実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第40回】ウォーク・ドント・ランの巻(小ネタ&補遺)


 みなさんお気づかいいただき本当にありがとうございます。まる3日、ちょっと大げさで恥ずかしいくらいきっちり包帯を巻いてテープして、患部の関節が動かないように固定していたらだいぶ良くなって、昨日あたりからちょこちょこコメントとか打ってます。その間、箸が持てないので腹が減りました。私が「箸が持てないとあまり食欲がないなあ」と妻に言ったのは、新婚時代にも経験のない「あ〜ん」というのを一回やって欲しかっただけなんですが、「そう、洗い物は私がするから心配しないでね」とさっさと片づけられてしまいました。いい歳して下らないことを考えるもんじゃありません。
 それはともかく、まだ完全復活というわけでもないので、しばらくは一気に大量に書いてどーんと更新するというやり方は控え、時間を決めて少し書いては小出しにしていこうかな、なんて思っています。ベンチャーズの曲のタイトルではないけれど「走らず、歩け」。なんて古いねどうも。

 

 で、次回なんですが、仕事の都合で週末の更新ができません。そこで、現在Act.26の再放送が始まるのを待っていて手持ちぶさたなもんですから、前回書けなかったことをいくつか手短かにまとめて、来週までのつなぎということにしておきます。ホントはAct.25の陽菜とうさぎについてまだ書き足りないんですが、そのへんの話題を始めるとやっぱり長距離走モードに入って手を痛めてしまいそうなので、今回は小ネタの詰め合わせということにしました。なぜかどれも過去の日記の記述と関連のある話題ばかりです。

1. 高丸監督のコスプレ疑惑について

「実はおれ、本当は気になってたんだけど……陽菜ちゃんの親父さん、お前を引き取って育ててくれた恩人だし、陽菜ちゃんはお前を信じきってるし、そういうのお前、弱いじゃん。でも恩人の娘だからって、もし好きでもないのに結婚しようとしてんのなら、それはどうかな、って……」

 Act.21で、遊園地で倒れた亜美を病院まで送る車中の会話で、まことに繊細な心づかいを見せた元基だが、以降はまた勘違い男に戻ってしまった。一体こいつはその場の空気が読めない単なるバカなのか、それとも、見ていないようで実は周りの人の気持ちがよく見えているのか。そんな疑問に答えるべく、今回Act.25で、元基は衛に向かって、上のようなセリフをぶつけ、本音を見透かされた衛をうろたえさせる。やはりこの男、意外と分かっているのだ。と思わせておいて、その姿は「送別会の隠し芸」のためのカメの全身タイツ。繊細でバカ。元基のキャラクターの二大要素を一発であらわした見事な演出である。
 と感心していいのかどうか。私はこの日記第5回で、Act.3のうさぎと亜美が巫女さんに変身するのはあんまり意味がないと書いた。結婚式場に学校の制服姿で入っていくことはぜんぜん不自然ではないし、二人はさぐりに入った途端に外の悲鳴に気づいて出て行ってしまうのである。そして次回Act. 4でも、うさぎはクマの着ぐるみ、亜美にいたっては猫耳メイド服のメガネっ子であった。つまり高丸監督には初登場のときから「コスプレ好き」の疑いがあったわけだ。その後も、Act.12を観ていたら、齋藤社長=妖魔に襲われた美奈子を病院から脱出させるとき、うさぎはサンタ姿に変装していた。これもあんまり意味がなくて、疑惑はますます深まった。そしてこのAct.25だ。やっぱり高丸監督の個人的な趣味なのか。
 実際この場面は、黄川田君が「カメ吉、おれを殴ってくれ!」という絶妙な演技で締めくくってくれなかったら、ちょっと収まりようがなかったとも思う。こういう演出がいいのかどうか、今回と同じようなシチュエーションとして、Act.37、美奈子とレイがシリアスな会話を交わす、しかしレイはナコナコのコスプレ、という高丸演出があったはずなので、その時に改めて結論を出したい。

2. アルテミスの不審な行動


 日記第30回の最後の方でアルテミスについて書いた。Act.20ではホテルの部屋でベッドに寝込んだ美奈子のためにタオルを絞り、Act.46ではフライパンに卵を割って目玉焼きを作ろうとする。高丸回におけるアルテミスはどうも気になる行動をとる、という話だったが、このAct.25でも、TV局の控え室で美奈子とアルテミスが相談していたところへ番組スタッフが入ってきて、目を丸くしたアルテミスが慌ててぬいぐるみのフリをするという、あってもなくてもいいようなコミカルなシーンがあった。やはり高丸監督は、アルテミスに過剰な演技をさせる傾向があるのだろうか。今後も注目しておきたい。

3. 馬鹿問答補遺

Act.32:ロンドンの衛が帰ってきた! 埠頭にて
 衛 「いつかのマフラー、まだあるなら、貰っていいか?」
うさぎ「そんなの、ダメだよ。もうすぐ、夏だし(泣いちゃう)」
 衛 「馬鹿、そういう問題じゃない」
うさぎ「馬鹿って何…(衛に抱きしめられる)」

 これは、日記第38回の「6.馬鹿問答」への追加項目だ。凄く感動的なシーンですね。この日記を始めたころは、なかなかうさぎ=沢井美優について書く機会がなくてイラ立ったりもしたものだが、別にあせる必要はなかった。後になればなるほど、うさぎの見せ場はどんどん増えていくんだから。それにしてもマフラーという小道具をここまで引っ張って、このタイミングでこんなふうに使うとはなあ、小林靖子さんに完全に脱帽です。

4. 訂正とお詫び


 以前この日記の第2回第22回で、うさぎが衛のことを初めて「まもる!」と呼ぶのはAct.36であると書いたが(第22回ではAct.37と誤記している)、このAct.25で、クンツァイトの刃に倒れたタキシード仮面に向かって「まもる!」と叫んでいました。いやうっかりしていた。
 ここでのセーラームーンは、月野うさぎとして「まもる!」と叫ぶと同時に、プリンセス・セレニティとして「エンディミオン!」と叫んでいる。それがAct.36になると、地場衛を間にはさんで、一方では、プリンセスムーンから普通の中学生の姿に戻ったうさぎが「まもる!」と叫び、もう一方では、前世の貧しい娘の姿からゴージャスなクイーンの姿になったベリルが「エンディミオンまいれ!」と呼びかける。このコントラストがAct.43の「お前はベリルや、前世を引きずった人間たちのようになるな」という衛のセリフにつながる。このへんもAct.36のときにまた書くとして、とりあえず訂正とお詫びです。

5. 亜美


 最後に、次回Act.26 のレビューに先立って、日記第21回で書いたことをもう一度くりかえしておく。Act.14、マーキュリーの必死の呼びかけが届いて妖魔化せずにめざめたうさぎの、髪を解いた白いドレス姿は、今回Act.25から次回Act.26でのプリンセスの姿を連想させる。しかしそのマーキュリーは、このプリンセス覚醒の場にはいない。マーキュリーが他の戦士たちのようにプリンセスの前にひざまずいて前世の関係を再現するシーンは、実写版ではついに最後まで見ることができない。その代わりにAct.14で「プリンセスっぽいうさぎ」に「うさぎちゃん、うさぎちゃん、うさぎちゃん」と言っているわけである。亜美にとってうさぎは最後までプリンセスではない。
 たとえばAct.33でうさぎは、仲間に衛との交際宣言をして、前世の悲劇の再来を怖れるルナに猛反対される。そのときレイは「だから、私たちで一緒に気をつけましょ。大事なプリンセスに何も起きないよーに」、まことは「お姫様のお守りは大変だな」と言って支持を表明する。二人ともうさぎを「プリンセス」と見なしている。でも亜美のセリフは「うさぎちゃん、良かったね。あんなに好きだったもんね」だ。あくまでも「うさぎちゃん」である。
 もちろん、それはレイやまことがお姫様の従者になったという意味ではない。Act.40でフレンドパーク対決が始まるとき、レイは美奈子に言う「私たち、ふだんはプリンセスなんて呼ばないし、お姫様あつかいもしないのよ」。レイとまことの二人、特にレイががうさぎの恋を応援するのは、それが前世の悲劇を理由に禁じられているからだ。レイは前世の宿命からうさぎを解き放ってやりたい。「プリンセスという束縛を受けている」というネガティブな意味において、レイにとってうさぎはプリンセスなのである。
 実写版の世界は終盤に向かうにつれ、前世の悲劇というテーマが前面に出てくる。そしてその渦中にあるうさぎはもとより、美奈子、レイ、まことの三人もまたそれぞれの立場からこのテーマに深く関わっていく。美奈子は前世からの使命に忠実にプリンセスにつかえようとし、レイはうさぎをプリンセスという束縛から解放することで、自分をも巻き込もうとする前世を否定しようとする。そしてまことは自分が犠牲となって前世の運命を受け入れることで、うさぎやみんなのための未来への扉を開こうと決意する。そんななか、亜美だけが前世のことにまったく関与しない。そして前半ではあれほど圧倒的だった実写版における亜美の存在意義は、物語が終局に向かっていくほどに希薄になっていく。
 こんなふうに亜美の影が薄くなっていくことを、小林靖子は狙っていたのだろうか。そう考えると私には、あるいは亜美とネフライトの関係が、本来はもっと強い意味をもつものではなかったかと思えてくるのである。
 うさぎも衛も、ベリルも四天王も、そして戦士たちも、前世に向き合い、その流れに呑み込まれていく。一方でそこからはじき出され、四天王としてのすべてを奪われ人間となったネフライトがいて、彼は、ダークマーキュリーとなっていたために前世の記憶と直面しなかった亜美と再会する。そしてこの二人の関係が終盤、「前世の悲劇」というテーマを反対側から照らし出す「新しい未来」の物語を紡ぎ出していく。それが本来の構想だったのだけれど、だんだん放送スケジュールもせっぱ詰まってきて、もうひとつうまく展開しなかった。その結果ネフ吉の心理がよく分からないものになり、それに応じて亜美もどんどん存在感がなくなっちゃったのではないかなあ、なんて、そんな感じのことを今は考えています。まあその辺のことにも気をつけて、これから先の再放送を見続けていこうと思っております。


 と、書き終えて、いまAct.26を観終わったところ。そうか小池里奈ちゃんはこのエピソードの最後にはもう予告編的に出てきたんだ。いよいよ前半戦も大詰めだなあ。ま、ともかく、お休みなさい。次回の更新は火曜日くらいだと思っておいてください。
 それから出張で名古屋に来られる皆さん。もし水曜日だったら、現在の放映時間は深夜2時15分から2時45分、CBCのチャンネルは5チャンネルですからね。お間違いなきよう(いままで放置状態だったCBC公式ホームページも、ついに「毎週水曜日、深夜2:15〜再放送!」に書き改めている!)。