実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第723回】指定弁護士、再起動の巻(北川景子)


 ブラジルのコスプレイヤーさんたちと交流する小松彩夏。大家さん情報提供ありがとうございました。


『空を見上げる少女の瞳に映る世界』第1話


 公のメディアで安否の確認ができているのはごく一部の方々ですが、ネットに拡がる(関係者筋から、とも思われる)ニュースでは、京都アニメーション取締役、木上益治さん(61歳)の消息不明が伝えられている。木上氏は1980年代から1990年代にかけてはシンエイ動画で、前半は劇場版『ドラえもん』、後半は『クレヨンしんちゃん』という、日本の春の映画興行を支える2大ビッグタイトルの原画を長く手がけられ、2000年代に京アニに来てからは『けいおん!』『響け!ユーフォーニアム』あるいはMUNTOシリーズなどで原画、作画監督、絵コンテ、演出を担当し、最近は、アニメ養成学校で、後進の指導にも力を入れておられると聞く。


『氷菓』第5話


 ウィキペディアによれば、沖浦啓之をして「京都ではアニメーターの何たるかは、木下さんの背中を見ていれば全てわかる」と言わしめたそうで、実にカッコいい。



 うん……。さて今回は『ドラマスペシャル 指定弁護士』(2018年9月23日放送、テレビ朝日・東映、脚本:櫻井武晴/照明:池本雄司/撮影:関照男/監督:竹園元)。昨年末に中断したまま、今年は北川さんの『家売るオンナ』やら小松さんの『白衣の戦士』やらを追いかけていて半年以上放置してしまった。今回はサクっとあらすじを振り返り、テンションを上げてから次回、レビュー再開といきたい。



 物語は森友学園問題ふうの事件から始まる。京都市内の国有地が、老人ホーム建設予定地として不当に安い値段で払い下げられた。除染が必要な土地で、その費用を値引きしたというが、買い取った社会福祉法人の名誉顧問に、地元出身の代議士、田金(石橋蓮司)の名前があることから、不正疑惑がマスコミで報道される。



 大阪地検特捜部が(京都地検には特捜部がないので)すぐに動き、田金(石橋蓮司)と秘書の斎藤(伊東孝明)が速攻で逮捕される。だがなぜかそこから先、捜査は急に腰砕けになって検察は立件を見送る。あからさまな失速に世論は納得せず、京都市内でデモが起こり、マスコミは連日のように疑惑を報道する。



 このようなとき、司法に民意を反映させるために作られたのが検察審議会制度である。一般市民から選ばれた検察審議会によって田金の問題が改めて審議され、強制起訴を動議されることになった。このような場合は、検事に代わって「指定弁護士」が、事件を告発する役目を担う。




 三塚弁護士事務所の一ツ木唯(北川景子)は、京都弁護士会事務局の先輩、神林(羽田美智子)から、田金の事件の指定弁護士にならないかと口説かれる。唯の専門分野は企業法務で、普段は企業のクライアントを相手にしているが、神林に言わせれば、昔から「妙な正義感」がある唯には、こういう仕事がピッタリだというのだ。



 話題の事件で知名度は上がるし、正義の弁護士としてのクリーンなイメージもついて、マスコミ受けはいいだろう。しかし検察が一度は起訴を断念しているだけに、それを覆して勝訴に持ち込む可能性はほとんどないというデメリットもある。唯はちょっと悩むけど、やはり「妙な正義感」に背中を押されて、指定弁護士となることを決意する。




 さっそく調査に乗り出した唯だが、最初に会うはずだった田金の秘書、斎藤(伊東孝明)が目の前で自宅マンションから投身自殺してしまう。残された奥さん(真飛聖)によれば、斎藤は生前「毒まんじゅうを食べる。日本を変えるために食べるんだ」と言っていたという。何かを守るために、夫はすべてを抱え込んで身を投げたのだ。



 亡くなった斎藤秘書、その未亡人のためにも真相を解明し、田金の悪事を暴こうと、唯は決意を新たにする。ところがその田金が、あろうことか唯の勤務する三塚弁護士事務所に、自分の弁護を依頼してきたのである。もちろん、同じ事務所の弁護士が原告と被告、両方の側に同時に立てば、利益相反になることを承知の上で言ってきたのだ。つまり唯をこの件から降りさせようとしているのである。



 田金から高額の報酬をちらつかされると、それまで何かと唯の捜査の便宜をはかってきた所長の三塚(中村梅雀)は、手のひら返したようにあっさり田金の弁護を引き受け、唯には指定弁護士を降りるように命ずる。



 そもそも指定弁護士を引き受けるよう最初に勧めてくれたのは、三塚所長自身だったのに、その舌の根も乾かないうちにハシゴを外される格好になって、悩む唯。




 行き付けの祇園のバー「よる屋」で、バーテンの吾郎(松重豊)相手にハイボールをぐいぐい呷っているうちに目が据わってきて、所長に背いてでも戦う決意を固める。



 翌日、所長に退職届を出し、荷物をまとめて三塚法律事務所を退社した唯は、その足で京都地検に向かう。京都地検の刑事部では、相棒の橘検事(北村一輝)が唯を待っていた。
 


 橘検事は、上から捜査協力を命じられたものの、検察が立件を断念した事件をわざわざほじくり返す指定弁護士がそもそも気に入らない。だから唯には非協力的で、最初のうちやることと言えば、マスコミにちやほやされる唯を静観しながら茶々を入れるくらいだった。しかし唯が次第に本気になると、橘検事もその熱意に呼応して、改めて真剣に事件に取り組むようになっていった。



 橘の集めた情報によれば、田金が名誉顧問をやっている問題の福祉法人「辰巳福祉会」は、もともと除染に必要な経費を引いた値段で土地を買い付けた。この時点で安く買い叩いたのに、のちに除染作業をするにあたって助成金をもらっているという。この時点ですでに二重取りであるが、しかもその、除染作業をしたことになっている日付を詳しく調べると、台風だったり、作業を担当した業者の社員旅行の日だったりするというのだ。つまり除染そのものをやっていない疑いすら出てきた。



 それでも2010年から2014年まで毎年およそ4千万円ずつ、総計2億円ほどが、除染作業の補助金として「辰巳福祉会」に支給されていた。さらに驚いたことに、その金の出どころは「内閣官房機密費」だという。



 内閣官房機密費というのは、官房長官の裁量で自由に使える、領収書の要らない、言わば「国の裏金」である。田金はその事実をカムフラージュするために、社会福祉法人というトンネルに金を通り抜けさせた、これはただ単に私利私欲を満たそうとしたというような単純な話ではない。その金は最終的にどこへ流れているのか?  



 真相に近づくにつれ、二人に対する圧力も強くなる。「夫は自殺するように仕向けられたんだ」と訴えて、裁判所での証言も辞さないと約束してくれていた斎藤秘書の未亡人(真飛聖)は、突然その発言を撤回する。



里 美「そんなこと言ってません」



 唯 「はい? いや、言いましたよね?」
里 美「きっと気が動転して……夫に死なれて。だからそんなふうに言っただけです。すみません」



 唯 「誰かに何か言われたんですか、奥さん?」
里 美「私の夫は 悪いことはしてません。それが真実です」



 唯 「真実……」


 橘検事も、トータル2億円の金の行方が明らかになってくると、「俺たち検事は必ず正義につく」ときっぱり言い切っていた自信が揺らぎ始める。そして一時は上司の白井(相島一之)が露骨にかけてくる圧力に屈しそうになる。




 しかし今度は、逆に指定弁護士の唯に励まされて、とことん最後まで戦うことを決意するのであった。



 橘 「真実を公にする裁判する気あるか?」
 唯 「えっ?」
 橘 「真実を公にする覚悟はあるのか、って聞いてるんだ」



 唯 「言ったはずよ。私は真実が知りたいって」



 橘 「指定弁護士ってのは被疑者を起訴する弁護士だ。だから俺はこう思ってる。指定弁護士は 弁護士検事」
 唯 「弁護士検事…?」



 橘 「弁護士」



 橘 「検事」



 橘 「俺たちは 2人で指定弁護士だ。いいな?」



 橘は唯に事実を告げる。田金はただ単に私利私欲だけのために、自分が名誉顧問を務める社会福祉法人を利用したわけではない。官房機密費から毎年4千万円づつが法人に振り込まれていた期間、田金は法務大臣を務めていた。そしてその間に我が国では新たに裁判員制度が実施されるようになった。橘と唯はその事実に目をつける。これは単純な贈収賄事件じゃない。ある意味、誰も望まない真実だ。それをいま法廷に持ち出して暴露する必要はあるのか?



 唯 「私は事務所も辞め、証人にも裏切られ、夫まで敵に回った」



 唯 「帰る場所なんかない。そして、証拠がそろった」



 唯 「さあ、裁判するわよ!」

 ということで、いよいよ法廷である。次回より『指定弁護士』レビュー、ラストパート再開します。