実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第416回】DVD第3巻:Act.11の巻(2)

1. アクターズ戦記

 


沖縄アクターズスクール出身のダンス&ボーカルデュオ、BREEZE(幸地優美・比嘉なつき)のデビューシングル『GET DOWN TO AFFECTION』(2000年8月)。y'z factoryやSPEEDを手掛けていた水島康貴プロデュースによるワイルドなダンスナンバーです。でもこの曲を出して以降、彼女たちがどうなったのかは、よく分かりません。
以前書いたけど、アクターズのユニットって、だいたい「いつの間にか誕生していつのまにか活動停止」という感じだ。まあSPEEDは解散とか活動再開とかいちいち報道されているが、あれはほとんど例外だと思う。あの安室奈美恵にしたところで、たとえばソロデビューは『太陽のSEASON』(1995年4月)ということになっていて、確かにCDのジャケット表面には彼女の写真と名前しか出ていないが、でもひっくりかえせば裏面は「NAMIE AMURO with SUPER MONKEY’S」のクレジットとともに、後のMAXのメンバー4人もちょっと小さく写っているのである。ていうことは、まだこの時点でスーパーモンキーズは解散していないと考えるべきなのか?


 

安室奈美恵やMAXにしてからがこういう状況なので、もう「Folder 5の解散時期が分からない」なんてちっぽけなこと、あまり考え込んではいけないのかもしれない。

  • 訂正と補足】その後コメント欄で「安室奈美恵とSUPER MONKEY’S」は、1996年9月1日の千葉マリンスタジアム公演をもって活動休止するまでは、この名義でライブ活動を続けていた、との御指摘を受けた。したがってそれまでは、安室奈美恵もMAXも「安室奈美恵とSUPER MONKEY’S」と並行してのソロ活動ないし内部ユニット活動として理解するのが正しい。なるほど。MIKEさんありがとうございました。(2016年12 月)

 


いや、のっけから話が脇道にそれてすみません。だいぶ以前、安座間美優がセブンティーンモデルになる前の芸能活動について、あれこれ検索しながら記事を書いたことがあった(【第125回】美しき天然の巻)。けっこうアクセスがあるみたいなので、その後もおりに触れ画像を足したり入れ替えたり、バージョンアップしているので、よろしかったら御再読ください(ここ)。
そのとき、ものすごく難しかったテーマにB.B.WAVESがあった。沖縄アクターズスクールの選抜ユニットで、漫画にもなっているのだから情報なんていくらでもあるだろう、なんてタカをくくっていたらなかなかどーして。公式ホームページを含め、きちんとした定義や活動の記録を残した資料がほとんどなくて、最終的に頼りになったのは、ごく個人的に運営されていたファンサイトくらいしかなかった。
で、先日、その「個人的に運営されていたアクターズのファンサイト」の管理人であるはかせさんから突然メールをいただいた。アクターズ時代の安座間美優についてまとめた私の記事をご覧くださったらしい。そのなかで私は、1999年夏に那覇市で行われたイベントで、浴衣を着た安座間美優が「お腹をおさえられるので、お腹へった」と答えた、と書いている。でも、はかせさんによれば「あの時、現場に居合わせた者の記憶として、この発言は安座間美優ちゃんではなく、幸地優美ちゃんの発言だったと思います」とのことだ。「あの時、現場に居合わせた者」というフレーズにしびれますね。「幸地優美ちゃん」というのは、この記事の冒頭で紹介させていただいたBREEZEの幸地優美さん。ていうかまだBREEZEは結成されていなかった。石川愛理もHipp'sに入っていなかった。



いや石川愛理はぜんぜん関係ないよな。ともかく、そもそも私は、はかせさんのサイトを見ながら自分の記事を書いたのです。元ネタの人が間違いと言うのだからそれは間違いだ。「優美ちゃん」を「美優ちゃん」と誤って伝達してしまったのである。他人のレポを元ネタに利用して、しかも間違えるって、ちょっとひどいな。すみませんでした。
それで訂正して、はかせさんにお礼のメールを出したら、またすごいご返事をいただいた。


B.B.WAVESがいつまで続いたのか?
とは、「B.B.WAVESとは何か?」という定義にまでなる話なので、
一概には言えないのですが。
つまり名称として、確かに今もあります。


もはや哲学的な趣きすらある。何だかB.B.WAVESの奥深さを思い知ったような気分だ。私も、安座間さんについての最小限の情報は得られたと思うので、これ以上はあまり追求しない。後は続く世代に期待する。志のある若者が、はかせさんの年表(ここの「資料篇」にあります。すごいね)を必須の基礎資料として、「客観的にクリアなB.B.WAVESの定義」という困難な研究領域に邁進してくれますように。
なにはともあれ、はかせさん、御指摘ありがとうございました。勝手にメールを引用しちゃってすみません。



ここで今井康絵の漫画『はじけてB.B.』から、幸地優美のカットを紹介してこの項を終了して本題に入るつもりだったけど、なんかさっきから探しているのに『はじけてB.B.』の単行本が出てこないんです。またそのうちにスキャンしてここに載せますのでご勘弁。では本題。

2. 知らなかったうさぎ

 

というわけで、クラウンの秘密基地にて。

 



亜 美「ルナ、いつかプリンセスと戦士の大切な話をしてくれる、って言ってたけど、それが月の世界のこと?」
ル ナ「そうよ。昔々の話。あなたたちの中に月の戦士たちの想いが受け継がれているの」
まこと「ぜんぜん自覚ないけど」
ル ナ「いつか分かるときが来るわ。それまでは今までどおり、プリンセスと幻の銀水晶を探して、敵から地球を守りましょう」


 


頷く一同。
Act.31で戦士として覚醒し、それをきっかけに、この場にいる4人のなかで最も前世の使命を強く自覚することになるまこと。そのまことに今は「ぜんぜん自覚ないけど」というセリフを言わせている小林靖子の頭の中には、すでに物語後半の構想がざっとまとまっていたのだろう。と、そこへ慌てきった様子のうさぎが飛び込んでくる。

 


うさぎ「ねぇねぇ聞いた?愛野美奈子が交通事故だって?」
まこと「今ごろなに言ってんの?」



レ イ「ニュースとか新聞、見てないでしょ」
うさぎ「みんな知ってたの?心配だよねぇ、入院したって」



亜 美「でも本当に軽い怪我みたいだよ」
うさぎ「そうだけどさぁ……新曲発表会も近いじゃん。お見舞いできればなぁ」
レ イ「こういうファンが多いから、病院名伏せてるっていうわけね」
うさぎ「私はただ、“頑張って”って励ましたいだけだよ。大丈夫かなぁ美奈子」


 


レイは愛野美奈子のことをなんとなくニュースとかで見知っている。でもそんなに関心がなくて、うさぎの熱狂的なファンぶりを冷めた態度で揶揄する。だから愛野美奈子その人に出会っても、すぐにはピンと来なくて、さんざん経ってからようやく気づく。ここでのレイのセリフのなかには、そういうAct.17での二人の出会いが、すでに暗示されている。
今回は4人とも制服姿だから、全員学校帰りだ。で、特に美奈子に関心のない亜美やレイが事故のニュースを知っていたのに、大ファンのうさぎだけが知らなかったところからすると、うさぎは朝、テレビを見る余裕もなく遅刻して、放課後には居残り掃除をさせられて、みんなよりちょっと遅れて今ここに飛び込んで来たから、ニュースを知らなかったのだろう。あるいはAct.10で、エリカちゃんたちや燃えた絵本や人形を治して使い果たしたパワーが、まだ十分に戻っていなくて、疲れて注意力散漫なのか。
でもAct.1なんか見る限りでは、なるちゃんあたりが教室でいちはやく、その手の情報をうさぎに伝えていなきゃいけないはずだ。それが、まったく何も知らないということは、戦士の仲間ができたことによって、すでにうさぎとなるの仲は少しずつ疎遠になっていった、と考えられるように思う。
実はこの「うさぎだけが美奈子の事故を知らなかった」件に関しては、さらに謎めいた問題がある。それを考えるために、次の場面に進みたい。

3. ナルシの成志

 


美奈子が入院中の「港区立十番病院」。もちろん現実の世界には存在しない。そもそも「区立病院」なるものが、現実世界にはほとんど存在しないようだ。2009年、すでにかなり前に廃止されていた都立台東病院の後を承けて、台東区に区立台東病院が開設されたとき、これが東京23区では初の区立病院と報道されていた。よく分からないが、これだけ地方自治体の財政難が言われているのだから、「区立」レベルの公立病院の経営なんて負担以外の何ものでもないだろうし、医師の確保だって難しそうだ。でも台東区は高齢化率(65歳以上の住民の割合)が24%を越えた現状をかんがみて、高齢者医療の受け皿として開設に踏み切ったそうです。介護やリハビリを行う老人保健施設を併設して経営黒字を目指しているという。しかしこの十番病院は立派ですね。経営も順調そうだ。
そして美奈子の病室。



ここでまず、病室にずらっと並んだファンからのプレゼントが画面に出てくる。お見舞いか?でもお見舞いだとすると、事故から結構な日にちが経っているということになる。だとすると前のクラウンのシーンで、うさぎが美奈子の事故のことを古幡に教えられるまで知らなかった事実とうまく合わない気がする。ということは、単純にファンから送られて来るプレゼントを事務所の人がもってきただけだろうか。



Act.8とAct.10でマネージャーを演じた長友克己に代わって、新しいマネージャーが登場。当ブログの推定では、長友マネージャーは、(1)Act.8での「ナコナコなりきりコンテスト」の特別審査員ドタキャン事件、(2)Act.10でのトラック突入事故、という不祥事の連続に「こいつマネージャーにしとくと縁起が悪い」とクビにされた(しつこいようだがあくまで推定)。でもひょっとしたら、美奈子をかばってトラックにひかれて重傷を負い(そのおかげで美奈子はかすり傷)入院中なのかもしれない。ともかく、長友克己さんのマネージャーは、役名はおろか、タイトルクレジットもされなかったのだが、今度のマネージャーは「松尾」という役名までついている。でも以降は斎籐社長が美奈子に張り付き状態になっちゃうので、出番がなくなっちゃうんだけどね。
この松尾マネージャーを演じているのは身長180センチの細川智三(ほそかわ・ともみ)さん。事務所はサラ・プロジェクト。といえば元基こと黄川田くんであるが、事務所のホームページから所属タレント一覧を見るとトップが黄川田将也で、二番手がこの細川智三くんである。つまりそういうことらしい。高丸監督、ワンショットぐらいアップにしてあげればいいのに、終始引きの画面で、顔もろくに映されない。

 


松 尾「はい。車のトランクに入れてたやつ。やっと取り出せたよ。なにしろ、ひどく潰れちゃって」



美奈子「ありがとう」
松 尾「あんな事故でこの程度で済んだので、警察も驚いてたよ。ホント紙一重だったって」



╳    ╳    ╳


╳    ╳    ╳


斎 藤「それで化粧品のCMが入ったわよ」
松 尾「社長」
斎 藤「コピーが、“薄付き紙一重”なんて笑っちゃう」
美奈子「社長、あたし退院しちゃダメかな。怪我っていっても擦り傷ぐらいだし」



斎 藤「ダメ。美奈子、あんた最近、急にいなくなるでしょ」



美奈子「えっ」
斎 藤「まぁ深くは追求しないけど、変な写真撮られたらどうすんの?新曲発表会も近いんだから、しばらくここで大人しくしてなさい。仕事はもういっぱいあるんだから」


美奈子の前にCMの企画資料やファックスシートを投げ出す社長。CMのタイトルは「MAGICAL FACE」と読み取れる。その上にある雑誌の原稿依頼には、こんなふうに書かれている。

 



愛野 美奈子様
日美舎 月刊誌【YOU】新春特別特大号
連載コラム「MinaDOLL」について

お世話になっております。ロンドンでのレコーディングは
いかがでしたでしょうか?下記が今回のコラムのテーマと
なっております。以前送っていただいたポラと合わせて
掲載する予定です。締め切りは12月22日(月)となって
おります。宜しくおねがいします。

今回のテーマ
   『ロンドンのファッション』
       (600字程度)

                 編集部 前田


そしてバッグ(ブランド分かりません。誰か教えてください)から手帖を取り出し、スケジュール確認。もうこのあたり、斎藤社長を演ずる池田成志の独壇場である。


斎 藤「新曲発表会でナコナコのクリスマスバージョン配るから、デザイン、明後日までね。それから明日テレビの電話インタビュー。あとホームページの日記とサインプレゼント用の色紙。ロンドンから帰ってきたばっかだけどできる?」



斎 藤「それとも休む?」



美奈子「…大丈夫…」



斎 藤「OK! あ、マツオちゃんっ、新曲発表会のコト、ちょっと…」
松 尾「はい」


おっ。ようやく新マネージャーの松尾くん(細川智三)の顔がマトモに出た。180センチの長身にさわやかな笑顔。つまり黄川田系。これがサラプロジェクトのカラーということか。
「新曲発表会のこと」の話をするため、松尾と病室を出て行く社長。それを確認してから、美奈子は自分のバッグを開き「セーラーVなりきりセット」一式の無事を確認するわけだが、ちょっと待った!

4. 解けない謎

 


先程の、社長が予定の確認をするシーンで、画面に一瞬、美奈子のスケジュールがびっしり書き込まれた手帖のアップが映るのである。その内容の詳しい検討は次回にまわす。今はひとまず以下の点のみ指摘しておきたい。


(1)この手帖は向かって左側に2003年12月1日(月)から10日(水)まで、右側に12月11日(木)から20日(土)までのスケジュールがびっしり書き込まれている。
(2)左側、つまり12月上旬のスケジュールは、ほとんどロンドンで「NEW ALBUM」のレコーディング。赤字でチェックマークが入っているのは「すでに終了」という意味だろう。ちなみにロンドンと東京の時差は、およそ8時間(東京の方が進んでいる)なんだけど、とりあえずこのスケジュールは、日本時間で書いてある(んだと思う)。
(3)右側のスケジュールは、おおむね帰国後のプロモーション関係。特に12月13日(土)から以降は赤でバッテン印と「キャンセル」が書かれている。明らかに、今回の事故によって急遽キャンセルを余儀なくされたスケジュールである。


この時点で、私の胸は、今まで気づかなかった発見の感動に(ちょっと)震えているのだが、それはさておき、今回のポイントは右の上、12月12日(金)のところである。赤の二重線で消してあったり、マルで囲んで書き込みがあったり、この日にただならぬ事態が生じたことを示唆する。言うまでもない、美奈子の事故だ。
しかし、そうするとおかしいのだ。Act.10のお話は、うさぎが朝食のオムレツのことでママと口論となって、家を飛び出すところから始まる。うさぎは亜美やまことのもとを訪ねたあげく、レイの神社に転がり込むが、そこでは小学生のエリカちゃんがレイと話をしていた。うさぎ・亜美・まこと(公立中学)、レイ(私立中学)、エリカ(小学生)がいずれも学校に行っていないところからして、この日は義務教育の学校は休みということだ。つまりこれは土曜(12月13日)か日曜(12月14日)の話でなければならない。
そして色々騒動があって、セーラームーンに変身して妖魔を倒し、しかも自分たちが月から来たことを聞かされてショックを受けたうさぎは、結局その日のうちにママのもとに帰って、晩ご飯を一緒に食べる。で、ゾイサイトがさらなる攻撃で空港の美奈子を襲うのは白昼であるから、これは翌日である。ってことは、美奈子は日曜(12月14日)か月曜(12月15日)に事故っていなければならないわけだ。
だけどスガオ社長の広げた手帖を見る限り、12月13日(土)、14日(日)、15日(月)、16日(火)、17日(水)のスケジュールには、すべて赤でバッテン印がつけられていて、一律「キャンセル」と書かれている。しかもさっきのシーンで社長は美奈子に「新曲発表会でナコナコのクリスマスバージョンくばるから、デザイン、明後日までね。それから明日テレビの電話インタビュー」と言っている。これを手帖と照合すると、12月18日(木)に「TVワールド『JamJam』電話インタビュー」、12月19日(金)が「ナコナコクリスマスバージョン〆切日」となっている。スガオ社長の発言を信じる限り、このAct.11の冒頭場面は、12月17日(水)の出来事と考えざるを得ない。
えーと、「お前は何が言いたいのか」と思っておられる方のために整理しておきますね。つまりこういうことだ。


【A】Act.11のスガオ社長の手帖では、美奈子の予定は2003年12月13日(土)以降キャンセル続きになっている。ということは、この日に美奈子は成田で事故に遭ったことになる。とするとAct.10の「プリンセスへのレクイエム」騒動はその前日、12月12日(金)の出来事でなければならない。ところが、Act.10を観る限り、「うさぎの家出」は明らかに学校が休みの日の話、つまり12月13日(土)か12月14日(日)でなくてはならない。そうすると美奈子の事故は12月14日(日)もしくは12月15日(月)となるが、どちらの解釈をとるべきか。


【B】Act.11の冒頭で、うさぎはまだ美奈子の事故を知らない。一方、亜美とレイとまことは、ルナに「月の世界のこと」を説明するよう問いただしている。つまりこの話は、Act.10からさほど日にちが経っていないはず。しかも全員が学校帰りとおぼしき制服姿である。だから私は次のような経緯を想定していた。これならいちばんすっきりする。
  12月13日(土) うさぎが家出してその日のうちに帰宅。
  12月14日(日) 成田空港で美奈子が襲われて軽傷。
  12月15日(月) 戦士たちは学校帰りにクラウンへ集合。


【C】ところがスガオ社長のセリフと手帖によれば、Act.11の冒頭は12月17日(水)の出来事であり、美奈子が事故に遭ってから最低でも3日は経っている。その間、レイたちは、月の世界のことをルナに問いただす機会がなかったようだし、うさぎは美奈子の事故を知らなかった。うさぎの場合、Act.10の戦いで、これまでにないパワーで多くの人々を救い、その反動でしばらくこんこんと寝込んで、美奈子の事故のことを知らないまま水曜日まで過ごしてしまった……って解釈も考えてみたが、う〜ん、どうもちょっとね。



もちろん答えが出るとは思っていないし、マニアックすぎて、正解のコメント(あるのか?そんなもの)もいただけないだろうけど、まあしかし謎だよな。考えているうちに疲れて来たので今回はここまで。
次回は「愛野美奈子 幻の音源を求めて」だ(ウソだけど)。