実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第41回】やったーバースデイ当日に日記更新だー!の巻(Act.26)

1. 「ゴルフ中継」問題に関するお詫びと釈明



 小松彩夏カレンダーイベント、小枝(MIO)の生存確認情報とまた色々あったようですが、私、外回りに行っておりました。そのあいだ前回のコメント欄にやや不親切な書き込みをいたしまして、一部の方の出張スケジュールに影響を及ぼしたかも知れませんこと、まずお詫びいたします。
 ぽんたさんがコメント欄に「リアルタイムでやっていた時は、Act.26の翌週は、ゴルフ中継でセラムンがお休みだったはず」と書き込んでくださったのを見て、「そうだったか」と初放送時のビデオをチェックしたら、確かに最後に『来週のこの時間は「2004マスターズゴルフ」をお送りします』と出ていたので、そのことを書いたのです。ですが、これが今回の再放送のスケジュールと混同を招いてしまいました。説明不足でした。いまのところ「亜美ちゃんお帰り」Act.28は11月1日深夜、2時15分の再放送予定です。もっとも11月の番組表は、CBC公式を初め、まだ正式には出ておりません。もし万が一のことがあったらできるだけ早くお伝えします。ということで、これを狙って名古屋に出張されるという方、よろしく。
 言い訳になりますが、初回放送のゴルフ中継のことをわざわざチェックしたのは、つまり「初放送時には、Act.26(2004年4月3日)とAct.27(4月17日)のあいだの4月10日にセーラームーンの放送はなかった」という事実を確認しておきたかったわけです。
 Act.14(2004年1月10日放送)は「明けましておめでとう」、Act.19(2004年2月14日放送)はバレンタインデーと、これまで現実の時間と同時進行していた実写版の世界ですから、もし4月10日に放送があれば、この週に学校の始業式や、新しい担任の先生や、クラスメートとの別れや出会いを体験したばかりの子どもたちは「うさぎちゃんたちは中学3年生になったの?ならなかったの?」と疑問に感じたかも知れない。でもそれを「一回休み」という裏技でかわして、さらにセーラールナ登場という目くらましも用意して、物語は「新学期」を無視して進んでいった。そう考えると初回放送時の休みは「ゴルフの中継が入ったから」という消極的な理由によるものばかりでもなかったのではないかと、まあそんなことを考えていたんです。というわけで本題。

2. 前世との決別宣言が静かに行われる



 2006年10月18日深夜2時15分、Act.26再放送。今回のエピソードは、初めて見たとき、ある意味もっともスカされた回だった。つまり前回のラストで、ほぼ原作どおりにプリンセス覚醒のシーンが再現され(といっても原作の方は二人とも空中に浮かんでいて、銀水晶の光で東京中の夜空が明るくなってしまうなど、かなり派手だが)、今回のアヴァン・タイトルは、過去の物語を語り始めるルナのナレーションをバックに、いきなりCGを駆使した月と地球の映像。そして地球の宮殿のバルコニーでエンディミオンとプリンセス・セレニティが月を見上げると、主題歌だ。これはもうひょっとして、一回まるごと前世の話に費やして、それを想い出した現世のプリンセスと戦士たちのアップに戻って終わるんじゃないか。私はそんな風にさえこの回の展開を予想した。

 ところが主題歌が終わった直後に、いきなりうさぎは「ちょっとやめてよ、まこちゃん、レイちゃんも。プリンセスって言われても、私、ぜんぜんピンと来なくて」だ。一応ひざまづいたまこともレイも、態度は非常にアイマイで、実はプリンセスも戦士たちも、誰ひとり前世の記憶を確実には甦らせていない!これには本当に驚いた。ここで過去世を想い出させないでおいて、いったいこの先どう話を進めるつもりなのか。要するにこの時点でまだ私には、前世というテーマに対して小林靖子がどんなスタンスで臨もうとしていたか、ほとんど見えていなかったのである。
 そういう意味で、ヴィーナスの「想い出したんじゃないの?」という当惑は、まさしく観ているこちらの気持ちを代弁するものだった。だから今回は、ヴィーナスのセリフのおかしなところを突っ込むのは止めておきます。本当は、リーダー宣言してレイに「あなたはサブよ」と言うなら、単独行動は終わりにして、ちゃんとリーダーとしてみんなをまとめなきゃいけないだろう、とか、「問題はマーキュリーよ、早く取り戻さないと」って言ってるけど、アンタ前に「マーキュリーを倒せ」って言ったんだから、まず「それは間違いだった」とひとこと詫びるのがスジだろう、などとも思うのだが、もういいや。ぽんたさんの坊やの不意打ちをみごとにかわしたという小松さんの「ヴィーナス魂」に免じて、いまは多くを問わないでおく。ぽんたさん(というか娘さん)日帰り強行軍おつかれさまでした。東海代表として行かれた(のか?)StreamKatoさんはじめ皆様方も。
 一方ダーク・キングダムでは、ベリル様の寵愛をますます独り占めするジェダイト、クンツァイトにからかわれるネフライト、そのクンツァイトを悩ますゾイサイトのピアノ、と続いて、今回「前世の崩壊した地球で絶叫するクンツァイト」という、これから何度も繰り返される窪寺君渾身の回想シーンが、ついに登場します。

3. 久しぶりなのでママのことを考えてみた


 さてうさぎはルナから「プリンセスと王子の恋は星を滅ぼす」と告げられる。その理由は、うさぎ自身の記憶が戻らない限り明らかにはならないというが、とにかく、陽菜にとって衛がどれほど大事な人かは、前回の事件でうさぎにも分かったし、二人はもうすぐロンドンへ行く予定だ。だからこのまま身を引いて、自分さえ気持ちの整理をつければ、ルナの忠告を守ることにもなる。それでいいんだ。とムリヤリ納得することにして、笑顔を作って家へ帰っていく。ママは久しぶりですね。Act.21でまことに塩辛入りオムレツをご馳走しようとしたとき以来だ。進悟にいたっては、いつから出てきていないかすら憶えていないよ。すまない。


マ マ「お帰り。手、洗いなさいよ、手」
うさぎ「子供あつかいしないで、プリンセスなんだから」
マ マ「はーい。失礼いたしました。うさぎ姫」
進 悟「ま、うさぎがプリンセスやれる国なんて、地球上にないね」
うさぎ「そうだよ、月だもん」
進 悟「お前が餅なんだろ」
うさぎ「なによ〜」(進悟が遊んでいたゲームボーイを取り上げる)
進 悟「あ、やめろよ、失敗するだろ、返せよ。おい、こら、うさぎ」

 小林靖子はこういうふうに、前世の物語が出てきたところで、月野家の光景を挿入して「私の実写版はあくまでも前世の物語に終始しないわよ」とにらみをきかせているわけだが、私なんか、ここにパパが入ればなあ、とちょっと思わずにはいられない。実写版のこのシーンは原作の、旧版で言うと(旧版しか持っていない)第2巻と第3巻の、ふたつのシーンを下敷きに書かれていると思う。最初は、まだプリンセスとしてめざめるまえのうさぎが、夢の中で徐々に前世の記憶を想い出して「エンディミオン!」と叫んで朝の6時に目がさめてしまう、という場面。制服に着替え、あくびをしながらダイニングに降りると、朝のジョギングを終えてジャージ姿のパパがいる。

パ パ「おおっ。どーしたっ!?こんなはやおきして。なんかうさぎじゃないみたいだぞ」
うさぎ「そうよパパ。いままでのうさぎは仮の姿だったの」
パ パ「へえ?じゃ真の姿は?なんなんだ?」
うさぎ「うふふふっ……正義の戦士、セーラームーンよっ!」
パ パ「ほーほー。それではやおきを」
うさぎ「ほんとよっ。うさぎでもあるし、セーラームーンでもあるのよ」
パ パ「そーかそーか」
うさぎ「んもーっ。しんじてなあいっ(ぐすん)」
(…あたしって、うさぎとセーラームーンと、どっちがほんとのあたしなのかしら)

 原作のうさぎはすでにこの時、タキシード仮面の正体を知って衛とラブラブにはなっているが、それは「あこがれのタキシード仮面がこの人だった!」というくらいの感情で、まだまだ無邪気なうさぎちゃんである。ところがその後、プリンセスとして覚醒し、衛との恋も前世からの運命であることを知って、様々な意味で成長する。そんなうさぎだが、それでも家では進悟と二人でテレビゲームをやったりしている。一見、無邪気そうな姿に見えるが、パパは複雑だ。娘の変化に確実に気づいている。

パ パ「なあママ」
マ マ「なあに?パパ」
パ パ「ときどきうさぎが別人みたいに見えるよ。知らないところでオトナのオンナになって、すぐにでもいなくなりそうだ」
マ マ「そんなわけないわっ!…うさぎはいつまでも、あまえっこのウチのむすめよ…」
(ふたりはテレビゲームに夢中のうさぎと進悟を見やる)

 実写版ではパパが出てこないので、森若香織のママはひとりで強力な光源となって、亜美やレイやまことの家庭環境とは対照的な「明るい月野家」を演出しなければならない。そのため、基本的にはおバカモードのうさぎをパワーアップさせたようなテンションで全編を演じきっている。そうではないママというのは、Act.5で亜美が倒れたので、なるを家まで送っていくと言う場面、それからAct.10でケンカして飛び出したうさぎを見送りながら、進悟が「これは家出パターンかな」とつぶやく時、その背景で、ちょっとだけ娘のことが心配というふうに目を伏せているシーン(しかしカメラは進悟にピントを合わせているのではっきり表情はうかがえない)くらいではないか。あと同じAct.10で、プチ家出から帰ったうさぎを「お帰り」と気持ちよく迎える場面には、母親らしい包容力を感じることができるが、まあそんなもんだ。
 パパも出張が多くて淋しくなりがちな家を、明るく力強く切り盛りしているママ、そんなママが大好きなうさぎ、それはよく伝わるのだが、本当はうさぎのことをいろいろ心配してもいるし、でも努めて明るく振る舞っている、という一面ものぞかせてくれれば、もっと良かったのになあ、と私は思ったりするわけです。たとえば今回「子供あつかいしないで、プリンセスなんだから」といううさぎを軽くいなして、でも後で、進悟とゲームの奪い合いをするうさぎをちょっと複雑な表情で見守るママ、とかね。でもそういう描写を入れた場合、ママの内面をフォローするには、どうしてもパパの存在が必要だ。パパと二人でうさぎのことをしみじみ会話するママ。それがない以上、実写版のママはこういうふうにしかなりようがなかったのかもね。というわけで、これは私の無い物ねだりの話でした。まあ、ママについてはもう少し考えるところもありますので、そのうち、森林公園の回とかになったら、また書きます。

4. まことはなぜ「領収書」と言ったのか?



今回はこの後、ひさしぶりに元基の「カメ仲間の高井君」が登場して、カメ吉の彼女のマリリンが彼のカメであることが判明するとか、セーラースタータンバリン初登場とか小ネタも色々ありますが(小ネタという感じなのだ。新しい武器なのに)、そういうことは初回放送時からだいぶ話題になっていると思いますので、そのうち有名なアレについてひとつだけ触れておくことにする。
 クラウンに来たまことは、高井君から、衛のロンドン行きが今日で、元基も見送りにいっていることを知らされる。その前日に「出発はあさって」と知らされていたのだが、それは元基のカン違いだったのだ。まことは、すぐさまうさぎを連れてタクシーに乗り込む。
 衛との恋に反対だったまことも、Act.24でうさぎの一途な想いに心を動かされてからは態度が変わる。Act.18で自分がうさぎに言った「こういうことは、やれるとこまでやっとかないと、後悔するよ」という言葉を思いだしたのだろう。それに前世からの因縁もあるという。ルナは不吉だというが、行動派のまことにはそういうわけの分かんないことは関係ない。とにかくやれるところまでうさぎの気持ちをバックアップして、うさぎの「気がすむ」ようにしてあげたい。

 でも成田まで行く途中の渋滞の車のなかで、うさぎもまことも、妖魔が出現した気配を察知する。「うさぎ、あたしが行くからあんたは」「そんなことできないよ。降りまーす」と、料金を払おうともせず「飛鳥タクシー」を降りるうさぎ。まことは運転手に向かって「領収書!」
 みなさん初めて観たときには「領収書って、おまえそれ何の経費で落とすつもりだよ!」とすかさず突っ込みを入れたのではないでしょうか。それともこれは、その直前のシーンでロンドン行きの空港チケットを引き裂いたお嬢様の陽菜との対比か?どう思われますか?
 名古屋支部の見解はこうだ。実写版の設定では、まことは「両親が小さい頃に死んじゃってる」(Act.6)。はじめは親戚か誰かに引き取られたりもしたのだろうが、転校する先々で問題を起こして、それを弁解もしないのでさじを投げられたのだろう、いまは一人暮らしだ。彼女の生活費はどこから出ているか。原作と同じように両親を失った原因が飛行機事故なら、保険金とか慰謝料がおりているのだろうし、あるいは亡くなったまことの両親、もしくは実家がけっこうな資産家で、そこから金が出ているのかも知れない。いずれにせよ、中学生にまとまった金をもたせるわけにはいかないので、弁護士というか後見人のような人がいて、月々の生活費に見合った仕送りをしているのだろう。だからまこととしては「急に友だちが留学すると聞いたのでタクシーで成田まで見送りに行った。でも渋滞で間に合わなかったので途中で降りた」などという特別な出費については、きちんと領収書をとっておいて報告して、そのぶん仕送りに上乗せしてもらうのである。
 ひょっとして誰か、もうそういう説明をしていたらすまない。とにかくこれが私なりに考えた結論である。

5. 輝け19歳!



調子はだいぶ良くなってきてはいるのだが、さすがにちょっと手が痛くなってきたのでこのへんでまとめに入る。今回で物語から退場する陽菜の演出に個人的な不満があることは、すでに第38回で触れたのでもう繰り返さないでおく。後はバトルシーンだ。前にも書いたが、高丸監督は「セーラー戦士たちは人目を忍んで変身する」というセオリーをしばしば忘れる傾向がある。今回も逃げまどう群衆を、二人が変身する直前まで映してしまっていてどうなるかと思ったが、ちゃんといなくなってから変身していました。それに今回のセーラームーン&ジュピターVS妖魔&ネフライトの戦いはなかなか素晴らしいのでOKとしておきます。特にジュピターの流れるような攻撃の連続が心地よい。これについては 第33回の日記のコメント欄にたまらさんが書いてくださっているのでそのまま引用しますが「前蹴り→もろ手突き→側転→とったり→鳩尾責め」だそうです。そしてうさぎのピンチに輝き出すセーラースタータンバリン。たまらさんはジュピターのことを「誰かを護る時に最も輝く戦士なんですよね」とも書かれていて、私には付け加えることばがありませんね。

 そしてセーラームーンも泣かせます。「うさぎ、今だ、早く」と、衛のもとへ行くように促すジュピターに対して「行かない。私、プリンセスだし」。Act.24のときも、ジュピターに敵をまかせて衛を助けに行ったことを思いだしてもいるのだろう、ここに残って戦う決意をする。
 そのとき衛はフライトの時間だ。去り際に「あ、うさぎに」と元基に言い残そうとするが、「いや、いい」。うさぎに何も言わずに去るのは悪い、正直に自分の気持ちを伝えておこう、という気持ちが一瞬よぎったのかも知れない。でもこれまで衛は、陽菜と結ばれることを、子供の頃から決められていた運命だと思って受け入れてきて、その結果、最後に陽菜の気持ちをひどく傷つけてしまった。

 結局、自分の道を自分できちんと考え、選ぼうとしなかったおれのせいだ。今のおれの気持ちは、うさぎに向けられている。でもそれも前世からの運命だとゾイサイトは言った。そうやって「決められたこと」を受け入れるなら、きっとまたうさぎを傷つけるに違いない。それが、ゾイサイトが「不吉」と言ったことの意味であるかどうかはまだ分からないが。
 だから、もう一度自分を見つめ直す。そしておれの想いが本当ならば、前世からの運命とか、セーラームーンとタキシード仮面とか、そういうこととは関係なく、地場衛として、うさぎに自分の気持ちを伝えよう。それがはっきりするまで、いまは何も言うべきじゃない。衛はそう思い直して言葉を呑み込み、ロンドンへ旅立つ。飛行機の中で、隣の席が空いたシートで窓の外を見やる衛。テレビや映画の飛行機の中って、どうしてこんなに静かなんだろう。
 一方、これも見事なハイキックを妖魔に決めて、ネフライトに迫られるセーラームーンのもとにジャンプするジュピター。ムーントワイライトフラッシュとジュピターサンダーボルトの同時攻撃で妖魔を撃退。ジュピターサンダーボルトは初登場だったかな。ともかく、妖魔をやられたネフライトがさっさと逃げ出すと、セーラームーンも「帰ろっか」と去って行く。そんな「うさぎ」を見守り、一歩おくれて歩き出すジュピター。

 あとは淋しげな笑顔で『C'est La Vie』を口ずさみながら歩くうさぎ。飛び立つ飛行機を見送り、背を向けて歩き出して、うさぎの恋はひとまず、静かに終わる。おまけ映像のダーキュリー対セーラールナは、ちょっと余計だったな。予告編に回せばいいのに。
 というわけで、後半の二人の美優さんの演技が深く心に残るAct.26でしたが、その安座間さんもいよいよノンノモデルである。
 まあアイドルの年齢をとやかく言うのも野暮な話ではあるが、現在、飛ぶ鳥を落とす勢いのハリウッド北川さん、どんどん脱皮中のガシュン小松さんはすでに20歳ですし、今回、油断していた我々の虚をついて一躍メジャー街道に躍り出たドコモタケ安座間さんはこのクリスマスに20歳になられる。松下萌子さんなんか、失礼ながらもうすぐ24歳ですよ。そういうふうに考えたら、沢井さんと、あともう一人の女子高生さんだって、まだまだこれからですよ。
 2006年10月23日。沢井美優さん、19歳のお誕生日おめでとう。今年はまだ『眠れる森の美女』がありますね。その後のお仕事の話は、まだ新しいイメージDVDと怖いお話のDVDぐらいしか聞いていませんが、でもセーラームーンでチャンスをつかみ、こんなに女優としての表現力を開花させたあなただもの、きっとやってくれるはず。応援している人も沢山います。次のステップを、来年こそは!


(放送データ「Act.26」2004年4月3日初放送 脚本:小林靖子/監督:高丸雅隆/撮影:松村文雄)