実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第688回】指定弁護士始動の巻(北川景子『指定弁護士』/泉里香『文学処女』)


東宝のトップスター司葉子さん


 そのうちネタがない時にでも使おうと思っていたら、もう一年以上過ぎて、使いようがなくなった古い話。『君の膵臓を食べたい』のヒットを受けて『日刊スポーツ』が浜辺美波にインタビューしたときの記事。目標の女優は誰かと聞かれて、こう答えている。




「司葉子さんには憧れます。何度か作品を拝見しましたが、関わった作品の数がすごい。いらっしゃるだけで絵になる。私も大好きなミステリー小説に出てくるような、弁が立つ、かっこいい女性を演じられるようになりたい」(『日刊スポーツ』2017年9月27日


 こういうところがたまんない。そりゃ東宝シンデレラオーディションに受かって東宝芸能に所属したんだからこの答えは正しい。しかし優等生にも程がある。普通は東宝シンデレラ先輩の長澤まさみとか沢口靖子あたりを挙げる。水野真紀だとちょっとあざとい感じになるかもしれない。そこを突き抜けていきなり頂点、司葉子まで行く。それでこそ浜辺美波。でも「私も大好きなミステリー小説に出てくるような、弁が立つ、かっこいい女性を演じられるようになりたい」って誰のどの作品のことを言っているのだろう。



『賭ケグルイ』より森川葵と浜辺美波


 さて、あまり時間もないので本題に。まずは『文学処女』第4話(2018年10月1日放送、MBS・ソケット、原作:中野まや花/脚本:下田悠子/照明:渡辺良平/撮影:福留章介/監督:戸塚寛人)。
 人気ミステリ作家の加賀屋朔(城田優)は、ミーハーなファンが集まるサイン会とか大嫌い。だが担当編集の月城鹿子(森川葵)は、文学賞も獲り逃してイマイチ売れ行きのぱっとしない加賀屋の新刊書サイン会を開くよう、編集部より命じられた。




 最初はにべもなく断わる加賀屋だったが、鹿子はかつて自分が好きな作家にサインをもらったときどれだけ嬉しかったかを訴え、文庫落ちを待たずに新刊ハードカバーを買う愛読者の気持ちを代弁して、加賀屋の気持ちを動かしたのだった。



 そしてサイン会の当日、開始直前にアクシデントが起こる。




 鹿子が会場の段差につまずいて転びそうになったところを、とっさに加賀屋が飛び出してかばい、大事な右手を強く捻ってしまう。



 責任を感じた鹿子は中止を提案するが、加賀屋は手の痛みをこらえ、ときどきペンを取り落としたりしながらも、サイン会を決行。



 結果は大成功。しかし翌日、「助けてくれ」というメッセージを受けた鹿子が自宅に向かうと、加賀屋が廊下に倒れている。




 加賀屋は未だに原稿を手書きで書く派で、とにかく締切りを守るために、痛みをこらえてひたすら書く以外のことをしていないので、疲れたり腹が減ったりでへたっちゃったのだ。そこへ現れたのが赤分社の有明光稀(泉里香)



鹿 子「あ」



光 稀「加賀屋くん、もう、ほら」



光 稀「寝室に移動!」



光 稀「もう、立つ、歩く」
 朔 「痛い痛い痛い」


╳    ╳    ╳




光 稀「そちら締切りは?」



鹿 子「明日です」
光 稀「3時間くらい寝かしておきましょうか」



鹿 子「はい」




鹿 子(ただの担当編集が、勝手に玄関開けて、勝手に冷蔵庫開けて、食材入れる?)






光 稀(ちょっと……)



光 稀(月城さんが見てる)



 朔 (いいだろ)






 森川葵が城田優をオカズに妄想に入ると、BGMに必ず、城田優自身の情熱的な歌声が流れるのがおかしい。曲はイル・ディーヴォの「イザベル」のカバー。城田優は歌がうまい。浦井健治と同じくセーラームーンミュージカルのタキシード仮面出身だからな。




光 稀「サイン会、何て言って説得したの?」
鹿 子「あ……私むかし大好きな作家さんにサインを貰ったことがあって、それを宝物にしてて、その話を」



光 稀「へぇ、誰のサイン?」
鹿 子「鶴賀昴先生です」



光 稀「そうなんだ、私も大好き、鶴賀先生」
鹿 子「あの、有明さんは、先生と……」
光 稀「ああ、違う違う、何もないよ。大学の同期なの」
鹿 子「そうでしたか」



光 稀「文芸サークルのメンバー。で私は赤分社入って編集やってて、何だかんだずっと担当」
鹿 子「そうだったんですね」
光 稀「編集長、元気?」
鹿 子「編集長?」



光 稀「三島さん。私、学生時代インターンでお世話になってて」
鹿 子「そうなんですか。元気です! 毎日しごかれてます」



光 稀「そうなんだ。変わってないね」



鹿 子(大学生の時の有明さんか……)



鹿 子(今の私なんかより大人っぽかったんだろうなぁ)



鹿 子(こういう種族の人とか、初体験とかいつぐらいに……)
光 稀「月城さんは」



鹿 子「はいっ」
光 稀「加賀屋くんの作品で、どれが一番好き?」



鹿 子「私は『花冷えの刻』が」
光 稀「え? あれって書籍化されてないけど?」
鹿 子「はい。新人賞が掲載された文芸誌、たまたま買ってたんです」



光 稀「へえ、本当に本が好きなんだね」
鹿 子「はいっ」



鹿 子「あの……先生は、どうして恋愛小説を書かなくなってしまったんでしょうか」



光 稀「え?」



鹿 子「私は、あの物語で恋を知りました」



鹿 子「もう一度先生のラブストーリーが読みたいと思っています」



光 稀「あの作品は、加賀屋くんの話だから」



光 稀「唯一、彼が自分をさらけだした作品とも言えるかも知れないね」



光 稀「加賀屋くんがまた恋をしたら、変わるのかも」



 加賀屋は、恋愛ができなくて恋愛小説が書けない。何かしら過去の秘密があって、光稀はそのことを知っている。そういう加賀屋の心に、鹿子がじわじわ入り込んできているわけだが、それはともかく加賀屋が目をさましてきた。



光 稀「起きるの?」
 朔 「うん」
鹿 子「もう少し寝ていた方が」
 朔 「いや間に合わないから」



鹿 子「申しわけありませんでした」



鹿 子「あの、先生が手を怪我したのは私のせいなんです。赤分社さんにもご迷惑をおかけして」
光 稀「ああ、うちは三話ぐらいアドバンテージあるから大丈夫よ」



光 稀「問題はそちらね。その手じゃこれ以上無理でしょ」



鹿 子「先生、今回は休載しましょう」
 朔 「それは嫌だ」
鹿 子「上には私から説明しておきますので……」



 朔 「絶対に嫌だ」



光 稀「その人なに言っても聞かないよ」



 朔 「間に合わせるから」



鹿 子「でも、これ以上悪化したら」



光 稀「口述筆記にしたら?」



鹿 子「え?」



光 稀「そしたら今晩がんばったら間に合うんじゃない?」



光 稀「じゃあ、わたし次あるから。加賀屋くん、月城さんの言うこと聞いて、大人しくしておきなさいよ」



 朔 「光稀、ありがとう」



鹿 子(光稀って……有明さんの言うように、この二人は本当に、恋人とかそういう関係では無いのかも知れない。でもそれって、何かあるよりずっと強い)



 朔 「光稀の言うことは気にしなくていいよ。まだ書けるから。締切りまでには間に合わせるから」



鹿 子(何これ……何か……胸のここんところが、痛い。これじゃ私が先生のこと好きみたいじゃん)



鹿 子「先生、私が手になります」
 朔 「え?」
鹿 子「今晩は私が先生の手になります」



 朔 「それはどういう意味で言っているの?」


 おっとだらだらと引用してしまった。このあと鹿子は、加賀屋が語るエロいラブシーンを口述筆記しながら妄想に入ったり、風呂で頭を洗う「手」もやらされたりと、妄想満載で話は進む。






 まあとにかく今回も森川葵の魔性の変幻自在ぶりがものすごくて、城田優もたじたじである。





 で、日曜プライムドラマスペシャル『指定弁護士』です。(2018年9月23日放送、テレビ朝日・東映、脚本:櫻井武晴/照明:池本雄司/撮影:関照男/監督:竹園元)
 今から10年近く前、老人ホーム建設のため、評価額10億円の京都市の国有地が2億円で売却された。土壌汚染で除染が必要なぶんを値引きしたというが、国は除染に一切関与せず、しかも買手である福祉法人の名誉顧問に保守党の大物代議士、田金(石橋蓮司)の名が挙げられているのだから、これはいかにも怪しい。という、どこかで聞いたような話。
 国会を中継するテレビ画面では、野党若手の野村議員(川久保拓司:スターダストプロモーション所属)に問い詰められ、のらりくらりと答弁する田金の様子が、いかにも悪役然として映し出される。安心の石橋蓮司クオリティ。ちなみに国会中継で石橋蓮司の隣にいる理財部長は林泰文。『モップガール』の桃子のお兄ちゃんである。という話は、あとで北川さんと直接絡むシーンがあるのでまたその時に。



野 村「おかしいじゃないですか。普通は除染が必要とわかったら、その段階で国が業者を入札するはずでしょう!」
議 員「そうだ!」



野 村「なんで2010年の この時に限ってそれを買い手に丸投げして代わりに値引きするんですか!?」



議 員「特別扱いじゃないですか!」



野 村「なぜそんな不自然な事が起きたのか。それは田金議員の関与があったからじゃないんですか?」



議 長「松川理財部長」



野 村「待ってください、田金議員にお聞きしてるんです」



議 員「田金さん 答えなさいよ!」
議 員「あんたが疑われてるんだ」
議 長「田金清造くん」



田 金「私が関与した事実はございません」
議 員「おい ふざけんなよ!」
議 員「お金について答えなさい!」



野 村「値引きされた国有地もそれを買った福祉法人も、全部あなたの選挙区の京都にあるんですよ。しかもその法人の名誉顧問にあなたの名前がある。これ全部偶然ですか?」



議 長「田金清造くん」



田 金「偶然でございます」



 唯 「国有地の払い下げのあった2010年って、田金が法務大臣だった時ですよね?」



三 塚「まあ、そういう大物が動いたから、国有地の売却に便宜が図られたんだろう」
 唯 「便宜って……」



 唯 「土地が欲しい福祉法人が顧問の田金に賄賂渡して、口利き頼んだって事ですか?」


 そもそも田金という議員、以前から「最大の少子化対策は女が子どもを産むこと」とか、失言で物議を醸すことの多い人だっただけに、国民の怒りに火がついてデモまで起こる。



 検察は結局、田金と秘書を逮捕するところまでこぎつけたが、起訴できたのは秘書までで、田金その人は不起訴に終わる。んでまあ、国民の怒りは沸点に達し、検察審議会は不起訴不当と判断。それでも検察は起訴せず。それで二度目の不起訴不当が出ると、いよいよ指定弁護士による強制起訴という運びになる。このあたりは前回のブログで予習済みだ。



 指定弁護士はだいたい、裁判所からの依頼を受けて、管轄区域の弁護士会が適任者を推薦する、という慣例になっているらしい。依頼を受けた京都弁護士会事務局の神林京子(羽田美智子)が白羽の矢を立てたのが、一ノ木唯(北川景子)だった。



 唯 「指定弁護士?」



京 子「やだ唯ちゃん。指定弁護士、知らないの?」



 唯 「知ってます。検察の代わりに起訴する弁護士。」
京 子「そう。ってわけで、今を時めく事件の指定弁護士、やってみない? 起訴する相手は 田金清造」



 唯 「田金清造?」
京 子「やだ、唯ちゃん田金清造知らないの?」
 唯 「知ってます。先月 不起訴になった政治家」



京 子「じゃあ田金が今月、検察審査会で起訴相当になったのは知ってる?」
 唯 「ええ、でもまた不起訴になりましたよね?」
京 子「そう。で、今また検察審査会が開かれてるの」



 唯 「そこでまた起訴相当になったら……」



京 子「指定弁護士に強制起訴される」



 唯 「その強制起訴を私が?」
京 子「さっきからそう言ってるの」
 唯 「なんで私なんです?」



京 子「だって唯ちゃん、企業法務してるから、組織のお金の流れに詳しいでしょ?」



 唯 「えっ だから?」



京 子「それに 唯ちゃんは人権派の弁護士ってわけじゃないから、刑事事件に公平に関われると思うし」



 唯 「はあ……」


 唯は最初のうち腰が退けていて、同じ三塚法律事務所の同僚、箭内弁護士(矢柴俊博)に指定弁護士の話を振ってみるが、にこやかに、だがぴしゃりと断られる。



 確かにあまりにも勝ち目の少ない裁判で、受けてもメリットが感じられないようにも思える。賀茂川沿いを歩きながら、唯は事務所の所長、三塚(中村梅雀)に相談してみる。



三 塚「指定弁護士引き受けたら、事務所の名前も地方記者クラブに公表されるね」



 唯 「ええ。弁護士としての経歴に傷がつきますよね」



三 塚「なんで?」
 唯 「なんで?」



三 塚「指定弁護士は負けて当然。勝ったら儲けもんだ。名前が売れる分、負けてもメリットはあるよ」



 唯 「確かに…… 弁護士として名前が売れるのは悪くない」



三 塚「うん。 それに もし勝ったりしたらヒーローだよ」



三 塚「あっ ヒロインか。もし勝ったら即 俺のパートナー弁護士、決定!」



 唯 「また所長……」



 唯 「……本当ですか?」



三 塚「だって、あの田金を有罪にできたらスーパーヒーローだ。いや スーパーヒロインか」



 唯 「まあ、そうかもしれませんけど」



三 塚「勝ったら俺のパートナー」



三 塚「負けても、名前が売れて仕事が来れば君も儲かる。うちも儲かる。損はないんだってば」



 唯 「わかりましたわかりました。やりますから。また田金に起訴相当が出たら私、指定弁護士やります」



三 塚「よし 決まり!」


 先ほど出てきた柳内と唯は、所長のパートナー弁護士の座をめぐってライバル関係にある。指定弁護士になって、負けてもともと、それでも正義派の弁護士として、世間の好感度は得られるはずだし、万が一勝てば大殊勲、所長のパートナー弁護士の座も手に入る。そんな調子のいい甘言にのせられて、唯は引き受けることを決意する。だが、ダンナでパラリーガルの隆司(えなりかずき)は大いに心配だ。



隆 司「帰ってくるなり、なに言ってんの?」



 唯 「もう決めたから。指定弁護士やるから」



隆 司「今やってる仕事 どうするの? 企業法務で抱えてるクライアント四、五十社あるよね?」



 唯 「大丈夫、所長が手伝ってくれるって」



隆 司「なに言ってんの?」



隆 司「三塚所長は、言った事すぐ忘れちゃう星人なんだよ」



隆 司「ねえ!」
 唯 「お風呂」



 弟の言うことが、いやダンナか、ダンナの言うことがもっともなのだが、もう心に決めて走り出してしまった彼女を誰も止められない。というあたりで、今回はこのへんで。


【おまけ】かねてよりK-1ファイターとのステディな関係を公表していた高橋ユウさんが、この度ご成婚されたそうで、おめでとうございます。Yahoo!ニュースのヘッドラインにミュージカル時代の写真が使われたのが驚きでもあり(ひょっとして私のブラウザだけか?)喜ばしくもある。



 しかし見るたびに高橋メアリージュンさんと区別がつかなくなってきたのは、私の歳のせいか。まあどっちもキレイだからいいや。