実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第719回】渋めのゲストで有終の美、の巻(小松彩夏『白衣の戦士』第9話&第10話)

『白衣の戦士』最終回の視聴率は、なんと第1話に次ぐ9.6%だそうだ。よかったよかった。



(第1話〜第5話視聴率)
10.3%→9.3%→9.3%→8.4%→8.3%

(第6話~第10話視聴率)
7.2%→7.7%→8.4%→8.6%→9.6%


 最終回で2ケタに戻るという理想のV字までには僅差で至らなかったが、立派なもんだ。オンエア期間中の『週刊プレイボーイ』グラビアとデジタル写真集で、若い世代に小松彩夏の名前を再び刷り込むきっかけになったかも知れない。



 ドラマの方は、第9話と第10話で、主人公たち2組のカップルがそれぞれ親から承認されて、最終エピソードとなっている。

1. アミューズ最後のゲスト



 前回ラスト、「なすがまま」で斎藤がはるかに告白しようとしたところにナースたちが乱入。



 そもそもこの人たち、職場恋愛が仲間にバレるのを怖れているわりに、みんな行きつけの「なすがまま」で大事な話を始める。いまいちよく分からないよね。



 で、第9話「父が緊急入院!!ナースマン、涙の決意!」に続く(日本テレビ、2019年6月12日放送、脚本:梅田みか/照明:北條誠/撮影:坂本誠/演出:菅原伸太郎)。はじめに断っておく。これまで可能な限り小松彩夏の出番を拾いながらあらすじ紹介をしてきたつもりだが、今回は挫折した。こまっちゃんの出番がかなり限られている。そしてセリフがあっても抜かれない。



斎 藤「戻りました」
ナース「お疲れさまです」
雪 乃「斎藤君、体温計ってどうなってる?」
斎 藤「回収しておきました」
雪 乃「斎早いね サンキュ」



絵里奈「斎藤君、305の沖本さんの尿測って……」
斎 藤「さっき病室行った時やっておきました。トータル1600です」



絵里奈「助かる、ありがと」


 相変わらず先輩からの受けも良い斎藤(小瀧望)に「負けてらんない」と対抗心を燃やすはるか(中条あやみ)。その単純さにあきれる夏美(水川あさみ)。




 今どきコントでもこんなポーズを見ることはめったにないが、第9話までくると、演じている水川あさみさんも、観ているこちらも感覚が麻痺してくるのだろう。それが視聴率回復につながったのかもしれない。



 と、職場では相変わらずライバルだが、プライベートではどんどん恋愛モードに入りつつある斎藤とはるか。次の休日も、一緒にどこかに出かけようということになる。ところが、いざデートという朝、二人の住む病院の寮に、斎藤の両親がひょっこり現れる。




 このドラマ、第1話ゲストの富田靖子、第2話ゲストの堀田真由と、小松彩夏の古巣アミューズからのゲスト出演が続いたけど、以後はまあそれほどでもなかった(あとは第5話の主任の不倫相手、脳外科医の東根作寿英くらいか)。最終話に近づいたところで寺脇康文(アミューズ)の登場である。で、お母さんは藤吉久美子さん(劇団青年座映画放送)。ま、所属はどうでもいいか。



 ふだんは伊豆に住んでいる斎藤の両親は、親戚の法事で上京したついでに、息子の顔を見に来たのだ。はるかも誘われ、一同は東京観光に出る。昼はスカイツリーが見える店で、東京名物もんじゃ焼き。ロケ地は浅草の「まんぼう」という店らしい。浅草といえば、来月イベントがあるぞ。「こまったりin浅草」



 今回のレビューはいつにも増してコマツ成分が不足しているのですこし補給してやらないとな。それはともかく、こんなふうに、まだお互いに告白もしていないのに、両親公認の仲みたいになってしまった二人。斎藤の母、芳子(藤吉久美子)は無邪気に楽しそうだが、父の渡(寺脇康文)はちょっと含みのある表情。



芳 子「ねぇ、でもよかったのかしら? せっかくのお休みなのに、立花さんに付き合ってもらうなんて」



斎 藤「もともと二人で出掛けるつもりだったから」



芳 子「えっ、じゃデートだったの?」



はるか「デートってそんなぁ……」



芳 子「じゃあ二人は付き合ってるっていうこと?」



二 人「いやいやいや……まだ」



芳 子「あ、気は合ってるみたいね。うふふ」



 渡 「いいなぁお前は」



 渡 「東京で好きなことやって、休みの日にはこんなかわいい同僚とデートか」



 という感じで、お父さんの息子に対する態度は微妙に辛辣である。実は斎藤の実家は、伊豆で創業70年という老舗の温泉旅館だった。父親は一人息子に旅館の後を継がせるつもりだった。ところが斎藤は父の猛反対を押し切って、東京へ出て看護師になってしまったのだ。そこで生じた断絶は、いまだに修復されないままだった。



 ぎすぎすした空気を和ませようと、お母さんはいっぺん東京スカイツリーに登りたかったとはしゃいでみせる。でもそのとき、お父さんが急に激しい腹痛を訴え、急遽、四季総合病院で診てもらう。検査の結果、胃痛の直接の原因は胃潰瘍だったが、ケガの巧妙で悪性腫瘍も早期発見できた。これも切ってしまおうという柳楽先生の判断で、お父さんはしばらく入院を余儀なくされる。



 はるかは、彼氏のお父さんの前では笑顔でおしとやかに、という夏美の助言で、最初は「お点滴の確認にまいりました」とか澄ましていたが、マナーのわるい患者がいれば、つい首根っこをつかまえて「あ〜ん!」と凄んでしまう。そういうベタな展開があった後、最後は夏美と一緒に、斎藤の仕事を認めて欲しいと、父親に対してストレートに訴える。はるかが語り出すとみんな納得するのがこのドラマの特徴である。主人公だから当然か。



夏 美「あの……斎藤君のことなんですが……彼は、とても真面目に仕事をしています。まだ新人なのに、先輩ナースからも信頼されて……」



 渡 「でもあいつは逃げたんです。あいつは、家業を継ぐという重圧から逃げるために、看護師になったんだ。私のもとから離れられるなら、別に看護師じゃなくても、何の仕事でもよかったんでしょう……」



はるか「それは違います!」



はるか「当たり前ですけど 私は斎藤さんのご家族のことは、何も分かりません。でも、お父さんも斎藤君のこと、何にも分かってない」



 渡 「何?」



はるか「斎藤君が看護師を目指したのは、逃げるためなんかじゃない」



はるか「自分が希望をなくした時、勇気を与えてくれた看護師さんのようになりたいって、困ってる人の力になりたいって、そういう思いを持って目指したんです。お父さんが思ってるような理由じゃありません」



はるか「私、同期で同じ日に入って来た斎藤君と、いつも比べられて、悔しい思いばかりしてるんです」



はるか「でも、全然ダメな私のこともさりげなくフォローしてくれたり、ちょっとでも時間があれば、看護の勉強や練習をしてたり、ホントにかなわないな、って思うぐらいです」



はるか「それに、ただ仕事ができるってだけじゃなくて、患者さんからもすごく慕われてて、彼の周りには自然と人が集まって来ちゃうような」



はるか「そんなところも含めて、斎藤は優秀な看護師です」


 はるかの熱い言葉も後押しして、お父さんも最後には息子の道を認める。



 渡 「どんな仕事だって大変だ。楽な仕事なんてない」



 渡 「光、自分でやると決めたことは最後までやり遂げろ。お前ならきっといい看護師になれるだろう」



斎 藤「父さん……」



 渡 「バカだなあ。もともと俺は、お前に継いでもらいたいなんて、これっぽっちも思ってなかったのに」
斎 藤「えっ?」



 渡 「ちゃんと優秀な人材を探してる。旅館ってのは あれだよ、新しい風を吹き込んだほうがうまく行くもんだからな」


 最後はちょっとお父さん強がったね。そんなこんなで親子も和解して、めでたく退院の日を迎えた。ナースステーションで、ナース全員と柳楽先生と研修医と、フルメンバーでお見送り。なんかこの病院、みんなヒマなんじゃないかと心配になる。斎藤のご両親は、お別れに自分のところの旅館のパンフを置いていく。



芳 子「あなたあなた、これ」



 渡 「ああ、よかったらどうぞ、これ」



 渡 「皆さんで遊びに来てください」



ナース「わあっ!  ぜひ!」
柳 楽「じゃあ、ぜひ行かせていただきます!」



高 木「じゃあ 僕も……」
柳 楽「うん お前はまだ早い」



斎 藤「こんなとこで営業なんかすんなよ」
 渡 「いいじゃん、みんな喜んでんだから」



芳 子「立花さん、光のことよろしくね」
はるか「えっ!?」



芳 子「気をつけてよ、あの子、鈍いとこがあるから」
はるか「知ってます。うふふ」



二 人「ね~」


 そしてラスト、斎藤がはるかについに告白する。一方、夏美も帰り道、本城師長を自分の家に誘い、二人は一夜を共にする。ということで、最終回へと続く。




 斎藤を演じている小瀧望のドラマ歴はこれまで、大野智(『世界一難しい恋』2016年4月、日本テレビ)、山田涼介(『もみ消して冬』2018年1月、日本テレビ)、相葉雅紀(『僕とシッポと神楽坂』2018年10月、テレビ朝日)というふうに、先輩の主演作品にレギュラー入りさせてもらう、というパターンが多かったと思う。今回はそういうバーターなしでゴールデン単独出演であったが、その柔らかく育ちの良さそうなテイストで、ややジャンクで味付けの濃いキャラクターたちが醸し出す空気を上手に中和した。もちろん小松彩夏も、ナースステーションにふんわり感をもたらしてくれたけどね。
 ではここでいったん小松成分を補完して、引き続き第10話レビューまで行っちゃいましょう。


2. 院長はあの悪の大物政治家


 最終回、第10話「ナースをやめさせられる!?仕事も恋も最大のピンチ」(日本テレビ、2019年6月19日放送、脚本:梅田みか/照明:北條誠/撮影:坂本誠/演出:菅原伸太郎)。第9話に斎藤のお父さんにスポットが当てられたので、最終回には夏美の母親が登場。




 演じているのは髙橋ひとみさん。フラダンスの発表会のついでにと夏美の家を訪問したのが、初めて本城を泊めて一夜を過ごした翌朝という絶妙なタイミング。ばったり出会って、最初はようやく娘に相手ができたと喜んでいた。が、あとあと話を聞き、本城がひと回りも歳上のバツイチ子持ちと知るとさすがに難色を示す。おまけに男のナースとなると、微妙に「医者じゃない」感もつきまとう。




 「なすがまま」で話がこじれているところに、はるかと斎藤もたまたまやって来て、またしてもはるかが説得にかかる。



幸 江「はっきり言うけど 私は反対よ」
。 



幸 江「どうして好きこのんで、ひと回り以上も年上でバツイチで子供もいる人なんて……」
。 



幸 江「貯金はたいて結婚相談所まで入ったっていうから、期待してたのに……」



夏 美「ちょっとお母さん」



夏 美「いいかげんにして……」



はるか「どうしてダメなんですか?」



夏 美「た……立花さん?」



幸 江「どなた?」



夏 美「あ……私が指導してる新人の立花さん」



はるか「私は看護師の仕事を三原さんに教わって来ました。すごく厳しくて、私は失敗して怒られてばかりで……」



はるか「でも、何かひとつ覚えたり、できるようになったりするたびに、三原さんは すごく喜んでくれて」



はるか「仕事だけじゃなくて、私に彼氏が できたことも、まるで自分のことのように喜んでくれて」



はるか「三原さんはそういう人なんです。誰よりも優しくて、あったかい人なんです」



はるか「だから三原さんには絶対、幸せになってほしいんです」



はるか「一番好きな人と結婚してもらわなきゃダメなんです」



はるか「許してください。お願いします!」


 時と場所をわきまえない元ヤンはるかの青年の主張は向かうところ敵なし。初対面の夏美のお母さんも一発で説得されてしまう。



幸 江「ふふ、あの立花さんって、面白い子ね」
夏 美「え?」



幸 江「あの子の言うこと聞いてたら、思い出したわ。私がお父さんと結婚した時、両親に大反対されたけど、耳も貸さなかったな、って。なのに自分が母親になったら、娘に同じことするなんて。ごめんね」



夏 美「お母さん……」


 一方、最終話には他にもいろいろゲストが登場する。みんな渋いけど。



 都議会議員の五十嵐(東幹久:ちなみに奥さん役は広澤草さん)は、院長の紹介で入院してきたVIPで、事務長の大橋(神保悟志)も、くれぐれも失礼がないようにと、ナースステーションに念押しに来るほどだ。



事務長「じゃあ、よろしく頼むよ」



一 同「はい」
はるか「う~わ、こわ」



はるか「事務長って偉い人だよね?」



斎 藤「院長の次にね」



真 由「別に怖い人じゃないんだけど、ちょ〜っと心配性でね。何かといろいろ、言って来るのよ」



雪 乃「特に院長の紹介の患者さんには、そうですよね」


 五十嵐の直接の入院理由はヘルニア手術だが、実は糖尿病でもあり、術後の血糖コントロールに注意が必要だ。ところがこの人、大の甘党なのである。



 秘書に命じて、スイーツを大量に忍び込ませた「会議資料」の紙袋を運ばせ、夜中に食べる。ほとんど甘いもの依存症である。



 そのうえ牛乳アレルギーも持っている。本人はあまり気にしている様子もなくて、病室のあちこちに隠したお菓子を見つけられて没収されると、次は病室を抜け出してシュークリームをゲット。食堂でパクつこうとする。



 現場を押さえたはるかは、勢い余って五十嵐とシュークリームの奪い合いになり、大勢の見ている食堂で、五十嵐に恥をかかせてしまう。



 実は五十嵐は、ひとり娘の小学校の学芸会を参観するために、翌日の外出許可を取ってあった。ここで牛乳アレルギーを起こそうものなら、もちろん外出許可は取り消しだ。



 大事な娘との約束を守ってもらいたい。そう想えばこそ、はるかは五十嵐に絶対シュークリームを渡さない。



 だが五十嵐はご立腹で、駆けつけた事務長の前で「こんな非常識な看護師、すぐに辞めさせろ!」と言い捨てる。はるかはひとまず担当を外され、処分は院長の預かりとなる。その夜の「なすがまま」はさすがにしんみりムード。

 


雪 乃「立花さんは何か処分されちゃうんですか?」
本 城「うん……どうだろうな」



貴 子「系列の病院に飛ばされる、とかあるかもね」



絵里奈「そんなぁ……」


 翌日、学芸会で娘の晴れ姿を見た五十嵐は、その後、一緒に行った店で娘の食べているパフェを見て我慢できなくなり、奥さんが席を外した隙に、トッピングの生クリームを一口わけてもらう。




 途端にアナフィラキシー・ショックを起こして病院に搬送。意識を取り戻した五十嵐は、柳楽から話を聞かされて深く反省。



柳 楽「おそらく五十嵐さんの牛乳アレルギーが、生クリームに反応したんでしょう」
五十嵐「いや、でも前に食べた時は何でもなかった」



柳 楽「あなたは大したことがないと高をくくっていたかもしれないが、アレルギーというのは、ある日突然こうして牙をむくものです。もし昨日シュークリームを食べていたら、同じ症状で倒れていたはずです」



五十嵐「えっ?」
柳 楽「立花さんが止めてくれなかったら、未央ちゃんの学芸会は見られなかったと思います」



柳 楽「その可能性があることを知っていたからこそ、彼女は必死で取り上げたんです」



柳 楽「確かにやり方は少々強引だったかもしれません」



柳 楽「ですが、あなたのためにしたことなんですよ」


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五十嵐「なのに僕は君にひどいことを……。本当に申し訳なかった」



 五十嵐がはるかに謝罪し、夏美は院長を相手に懸命に弁明。結局、院長の鶴の一声で、はるかはなんのお咎めもなしとなり、めでたしめでたし、という話でした。




 ちなみに院長先生は、前シーズンの『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』の第1話と最終話でラスボス的悪役、林総務大臣を演じた山田明郷でした。なんか違う衣装で同じようなことをやっているなあ。





 この間、出勤途中のはるかが、駅で突然倒れて心肺停止に陥った人を応急処置する、というエピソードが挿入される。ここで、第1話からの成長ぶりが描かれる。



 第1話で、病院を抜け出して外食した腸閉塞の患者が、食事をした店で腹痛を訴えて倒れる、という場面があった。あのとき駆けつけたはるかは、自分では何も判断できず、携帯を通じて夏美から指示を受けてようやく対応できた。



 でもあれから三ヵ月を経た今回は、斎藤の手助けもあったとはいえ、自分で瞬時に判断して心臓マッサージを行い、危なかった生命を救うことができた。後になってナースステーションに連絡が入る。



本 城「立花さんと斎藤君が心肺蘇生した男性、無事に一命を取り留めて、意識が戻ったって」



はるか「あぁ、あの人 助かったんだ」



斎 藤「よかった!」



本 城「すぐに心臓マッサージを始めたのが良かったらしいよ。ちょっとでも遅れてたら、手遅れになってたかも知れないって」
夏 美「よくやったじゃん」
雪 乃「うん、すごいよ」


 う〜ん、やっぱり最終2話は小松彩夏のアップとセリフが少々足りなかったが、まあしようがないか。それにしても、こんなに渋いゲストで、メイン視聴者層は10代、20代だというのに、よく9.6%まで視聴率が回復したよね。安田顕(アミューズと業務提携しているTEAM NACS所属)人気かも。なんて、でも業界の人はそのへん、ちょっと分析する必要があるんじゃないですか? ともかく、さすがに毎回冒頭のオチャラケはきつかったが、私もなんだかんだと楽しませてもらいました。ということで『白衣の戦士』レビューは今回でいちおう終了。みなさんもおつき合いありがとう。そして小松彩夏さんお疲れ様。



 フリーになったこまっちゃんを、これからもみんなで応援しよう! 次はアストリアというネット通販かなにかのカタログにモデルで出るらしいぞ。では。