実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第694回】コンビ誕生の巻(北川景子『指定弁護士』)

 

 

 浜辺美波の2019年の映画出演スケジュールもだいぶ埋まっているらしいが、いまのところ最大の注目作(名古屋支部調べ)は『賭ケグルイ』である。来春にテレビドラマの続編が放送され、5月に劇場版が公開される。ゴールデン・ウィークにぶつけるのであろうか。ちょっと心配である。浜辺美波と森川葵、高杉真宙と矢本悠馬、それに岡本夏美、松田るか、柳美稀、松村沙友理(乃木坂46)、池田エライザ、中村ゆりか、三戸なつめという顔ぶれからしても、連休の目玉というより一部好事家向けって感じでしょう。ただ来春は超大型連休になるとかいうから、二本目、三本目の選択肢として良いかも知れない。

 

 

 さあ、というわけで『ドラマスペシャル 指定弁護士』の続きを行こう(2018年9月23日放送、テレビ朝日・東映、脚本:櫻井武晴/照明:池本雄司/撮影:関照男/監督:竹園元)。
 保守党の大物、田金代議士(石橋蓮司)の不正を告発する指定弁護士に指名された一ノ木唯(北川景子)。さっそく調査に乗り出したが、最初に会うはずだった田金の秘書、斎藤(伊東孝明)が目の前で自宅マンションから投身自殺した。唯は、残された奥さん(真飛聖)のためにも真実を明らかにしなくちゃいけない、と決意を新たにする。
 しかしさっそく妨害が入る。田金代議士は大金を払って、彼女の所属する三塚弁護士事務所に弁護を依頼した。利益相反の原則に従って唯は弁護人を降りなければならない。でも持ち前の「妙な正義感」が顔を出して、唯は逆に事務所に辞表を出して指定弁護士を続ける道を選ぶ。
 相棒の京都地検、橘検事(北村一輝)によれば、田金の息のかかった法人は、除染が必要な土地をそのぶん安く買い付けたうえ、除染作業をするにあたって改めて助成金をもらっているという。この時点ですでに二重取りなのだが、さらに除染作業をしたはずの日が台風だったり、担当業者の社員旅行の日だったりするというのだ。カムフラージュがずさん過ぎるようにも思えるが、あんがい本当にこんなものなのかも知れない。

 

 


 橘 「払い下げられた国有地に、辰波福祉会が老人ホームの建設を始めたのは知ってるよな?」


 唯 「ええ、 マスコミに騒がれて今は止まってるみたいだけど」


 橘 「2010年に払い下げられたのに、なんで工事が今になったか知ってるか?」


 唯 「なかなか資金が集まらなかったから。あと 土壌の除染をしてたから」


 橘 「その除染、多分してない」
 唯 「えっ? 除染費用を値引きして売ったのに?」


 唯 「除染工事してるじゃない、何日かに分けて」


 橘 「この日は、この業者の社員旅行だった。しかも 全員参加のな」


 橘 「そして、この日は台風だった」


 唯 「えっ?じゃ 除染工事ムリじゃない」


 橘 「つまりこれは虚偽の契約書の可能性がある」


 唯 「すごい……さすが検察官、よく調べたわね」


 橘 「まあな、って言いたいとこだが、実はこれ、大阪地検特捜部が持ってた資料だ」


 唯 「えっ?じゃあ 特捜部はこれが嘘だって気づかなかったの?」


 橘 「これも特捜部が持ってた。」


 唯 「辰波福祉会に国交省の補助金?」


 橘 「除染費用に充てるため2010年から5年間、毎年4000万以上の補助金が出てた」


 唯 「えっ?  だって国有地はもともと、その除染費用が値引きされてたんでしょ?」


 橘 「なのに、だ。国から除染の補助金が出てたんだよ」


 唯 「それじゃ……税金の二重取りじゃない!」

 


 あからさまに不審な資料を、大阪地検特捜部はなぜ見て見ぬふりをしてしまったのか。橘は上司に疑問をぶつけたが、かえってその情報を指定弁護士に教えたことを叱責される。橘の役目はタテマエ的には唯をサポートすることなんだが、特別刑事部長の白井(相島一之)が橘に期待していたのは、検察が二度も不起訴で終わらせようとした案件を、しゃしゃり出てきた唯が下手にひっくり返さないよう牽制することだった。

 


 橘 「優秀な大阪地検特捜部が、これを見て何も気づけなかったとは思えません」


 橘 「なのにどうして 特捜部は、これを調べる事なく田金を不起訴にしたんでしょうか?」



 橘 「検察は正義の味方じゃなきゃいけない。」


 橘 「あ…… 部長、何かご存じなんですか?」


白 井「これを指定弁護士に見せたのか?」
 橘 「いけませんでしたか?」


白 井「指定弁護士に捜査記録を見せる場合、今後は私に判断を仰いでくれ」


 橘 「どうしてですか?」


白 井「わかったな」

 


 相島一之が北川景子の出演作品に登場するのはWOWOWの『ヒポクラテスの誓い』(2016年)以来だと思う。大学病院に勤務する良心的な医師で、投薬ミスに気づいて公表するよう主任教授の古谷一行に提案するが、対面を重んじる古谷一行に却下され、患者の命が奪われてしまう。北川景子たち法医学教室の面々はその死を不審に思い、患者の遺体を司法解剖してじわじわ真実に近づく。

 

 

 

 

 板挟みの相島一之は良心の呵責に耐えかね、自分が死なせた患者のカルテを抱きしめ病院の屋上から飛び降りてしまう。

 

 

 

 なんか可哀想な役でした。今回の『指定弁護士』も北川景子が疑問を問い質そうとした相手が、ビルから飛び降り自殺する場面で始まる。北川景子に関わるとそういう運命もありなので覚悟が必要だ。それを怖れてか、今回は相島一之が北川さんと絡む場面はなかった。フジテレビの『探偵の探偵』(2015年)のときも、同じ画面で共演することはなかったかな。
 ともかくその相島一之演じる白井特別刑事部長は、明らかに何かを隠していて、橘検事が当初の思惑を越えて唯と意気投合し、真実を追究し始めたことを、明らかに疎んじている。
 一方、唯と橘は、秘書の斎藤が亡くなってしまったので、どうやってここから証拠固めをしていくべきか討議する。

 

 

 夏の暑っつい京都を全力ダッシュする唯。老人ホームを建てようとしていた社会福祉法人「辰波福祉会」の金の出入りを確認していて、とんでもない妨害にあったのだ。

 

 


 唯 「辰波福祉会に交付した補助金について国交省に照会したら、関係書類は全て破棄したって」


 橘 「破棄した?破棄したなら これは なんだ?」
 唯 「知らないって」


 橘 「知らないって……特捜部が持ってた資料だぞ!」


 唯 「それ 証明できる?」


 橘 「国交省は何か隠してる」


 唯 「同意見よ」


 橘 「大阪地検特捜部はそれを知りながら田金を起訴できなかった」


 唯 「でも どうして?」


 橘 「…… わからん。だが 真実が隠されたままでいいはずがない」


 唯 「国交省を調べられないなら、田金を呼んで直接 調べるしかないかな?」


 橘 「田金? 賄賂を受け取った側か。それなら賄賂を渡した側……辰波、こいつが先だ」


 橘 「辰波、こいつが先だ」


 唯 「待って! 賄賂を渡した側が簡単に口を割るとは思えない」


 橘 「おい、なに言ってんだよ。贈賄と収賄じゃ時効が違うだろ」
 唯 「あっ……贈収賄は2014年まで行われていたから……」


 橘 「賄賂をもらって便宜を図った公務員、つまり田金はあっせん収賄罪で時効は5年。まだギリ成立してない。賄賂を渡したほうは?」


 唯 「賄賂を渡した側の時効は3年。もう成立してる」


 唯 「だから 自白しても罰せられない!」


 橘 「気づくのが遅い。贈収賄捜査の基本だ」


 唯 「贈収賄捜査なんかしたことないもん!」

 


 ということで、辰波福祉会の理事長、辰波栄泉に面会に行くが、辰波(山田明郷)はなんともタイミングの良いことに、心臓の持病で緊急入院するところだった。間一髪で救急車に逃げられてしまう橘と唯は、その場にいた職員(あきやまりこ)に喰い下がるが、相手にもされない。

 


隊員「いち、に、さん!」


(サイレンの音)


 橘 「いま乗ってたの、辰波さんですよね?」
 唯 「田金議員の起訴を担当する指定弁護士です」


職 員「辰波理事長は入院する事になりました」
 唯 「えっ、入院?」


職 員「理事長は心臓に持病をお持ちですから」


 橘 「病院、どちらですか?」
職 員「面会謝絶です」


 唯 「そんなに悪いってこと?」
 橘 「面会できないほど重体なら、誰も付き添わないはずがないだろ。しかも見送りもたった一人って」


 唯 「病院に逃げたってこと?」
 橘 「気づくのが遅い」


 橘 「俺が部長に話したのがまずかったのかもしれん」


 唯 「先回りされたってこと?」
 橘 「そこまでしても隠したいことがあるんだろう」


 唯 「賄賂を渡した側は入院。もらった側の秘書は自殺」


 唯 「そこまでして隠したいことって、一体……」


 橘 「どうする? 指定弁護士さん。辰波の自白って援護がない限り、田金を取り調べても、たぶん無駄だ」


 唯 「なら、別方向から援護してもらう」


 橘 「えっ?」

 


 「別方向から援護してもらう」とは、京都市議の津山(正名僕蔵)の力を借りるということである。そもそも今回の問題の発端はこの人だ。この人が、新しい公園を造るために市が購入した国有地を視察して、すぐお隣の老人ホーム建設予定地が、べらぼうに安い値段で国から払い下げられていたことに気づき、告発した。それがスキャンダルの始まりだった。だから津山市議は当然、事態の成り行きに深い関心を寄せているし、独自調査で極秘情報を手に入れたとマスコミに公表しも、まあ不自然ではない(?)。

 


津 山「わかりました。世論を味方につけましょう」


 橘 「どうする気ですか?」
津 山「辰波福祉会が土壌の除染をしてない可能性を、マスコミにリークします」


 唯 「あと除染費用に補助金が出ていたってことも」


 橘 「馬鹿、お前……いま検察官の身分なんだぞ」
 唯 「いつの間にかお前呼ばわりになってるけど」


 橘 「おれたち検察官はこの手のリークはできない。職務上の守秘義務がある。お前、それぐらい……」
 唯 「その手の守秘義務なら弁護士にもあります」
 橘 「だったら……」


 唯 「だからよ」


津 山「検察官でも弁護士でもない、私におまかせください」


 橘 「はあ、なるほど。弁護士や議員は あくどいわ」


 唯 「褒め言葉です」

 

 

 ちなみに正名僕蔵は『探偵はBARにいる3』の冒頭で、中国人ホステスの人工おっぱいに手を出して大泉洋から糾弾されていた教頭先生です。この人の口利きで、大泉洋の探偵は秘密デートクラブに潜り込み、そこで北川景子と邂逅する。

 

 

 そのキャラクターのまま市会議員で通じるところが日本的というか。
 ということで、国有地を安価で払い下げた上、土地の除染費用も別途に助成を受け、しかも実際には除染していないという疑惑は、津山市議の口からマスコミに語られ、ワイドショーの格好のネタにされる。世論は非難ごうごう。

 

 

 

 

 「美人すぎる指定弁護士」(とは言っていないが)唯のところにもレポーターが殺到。何というタイトルか知らないが、安藤弘樹がMCを、森永卓郎がコメンテーターを務めるワイドショーで取り上げられ、その様子を白井特別刑事部長も、かつての所属である三塚弁護士事務所の三塚所長(中村梅雀)も、三塚事務所ではライバルだった弁護士、箭内(矢柴俊博)も、そこで働いているダンナの隆司(えなりかずき)も、みんな注視している。

 


安藤アナ「街の意見は厳しいものが多かったですね。森永さんは どう思われますか?」」


森 永「そうですね。国民の怒りは 結局 今……」

白 井「これを知っているのは、大阪地検と、君を含む京都地検の一部、そしてあの指定弁護士だけだ」
 橘 「はい……」


白 井「マスコミにリークしたのが君なら、懲戒処分の対象だ」
 橘 「わかっています」
白 井「君は、特に優秀な検察官というわけではない」


 橘 「自覚しています」
白 井「しかし与えられた仕事をそつなくこなす。下手な感情に流されず。そこは評価に値する。しかも指定弁護士制度に反対だった」


 橘 「だから私を選んだんですね。指定弁護士に負けさせたいから、私をその監視役に」
白 井「指定弁護士など放っておいても勝手に負ける!」


 橘 「だったら何を恐れているんでしょうか?」


白 井「恐れている?」


白 井「放っておいても勝手に負けると言いながら、こうやって指定弁護士に世論がつくのを恐れてます」


白 井「期待に応えられないなら降りて構わない」


 橘 「クビってことですか?」


白 井「そんな前例を作って大事にはしたくない。しかし、君が一身上の都合で降りるというのなら……」
 橘 「部長」


 橘 「失礼します」


白 井「君には 評価できない点がひとつだけあった。時おり、変な正義感が顔を出す」


 橘 「検察官なら誰でも正義感はあります」


白 井「君にあるのは組織にそぐわない正義だ」


白 井「しかし、眠っていた君の本性をこんなに引き出すなんて、たいした弁護士だ」


白 井「噂をすれば……」


記 者「本日発売のこちらの記事ですけれど、この情報は一ツ木先生がリークしたんじゃないかという臆測がありますが……」


 唯 「それは違います」
記 者「これで田金議員の疑惑が深まり、世論の多くが一ツ木先生の味方に……」


 橘 「失礼します」


 唯 「だとしたら ありがたいです」


三 塚「なかなかやるねえ君の奥さん」


三 塚「あっ そうそう、忙しいとは思うけど、新しい弁護士決まるまで、奥さんのやってた仕事、頼むよ」


箭 内「もちろん、非弁にならない範囲で、ねっ」


隆 司「はい……」


記 者「その辺りはどうお考えでしょうか?」
 唯 「えー… そうなればいいですが、そんなに甘くないと思います」

 


 前々回に紹介したように、北川景子は上司の中村梅雀に「君の中にある 得体の知れない正義感、気に入った」といわれてスカウトされた。で、北村一輝はここで上司から「君には評価できない点がひとつだけあった。時おり、変な正義感が顔を出す」と言われて、さあいよいよこの二人が共闘して真実を明らかにしようとする。戦闘開始だね。
 というところで今回はこのへんで。次回からはもう少しペースを上げて、早くクライマックスの法廷シーンに辿り着きたいです。