実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第669回】泉里香in『ミス・シャーロック』Episode 5「消えた新婦」の巻



 竹内結子と貫地谷しほりの『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』は、ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのBBC制作ドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』同様、シャーロック・ホームズを現代風に翻案したドラマだ。



 BBC版の影響は明らかで、たとえばあちらではシャーロックはコンサルタント探偵、ワトソンはアフガン戦争で心身共に傷ついて帰国した軍医という設定なのに対して、こちらはシャーロックが「犯罪コンサルタント」、ワトソンは世界の戦地を廻っていた医師で、戦場の爆撃や傷ついた子どもたちの光景が脳裏にフラッシュバックして、PTSDに苦しんでいる、という設定である。BBC版で評判になった、スマートホンやネットを駆使した捜査シーンの演出は、日本では『ST 赤と白の捜査ファイル』がほとんどそのままパクって評判になったが、ここではそういう流用はない。またBBC版同様、各エピソードはコナン・ドイルの原典を下敷きとしているけど、なかには大幅にアレンジされていて、ほとんど原型をとどめていないものもある。



 比較的原作に忠実な第4話「武蔵野ヶ丘のヴァンパイア」なんか見ると、21世紀の東京に吸血鬼を持ち込まれてもなあ(安逹祐実が血を吸う場面はそれなりに見どころだが)という感想になっちゃうので、むしろ思い切って現代風にアレンジしちゃった方がいいのだろう。ちなみに原作との対応関係はこれまでのところこんな感じ。


Episode 1 最初の事件(悪魔の足)
Episode 2 ひげの幸子像の謎(三破風舘)
Episode 3 ヘッドハンターの素顔(株式仲買店員)
Episode 4 武蔵野ヶ丘のヴァンパイア(サセックスの吸血鬼)
Episode 5 消えた新婦(独身の貴族)


 まあ何といっても、竹内結子と貫地谷しほりという美人コンビが最大の目玉であることは言うまでもない。正直、この二人のやりとりを観ているだけで目の保養である。両方女性のキャスティングって、ホームズ史上初めてだそうで「史上最も美しいシャーロック・ホームズ」がキャッチフレーズである。ホームズといえば、依頼人を一目見ただけでその職業や、時には依頼内容まで見抜いてしまうすぐれた観察力の持ち主だが、今回のドラマでそれはすぐれた才能というより(『ミレニアム』のリスベットや『SP』の岡田准一みたいに)特異な映像記憶力みたいな感じで表現される。原典のホームズはヘビー・スモーカーだが、こっちのホームズはパイプの代わりにチョコレートを常備していて、(『DEATH NOTE』のLみたいに)スイーツには目がない。



 などなど、言い出したらキリがないが、やはり有料放送だけあって、たいがいの地上波ドラマよりは手間ヒマかけてしっかり作ってある良作だ。
 ただ前回のコメント欄でもちょっと話題になったところだが、じゃあ、Huluに加入していない人に、これ面白いからぜひ加入したら、と勧められるほどかというと、微妙です。そういうわけで、今回は少し詳しく紹介してみますので、興味を持たれた方は、まずは一ヵ月の無料トライアルからお試しください。


注意】以下、ミステリドラマの完全ネタばれレビューです。



 能書きはそのくらいにして本編に入ろう。結婚式。チャペル・ウェディングを終え、ホテルで披露宴を始めようとした時、控え室から花嫁が消失してしまった、というプロローグまでは当ブログ前回で取り上げたので、ご覧ください。事件を担当することになった捜査一課の礼紋警部(滝藤賢一)はただちにシャーロック(竹内結子)に電話をかける。



 シャーロックは本名双葉・シェリーと言って、イギリス生まれの日本人で帰国子女。なぜみんながシャーロックと呼ぶのか、理由はよく分からない。犯罪捜査のコンサルタント業を営んでいて、礼紋警部はちょっと小難しい事件があると、何かとシャーロックを頼りにする。



柴 田「行方が分からなくなったのは、モデルの真島理沙。披露宴直前に式場から居なくなった」



和 都「連れ去られたってことですか? 映画みたいに」



柴 田「(苦笑)いや、誰かが迎えに来た様子はない」



礼 紋「新郎は注目のジュエリー・デザイナー冴木数馬。マザリン・ジュエリー・アワードという国際的な賞を獲り、世界中から仕事の依頼が殺到している」



和 都「この人、テレビで観たことあります」


 このドラマに出てくる固有名詞は、だいたい原典からの引用で、「マザリン・ジュエリー・アワード」という賞は「マザリンの宝石」という短編に因んでいる。和都(貫地谷しほり)はもちろんワトソン。「国境なき医師団」に参加していたシリア帰りの医師で、最初の事件がきっかけでシャーロックの下宿にすむようになった。シャーロックが捜査するときは、何となく同行する。礼紋警部はレストレード警部。その部下の柴田刑事(中村倫也)は、民間人が捜査に介入することが気に入らなくて、二人(特にシャーロック)とは相性が悪い。この柴田刑事は原作にはないオリジナル・キャラクターのようだ。



シャーロック「ねえ、なんで捜査一課が失踪事件を捜査するの?」



礼 紋「11年前、ここで生涯、妻を愛することを誓った」
シャーロック「は?」
礼 紋「妻との思い出の場所で起きた事件、解決しないわけにはいかないからな」



柴 田「このまま真島理沙が見つからなければ、我々一課が捜査を引き継ぐ可能性もある」



シャーロック「はぁ……じゃあ、カメラマンや参列者が写した写真を集めて、一枚残らず全て」



柴 田「言われなくてもやっている」
シャーロック「あらぁ少しは成長したみたいねえ」



柴 田「地道な捜査は、捜査コンサルタント様にはできないからな」



シャーロック「どうもご苦労様」



礼 紋「柴田、行こうか」



礼 紋「じゃあ、後は頼む」


 警察のくせに、もう完全に民間に捜査をお任せである。いいのか? そこへホテルの支配人の立川(湯江タケユキ)とウェディングプランナーの横川(荻野友里)がやって来る。



和 都「いいなぁ、私もいつか着てみたいなぁこんなドレス」



シャーロック「なんでそんなに憧れるの? 人前で結婚式なんかしても後で離婚しづらくなるだけなのに」



和 都「またそういう夢のないこと言う」



立 川「お待たせしました。あのう、捜査コンサルタントの……」



立 川「話は伺っております。私、支配人の立川です」



立 川「彼女はウェディング・プランナーの」
横 川「横川です」


╳    ╳    ╳



横 川「こちらの部屋になります。」
和 都「すみません」



横 川「ご新婦様は、フラワーシャワーの時に貧血を起こされて」





横 川「それで一度、控え室に戻りました」



横 川「そこで、オレンジジュースが飲みたいっておっしゃっています」



理 沙「すみません!」



横 川「大丈夫ですから座っていてください。いま片付けますから」



横 川「私は掃除機を取りに行って床の掃除をしていると、ドレスの裾にジュースの染みがついていることに気づきました」



横 川「飛んじゃったみたいですね」



横 川「シミ抜き、持ってきます」



理 沙「すいません……」



横 川「それで、シミ抜きを取りに行って、戻ってきたら」
和 都「居なくなっていた」
横 川「はい……」



立 川「私そのときロビーにいましたが、ご新婦様が出て行かれる姿は見ていません」



シャーロック「ここから出て行った可能性は?」



立 川「ないと思います。鍵が部屋の内側からかかっていました」



和 都「どうやって出て行ったんだろう……」
シャーロック「新郎新婦の様子で何か気づいたことは?」



立 川「あぁ、そう言えば式の二日前、打合せの途中で一人、女性が入ってきたんです」



奈々美「ふざけんなよ、数馬は私のフィアンセなんだからね!」



奈々美「ちょっとどういうことよ」



数 馬「ちょっと困るよ」
横 川「お知り合いですか?」
数 馬「いや知らないです」



奈々美「知らないって、どういうことよ一体」
横 川「申し訳ございません、一度ご退席いただいてもよろしいですか」



奈々美「はあ?なんで……」
立 川「お客様、こちらへ」



シャーロック「その女性と冴木数馬の関係は?」



立 川「伺っておりません」


 乱入してきた女は神崎奈々美(近野成美)。ホテルの人が知らないんじゃ本人に聞こうっていうんで、シャーロックと和都は新郎、ジュエリー・デザイナー冴木のデザイン事務所へ直行する。



数 馬「ああ、神崎奈々美ね。彼女は行きつけの店に勤めていた女です」
シャーロック「店?」



数 馬「ちょっと向こうで」


╳    ╳    ╳



数 馬「あいつはストーカーです。」
和 都「ストーカー?」
数 馬「毎日のように僕をつけまわして、他の女と食事をしようものなら、気味悪いメールを送ってきたり……」



和 都「その、あの、行きつけのお店ってどこにあるんですか?」
数 馬「今はもうありません」



数 馬「僕、理沙のためにこの結婚指輪をデザインしたんです」



数 馬「これを見るたび、彼女の顔が浮かんで」



数 馬「早く理沙を見つけてください。よろしくお願いします」


 翌朝、どこぞの橋の下に吊された状態で、理沙のウェディングドレスが発見される。






 川も含めて周囲を徹底捜査する当局。しかし何も見つからない。



 ポケットには(ウエディングドレスってポケットがあるんだ!)コンビニのレシートが入っていて、裏側に「真実を知っている 連絡して」という走り書きと携帯の番号が記されていた。



 メモの筆跡は女性っぽいし、一見、拉致された花嫁がとっさにそのへんのレシートにメモ書きして、どうにかして捜査陣にメッセージを伝えようとした、ように見える。そして電話番号はストーカーの乱入女、奈々美のものであることが判明した。でもシャーロックは、これは引っかけだと見抜く。



 おもてのレシート(なぜか実在する「モンマート」のレシート)に記された品目が、ひげそりとシェービング・クリームと男性用トランクスであるところからすると、この事件にはまだ捜査線上にあらわれていない男性が関わっている。



 シャーロックはこのレシートを出したコンビニに出向いて、店員(夙川アトム)に無理を言って当日の防犯カメラの記録を見せてもらう。





 ひげそりその他を買ってこのレシートを受け取った人物は香田夏雄(毎熊克哉)。彼の姿は結婚式当日に参加者が撮影した写真もなかにもあった。



 実はこの男、2年前に恋人を殺害した容疑で指名手配されたまま行方不明となり、警察はすでに死んだものと見なしていた。
 



柴 田「被害者は西野未来(みく)、当時26歳」



柴 田「死因は、背中に刃物を指されたことによる出血死。被害者の荷物がすべて持ち去られていたため、強盗の犯行と思われていたが違った」



柴 田「で、被疑者として浮上したのが香田夏雄、当時28歳、職業、山岳カメラマン」



柴 田「香田と西野は当時交際していた」



柴 田「事件後、香田の部屋から、西野の血液がついたナイフが発見され、警察は香田の行方を追うが、犯行後、山に入り、雪崩に巻き込まれた可能性が高いことが分かった」



シャーロック「香田が山に入った証拠は?」



礼 紋「山小屋の防犯カメラに映ってた。ただ、いまだに香田の死体は見つかっておらず、事件は被疑者行方不明で未解決のまま」


 この男が花嫁失踪に関わっていることは間違いない。このあたりでシャーロックにはおおむね事件の全容が見えてきたようだ。



シャーロック「香田はどうして結婚式場に現れたのか? 殺人事件の容疑者が人前に現れたということは、危険を犯してでも式場に来なければならない理由があった」



和 都「香田さんが理沙さんを連れ出したってこと?」



シャーロック「香田みたいな怪しい男が控え室に来れば誰だって気づく」



和 都「ウェディングドレスは? どうして橋の欄干にぶらさがってたの?」



シャーロック「単なる時間稼ぎ。レシートに奈々美の電話番号が書かれていたのは、捜査を攪乱するためのもの」



和 都「いったい誰がそんなことを……」


╳    ╳    ╳



シャーロック「当日もこれで部屋の掃除を?」



横 川「はい。この掃除機は割れたグラスや水も吸い取ってくれるので」



シャーロック「けれどグラスは割れていない」



横 川「……え……」



シャーロック「真島理沙の失踪、あなたが関与しているんでしょ」



シャーロック「あなたが言っていた、ドレスの裾にできたオレンジジュースの染み。発見されたドレスからはそんな染みは見つかっていない、それはなぜだ。あなたが嘘をついたから」



シャーロック「理沙に『失踪を手伝って欲しい』と頼まれたあなたは、掃除機と着替えの制服を理沙に渡した」



シャーロック「理沙は、あなたが用意した制服に着替えると」



シャーロック「ドレスを圧縮袋に入れて小さくして」




シャーロック「掃除機の中に隠した」



シャーロック「そして理沙は、あなたのふりをしてこの部屋から出た」



シャーロック「理沙が式場から出たタイミングを見計らって、あなたは周囲に理沙がいなくなったと伝えた」



横 川「すいませんでした」



和 都「どうしてそんなことを……」



横 川「理沙さんの昔の恋人が式場に現れたんです」
和 都「昔の恋人?」



シャーロック「この人?」
横 川「そう! この方です」



横 川「理沙さんは恋人が山で亡くなったと思っていて、でもその方が生きていて理沙さんを迎えに来たんです」



理 沙「お願いします!」



横 川「真島様、でもここでお式キャンセルとなると、いらっしゃった方が……」



理 沙「本当に! 本当にお願いします」



理 沙「それで、どうしてもこの男性と一緒になりたいってお願いされて、私すごく不憫に思えて、力になりたくて……」



横 川「本当に申し訳ございませんでした」



和 都「理沙さんいまどこに」



横 川「それが、ここを出た後のことは分からなくて」


 と、ここまでの話はコナン・ドイルの原作どおりである。原作では、花嫁には恋人がいたが、アメリカで金鉱を掘りに山奥へ入り、アパッチ・インディアンに殺されてしまった、と思ったら実は生きていて、結婚式当日に姿を見せた、それで花嫁はメイドに協力を頼み込んで、失踪を装って自ら姿をくらました、というのが真相だった。でもこのドラマでは、男は2年前、金の採掘ではなく、恋人殺しの汚名を着せられ、警察の追っ手を逃れて山に逃げ込み行方不明となっている。はたして彼はほんとうに自ら婚約者の女性を殺したのか。シャーロックと和都は、被害者の母親(宮地雅子)を訪問する。



恵 子「二年前の事件は不可解なことばかりで」



恵 子「警察は、未来(みく)を殺したのは夏雄さんだと言うんです」



恵 子「でも、私は信じられませんでした」



恵 子「夏雄さんがそんなことするとは思えないから」


 母親の目から見た香田は誠実な青年で、娘の未来(梅舟惟永)とも真摯に交際していた。だから事件から数年経った今も、香田が娘を殺したという話を信じきれないでいる。
 さらに母親の証言から、消えた花嫁と殺された娘が無二の親友だった事実が明らかになる。



シャーロック「この女性に見覚えは?」
恵 子「理沙さん」



恵 子「未来の昔からのお友達です。未来、いつか理沙さんに似合うジュエリーを作るんだって、いつか言っていました」



和 都「未来さん、ジュエリーデザイナーだったんですか?」
恵 子「はい、まだ駆け出しでしたけど、いつも夜中までデザインを描いて、本当にがんばっていました」



シャーロック「未来さんがどんなデザインを描いていたのか、見せてもらえません?」



恵 子「それが、見当たらないんです……」


 母親が死後、遺品を整理しても、あれだけあった未来のジュエリーデザイン画のスケッチブックが、一冊も見当たらないのだという。さあこれでシャーロックには、ことの真相がすみずみまで明らかになった。視聴者にもだいたい分かっちゃった。で、決めゼリフです。



シャーロック「ある問題からすべてのありえない事柄を排除すれば、おのずと真相は見えてくる。それがどんなに突飛な結論でも」

 
 日本のミステリドラマで、解決編に行く前に名探偵が必ず決めゼリフを言う、というおかしな習慣が定着したのはいつからだろうか。



 翌日、失踪した花嫁の夫、数馬が、なぜかこっそりと休日のオフィスに入って行く。ブラインドも下ろしたままで、あたりは暗い。



 観葉植物の鉢植えの底から包みを取り出して、静かにほっと一息つく。そのとき……。




理 沙「そんな場所にあったの……」



数 馬「理沙……お前、このメール」



(未来のスケッチブックは私が持っている 理沙)



数 馬「どういうことだ」




理 沙「あなたは未来を殺した後、香田さんが山で遭難したのをいいことに、部屋に忍び込んで凶器を置いた」



数 馬「何の話だよ。何でおれが未来を殺さなけりゃならないんだ」



シャーロック「その証拠が袋の中にあるんじゃない?」



礼 紋「柴田」



柴 田「失礼します」






シャーロック「事件の証拠を手に入れるため、あなたはわざわざ偽装結婚を仕組んだ」



シャーロック「でしょ」



数 馬「偽装結婚?」



シャーロック「これは一年半前、あなたがジュエリー・アワードを獲ったときのデザイン」



シャーロック「でもこのスケッチブックはあなたのものではなく、未来さんのもの」



理 沙「私は未来からよくデザインを見せてもらってたから、すぐに気づいた。あなたが賞を獲ったデザインも、そのあと様々な賞をもらったのも全部、未来がデザインしたものだった」


╳    ╳    ╳



理 沙「すっごい可愛い」



未 来「ホント?」
理 沙「うん」



未 来「あはは、嬉しい」



シャーロック「あなたは美大の後輩だった未来さんの才能に気づき近づいた」



未 来「もう返してください。これは私のデザインなんです」
数 馬「だから、君がデザインして僕がプロデュースする。共同作業だって言ったじゃないか。お金はちゃんと払うから」









シャーロック「あなたは未来さんを殺し、スケッチブックを奪った」



シャーロック「そして、その犯行に使ったナイフを香田の部屋に証拠として残し、罪を着せた」



香 田「東京に戻ってきたら、家の周りに警察がいるし、僕の無実を信じてくれたのも理沙さんだけだった」



理 沙「香田さんが、愛していた未来を殺すわけがない。受賞したデザインを見て、あなたがやったんだって直ぐに分かったけど、証拠がなかった」



シャーロック「そこで理沙さんはこの男に近づいた。未来さん殺害の真相を探るために」



理 沙「あなたが留守にしているとき、部屋を隅から隅まで探したの。でもスケッチブックはどこにもなかった」
シャーロック「で考えられるのはオフィスと実家」



理 沙「でもその二箇所から人がいなくなることはなくて」



和 都「だから結婚式当日に……」



理 沙「実家とオフィスの鍵を手に入れて、片方をフラワーシャワーの時に、香田さんに渡しました」








横 川「真島様!」




シャーロック「彼はオフィスへ、そして理沙さんは式場を抜け出して、実家へ向かった。スケッチブックを手に入れるために」



シャーロック「でも見つけることはできなかった」



シャーロック「そろそろ、焦ったあなたがこの男に接触するタイミングだと思っていた」



柴 田「この血痕を調べれば、すべてが判る」




数 馬「……今ごろ未来だって喜んでいるよ」



数 馬「おれが発表したから、これだけ注目されているんだ。未来にはデザインの才能はあっても、それを世に出す才能がなかった」



香 田「ふざけんな!」



香 田「お前! お前!」



数 馬「今ごろ、あの世で感謝しているはずだよ。おれにデザインを託したことを」



礼 紋「もういいだろう」



理 沙「やっぱり……これも未来のデザインなのね」






理 沙「ねえ、どんな気持ちでこの指輪を私に渡したの?」





数 馬「刑事さん、今の問題でしょう」



礼 紋「……何かありましたか?」



 以上、『ミス・シャーロック』Episode 5「消えた新婦」でございました。
 今回は、過去の殺人事件の真相が暴かれるだけで、現在進行形の事件としては、泉里香が失踪するだけという、わりと大人しい話だったが、ほかのエピソードでは地上波ではできないエグい描写も交えて、猟奇的な犯罪も起こる。しかも(この第5話はその点でも例外だが)シリーズを通して、個々の事件の犯人の背後に「マリス・ステラ」なる黒幕の存在が示唆される。マリス・ステラは犯罪被害者の遺族や社会的抑圧を受けている人々の心に忍び込み、復讐心に火をつけ、社会に対する義憤をあおり、犯罪に誘導し、その人々を凶悪な犯罪の実行犯に仕立て上げるのである。それは誰か。
 貫地谷しほりは前回のエピソードで、ある戦場カメラマン(大谷亮平)と知り合いになる。世界の戦場を巡っているうちに、彼女と同じような心の傷を負ったらしくて、今回二人はデートして、けっこう深い仲になりかける。



 そのカメラマンの名前が守谷透(もりやとおる)という、まるで『名探偵コナン』のような分かりやすい命名なので、そのまんま受け取れば、この人が黒幕のモリアーティということになるが、あまりにもミエミエなので、ひっかけだろう。とすれば、この大谷亮平も手玉に操る真の黒幕は、たぶんこの人だ。



 入川真理子(斉藤由貴)。アイリーン・アドラーとモリアーティをシャッフルしたような名前だが、貫地谷しほりがPTSDの治療を受けている心理カウンセラーで、第2話から登場している。



 斉藤由貴といえば昨夏、『カンナさーん!』で泉里香と共演した直後に不倫騒動がおこって大河ドラマを降板。しかし年も明けて、今年はまず映画『いぬやしき』で、息子の佐藤健の凶悪犯罪を世間に詫びて自殺した。禊ぎみたいなものか。で女優活動を再開。この人がラスボスで間違いないと思う。


 
 ほかにも、第3話に出てきた木南晴夏が、まんま『海月姫』のジジ様だとか、取り上げたい小ネタは幾つかあるが、だいぶ押してきたので今回はこのへんで。Huluに加入している人は是非ご覧ください。そうじゃない人は、また地上波で放送されるのを待ってもいいかな(放送されるかな)。




【作品データ】『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』Episode 5「消えた新婦」/制作:Hulu・HBOアジア/制作プロダクション:ROBOT/配信時間:47分/配信開始日:2018年4月27日/全8話/<スタッフ>製作総指揮(エグゼクティブ・プロデューサー):長澤一史、毛利忍(Hulu)・Jonathan Spink、Beibei Fan(HBO ASIA)・石田和義(ROBOT)/プロデューサー;戸石紀子(Hulu)・村上公一(ROBOT)/脚本:小谷暢亮・丸茂周・政池洋佑・及川真実・森淳一/監督:瀧悠輔/撮影:宮尾康史/録音:西條博介/美術:矢内京子/装備:岩本智弘/衣装:嶋崎槙人/スタイリスト(竹内結子担当):祐真朋樹/スタイリスト(伊藤蘭担当):江島モモ/ヘアメイク:齋藤恵理子・安部麻美子/ヘアメイク(竹内結子担当)越智雅代/ヘアメイク(伊藤蘭担当):若林幸子/小道具:日内地和泉/編集:瀧田隆一/オンラインエディター:堤祐輔/カラーグレーディング:高田淳/タイトルバック:山本雅之/VFX:赤羽智史・横石淳/選曲:大森力也/音響効果:樋本舞/MA:小松達也/<キャスト>シャーロック:竹内結子/橘和都:貫地谷しほり/礼紋元太郎:滝藤賢一/柴田達也:中村倫也/守谷透:大谷亮平/双葉健人:小澤征悦/入川真理子:斉藤由貴/波多野君枝:伊藤蘭/椎名由麻:木南晴夏/真島理沙:泉里香/冴木数馬:淵上泰史/横川真子(ウエディング・プランナー):荻野友里/立川功(支配人):湯江タケユキ/神崎奈々美:近野成美/香田夏雄:毎熊克哉/西野未来:梅舟惟永/西野恵子:宮地雅子/コンビニ店長:夙川アトム/中岩由美子:中野麻衣/芸優/古賀プロダクション/劇団ひまわり/スエニョ/クラップ&ウォーク/ディサイファ/アプローズ/東京エキストラNOTES/シネマプランナーズ