実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第671回】小ネタラッシュがレビューを阻む嬉しい悲鳴の巻(『探偵はBARにいる3』プロローグ)


 ブラック・ジャックこと間黒男(はざま・くろお)は8歳のとき爆発事故に巻き込まれた。その土地には戦時中に空襲を受けてから不発弾が埋もれていたが、国の管理がずさんで適切に処理されていなかったのだ。



 たまたま通りかかって巻き添えをくったのがブラック・ジャック親子。母親はこの事故のせいで生命を落とし、父はすでに別の女と海外に消えていたのて、彼は瀕死の重傷を負ったまま独りぼっちになった。



 全身ずたぼろで、もう手遅れと思われていた少年の生命を救ったのは、神の手をもつ天才外科医、本間丈太郎。顔の一部に移植する皮膚が必要で、クラスメートに提供を求めるが、手を上げる子供も保護者もいない。たったひとり名のり出たのが孤児のタカシ。




 手術は成功。助かった少年は、やがて血のにじむような努力でリハビリを始める。




 皮膚を提供してくれたタカシは混血だったので、ブラック・ジャックの顔は部分的に皮膚の色が変わっている。



 自分の生命を救った本間丈太郎のようになりたいと医者を志したブラック・ジャックは、医大の仲間から、最新技術で顔の皮膚を再手術するよう勧められるが、頑として応じない。これはタカシとの友情の証なのだ。




 ある日、ブラック・ジャックの自宅に奇妙な小包が配送される。中にはいっていたのは、なにやら褐色の汚らしいカラに包まれた手術用のメス。差出人は「J.H」とあるのみ。



 しばらくピンと来なかったブラック・ジャックだが、やがて「J.H」といえば本間丈太郎に間違いない、と気づき、本間邸を探して訪問する。



 本間は高齢による老衰と脳軟化症で寝込んでいた。小包みにも、事情を綴った手紙を添えるつもりだったが、忘れてしまったらしい。



 謎のカラに包まれたメスの正体を本間は語り出す。それは名医と呼ばれた男の懺悔の物語だった。





 不可能と言われていた手術を成功させ、大得意だった本間。ところが最後に痛恨の医療ミスをしでかしていた。メスを一本、肝臓の下に置き忘れたまま縫合してしまったのだ(おいおい)。




 いやすぐに開腹して出せって。しかし、これまで築き上げた名声が傷つくことを思うと、どうしても失敗を告白し、再手術する勇気がもてなかった。とうとうブラック・ジャックの体内にメスを残したまま退院させてしまう。



 それからというもの、本間は毎晩のように、少年の体内でメスが大出血を起こす悪夢にうなされていた。経過を検査するため、という名目で、本間がブラック・ジャックの再手術を行ったのは、それからなんと7年後のことであった。



 肝臓の下にあったのは、褐色の石の棒。それはカルシウムの鞘で包まれたメスだった。




 アコヤ貝が体内の砂粒を真珠質で包んでいくように、ブラック・ジャックの身体は、少しずつカルシウムを分泌して、危険なメスを包んでいったというのである(!)。自らの寿命が長くないことをさとった本間は、最後にブラック・ジャックに真実を伝え、懺悔するためにそのメスを送ったのだ。



 「なあ、ど、どんな医学だって、せ、生命のふしぎさには…かなわん…。に、人間が、い、生き物の生き死にを、じ、自由にし、しようなんて、おこがましいとは、お、お、思わんかね……」最後の言葉を言い終えて、がくりと目を閉じる本間。脳出血が起こったのだ。



 近くの町病院へ本間を運び込み、自ら脳出血の手術を始めるブラック・ジャック。



相変わらずのメスさばきだが、本間の心電図はみるみる弱まり、恩師の生命は尽きる。



 というわけで、あれ? 私またブラック・ジャックを紹介していたか? 『ブラック・ペアン』第8話(2018年6月10日、TBS/脚本:紐尾健太郎・槌谷健/撮影:高島一宗/演出:田中健太)のつもりだったのに……って、すみませんいつもミエミエの長いボケで。



 久しぶりに視聴したんだけど、話は前に観た第5話とだいたい同じ。東城大学病院で、なぜかライバル医大の開発した高度な医療ロボットを使った心臓手術が行われることになる。執刀医以下スタッフも敵チームからやってくるので、東城大は完全に場所を提供するだけ。
 学界注目の手術なので、でっかい会場でライブビューイングされるのも、高性能をみせつけるつもりが、ロボットを操作するチームワークの乱れで、逆におおぜいの前で失敗するのも同じ展開。そこへ東城大の天才医師が現れて、医療ミスを未然に防ぎ、結果的にライバル医大に大きな差を見せつけるってあたりも、ほぼ第5話の繰り返し。




 でも前回は海外から輸入した「ダーウィン」という心臓手術のロボットだったが、今度はそれをもとに日本で独自開発した「カエサル」というように、ちょっとだけ違う(当たり前だが)。



 渋江譲二の福本医師は、出番は第9話の方がわずかに増えている(当社比)。セリフも2回ほどあったと思う。まず東城大学の黒崎准教授(橋本さとし)が、ライバル医大の手術チームに入りたい志願者はいるか、訪ねられたとき、思わず篠原(丸一太)と福本(渋江譲二)がぼやく。



黒 崎「東城大からも何人か、オペのチームに入ることになっている。誰か希望者はいるか?」



篠 原「入るといっても助手でしょ」
福 本「そうですよ」


 続いて手術直前、患者の詳細なデータがライバル医大に筒抜けになっていて、患者の差し替えが行われたことを知った柿谷(内村遥)、関川(今野浩喜)、それに篠原と福本は、向こうの大学から出向でやって来ている高階医師(小泉孝太郎)が情報をリークしたのではないかと詰め寄る。コメント欄にもあったけど、柿谷と関川、篠原と福本は常にバディである。



高 階「おい、どういうことだ!」
関 川「それはこっちのセリフですよ」



柿 谷「黒崎先生が言ってましたよ。あの患者のカルテ、前に高階先生に見せてしまったって」



篠 原「帝華大を追い出されたとか言って、 裏では西崎教授とつながってたってわけですか」



福 本「汚すぎませんか」



関 川「佐伯教授のオペが決まっていた患者です。それを横取りするなんて」



高 階「違う、私じゃない!」



柿 谷「じゃあ 誰だっていうんです」



高 階「……」



渡 海「おれだよ」



世 良「……渡海先生……」


 みんなセリフが二巡しているのに、福本のセリフは一個だけ……。でも、手術が始まり、みんなが固唾を呑んで進境を見守るシーンでは、渋江君は背が高いので目立つ。



 おまけに今回は前回とは異なり、手術の様子を大画面で伝えるライブビューイング会場はライバル医大に設定されているので、東城大の面々は、薄暗い会場ではなく、医局でモニタに見入っている。なので画像のキャプチャがしやすい(おいおい)。そして東城大学の佐伯教授(内野聖陽)は、ロボット手術の失敗を見事にリカバーして、医師、看護師陣から拍手で出迎えられる。



 ていうところで『ブラック・ペアン』第8話終わり。いよいよ物語は終盤に入るね。



 次は『警視庁捜査一課9係』改め『特捜9』第9話「連続殺人犯X」(2018年6月6日、テレビ朝日・東映/脚本:富永富彦/撮影:木村弘一/監督:細川光信)。沢井美優ゲスト出演の第4話(2018年5月2日)に続いて、クンツァイト窪寺昭がひさびさに登場。これはぜんぜん知らなくて、前回コメント欄で教えていただいた。



 いちおう社会派っぽいテーマを噛ませてあるが、ミステリとしては、いわゆる「ミッシング・リンク」もの。つまり、同一犯による連続殺人と思われる事件が起こるけど、被害者同士にどういうつながりがあるのか分からない、というパターン。



 二番目の事件を洗い直すことになった小宮山警部補(羽田美智子)と村瀬警部補(津田寛二)は、被害者の女子大生、仁美(三輪晴香)が就活のためもあったインターンとして通っていた会社(何の会社だ?)にも聞き込みに行く。二人の刑事に応対するのが社長の藤井正巳(窪寺昭)。



藤 井「ショックでしたよ。明るくて いい子だったんで」



藤 井「卒業したら雇用する予定だったんです」



藤 井「連続殺人だとか…?」
小宮山「ええ まあ」



藤 井「こちらでもできる限り協力しますんで、何かあったら ご連絡ください」
村 瀬「ありがとうございます」


╳    ╳    ╳



小宮山「お忙しいところありがとうございました」
藤 井「ありがとうございました」



村 瀬「収穫なしか……」


でも、この会社ではたらく社員のひろみ(咲谷ゆい)の証言で、彼女はストーカーが送ってくる盗撮写真に悩まされていたことが明らかになる。結局、仁美をストーキングしていたのは社長だった。



仁 美「ありがとうございます」




╳    ╳    ╳




仁 美「社長?」



╳    ╳    ╳



仁 美「やめてください!離してください!やめて!」




藤 井「就職したいんだろ?悪いようにしないから」



仁 美「いやあっ」




藤 井「静かにしろ!」



 じゃあ連続殺人犯ってのは誰なんだ、ってことだが、それはまあ再放送なり配信なりDVDなりでお確かめください。暴行魔の窪寺昭が逮捕されて、うちのレビューは終わり。



 次、『正義のセ』最終回(2018年6月13日、日本テレビ/脚本:梅田みか/撮影:水梨潤/監督:南雲聖一)。



 これは最終回で初めて観たけど、正義感が強くて直情的すぎるヒロインに吉高由里子。取り調べ中に涙ぐんだり怒ったり。そんなあぶなっかしい新人検事に振り回されながらもフォローする事務官に安原顕。



 最終回で二人が手がっける事件は、現役の衆議院議員、中条(宅麻伸)の息子でその秘書、つまり未来の代議士センセイが犯した殺人事件。
 この代議士ジュニア(落合モトキ)の言い分によれば、通りすがりにぶつかった見知らぬ若者にケンカを売られ、持っていた包丁で切りつけられて、揉み合ううちに誤って相手を刺してしまったという。つまり正当防衛だ。



 たまたま犬の散歩で近くを通りかかった目撃者の証言もこれと一致している。
 一方、被害者の入江大輔(佐藤裕基)は、いまは料亭で働く若い見習い料理人だが、傷害事件の前科がある元不良で、凶器となった包丁は、彼自身の商売道具だった。こうなると、状況的にはやっぱり最初に被害者が手を出して、返り討ちにあって、事件は正当防衛で決まり、のように思えた。



 しかし聞き込みをすると、入江の働き先である料亭の従業員たちは、みんな口をそろえて信じられないと言う。入江は最近の若者には珍しいほど、遅刻もせず、真面目で、料理の勉強も熱心だった。



 料理長(小野了)は、前科も承知の上で、更生した入江を雇ったのだと言うし、恋人だった中居の笑子(岡本玲)も、大切にしていた仕事道具の包丁で人を襲うような人じゃない、と涙した。



 逆に中条代議士ジュニアの身辺からは、きなくさい情報ばかりが漏れてくる。高校時代は、子分をぞろぞろ引き連れて親分風をふかせワガママし放題。一度は下級生にケンカをふっかけて、大けがをさせてしまったこともあるという。被害者の両親は被害届を出そうとしたが、父親の中條代議士が金の力で示談にしたとの話だ。
 調査すればするほど、正当防衛という加害者の言い分は怪しくなってくる。本人の言い分を裏付ける目撃証言をしたのが、中條代議士には頭の上がらない立場にある建設会社の社長であることも明らかになった。
 そして決定的な新しい証人が名乗りを上げる。



奈 央「ニュースを見て、これは、絡まれていた私を助けてくれた人だ、って思ったんです」



凛々子「絡まれた……この人にですか?」



奈 央「いえ 捕まったほうの人です」



凛々子「えっ?」



凛々子「この人ですか?」



奈 央「はい」


╳    ╳    ╳



秀 成「ねぇ 一緒に飲み行かない?」
奈 央(断ってもしつこく付きまとわれて)



秀 成「おい! いつまでも気取ってんじゃねえぞ」
奈 央「やめてください!」



奈 央(でも その時……)



入 江「やめろ!」



奈 央(男の人が間に入って助けてくれたんです)



秀 成「余計なことしやがって」



入 江「早く行って」
奈 央「は、はい」



奈 央「お礼も言えず、気になっていたんです」



奈 央「でも、まさか 殺されてたなんて」



 こまっちゃんの衣裳が妙にエロいのが気になるが、これでだいたい事件の全容は解決できたと思う。どうってことない事件なのだが、実はこの間、宅麻伸の代議士が、検察上層部に圧力をかけて息子を釈放させようとしたり、マスコミに情報をリークして「明らかに正当防衛の中条ジュニアをいつまでも拘置している理不尽な検察」みたいなイメージ捜査をするので、いろいろ大変なのである。でもそんなのに負けない検事の吉高由里子。実家は豆腐屋で妹は広瀬アリス、というドラマであった。



 さあそしてようやく本丸だが、今回はもう、ほとんどイントロ紹介で終わりだな。すみません。めでたくビデオリリースされた『探偵はBARにいる3』だが、これがのっけから驚きの連続である。




 まずは 冒頭。東映の三角マークと共に高らかに響き渡ったオープニング・テーマ曲は、なんと「大道芸人」だ。大ヒットした「赤色エレジー」などと共に、あがた森魚のファースト・アルバム『乙女の儚夢(ろまん)』(1972年)に収められている曲だが、今回の映画で使われているのは、あがた森魚のバックバンドとして出発したはちみつぱいのライブ・バージョンである。はちみつぱいの未発表ライブからセレクトして1988年にリリースされた『セカンド・アルバム〜イン・コンサート〜』に収録された音源で、1974年9月18日、日仏会館での公演の演奏だという。
 そうだよ。前回のレビューで書き忘れてしまったが、だいたいこの映画版『探偵はBARにいる』はテーマ曲がすごいんだ。



 第1作目は、冒頭のパーティーのシーンで、西田敏行の友人役でカルメン・マキが登場、ジャックス「時計を止めて」のカバーを歌い、これが全編のテーマ曲となる。
 2作目のエンディング曲は鈴木慶一とムーンライダース「スカンピン」(1977年)である。映画のなかにも「すかんぴん」というセリフも出てくるし、マジ泣けた。



 このあたりのセンスは、1作目と2作目で脚本にもかかわった札幌生まれのプロデューサー、須藤康司さんのものらしい。と、市川清師さんがエッセイに書かれていた(ここ)。須藤さんはこの『3』にも「企画プロデュース」なる肩書きで参加されている。前作のエンディングがムーンライダーズで、今作のオープニングがはちみつぱいで、鈴木慶一→あがた森魚ラインというわけで、非常によろしい。
 それからもうひとつ、今回の映画版第3作は、原作とは異なるオリジナルストーリーという触れ込みだったけど、少なくとも冒頭、事件の発端部分は、ほぼ原作のシリーズ1作目『探偵はバーにいる』の忠実な映像化である。これも予想外の驚きでした。ちなみに原作第1作目で、探偵の「おれ」はヒロインのことをこう表現している。



「美しい女に稀にあることだが、この女は自分がどれほど美しいか、よく理解していないようだった」(東直巳『探偵はバーにいる』早川書房)


 じゃ、すみませんが今回はそんなとこで。次回、来週もマスター、四天王、セーラー戦士のみなさまがドラマで活躍されていれば保証の限りではありませんが、そうでなければ少し本格的に『探偵はBARにいる3』のレビューに入りたいと思います。