実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第687回】早くも前言撤回の巻(北川景子『指定弁護士』/泉里香『文学処女』)


 最近アニメ化された『はたらく細胞』という体内擬人化漫画が、今度は舞台化されるんだそうで、ネルケ版セラミュ初代セーラーマーズの七木奏音が「赤血球」の役を演じるという。何にせよ、奏音が赤いコスチュームで美脚を披露する姿が見られるのは良いことである。


1. 指定弁護士の憂愁


 さて、今回は前回を承けて北川景子主演ドラマ『指定弁護士』(2018年9月23日放送、テレビ朝日・東映、脚本:櫻井武晴/照明:池本雄司/撮影:関照男/監督:竹園元)のレビューに入る予定であった。が、ちょっとその気持ちが折れてしまった。実は前回の段階では、私はまだドラマのプロローグのところを観ただけだった。それで「シリーズ化だ!」とか叫んでいたのだけれど、全編を鑑賞し終わり、また指定弁護士について学んだ結果、反省しております。



 正直これって、とてもシリーズ化できそうもないドラマである。丸山Pも単発で考えていたのかなぁ(弱気)。ちなみに私が今回、指定弁護士の何たるかを学んだサンプルは、小沢一郎の「陸山会事件」です。
 2009年、当時民主党代表だった小沢一郎に絡んで、土地とカネの流れをめぐる疑惑が起こった。小沢は党代表を降り、鳩山由紀夫が後を継ぐ。それでも翌2010年の衆院選で民主党連立政権は政権を獲り、鳩山内閣が誕生したが、一方では小沢元代表の秘書3人が、政治資金規制法違反で逮捕された。ただし起訴・逮捕されたのは秘書だけで、小沢その人は嫌疑不十分で不起訴。いわゆる「秘書が勝手にやった」っていうやつですね。
 で、これに対して検察審議会が立ち上げられた。検察審議会は、無作為に抽出された有権者11人によって構成され、検察の判断に国民の意向が反映されているかを審議する。その結果11人の怒れる委員は、この案件に関して不起訴不当と判断した。こうして小沢一郎の強制起訴が発動された。そしてこういう場合に、検察に替わって検察官の職務を行なうのがいわゆる「指定弁護士」である。



「何一つやましいことはありません」。民主党元代表、小沢一郎被告(68)が強制起訴された31日午後、元代表は改めて潔白を訴え、弁護団も法廷で全面的に争うと強調した。対峙する検察官役の指定弁護士は「有罪判決が得られるように努力したい」と、検察当局が起訴を断念した事件での有罪立証は困難との見方を否定。刑事弁護のプロ同士が静かな火花を散らした。
31日午後6時から東京・永田町の衆院第1議員会館の一室で記者団の取材に応じた小沢元代表は、薄紫のネクタイに黒いスーツ姿。直立したまま「検察審査会の議決による起訴は、検察の起訴と違い、有罪の確信がない」と強調した。(『日本経済新聞』2011年2月1日付)


 それでどうなったかというと、最終的には2012年の東京地裁「小沢の『秘書に任せていた』という供述は信用できないが、秘書との共謀も立証されていない」という判決に対して、指定弁護士側が上告を断念し、この裁判は小沢の無罪判決が決定した。
 検察審査会そのものは古くから存在したが、もともとは検察に参考意見を述べるだけの組織で、最終的な起訴の判断はあくまで検察のものだった。しかし、より民意に沿った法の執行を実現すべく2009年に改正があり、以降は、検察審査会が起訴すべしと判断すれば、裁判所の指定した「指定弁護士」が強制起訴に踏み切る、という形式に変わったという。その後10年ほどの間で強制起訴が発動された事例として有名なものでは、「明石花火大会歩道橋事故」(被疑者は明石署副署長)、「JR福知山線脱線事故」(JR西日本の歴代3社長)、「尖閣諸島中国漁船衝突事件」(中国人船長)、さっきの「資金管理団体陸山会政治資金規正法違反事件」(小沢一郎:国会議員初)、「東京電力福島第一原発事故」(東電旧経営陣3人)などがあるという。多くの犠牲者を出したり、企業の体質を問われたり、国際問題だったり、政治献金絡みだったり、とにかくどれもメディアに大きく取り上げられた事件だ。そしてこれらの事案で指定弁護士が有罪を勝ち取ったケースはひとつもない。現在も森友・加計問題で、大阪地検特捜部が不起訴処分にした佐川宣寿氏(前国税庁長官)を、この制度を使って強制起訴する動きがあるそうだ。でもたとえ実現しても、指定弁護士が勝つ可能性は限りなくゼロに近い。今回の北川景子のドラマの背景にはだいたいこんな状況がある。もっともドラマの方は、最初は森友・加計のパロディに見せかけて、実はぜんぜん違う話になっていくところが面白いんだが。
 では現実に指定弁護士が起訴した事件で、有罪を勝ち取った事案はあるのだろうか、とネットを調べて見たら、二件だけありました。ひとつは2013年の「石井町長ホステス暴行事件」。徳島県栄町のスナックで、石井町の町長がフィリピン人ホステスの頬をグーで殴ったの殴らなかったのっていう、指定弁護士ってこんなのまで扱うの? というような事件だ。ただのいざこざとして不起訴処理だったところを、被害者のフィリピン人のホステスさん(42歳)がどうしても納得せず、とうとう強制起訴に持ち込んで、町長相手に逆転有罪(罰金9000円)を勝ち取ったという。まいったね。でも負けた町長は「指一本触れてない」と控訴して、この事件はまだ決着がついていないみたい。当初「町長が殴ったところをはっきり目撃した」と言っていた唯一の証人が、その後、証言の見返りに店の飲み代をマケてもらっていたことを白状したり(笑)突っ込みどころの多い事案である。
 もう一件は、2014年の「長野県松本市柔道教室事件」である。柔道教室で、指導の先生が稽古中に小学6年生の生徒に重い障害を負わせてしまった。だが指導者のかけた技と少年が負った障害の因果関係が明確に立証できず、不起訴処分となった。これに少年の両親が異議申し立てをして、審議会が強制起訴を決定した。その結果、2014年、指導者に禁錮1年(執行猶予3年)の有罪判決が出て、指導者も控訴せず刑が確定した。指定弁護士が起訴した案件で有罪が確定したのは、なんと今日までこの1件だけだという。
 以上、ドラマのレビューにとりかかるにあたり、まず「指定弁護士って何だ?」と調べてみたところ、非常に難しい制度であることが私なりによ〜く分かった。くりかえすが、正直この設定を活かしてシリーズ化するのは難しいなあ。



 とはいえ今回の『指定弁護士』は良いドラマだった。まず台本がよく練られている。テーマも面白いし、エンターティメント性もある。「指定弁護士が勝訴することは実際にはない」という現実を踏まえつつ、観終わったあとの印象はけっこう爽やかだったりもする。



 加えてキャスティング。北川景子ファンにとっては非常にありがたいことに、このドラマには主人公、北川さんのお芝居を受けるキャッチャーが3人も用意されている。北村一輝、松重豊、えなりかずき。三人とも、一見クセが強そうで、実は相方として一歩引いて北川さんを活かしてくれている。特に松重豊はリードが上手い。今まで彼女が投げたことのないようなボールを放らせているので要チェックである。たいへんにありがたい。

2. 小池里奈リターンズ


 というわけで、事前学習が過ぎて今回はドラマのレビューまで準備が及ばなかった。申し訳ない。でもせっかくの連休なので、関係ないことだけど、もう少し書き足そう。



 えーと、小池里奈が還ってきた。って別に休業宣言をしたわけでもないが、昨夏以来ブログやSNSの更新が途絶え、女優活動もドラマ『オバチャン保険調査員 赤宮楓のマル秘事件簿』(TBS系「月曜名作劇場」8月21日放送)も絶えて、気の短い世間はもう引退あつかいしていたのだ。それでこのたび本人より、芸能活動を再開しますとのアナウンスがあった。と、前回コメント欄で百日紅さんから通報いただいた。



 ちなみに当ブログでは、中断前のツイッターの写真にティファニーのオークランド支店が映りこんでいるところから、おそらくニュージーランドに遊学中と推測したが、今回、里奈さん自身から「活動していなかった期間は、ニュージーランドに留学したり、オーストラリアで働いたり……今まで経験したことがないことをたくさん経験しました」という発言があり、裏付けがとれたので、ちょっと自慢しておく(この記事)。
 その時のコメント欄にM14さんが「同じ年に有村架純、武井咲、能年玲奈、志田未来、小島瑠璃子、西内まりや」と書かれていて、小池里奈も含めてみんな1993年生まれ。そうそうたる顔ぶれだと感心した。が、この人たちもこの一年のあいだ結婚、出産、所属事務所とのトラブル等いろいろあった。芸能活動バリバリ続行中と言えるのは有村架純と小島瑠璃子の両名のみ。しかも小島留理子は女優としては活動していないので、同い年で「ライバル」と言えるのは有村架純くらいだ。と思ったが、新木優子と吉岡里帆も同い年らしい。



 余談だが、私は未だに有村架純の真価が分かっていない。めぐり合わせが悪いんだと思う。『ビリギャル』は彼女の「名古屋弁」「金髪」「ギャル」が似合わなさすぎて映画に集中できず、中盤から標準語で黒髪の真面目な女子高生になってようやくホッとしたんだけれども、結局「有村架純に名古屋は合わない」という感想が残った。『僕だけがいない街』は、子役たちの北海道パートが濃すぎて、有村さんの印象は薄い。



 『アイアムアヒーロー』では前半のうちにゾンビに噛まれ、しかし途中でゾンビ化が止まった「半ゾンビ」状態で、無表情に大泉洋と行動を共にするので、小松彩夏の『ミスゾンビ』と同じくらい演技の評価が難しかった。そして『関ヶ原』の岡田准一に想いを寄せるくノ一の役は、そもそも映画版で必要あったのだろうか? 結局、私の中で有村架純というと「『SPEC』の竜雷太の愛人」役が可愛いすぎて、それ以上のインパクトがないのだ。不幸なことである。



 ちなみに、ひとつ歳上の1992年生まれの女優を見ると、本田翼、剛力彩芽、門脇麦などがいる。あと忽那汐里。最近見かけないなと思ったら『デッドプール2』に出ていてびっくりした。



 一方、ひとつ歳下の1994年生まれは強力で、二階堂ふみ、清野菜名、広瀬アリス、福田麻由子、他にもまだいて、充実した顔ぶれである。昨シーズンのドラマのなかでは、個人的に『探偵は早すぎる』の広瀬アリスがダントツでした。ある意味でいま一番乗っている女優かも知れない。



 さらにふたつ下の1995年生まれも土屋太鳳、森川葵、川栄李奈、川口春奈、他にもいろいろいるけど特別推薦枠で松浦雅、と豪華絢爛。森川葵っていえば『文学処女』の続きをレビューするのを忘れていたね。唐突ですがちょっと進めておこう。今日は常に輪をかけて脈絡がなくてすみません。

3, 夏服の泉里香


 イケメンでプレイボーイ(死語)の人気ミステリ作家、加賀屋朔(城田優)は、パーティー会場で「自分が加賀屋先生に最高の一冊を書かせる!」と豪語した新米編集者、月城鹿子(森川葵)の手を握り、ホテル最上階に連れて行く。というのが第1話のエンディングであった。



 次、第2話(2018年9月17日放送、MBS・ソケット、原作:中野まや花/脚本:下田悠子/照明:渡辺良平/撮影:福留章介/監督:スミス)。スイートルームの寝室。パーティー会場でワインを浴びてしまった鹿子の白いブラウスを脱がそうとして、「するんでしょ?」と囁く朔。蒼ざめる鹿子。でも螬が言っているのは、次回作の打ち合わせのことだった。



 朔 「するんでしょ」



鹿 子「すみません、本当にすみません、無理です。それだけは無理です」



 朔 「打合せ」



鹿 子「へ?」



 朔 「何だと思ったの?」



 朔 「ほら、それクリーニング出すから脱いで。そんな香りさせてたら、襲いたくなっちゃうからね」



鹿 子(完全にからかわれた)


 で、このあとホッとした鹿子は、乾いた喉を鎮めようと、飲めもしないルームサービスのワインを一息にあおり、たちまち目がとろんとしてくる。



 自分が読みたいのはデビュー作のような加賀屋朔の恋愛小説だと訴え、単行本未収録の処女作のラブシーンを、作者本人の前で諳んじてみせる。






 お酒の勢いで官能描写に昂って、自分から加賀屋朔にキスして、なぜか「文学処女、なめんなよ」とタンカをきって、そのまま倒れてしまう。




 そして翌朝。記憶がとんじゃっている鹿子は、下着姿だし(自分から脱いだ)ベッドの傍らには加賀屋がいるし、大いに焦りまくる。






 しかも目が覚めたときには午前10時を回っていて、完全な遅刻である。



鹿 子(落ち着け、落ち着いて)



鹿 子(もし何かあったなら痕跡あるはず)




鹿 子(うん、セーフ!)



鹿 子(いや、待てよ、人によっては無いってこともあったりするとか)



鹿 子(いや、ある?ない?)




(10時02分)



鹿 子(……やばい……会議)


 なんてやっていると話が進まないな。実は第2話には泉里香が出てこないのだ。だからもう飛ばすね。で、第4話になると、森川葵と泉里香、それに城田優が絡んでけっこう長いやりとりがあり、三人の関係性が見えてくる。おまけに泉里香と城田優は(森川葵の妄想のなかで)台所で絡んで熱烈なキスを交わす。文学処女のわりに森川葵の想像力のクオリティがハーレクインロマンスだ。




 でもすみません。第4話は次回のお楽しみとします。その前の第3話(2018年9月24日放送、監督:戸塚寛人)に泉里香の登場シーンがひとつだけあるので、それだけ紹介して本日は終わる。どうってことのない場面だが、夏服の泉里香が鑑賞できます。猛暑だったこの夏を思い出しながらお楽しみください。





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光 稀「はい、確かに、お疲れ様でした」
 朔 「よろしく」



光 稀「また違う女?」
 朔 「勝手についてきたんだよ」



光 稀「いつか刺されるよ」
 朔 「それならそれでいいよ別に」



光 稀「で、今度は何者? まさか担当編集者じゃないでしょうね」
 朔 「担当になんか手を出すわけないだろ」



光 稀「この間の子は?」
 朔 「ん?」



光 稀「私は絶対、甘やかしませんから」
 朔 「ああ」



光 稀「どうなの?」
 朔 「どうなのって、見ただろ子どもだよ」



光 稀「そうかなぁ。本当は興味あるんじゃない?」
 朔 「まあ、面白い子だけどね」



光 稀「晩ご飯、冷蔵庫に入っているから、適当にお召し上がりください」
 朔 「はい」
光 稀「今日は一人で寝れる?」


 朔 「うん。大丈夫」
光 稀「じゃ」



 朔 「あ、光稀」




 朔 「いつもありがとう」



光 稀「いまさら」




 だんだんと二人の関係性が見えてきましたね。二人が大学の同級生で、文芸サークル仲間だったことは、続く第4話の森川葵との会話で明らかになる。
 ベタベタにベタな少女漫画の王道物語で、話の筋を追うよりも、純潔文学処女と妄想エロ腐女子の間を激しく往来する森川葵を楽しむドラマで、私は毎週、愉しみにしているが、このブログでは泉里香さんのシーンだけに絞って紹介して行くね。では今回はこのくらいで。