実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第727回】真夏の同窓会の巻(沢井美優『騎士竜戦隊リュウソウジャー』第21話)

 お盆休みを利用して軽く更新して、その代わり今週末は何かとバタバタしているのでお休みとさせていただきます。



 というわけで、ご覧になりましたか『騎士竜戦隊リュウソウジャー』第21話「光と闇の騎士竜」(2019年8月11日、テレビ朝日/脚本:山岡潤平/撮影:大沢真吾/照明:堀直之/監督:加藤弘之)。スーパー戦隊版「黄泉がえり」というか、亡くなったはずの方々がある日突然、親しかった家族や仲間のもとに戻ってくる、というお盆休み仕様の物語。
 怪力自慢で食いしん坊のリュウソウピンクことアスナ(尾碕真花)は買い物帰り。



 「デザート、買い過ぎたかなあ。ま、ぜんぶ食べればいいんだもんね〜」なんてご機嫌で赤羽緑道パークブリッジを歩いていると、買い物袋からリンゴがころころ転がり落ちる」




アスナ「あっ」




ピンク「アスナ」



アスナ「マスター、生きてた」



ピンク「うっ.背骨が折れる」

 

 改めて言うまでもないが、赤羽緑道パークブリッジは実写版セーラームーンファンにとっての、たぶん究極の聖地だ。なにしろ2003年8月11日、実写版セーラームーンAct.1のクランクインはこの場所で、この赤羽緑道パークブリッジで、うさぎ(沢井美優)の頭の上にルナが落ちてくるカットから始まったのである。







 「実写版のルナはぬいぐるみかよ!」というあの衝撃から「河辺千恵子がなるちゃんかよ!」というあの衝撃へ。鮮やかによみがえりますね。どうですか?(以下、放送開始前のメイキング特番より。大昔の動画からとってきた画像なので画質が悪くてすみません)。




 

 田崎竜太監督、若いですね。
 繰り返しになるが、実写版セーラームーンの撮影はこの地から始まったのである。Act.2でうさぎが初めて亜美に話しかけたのも、Act.3でうさぎとレイがぶつかったのも、Act.29で黒木ミオのポスターが貼りめぐらされていたのも、Act.48でヴィーナスが逝ってしまった後、うさぎが衛の胸で泣きじゃくったのも、みんなこの場所だった。










 セーラームーンのロケによく利用された「聖地」はほかにもある。品川セントラルパークとか横浜ビジネスパークとかテクノウエィブ100(デカレンジャーの本部)とか。ただこういった場所は、すべて戦士と妖魔のバトルフィールドなのである。変身前のうさぎや亜美やなるの日常を描く際に使われたロケ地としては、ここがほとんど唯一無二といってもいい。
 もちろん、この場所で戦いがなかったわけではない。Act.20で亜美がクンツァイトにさらわれたのも、この場所だった。




 ついでに、Act.27で初めて人間体になった小池ルナが楽しそうにスキップするのもここだった。




 そういう、実写版ファンの心のふるさとみたいな場所に沢井美優を召喚したこの『リュウソウジャー』第21話の監督は加藤弘之。セーラームーンでは助監督だった加藤弘之。Act.41では佐藤健光監督の悪趣味で「理科の加藤先生」という、何の必要性があるのか分からない役をさせられた加藤弘之。



 あの加藤先生の登場シーンも、赤羽緑道パークブリッジだった。16年前の夏である。手もとで自分を扇ぐ扇子にはなぜか「長生き」と書かれていた。



うさぎ「もう少しがんばりましょう、だって」



うさぎ「がんばってんのにな……」




うさぎ「が亜美ちゃんどうだった?」
亜 美「え……いつもと同じかな」



うさぎ「見せてっ」



うさぎ「うわあすごぉい」



うさぎ「さすが亜美ちゃん。私も頑張らなきゃ」



加 藤「おおい、月野」



加 藤「心配するな。いつでも補習やってやるからな」
うさぎ「はい……ありがとうございます……」



生 徒「加藤先生」
加 藤「おう、なんだ」



な る「ねぇねぇねぇねぇ、夏休みの宿題さあ、あれどうするボランティア?」



な る「なにすればいいのかさっぱり」



うさぎ「だよね」


 そんな想い出の場所で、加藤先生と、いや加藤監督と沢井美優が再会したというのだから、嬉しいじゃありませんか。改めて「ありがとう丸山真哉プロデューサー」と声を大にして言いたい。




 それから、このシリーズの追加戦士であるリュウソウゴールド(兵頭功海)は、海底からやってきたアクアマンのような種族なんだが、この一族は少子化問題を抱えていて、だからリュウソウゴールドも戦い以上に婚活に力を入れていて、きれいな女の人を見ると手当たり次第プロポーズするのだ。だからマスターピンクを見るなりバラを捧げてひざまずく。





参考画像】実写版オープニングタイトル



 おいおい。『リュウソウジャー』のほうでは、背後に映っているのは月。そしてギリシャ柱。この柱のことを東映特撮用語で「ギリシア柱」ということを、私は、東映が自ら制作したスーパー戦隊のパロディドラマ『非公認戦隊アキバレンジャー』(2012年)の第6話(脚本:荒川稔久/監督:田崎竜太)で初めて知った。東映東京撮影所に潜入した特撮オタクのアキバレッド(和田正人)が感激して叫ぶのだ。



アキバレッド「おおーこれはギリシャ柱。戦隊で何度も使われたファンタジーの大道具だよ!」



 実写版セーラームーンにもいろいろと使われていて、特に、さっきも見たとおり、古代の月の王国には欠かせない大道具だったが、今回は、マスターピンクが、このギリシャ柱をつかってリュウソウゴールドに対して、壁ドンならぬ柱ドンするんだもの。



 あ〜楽しかった。しかも今回、本編的にも重要な回で、謎をひっぱりながら次回へ続く。次回第22話もマスターピンク登場である。再登場するまでだいぶ時間がかかったけど、よかった。充分満足です。来週も見ます。
 ……と思っていたら、コメント欄で教えられて、さらに追い討ちがあった。番組のエンディングでリュウソウジャーのみんなが踊るケボーンダンス。これをネットで沢井美優が「踊ってみた」のである。
 ケボーンダンスは振付けが彩木エリだ。彩木エリさんは実写版セーラームーンで、「美少女戦士らしいアクション」の表現に試行錯誤する田崎竜太監督たちからコレオグラファーとして招かれ、それをきっかけに、東映特撮の世界と関係をもった。もちろん『キラリ☆スーパーライブ』の振付けも彩木エリが担当した。だから彼女にとっても実写版セーラームーンは特別な作品である。その彩木エリの振付けで、久しぶりに沢井美優が踊ったんですね。




かわいいっ! しかも最後のポーズがっ!



参考画像】実写版 Act.15


 すごいなあ。本物ですよ。とにかく堪能しました。ありがとう。来週も必ず見ます。



 ということで、本日はもうひとつ、お盆に三夜連続でNHKで放送されているミステリドラマ『ピュア! 〜一日アイドル署長の事件簿 〜』(2019年8月13日〜15日、NHK総合)についても触れようと思ったんだけど、こっちは簡単にまとめておく。



 ひとことで言えば、『トリック』の蒔田光治が脚本で、『トリック』の辻陽が音楽で、『トリック』の演出家堤幸彦のもとでずっと助監督をやっていた藤原知之が演出で、あからさまに『トリック』の阿部寛と仲間由紀恵を思わせる二人組(東出昌大と浜辺美波)が事件を解決するという、どこからどう観ても『トリック』なミステリドラマである(浜辺美波の腹黒設定には、同じく蒔田光治の『パズル』の石原さとみのテイストが加味してあるか)。



 浜辺美波の側から言うと、『賭ケグルイ』の蛇喰夢子役をものにした今、このくらいの腹黒少女の役なんかほとんど余裕で演じられるはずで、「へっへっへっ」としょっちゅう薄ら笑いをするキャラクター作りなんか上手いもんだと思う。



 で、脚本の蒔田光治はすでに映画『屍人荘の殺人』で浜辺美波と組んでいる。『屍人荘の殺人』はこれから、2019年12月13日の金曜日に公開されるが、撮影の順序は『屍人荘』の方が早いのではないか。原作は非常に特殊な方法で「吹雪の山荘」形式を作り出して話題になったが、女子大生探偵ヒルコさんのキャラクター造形はライトノベル風で、なるほど浜辺美波ならピッタリだ。監督は『トリック』で堤幸彦のもとで修業した木村ひさし、脚本は蒔田光治。



 つまり今回のこの『ピュア』というドラマは、NHKからお盆のスペシャルドラマの脚本を依頼された蒔田光治が、映画『屍人荘の殺人』の余勢を駆って浜辺美波にあて書きした、ある種の派生作品みたいなものではないかと、私はひそかに推定している。なので評価はこの年末公開される映画『屍人荘の殺人』とコミで考えることにするね。



 そういう遊び心の作品で、まあ浜辺美波のファンなら楽しめるんだけどさ。「へっへっへっへっ」って。いきなり「大根侍」ネタも出していたし。ただ浜辺さんのファンじゃなくて「NHKから国民を守る党」に投票した方は「こんなもんに受信料を使いやがって」と怒り出すかも知れないので少々心配である。
 じゃ、夜遅くなってきたのでこのあたりで。また来週。