実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第692回】京の夏の夜の巻(北川景子『指定弁護士』)

 

 

 11月最初の土・日(11月3日・4日)の映画興行成績は、なんかすごく渾沌としている。


01位『ヴェノム』(初登場)
02位『スマホを落としただけなのに』(初登場)
03位『映画 HUGっと!プリキュア』(先週1位)
04位『宇宙の法 −黎明編−』(先週3位)
05位『旅猫リポート』(先週2位)
06位『ビブリア古書堂の事件手帖』(初登場)
07位『億男』(先週4位)
08位『日日是好日』(先週5位)
09位『走れ!T校バスケット部』(初登場)
10位『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち第六章』(初登場)


 凄いな宇宙戦艦ヤマト。全国あわせてわずか35スクリーンでしか上映されていないのに、初登場10位に食い込んだ。
 一方『スマホを落としただけなのに』も、ハリウッドのアメコミヒーローもの(アンチヒーローか)『ヴェノム』を相手に健闘した。首位こそ取れなかったが、土日2日間で動員16万9千人、興収2億3千万円で、この成績は『探偵はBARにいる3』比で157%。『響 HIBIKI』比で209.5%だってさ。『探偵はBARにいる3』はトータル8億円台の後半だったと聞くが、この調子なら『スマホ落とし』は10億円をクリアするかも知れない。北川さんもやたらとテレビに出て頑張った甲斐があった。

1. 江成

 


 先週は映画プロモーションのための北川さんのテレビ出演が沢山ありすぎて、もちろん全ては観ていないし、見たやつもどの番組のどういう話題でどんな発言が出てきたか、記憶がごっちゃになっているんだが、どこかで、けっこう普通に夫婦で外食するとかいう話になった。そうするとまずダンナさんが周囲にバレて「DAIGOだ!」と騒ぎになり、それから「じゃあ隣にいるのは北川景子?」みたいな感じで気づかれる、というような話でした。ほんとうは北川さんの方がトップ女優で先に気づかれておかしくないんだけど、実際そうなんだろうなあと思う。そのあたりがこの夫婦のスマートな雰囲気とか好感度の高さにつながっているのだろう。
 リアルの世界でそういう「正解」な伴侶を得たけど、ドラマで北川景子の夫を誰にするかというテーマ考えると、けっこう迷宮に迷いこむ。今まで観たなかでいちばんしっくりくるのは『家売るオンナ』の仲村トオルだけど、かなりギミックなやり方ではあるよね。




 そういう意味でえなりかずきという意表を衝くキャスティングは、ものすごく考えた結果なのかも知れない。でもぜんぜん考えていないかも知れない。えなりかずきだけに分からないのだ。ドラマを観終わっても結局よく分からなかった。
 何か手がかりはないかと思って(何のだ)ネットを検索して驚いたのだが、えなりかずきの情報は恐ろしく少ない。所属事務所はお父さんが代表のジェーディーエス(JDS)という会社で、ここは昔ゲームソフトの開発をやっていたのが、今はえなりかずきと弟の江成正元、俳優二人(てか息子二人)のマネジメントをやっている。現在、公式サイトというものはなく、広報活動を一切やっていない。えなりかずきが次にどんな仕事をするかは、芸能ニュースが話題にしない限り誰も事前に知ることはできないのだ。
 アメブロに「えなりかずき公式ブログ えなリズム」というものはあるが、2013年7月7日の「我が闇」というすごい題名の記事を最後に途絶えている。そのほか、えなりかずき自身によるツイッターとかインスタも、もちろんなさそうだ。知りたくもない情報があふれかえるこのご時世に、芸能人のくせにここまで情報開示を拒む江成一家とはいったい何なのか?
 すみません、そんな雑談をしている場合じゃなかった。もう2018年も残すところ1ヵ月半あまりとなり、それに較べて年内に納めなければならない仕事をだいぶ残している私、これからしばらくは少しブログの記事を切り詰めていきます。普段が大盛りなので、適量になる、と言えないこともないです。

2. 告発


 それでは日曜プライムドラマスペシャル『指定弁護士』(2018年9月23日放送、テレビ朝日・東映、脚本:櫻井武晴/照明:池本雄司/撮影:関照男/監督:竹園元)。の続きだ。これも年内には終わらせるからね(笑)。



 悪意があるのかないのか、事務所の所長(中村梅雀)の裏切り行為で指定弁護士を降りざるをえなくなった唯(北川景子)。そんな唯の前に現れたのは、投身自殺をとげた田金の秘書の妻、斎藤里美(真飛聖)であった。里美の話の内容は思いがけないものだった。

 


里 美「夫は……夫は自殺じゃないんです」


 唯 「えっ?」


里 美「殺されたんです。夫は殺されたんです」


╳    ╳    ╳


里 美「夫は死ぬ前の日に言ってました。辰波の献金を記載するのが苦しいって」


 唯 「苦しい? 辰波福祉会の辰波さんからの献金を、政治資金収支報告書に記載する事がですか?」
里 美「はい。この献金はほとんど賄賂だからって」


 唯 「ほとんど賄賂って……どういう意味です?」
里 美「………でもきっと、夫にそんな証言されると困るから……だから殺されたんです」


 唯 「殺されたって……でも 斎藤さんは 飛び降りた時、奥様と二人きりだったんですよね?」


里 美「だから… 自殺するように仕向けられたんです!そんなことできるの、田金清造だけです!」

 


 半ば口封じの死であったが、皮肉にもそれが妻の怒りに火をつけた。このまま、妻だからこそ知り得る情報をもとに告発すれば、ひょっとするとひょっとして、この強制起訴は成功するかもしれない。でも唯はもう、指定弁護士を降りなければならない立場だ。



 しかたない。せめて橘検事(北村一輝)には奥さんの言葉を伝えておこうと、唯は西院春日神社の境内の焼きとり屋で落ちあう。いいなあこのロケーション。本当は暑いし蚊とかもいるんだろうけど。

 


 橘 「(溜息)夫に死なれて取り乱した奥さんの戯言だ。この期に及んで呼び出すから何事かと思ったら」
 唯 「検察に来るな、って言うから来てもらったんです」
 橘 「指定弁護士やめた奴に出入りされても困るから言ったんだ。が、しかし驚きの証言でもある」


 唯 「ええ。秘書が死ぬほどの事って 一体……」
 橘 「賄賂だ、っていうその証言があれば、裁判する価値もあるかもしれん」
 唯 「えっ?」


 橘 「特捜部の捜査では出なかった驚きの証言だ」


 唯 「よかった。最後に少しは役に立てて……」


 橘 「……」


 唯 「次の指定弁護士に力を貸してあげてください」


 橘 「……起訴を望んだのは一般市民、そう言ったよな? その一般市民と握手してたよな?この手で」


 橘 「精いっぱい 頑張りますって。しかも 遺族は あんたを信じてこれほどの証言をしたんだよ」


 橘 「指定弁護士は検察官。あんた確かそう言ったよな」


 橘 「検察官なら、これほどの証言をした遺族を見捨てたりはしないよ」


 橘 「ましてやその事件で死んだ人がいたら、その墓に報告できるだけの事はする」


 橘 「なのに、結局あんたは逃げるんだな」


 橘 「はぁ、 思ったとおり定弁護士って制度は最悪だよ、最悪」


 橘 「俺たち検察官は必ず正義を味方する。だが善悪どっちの味方にもなる弁護士に、検察官が務まるはずはない」

 


 何より唯自身が、不可抗力とはいえ自分の不甲斐なさを恥じているだけに、橘の言葉がひとつひとつ胸に刺さる。
 自殺した秘書の奥さん、斎藤里美を演じた真飛聖は元宝塚花組のトップ。花組といえば北川景子が蘭寿とむに入れ込んでいることで有名だけど、そのひとつ前のトップだった御方である。私はANAのイメージキャラクターという印象が強い。



 宝塚の重鎮演出家、植田紳爾によると、真飛聖は『ベルばら』の稽古二日目には台本を手にしていなかったという。相手の顔を見ず台本に目を落としていては良い芝居が組み立てられない、だから一日で憶えるんだって。めちゃくちゃカッコいいですね。セリフの一番多いトップがそうだから、花組はみんなそれを見習うようになって、一度宙組に行った蘭寿とむが花組トップとして戻きたら、誰も台本を持っていなくてびっくりしたという都市伝説もある。すごいですね。



 あと、昨年暮れのWOWOWドラマ『石つぶて』の第1話で小松彩夏が北村一輝の愛人のホステスになってベッドシーンを演じていたが、それは1話ポッキリの出演で、その後のドラマで、本命の愛人(ていうのも変か)を演じたのが真飛聖だったという。宝ジェンヌらしからぬ、北村一輝とのかなり濃いラブシーンもあったそうで、そんなことならちゃんと第2話以降も観ておくんだったよ。北村一輝って本当にいろんな女優さんとラブシーンやりまくってるね。やりまくるなんていったら何だけど。圧巻だった吉本多香美(『皆月』1999年)とか田中美佐子(『リミット もしも、わが子が…』2000年)とか井上晴美(『フリーズ・ミー』2000年)とか荻野目慶子(『完全なる飼育 女理髪師の恋』2004年)とか小池栄子(『宿命 1969-2010』2010年)とか佐藤江梨子(『ナイトピープル』2013年)とか吉瀬美智子(『昼顔』2014年)とか、ぱっと思いついたのはそのくらいだけど、ソフトなものもハードなものもまだまだあったと思う。それに小松彩夏に真飛聖ですか。でもこの『指定弁護士』では北川景子とも羽田美智子ともやってません。

3. 決意

 


 そんなやりまくり検事の北村一輝に言われまくりで凹んだ北川さんの足は、自然と馴染みの店に向かう。祗園の「よる屋」。ロケ地は実際に祗園にある「Cheri」(シェリ)というダイニング・バー。ワインや野菜料理にこだわりのあってメニューもなかなか凝っている(ネット調べ)。ドラマのなかの「よる屋」は、もうちょっとオーソドックスなスタイルのバーで、北川さんが席に着くと、旧知のマスター筧田吾郎(松重豊)がスッとハイボールを出す。「サンボア」とか、そんな感じ。



 私は京都の学生時代、金もないのでめったに外で飲んだりしなかったけど、コンパの帰りとか勢いで寺町京極の「京都サンボア」に時々寄らせてもらって、ハイボールの旨さをそこで知った。しかしバーテンのおじさんにはほぼ毎回叱られたなあ。客商売で店主が客を叱るのはどうか、とも思うが、でも私はあそこで、バーでの酒の飲み方を教わったと思う。学生の町にはああいう店も必要だ。このシーンを観ていてちょっと懐かしくなった。ま、どうでもいい話ですね。

 


吾 郎「駄目よ、有名人が顔さらして来ちゃ」


 唯 「この時間なら誰もいないと思ったから」


吾 郎「余計なお世話だこと」



 唯 「はあ……」


 唯 「あっ 吾郎ちゃんも何か飲む?」


吾 郎「勧めるのが遅いわ」


吾 郎「で、なに迷ってるの?」


 唯 「迷ってるって何?」
吾 郎「別に」
 唯 「なんで迷ってるって思うの?」


吾 郎「飲むスピードで わかる」


 橘 「起訴を望んだのは一般市民。そう言ったよな?」


 橘 「しかも 遺族は あんたを信じてこれほどの証言をしたんだよ」


里 美「夫は 殺されたんです!」


里 美「自殺するように仕向けられたんです!」


 橘 「これほどの証言をした遺族を見捨てたりはしないよ」



三 塚「君が降りたって すぐに次の弁護士が指定されるよ」


隆 司「少しは 家庭も考えようよ」



 橘 「俺たち検察官は必ず正義を味方する」





 唯 「別に。迷ってなんかいない」


吾 郎「そうね。もう迷ってないわね」


吾 郎「じゃあ、乾杯」

 


 次第に唯の決意が固まる。もう十五年前みたいに、メイクア〜ップとか言わなくても正義の味方に変身できるようになったのだ。かっこいいなあ。私もハイボールが飲みたくなってきた。もうちょっとしたら終わりにするね。



 翌朝、唯は指定弁護士を続ける意志を三塚所長(中村梅雀)に伝える。もちろん、三塚法律事務所が田金(石橋蓮司)の弁護を引き受ける以上、唯は事務所を辞めざるを得ない。驚く三塚所長、狼狽える夫の隆司(えなりかずき)。でももう、唯の気持ちは止まらない。

 


三 塚「はい!?」
 唯 「私を頼って証言してくれた奥さんを、見捨てるわけにはいきません」


 唯 「だって それは正義じゃない」


三 塚「正義って何? 一ツ木先生らしくない」


 唯 「昔、弁護修習で指導してくれた時、おれの事務所に来ないか?って言ってくれましたよね」


三 塚「言ったよ。それは 君を見込んだから」


 唯 「その時 言いましたよね、君の中にある 得体の知れない正義感、気に入ったって」
三 塚「言った…っけ?」


 唯 「今までお世話になりました。引き継ぎに関しては十分、彼に話しておきますから」


隆 司「ねえねえ 何 言ってんの?酔っ払ってんの?そういえば ちょっと酒臭いけど。すぐに取り消して……」
 唯 「ごめん。家の住所、弁護士会に登録するから。……じゃあ、ありがとうございました」

 


 そそくさと立ち去ろうとしたその時、唯に声をかけたのは箭内(矢柴俊博)。もともと所長のパートナー弁護士の座を唯と争っていた相手だ。だから唯がここで奇妙な正義感を発揮して事務所を辞めるなんて、タナボタみたいなありがたい話のはずなんだが、喜ぶどころかちょっと怒ったような表情。ていうか失望か。ライバルだった相手が、キャリアを棒に振るような暴挙に出る愚か者だと分かって、軽蔑と失望、そしてそんな彼女を買いかぶっていた自分自身への怒りもあるかな。

 

 


箭 内「もう少し 頭がいいと思ってた」




 唯 「ありがとうございました」

 


 てことで事務所を後にして、京都地方検察庁に入っていく唯。ていうかここ本当は、弘法大師空海が開いた日本一古い大学、種智院大学だけど(笑)。




 そこから出てくる橘検事は、唯を見て憎まれ口を叩くが、直ぐにその表情から彼女の決意を見抜く。ようやく指定弁護士と検事コンビの誕生だ。






 ひとまずパートナーがえなりかずきから北村一輝へ、って言っても恋愛要素はない。高林鮎子シリーズの眞野あずさと橋爪功とか、小京都ミステリーの片平なぎさと船越英一郎みたいな(……あれは恋愛関係なのかな)純粋なパートナーシップだ。ただ、そもそもえなりかずきと北川景子の組み合わせが夫婦というよりはコンビなので混乱する。混乱しているのは私だけかも知れないが。

 


 橘 「おい もう来るなって言ったろ」
 橘 「……なんだ、指定弁護士、降りないのか」
 唯 「えっ?」


 橘 「顔を見りゃ わかる。これまで 何人の被疑者を取り調べてきたと思ってる」
 唯 「被疑者って……」
 橘 「こっちは毎日、事件を捜査してる身なんでね」


 唯 「事件……なのよね? これも」


 橘 「もちろん」


 唯 「贈収賄事件。しかも人が亡くなってる」


 唯 「だったら せめて亡くなった人のお墓に報告できるだけのことはしたい。そう思った」


 橘 「あんたの執務室、まだあるけど?」


 唯 「えっ…?」


 橘 「指定弁護士、降りないんなら、話したい事がある」

 


 こうして指定弁護士と検事コンビが誕生する。北川景子のパートナーがえなりかずきから北村一輝へ、って言っても恋愛要素はない。高林鮎子シリーズの眞野あずさと橋爪功とか、小京都ミステリーの片平なぎさと船越英一郎みたいな(……あれは恋愛関係なのかな)純粋なパートナーシップだ。ただ、そもそもえなりかずきと北川景子の組み合わせが夫婦というよりはコンビなので混乱する。むしろ北村一輝と組んだほうが貞操の危機である。なにしろ小松彩夏はじめ、いろいろやりまくってるもんなあ(ドラマや映画のなかで)。
 なんて、混乱しているのはどちらかといえば私の方なので、今回はこれで終わりにします。