実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第730回】DVD第4巻:Act.15の巻(7)

 乃木坂セーラームーン2019の変身後ビジュアルが公開された。10月公演だからけっこう引っ張ってるな。
 コメント欄で百日紅さんから教えていただいた情報を整理すると、もともと今年は、25周年記念ミュージカルとして『かぐや姫の恋人』の舞台版が予定されていた。しかしそれが一年引き伸ばされて2020年の上演ということになり、今年2019年は昨年の乃木坂ミュージカル版を再演することになった。



 どういう事情が背景にあったかはよく分からない。ただ、『かぐや姫の恋人』の原作は、1994年に公開された劇場版アニメ2作目『セーラームーンS』なんだけど、これは、傑作と名高い劇場版第1作『美少女戦士セーラームーンR』に参加できず、フラストレーションをためていた武内直子が、そのうっぷんを晴らすべく描きおろしたオリジナルストーリーなんである。そういう作品であるから、今回も、愛着のある『かぐや姫の恋人』の舞台化を推す武内先生と、好評だった乃木坂をもう一回再演したいスタッフ側とのあいだに何かあったのかな、という気もする。それと『かぐや姫の恋人』は実質ルナがメインの物語なので、そのへんの技術的な難しさもあったかも知れない。



 で、乃木坂版の再演のほうは、5戦士がすべて新キャスト(今年はダブルキャストのチーム制を採らない)で、それ以外は(大阪なる、海野ぐりお、ルナ、四天王、そしてクイン・ベリルとセレニティ)昨年と同じ。スタッフも演出のウォーリー木下氏以下、ほぼ同じですよね(ちゃんと調べてない)。東京公演は10月10日(木)から14日(月)までTOKYO DOME CITY HALL、ただいまオフィシャル先行受付中である。昨年は観られなかった。このあたり自分のスケジュールがアレで、東京は無理かな。でもしばらくご無沙汰なんで、悩む。



セーラームーン/月野うさぎ:久保史緒里
セーラーマーキュリー/水野亜美:向井葉月
セーラーマーズ/火野レイ:早川聖来
セーラージュピター/木野まこと:伊藤純奈
セーラーヴィーナス/愛野美奈子:田村真佑

大阪なる:山内優花
海野ぐりお:田上真里奈
ルナ:松本美里(操演)
クンツァイト:安藤千尋
ゾイサイト:小嶋紗里
ネフライト:Shin
ジェダイト:武田莉奈
クイン・ベリル:玉置成実
タキシード仮面/地場衛:石井美絵子
クイーン・セレニティ:白石麻衣(映像出演)

鏑木真由
佐久間夕貴
肥田野好美
大橋美優
小泉もえこ
山下綾佳


 さて、前回も書いたとおり、今週も土・日と出張で、ホテルでパソコン開いてます。なのでもうあまり長くは書けない。まあみんな私のブログを長過ぎると思っていて、たまに短いと「そのくらいでいいんだよ」と思ってくれていることは分かっている。だからいいよね。



 なるが仕掛けて、衛とのデートが始まりそうになったうさぎは、偶然にも美奈子のジュエリーを盗んだ宝石泥棒と遭遇してしまう。見回りしていた警官に通報しても相手にされず、思わず「セーラームーンに変身して取り戻す」などと言いかけてしまう。



 この場面、前回のコメント欄でもご指摘があったので状況を整理してみよう。うさぎは思わず「そりゃあセーラームーンに」と言いかけてハッとする。最大の秘密を、よりによって地場衛の前でなぜか口走ってしまって、驚いている。



 一方、衞も衛で非常に気まずい。彼はAct.7の後楽園デートの鏡の部屋で、うさぎがセーラームーンに変身するところを偶然目撃してしまった。その後、妖魔を倒したセーラームーンとジュピターがジェダイトに襲われかけたところを身を挺して救い、「あいつが、セーラームーン」と呟きながら去って行く。



 うさぎはこのとき、古幡元基をタキシード仮面とカン違いして元基とデートしたのだが、結局そうでないことがわかる。しかしその代わり、今度は鏡の部屋で、はぐれないように衛に手を掴まれ、ドキっとしている。




 ちなみにタキシード仮面はAct.1のラストでセーラームーンの手を採っているし、Act.4ではビルから落ちそうになったセーラームーンの手をしっかり掴んでいる。



 ピンチになったとき、自分の手をしっかり握って導いてくれる力強い掌を、うさぎは知っている。だからAct.7の鏡の間で衛に手を握られたとき、無意識ではそれが本当は誰であるか気づくいていた、という解釈もなりたつ。



 さらにAct.9で、自らタキシード仮面に扮して警察のオトリになったうさぎが袋小路に追いつめられたとき、どこかから「セーラームーン、変身しろ」というタキシード仮面の声が響いて、うさぎは「あ、そうか」と変身している。だからタキシード仮面が自分の正体を知っていることは、うさぎも了解済みである。



 一方、地場衛のほうは、セーラームーンとうさぎが同一人物であることをはっきり見てしまったけど「あんな(バカな)子がセーラームーン?」という美奈子(Act.11)と同じような心境である。ただAct.13では、ただのお馬鹿ではない、シン(クンツァイト)の記憶を取り戻してあげたいという一途な思いで奔走するうさぎを見ている。



 人々を守るために戦う美少女戦士のまっすぐさな心と正義感に少しずつ魅了されながら、惹かれれば惹かれるほど、夜な夜な泥棒をはたらいている自分が恥ずかしくもなってくる。幻の銀水晶を手に入れて過去を知りたい、という切実な理由はあるんだけどね。



 ざっと以上のような状況で、今回の一件は生じた。宝石泥棒が目の前に現れ、正義の心に燃えるうさぎはそいつを捕まえようとしている。同じ宝石泥棒の衛には、胸にちくりとささるものがあるはずだ。ところがそこでうさぎが「そりゃあセーラームーンに」とか口を滑らせるもんだから、そのバカっぷりに、慌てふためきながらも衛の心は少々落ち着を取り戻す。だいたいそんな感じじゃないかな。



 しかし、いくらバカだって「セーラームーンに変身だ」なんて言ってしまったのは、それはやっぱり、うさぎが無意識のすごく深い部分で、衛がタキシード仮面であることを了解している証だと思う。タキシード仮面ならうさぎがセーラームーンであることを知っているはずなので、自分でも気づかないレベルで衛に心を許していたせいで、そういう発言になったのだ(推定)。実際に「なんで、気づかなかったんだろう」とはっきり自覚するまでにはあと10話ほど、Act.24のエンディングまで待たなければいけないのだが。



 いずれにせよ、このうさぎのお馬鹿なひと言がきっかけで、ほんとうだったら宝石泥棒の自分が宝石泥棒を追う、という葛藤するシチュエーションだったはずの衛の心境が、どこまでもバカで心配なコイツにつきあってやるか、というふうに変わっていった。でも本人も自覚していない本音の本音では、うさぎのそばにいてうさぎを守りたい、という恋愛感情が芽生えている。





うさぎ「別に手伝ってくれなくていいのに」



 衛 「さっきの警官の態度、ちょっと頭にきたからな」



 衛 「俺たちで取り返すのも面白いかもしれない」




うさぎ「でも、ここで待ち伏せしてホントに来るの?」
 衛 「さっきアイツらが降りてきたエレベーターは駐車場通りだ。つまり車で来てる」
うさぎ「でもオークションで売っちゃうかも」



 衛 「さっき確かめて来た。今日の出品予定に入ってない。多分、今日は様子見だな」



うさぎ「へぇ……」



うさぎ「えっ?」





うさぎ「気をつけろ、ボーッとしていると見つかるぞ」



うさぎ「……う、うん……」


 なにしろ同業者なので、泥棒の手口はお見通しなのだ。なかなか頼りになることが分かって、うさぎの心も、また衛におおきく傾いていく。ちなみに最後の警備員が通りかかるくだりは、小林靖子の撮影台本にはない演出オリジナルである。
 てなところで、今回はこれまで。