回分の日記まで遡って表示されるように設定しているけど、長いですね。そんなこんなで、しばらく試行錯誤すると思います。ある日とつぜん見慣れないデザインに変わったりしているかも知れませんが、驚かないでください。遅くとも連休明けには落ち着く予定です。

2. あんたまだやる気か?やる気だ


 で、その間は小ネタでつなごうかと思っていたのだが、人間、慣れというのは怖ろしいモノで、最終回の再放送から1週間が過ぎ、10日が過ぎると、なんかこう、欲求不満というか、夜中に身体がうずいて、つい手が伸びてしまいました。いやDVDにですよ。それで第1巻を取り出し、Act.1を観てしまいました。
 観ればまた様々な感想が浮かぶのである。そう言えば去年の今ごろは、まだこんな詳しいレビューを最終話まで書くつもりなんて全然なくて、Act.1の記事なんてごくあっさりしたものだった。だから書こうと思えばまだまだいろんなことが書ける。よし、じゃあ再放送も終わったし、今度は、この日記のメイン記事は、DVDでAct.1から順番に全話レビューだ!
 というわけで、今回からこのサイトは「DVDで実写版鑑賞日記」を中心に、実写版やセーラームーン関連の色々な話題を挟みながらやっていくということで、ひとつよろしくお願いします。で、今まであまりやっていなかった妖魔の検証とか、ルナのCGや「待ちなさい」の統計とかを、より完璧なものに近づけたいと思う。

3. セーラーV参上


 さて再びAct.1だ。嬉しいな。この1年の間、セリフやシーンを確認するために観なおしたことはあったが、きちんと通して鑑賞したのは久しぶり。で、落ち着いて観てみると、やはり田崎竜太監督の演出はいいなあ。私の場合は、『仮面ライダーアギト』の劇場版を観て、アクションとドラマのメリハリも的確に、実にてきぱきと物語を運ぶ手腕と、截然とした画面の組み立て方に感動した。だからAct.1に名前が出たときは、期待も高まった。
 実際、冒頭から冴えてますよね。夜空に煌々と輝く巨大な月、警報ベルの響き、暗闇にひらめくマント、ジュエリー・ショップの破られたショーウインドウ。駆け抜ける謎の影から音を立ててこぼれ落ちる宝石。タキシード仮面が立ち止まって見上げれば、月を背にポーズをとるセーラーV。の太もも。
 美奈子=セーラーVは、何と言ってもセーラームーンの原点であり、武内直子の愛着もひとしおで、だから1995年ごろ企画されたオリジナル・ビデオ・アニメ『コードネームはセーラーV』(全4巻)がダメになったとき、原作者はかなり落胆したようだ。そのことは新装版のコミックスのあとがきでもちょっと触れられている。
 一般的には、セーラー万年筆が「セーラーV」という名称を商標登録していたため、この名称を使えなかったのでアニメ化の話が頓挫した、ということになっているが、それはどうだかねえ。だって、2004年にリリースされた実写版『Act.ZERO/セーラーV誕生!』の時、べつに使用権をめぐるどうのこうのという話なんかまったく聞かなかったじゃないですか。
 本当の理由はもっと違うところにあると思う。1995年といえば、アニメ版セーラームーンは『S』から『SuperS』に入ったころだ。ややピークを過ぎたとはいえまだまだ人気は絶大で、ファンは当然、テレビアニメ版に近い内容を期待する。しかし武内直子は、このOVA『セーラーV』こそは、テレビ版とは違う、原作寄りのテイストで行きたい、と考えて、佐藤順一や幾原邦彦のカラーは排するように、とか注文を出して、そのあたりの意見調整が最後までうまくいかず、企画が流れたんじゃないかな。相変わらずの邪推ですが。
 そういうことをあれこれ考えながら観ると、このアヴァン・タイトルのセーラーV対タキシード仮面、このシーン一発で、実写版は美奈子びいきの原作者の信頼を勝ち得たのではないかと思う。正直いって最初はいろんな意味で驚かされたが、改めて観ると、何とも形容しがたいヴィジュアルとシャープな演出、そして仮面で顔を隠してもやはりキュートな小松彩夏の魅力が、理想的な実写版セーラーVをつくり上げている。原作を彷彿とさせると共に、原作路線をさらにバージョン・アップしたセーラーVになっていて実に気持ちよい。Act.ZEROもこんな感じでやってくれてりゃな。
 今回はセリフなしだが、ついでに書いておく。原作漫画『コードネームはセーラーV』のアルテミスは美奈子のことをいつも「美奈、美奈」と読んでいる。なぜ「子」をつけないかというと、これは本来「こ」ではなくて「す」と呼ぶべきだからで、「美奈子」→「みなす」→「ミーナス」→「ヴィーナス」という語呂合わせなのだ。実写版のアルテミスは「みなこ」と呼ぶのでそのあたりの事情が分かりにくい。そこをフォローすべく、小松彩夏は、かしこいお友だちなら分かるように、わざと「ヴィーナス」と発音せず、鼻にぬける発声で「みーなす・ぱわー!」とかけ声をかけるのである。この細心の演技プランを、岩手なまりと勘違いしていたオロカモノは、今からでもひそかに恥じるがよい。

4. なるちゃんの得意料理はカツサンド


 Act.1の主役は3人いる。セーラーVと、うさぎと、なるだ。個人的には渡辺典子の大阪まゆみも入れたいが、それは我慢しよう。セーラーVは冒頭だけの出演だが、インパクトは十分だし、なるは今回、文句なしに主役級である。遅刻して春菜先生に怒られるうさぎを見守る笑顔や、居残り掃除をさせられたうさぎのために雑巾をもって入ってきたときの笑顔の魅力については、語るまでもない。というかもうこの日記にもすでに書いた。あと注目ポイントとしては、クラウンのカラオケ。「C'est la vie」を歌っているのはうさぎだけで、なるはにぎやかしである。カラオケに誘ったのは、遅刻して怒られて掃除させられてしょげているうさぎを元気づけるためなのだ。この友情。
 そして、これから何度か妖魔に襲われる受難を受ける彼女の、初のピンチ。前夜、ジュエリーショーの準備が押して家に帰れそうもないというママからの電話に、なるは健気にも「大丈夫?明日なにか差し入れしようか。何がいい?」と尋ねる。「なるの得意なカツサンドがいいな」「了解しました」。
 ただのサンドイッチではない。カツサンドだ。カツにもソースにもパンにもそれぞれこだわった、サクサクおいしいカツサンドに違いない。得意料理なのである。で、それをママのところに持っていったときの演技も素晴らしい。っていつの間にか、なるちゃんではなく河辺さんを誉めているが。すでにママは妖魔に取り憑かれているのだ。

ママ「ここは関係者以外立ち入り禁止よ」
なる「ママ、何いってんの?」
ママ「…見間違えたわ…何か用?」
なる「え、だってこれ」
ママ「何?」
なる「憶えてないの?昨日もってくるっていったじゃん」
ママ「あ…そうだったわね…」
なる「中身、言ってみて、ママがリクエストしたんだよ」

 妖魔の初出現であり「見た目はママそのものなんだけど、ママじゃない」なんて状況を体験したのは初めてのはずだ。それなのに直ぐに異変に気づいて、しかも即座に機転をきかせて「中身、言ってみて」である。すごく勘が良いし、頭が良い。そして「早くよこしなさい。ママは忙しいの」と迫られると、「違う、ママじゃない!誰?」と叫んでその場を飛び出す。不幸にしてジェダイトと出くわして眠らされてしまったけれど、それがなかったら、ちゃんと逃げられたはずだ。戦士でもない人間の反応としては非の打ち所がない。私はAct.15で、うさぎ本人よりも早く衛に対するうさぎの気持ちに気づいたなるのことを「勘が良い」と讃えたが、すでにそういうキャラクターはAct.1でしっかり描かれていたのだ。そして、最初ママに向けた笑顔が曇り、それが次第に疑惑の表情になり、不安と恐怖を感じて逃げ出すまでの芝居もいいなあ。沢井美優も初回から良い演技をしているのだけれど、やっぱりAct.1はなるちゃんの回だ。

5. で、話はまだ終わらない


 第1回ということもあって、おそらくこのAct.1は、原作漫画およびアニメと最も共通点の多いお話である。それだけに、どこがどう違うかを検証するのも面白い試みだと思う。基本的な違いはすでに書いてしまったけれど、これからもういちどアニメ版をじっくり観て、原作を読んで、再考してみたいと思います。というわけで今回はこれまで。次の更新は週末かな。
 いやあ、再放送と違ってビデオなら、あせって毎週1話ペースに追われることもないし、途中で別の記事が書きたくなれば中断も出来るし、のんびりじっくりやれそうなので、なんだかすごく楽になったぞ。訪問者はどんどん減っていくだろうけどな。