実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第700回】火星大接近の巻


 Googleが推奨する「ブラウザ上で最も読みやすいフォントサイズ」は16ピクセルである。Yahoo!を始め大手サイトもだいたい文字サイズ16px、行間1.5emだ。が、このブログではそれよりひとまわり大きい本文17ピクセルに設定した。実はしばらく18pxにしていたけど、大き過ぎるかなと思ってちょっとだけ小さくした。理由は私がハズキルーペを買えないことによる。いや買えなくもないが、買ったら銀座のクラブでホステスのお尻の下に置きたくなるけど、そこまでの甲斐性はないことによる。ま、とにかく16ピクセルだと、ちょっと疲れた時の老眼にはきついときがある(自分調べ)。『M14の追憶』は16pxだと思うが、大丈夫なのか。緑内障って視野の問題でフォントの大きさはあまり関係ないのか。
 いずれにせよ文字サイズは、読んでくださる方の印象次第である。PCの方、タブレットの方、携帯(スマートフォン)の方、ご覧になってなにかご意見があればどうかお知らせください。
 ところで、いろいろいじっているうちに、間違って「カテゴリー」をすべて消してしまい、過去記事がすべてノーカテゴリーにリセットされてしまった。私のバカバカバカ。それでいま、カテゴリーを作り直している。
 私が試した限りでは、この「はてなブログ」のワード検索機能は旧「はてなダイアリー」より格段に上である。ただこのサイトで「北川景子」や「泉里香」といった文字列を捜しても、そんなものは際限なく出てくるので、逆に検索の意味がなくなる。だからセーラー戦士の方々については、それぞれ個別にカテゴリーを設けて、そこから一括して関連記事を参照できるようにしたいと思う。これまで戦士のみなさんの女優としての仕事ぶりを紹介する記事は「あの人この仕事」というカテゴリーにまとめていたが、これは小池里奈はじめ戦士以外(それともセーラールナは戦士かなあ)のスタッフ・キャストのお仕事をまとめるカテゴリーとして、沢井さん、泉さん、北川さん、安座間さん、小松さんのカテゴリーを整理する作業に現在取り組んでいます。今年でもうすぐ13年目、700ほどの記事があるのでちょっと手間がかかる。
 それと小見出しね。ここんとこ小見出しを使っていないのだが、ちょっと考えていた。このブログはタイトルヘッダの背景色がセーラームーンのピンク、テキスト本文の背景がマーキュリーの水色、タイトル下の文字列がマーズの赤、引用ブロックの背景色がジュピターの緑(薄い竹色ですが)、そして毎回のタイトルがヴィーナスのオレンジになっているが、ちょっとマーズの赤が弱いかな、と思って、小見出しには真っ赤なラインを引くことにした。じゃ、久々に小見出しを使ってみようか。

1. ななきいろ


 これも前回の冒頭と同僚、ちょっと前のネタです。ネルケ版ミュージカルの初代セーラーマーズ、七木奏音さんのブログ「ななきいろ」は、ここでも何度か紹介しましたが、先日の記事で、井関佳子さんのことが取り上げられていた。井関さんはバンダイ版セラミュで、デッドムーンのジルコニアおばばを演じていたそうだ。ちょっと『SuperS改訂板』(サターン復活編)引っ張り出してみた。アンザムーンで、木村多江がフィッシュアイとかやってた頃ね。演出はネルケ版の平光琢也だ。



 まあ顔なんて分かんないか。で、その後音楽ユニット「ねこマジ」でボーカルを担当したり、音楽活動を続けながら、2.5次元ミュージカルを中心に、舞台の演出関係の仕事をされていて、ネルケ版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』では演出補佐でもある。


はじめて井関さんに会ったのは セラミュのオーディション。
5年生のときに同じ事務所の先輩たちの舞台を観てから
ずっと舞台を目標にしていました。
それから色々な舞台を観ては思いをふくらませてたけど
16歳になっても 仕事で お芝居をしたことがなかったし
同じマーズ役の方たちは 大きな声が出て 色白でスタイルのいい子ばかりだったから
また いい 経験できたな 楽しかったなって
続々とみなさんが前にでてるときに 思いました。
だから
受かりましたの連絡は びっくりするぐらいびっくりだったのです。



井関さんには よく 奏音は優しすぎる と注意されました。
うさぎにヤンヤン言うときも ビシッと叱るときも
うさぎに対して わたしが入りすぎてしまっていて
これが あの頃は すごく苦戦しました。
正反対の役をやることが多くて 今でも よく 悩むけど
それはもう わたしの場合
とにかく そのキャラクターをいっぱい知って
いっぱい 好きになる!ことしかなくて
ほんとに レイちゃんは たくさん泣きました。



わたしは人一倍声が小さくて 声量も弱いけど
歌は 好きでした。
そこでは
ソロパートになったときに 一人にならないこと。
5人でひとつ なんだよって 井関さんに言われたのを よく覚えています。
だから 5人の一曲のなかでソロがあっても
ひとりじゃなくて みんなの分も歌うこと。
いまでも 大事にしています。
大事にしたいことが いっぱいです。



わたしは この出会いのおかげで
ずっと憧れていた だいすきな舞台の世界に入ることができて
だいすきな仲間に 作品に 役に
出会えてこれたんだと 思っています。
井関さんは
わたしを 今のわたしにしてくれた
かけがえのない 大切なひとです。
(「いせきさん」『ななきいろ』2019年1月13日


 つい長くなってしまいました。気持ちが真っすぐ伝わる文章で、ちょっと舌足らずな表現も愛嬌がある。セラミュの頃は、レイに相応しいキリっとした美貌と、グダグダな舞台挨拶の落差が印象的だったけど、いまはどうなんだろうか。

2. スーパーマーズ


 ネルケ版セラミュの第1作『美少女戦士セーラームーン -La Reconquista- レコンキスタ』も、もう5年前のことになったけど、さっき書いてあったとおり、奏音はオーディションに合格するとは思っていなくて「また いい 経験できたな 楽しかったな」と思ったそうだ。


一作目のレコンキスタが終わってから
何十人もの審査員の方から わたしは候補から外されていたけど
唯一 気に留めてくれていたのが
原作の武内直子先生と 演出補助の井関さんだった
と聞かされました。


 これは初耳であった。やはりこういうときにモノを言うのは原作者武内先生のお墨付きなのだ。ていうか武内先生、相変わらず主張が強そうだな(笑)。
 実写版もそうだ。古いファンには言わずもがなだが、オーディションの段階でうさぎ役にはかなり強力な候補者がいたらしい(沢尻エリカという説が有力である)。それを押しのけて沢井美優を強力プッシュしたのが武内直子だったという。



 武内先生の直感はなぜ沢井美優を選んだのか。月のプリンセスに必要な包容力が感じられたからかな、とも思う。実写版セーラームーンが始まった時点で、沢井美優は明らかに他の戦士たちより演技力が上回って見えた。それは子役としてのキャリアの違いもあるだろうが、本能的に相手を受けて活かす芝居ができた、ということだったと思う。うさぎは亜美やレイやまことのコンプレックスを受けとめ、包むことで彼女たちをセーラー戦士として目覚めさせた。



 そもそもセーラームーンは、セーラー戦士のなかのセンターだけどプリンセスで、護衛戦士から守られる存在だ。もちろん同時に、いざとなったらプリンセスとして圧倒的な銀水晶の力をあやつり、みんなを守る力強さも持っているはずなのだが、小林靖子の実写版では、うさぎはみんなを受け容れる器の広さにおいてすぐれていて、強ささえも受け身のかたちで示してみせた。Act.36、次々と火を吹くナパームを顔色も変えずに「受けて」みせた場面に彼女の強さは集約されている。



 でもうさぎは最後までPムーンをコントロールしきれず、運命に翻弄されて星を破滅に導いてしまう。このあたりを観ていると、ひょっとすると、沢井美優のうさぎに脚本が影響されて、こういう悲劇的展開になったのか、とも思えた。



まこと「助け合って強くなるんだよ」
レ イ「ひとりひとりが強くなるべきよ」



うさぎ「待って待って。ごめん、私、自分でやる。忘れて、ね」
(Act.8撮影台本より)


ともかく、実写版がセーラームーンのお話ではなく本当の意味で群像劇となったのは、沢井美優の力によるところが大きい。中心ではなくちょっとズレたところにいて、それでいて他の戦士の受け皿となり、結果的にチームをまとめる。



セーラームーン「ごめんね」
振り向いたマーズの表情が和らぐ。



マーズ「うさぎの理想なんか裏切っちゃえばいいのよ」



セーラームーン「え?何?」



マーキュリーにも、やっと小さな笑みが浮かぶ。
(Act.16撮影台本より)


 さて昨年2018年は「スーパーマーズ」といって、火星が15年ぶりに地球に大接近したが、2019年も早々、マーズがプリンセスと大接近した(『家売るオンナの逆襲』第3話「多様化する愛の形!?真冬の現地販売で宿敵に客を奪われる!?」2019年01月23日、日テレ脚本:大内静、照明:大内一斎/撮影:二之宮行弘/演出:久保田充)。わずかワンシーンで、キャラクターの動きとしては沢井が動いて北川が受けているんだけど、芝居の内容としては押しの北川と受けの沢井というか、そういう懐かしい関係性はあの頃と変わっていないよなあ。




 真島みどり(沢井美優)と車田智代(芳野友美)はレズビアンのカップルで、足立(千葉雄大)の紹介でいい物件を見つけかけたんだけど、売り主(針原滋)は、二人が同性愛者だと知ったとたん「あんたらに この家は売らないよ!」と言う。契約はおじゃんになってテーコー不動産に戻る三人。そこへ三軒屋万智(北川景子)登場。



智 代「足立さん! あなたレズビアンは、家を売ってもらえなくても、しょうがないと思ってるの?」



足 立「とんでもございません。誰にでも家を買う権利はあります」



みどり「トモちゃん、もうやめて。あなたが余計なことしなかったら、あのマンションは買えてたのよ」



智 代「余計なこととは何よ? 何でドリーは胸を張らないのよ!」



智 代「私たちが愛し合ってることは、そんなに恥ずかしいことなの?」



みどり「このことで言い争うのは、もう嫌」



みどり「私は世間とは角を立てずに、ひっそりと愛し合いたいだけ」



みどり「世の中と戦ってまで、自分たちを認めさせなくてもいいのよ、私は」



智 代「私は嫌だ。偏見を持たれたり差別されたり、家が買えないなんて耐えられない!」



みどり「じゃあ勝手にしてよ」




万 智「私が真島様と車田様に、最適な家をお探しいたします」

みどり「あなた、誰?」



万 智「不動産屋です」


 カメラ遠いなぁ。ともかく、愛しあう二人ではあるが、レズビアンであることを堂々と公表したい智代に対して、みどりは世間の偏見をおそれ、表向きは自分の性的アイデンティティを隠してひっそり生きて行きたいと願っている。そういう沢井美優の姿は、人肉食の本能を抑え込み、人間のふりをして社会に紛れて生きることを願ってた『仮面ライダーアマゾンズ』のミカに重なる。すでに沢井美優の引き出しにある役どころだ。だから余裕の芝居で、北川景子はそこへ向かってど真ん中ストレートの球を投げ込む。これぞまさに沢井美優と北川景子。しかも二人とも、あれから15年の歳月を経て円熟味すら見せてくれる。私はなんだかしみじみしてしまったよ。



 ただ、ここでは三軒屋万智が「私が真島様と車田様に最適な家をお探しいたします」と言っているが、結局この二人に物件を売ったのは留守堂(松田翔太)である。もっとも留守堂は、三軒屋万智だったらどんな物件をどんなふうにこの二人に売るか、頭の中でシミュレーションしてその通りのやり方で売ったようである。だから実質的に三軒屋万智が売ったことになる、と言えなくもない(無理やり)。
私自身は、ガッカリの気持ちもあるが、奇蹟の共演だけにワンシーンだけで十分、それ以上は希少価値が下がるもんな、という倒錯した思いもある。まあ何にせよ、長いことこのブログをやっていて本当に良かった。



 『家売るオンナの逆襲』そのものについて言えば、留守堂がだいぶ前面に出てきた。第1話では三軒屋万智にストレート負け、第2話では万智のやり方をじっくり観察して、今回の第3話では、万智の御株を奪うやり方で芳野友美と沢井美優に家を売った。そして次回、予告編ではいよいよ万智が「負けた……」とつぶやく。いったい留守堂とは何者か。そして足立の恋の行方は(っていうか足立は『帰ってきた家売るオンナ』でシングルマザーの芦名星にぞっこんだったはずだが、どうなったんだ?)。第3話が視聴率がちょっとアレだったそうだが、めげずにみんなで盛り上げて行きましょう!
 では今回はこのくらいで、過去ログのカテゴリー整理の作業に戻ります。