実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第313回】DVD第2巻:Act. 8の巻(その3)


恒例の週末更新が遅れてしまってごめんなんさい。
連休に免じてお許しください。

1. ブルーマンデー


4月28日(木)は震災の四十九日法要が各地で営まれたという。


今週は『黒い雨』(1989年/監督:今村昌平/出演:田中好子、北村和夫、市原悦子、原ひさ子)、『ゴジラVSビオランテ』(1989年/監督:大森一樹/出演:三田村邦彦、田中好子、小高恵美)、『鏡の女たち』(2002年/監督:吉田喜重/出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英)の3本を、夜ごとビデオで観た。観終わってからようやく、全作品が被曝もの(原爆もの)であることに気づいた。ゴジラ映画だって広義にはそういうことになるよね。いやんなっちゃうタイムリーさだ。

『ゴジラVSビオランテ』の大森一樹監督は、伊藤蘭さんの復帰作『ヒポクラテスたち』(1980年)も手がけている。キャンディーズのファンなのかな。
『ヒポクラテスたち』では、物語が終わると、ヒロインのランちゃんが数年後に自殺したことが語られて、最後に画面に遺影が映ってエンドマークとなる。主演の古尾谷雅人は2003年、現実の世界で自殺してしまった。
と思っていたら、サコミズ隊長こと田中実さんが亡くなられた。自殺らしいが、原因は不明。周囲の方々も思い当たることはないという。「ミッドライフクライシス」という言葉が頭をかすめますね。


と、相変わらずブルーな一週間でございましたが、週末にひろみんみんむしさんにお会いする機会がありました。【第246回】のコメント欄(ここ)でStreamKatoさんやカシオペアさんが書かれているとおりのチャーミングな方で、なんだか癒されました。あちらのほうが被災地なのに。

ひろみんみんむしさんが何をしに中部地方まで来られたかというと、岐阜県恵那市で、『ふるさとがえり』(監督:林弘樹/脚本:栗山宗大/撮影:藤田秀紀)という映画の上映があって、主演の渋江譲二君が挨拶に来たんですね。

恵那市を舞台に撮影された映画「ふるさとがえり」の上映が29日、同市で始まった。有志でつくる市民団体が5年前から準備を進め、「絆」をテーマに、地域にちなんだオリジナル脚本を制作。昨年8〜9月にロケされた。
この日は恵那文化センターと明智かえでホールの2会場で、3回ずつ上映。同センターでは初回上映後、林弘樹監督と主演の俳優渋江譲二さんらの舞台あいさつがあり、林監督は「人と人との絆、つながりの大切さを(映画を通して)日本中、世界中に伝えたい」と話した。(『中日新聞』4月30日、岐阜県版)


みんむしさんはこの2箇所の上映と舞台挨拶に参加して、しっかり渋江君と写真を撮って、それから東京に向い、神田で『仮面ライダー響鬼』の甘味処「たちばな」を訪問し、さらには5月1日の夜、新宿のMARZでANZA(大山アンザ:言わずと知れたミュージカル初代セーラームーン)のライブに参加するんだそうです。ディープなセラヲタぶりである。ライブにはミュージカル2代目マーズの小谷みさこ(現:岩名美紗子)がスペシャルゲストで参加されるらしい。ライブの売り上げの一部は震災の義援金に回されるということだが、それを観るためにわざわざ岩手県から参加されている方がいることを、アンザさんはご存じであろうか。
名古屋駅でお土産を買うというのでちょっとお付き合いさせてもらったところ、札入れを開いた裏側に写真入れが見えて、普通は家族とか恋人のポートレートを入れておく場所だと思うが、旦那さんではなく渋江君とのツーショット写真が収まっているのには笑えた。見かけは爽やかそうだけどやはり深い業を背負っていらっしゃるのだ。とにかく楽しかったです。


じゃ、本題だ。

2. 宿題の問題


スーパーアイドル愛野美奈子のデザインしたキャラクター、ナコナコのなりきりコンテストが開催される。要するにコスプレ大会である。入賞者はコンテスト限定ナコナコぬいぐるみを、審査員の愛野美奈子本人から貰えるという。
テンション上がりっぱなしのうさぎと、対照的な三人。このあたりも、だいたい台本どおりですね。

レ イ「そんな事で呼び出したの? 勝手に出れば」
うさぎ「や、やっぱレイちゃん出ないよね。亜美ちゃん達は?」
亜 美「塾があるから……。セーラーVのことも調べたいし」
まこと「私も、美奈子は好きだけどさ、ぬいぐるみとかは興味ないな……」

勉強と同様、戦士としての使命にもマジメに取り組み、セーラーVについて調査中だが、まだこれといった情報をつかめていない亜美と、ただのミーハー精神で行き当たりばったりに行動しているだけなのに、運命に操られるように美奈子=セーラーVへと接近しつつあるうさぎ、という対比。
このへんまでは良いとして、ここから後はさすがにいただけない。何かもうちょっとだけ、脚本に工夫ができなかったものか。(かといって「じゃあお前ならどう台本を変える?」と尋ねられると困るが。)

うさぎ「じゃあお願い助けて!………実はこないだ出た宿題、せっかくやったのに、間違ってノート捨てちゃったんだよね……あさって提出なんだけど、コンテストも明後日だし、これやってたら準備間に合わないよ。お願い、手伝って!」


台本にもそう書いてあるんだし、そのとおりに解釈すべきなのだろう。でも常識的に考えて「宿題、せっかくやったのに、間違ってノート捨てちゃったんだよね」という状況はあり得ない。宿題をやっていない言い訳としてもかなり無理がある。
もちろん、うさぎは宿題をやっていないなら正直にそう言う子で、「ノート捨てちゃった」などとタチの悪い嘘をつくはずがない。それに、実写版から受けるうさぎの印象は、そんなにバカっぽいものではない(と私は思う)。遅刻常習犯で毎朝、担任の桜田先生からいじられるところが目立つくらいで、勉強面は、わりときちんとやっている方だと思う。CBCの公式ページで語られているように、うさぎは「素直すぎ、天真爛漫すぎて、“バカ”のように見られることが多いが」そう見えるのは彼女の「包容力のある」癒し系の性格の一面に過ぎない。

だいたい実写版の区立十番中学校はけっこうな進学校のようなので、そういうところに通っているうさぎが、おバカなはずがない。もちろん家庭では進悟からバカにされまくっているが、弟なんてそんなもんだ。

3. 十番中学をまたまた考える



実写版の十番中学については、名古屋支部もかつて何度か分析を試みている。といっても、私じゃなくて、うちの研究員であるこっちよ!さん(名古屋支部非常勤教務主任)の成果がほとんどであるが。詳しくは【第87回】【第223回】【第224回】あたりを、コメント欄も含めてご参照ください。それでもなお、まだまだ多くの謎に包まれているのが十番中学である。
とはいえ、おおむねのところは「レベルの高い区立中学」であたっていると思う。公立の中学でレベルが高いとか低いとかランク付けすることに異和感をおぼえずにはいられないが、なにせ名古屋だと、レベルの高い公立中学校へ子供を入れるために、住所をごまかして学区を越境させる親なんかがリアルにいるのだ。東京にもそういうことはきっとあるんだろう、とざっくり考えておく。
もちろんレベルが高いとはいっても、やはり公立である。たとえば水野冴子(亜美のママ)の「前から考えてたんだけど、転校した方がいいと思うの。中学までは普通の学校もいいんじゃないかと思ったけど、やっぱり、いろいろ影響されちゃうものね」(Act.33)というセリフから考えても、しつけも成績も「普通に」きちんとしたレベルを保っている学校、という感じだ。だから、そういう学校へ通っているうさぎも「ミーハーなところはあるけれども基礎的な学力はもっている子」なんじゃないかと思う。
そう理解した場合、レイの「うさぎ、自分の失敗は自分で取り返さなきゃ。すぐ人に頼るのはよくないわよ」というアドバイスは正しい。レイの学校についての情報は少ないが(原作やアニメ版では、中高一貫の私立T.A女学院ということになっているが、実写版では校名すら明言されない)でも私立のお嬢様学校というイメージである。十番中学よりも多少はレベルが高いのだろうが、それも極端ではない感じ。だとすれば、レイは決してうさぎに無理難題をふっかけているわけではなくなる。素質的には同等のレベルの子に対して、あんただってやればできるでしょ、と言っているだけだ。

これに対してまことは、もうハナから「今から宿題を全部やり直しなんてうさぎには無理!」なんて言わんばかりの態度である。しかもいきなり無造作に「じゃあ、四人でページ割って」などと言い出すところを見ると「友達だったら宿題を分担して持ち寄るのは当然」と考えているんじゃないかとさえ思える。つまりまことの転校前の学校では、そういうことをしているクラスメイトも少なくなかったのではなかろうか。と、以上は、前回のコメント欄にあった、こっちよ!さんのご指摘に基づく解釈だが、このへんの認識の違いも、レイとまことの対立を引き起こすひとつの遠因になっていそうだ。
一方、前回の最後でも紹介したように、ここでうさぎが持ち出す「宿題」は、どうやら「教科書ガイド」のようである、という、これまたやっかいな問題がある。ふつうは教科書ガイドを宿題に使うなんてあり得ない、とこっちよ!さんはおっしゃる。確かにそうだ。私も、大昔だが、担任の先生が「教科書ガイドはヒキョウ者の使うアンチョコだ!」と断罪していたのを憶えている。なぜそんなものがうさぎの宿題になっているのか。こっちよ!教務主任は二通りの仮説を立てた。

(A)他の子と同じ教材が使えないほど、うさぎの理解が遅れている。
(B)他の子もこれを使っているなら、クラス自体が「基礎基本コース」に属している。


私の考えでは、うさぎの2年1組は特進クラスだ。Act.6でまことは6組に転校してくる。だからこの年の十番中学2年は最低でも1組から6組まであるはずだ。でもAct.2で張り出される中間考査の成績上位者20名の内訳は、1組が8名、2組が7名、3組が5名で、4組から6組の生徒は一人も入っていない。だから1組から3組までが上級者の特進コースで、4組から6組までが普通のコース、みたいな構成になっているんじゃないかと思う。で、やっぱり1組はいちばん優秀な子達を集めているんじゃないか。成績上位者リストの半数近くを1組が占めているし、だいいち水野亜美がいる。
という前提のもとにたつと、亜美はもうダントツの優秀な生徒、なるちゃんも、遊びと勉強のバランスがとれた秀才、そしてうさぎや香奈美や桃子も、1組の中では平均より下かも知れないが、全体の中で見ればけっこう優秀、という感じになる。
そうすると、捨てちゃった宿題をすばやく自力でやり直すことも、まあ無理とは言えない。他校のレイがそこまで詳細に十番中学の内実を知っているとは思えないが、でもだいたい、十番中で亜美と同じ特進クラス、というだけで、見かけほどバカではない子(失礼)ぐらいの認識はあるはずだ。だからこそ「自分の失敗は自分で取り戻せ」発言が出てきたのであろう。
一方、まことは、たぶん成績は悪いね。聡明だが徹底してプラクティカルである。主要教科とか成績とか関係なしに、自分が学ぶべきことは自分で判断する。思考は明快でぶれがなく、料理とかお金の計算とか、生きていく上で必要な知恵はしっかり身につけてるが、学校の成績は悪い(断言)。
宿題なんて、1回やるだけでもバカバカしいのに、2回やるなんてうんざり。ノートを捨てるなんて、うさぎもドジだけど、ここはみんなで手伝ってやらなくちゃ、だな……考え方としてはその程度のことではないかと思う。でもこのさっぱりとした割り切り加減には、レイのみならず、亜美も(表情は見えないが)ちょっと面食らっているように見える。


それにしても、しつこいようだが、宿題を捨てちゃったというのはちょっと極端で、もうちょっと、何か考えようがなかったかなあ、ということを書きかったのだが、学校問題が絡むと頭がこんがらがって、予定したのと違う方向に話が進んでしまいました。今回はこのくらいにしておきます。

『LADY』でプロファイリングに失敗してヘコんでいる平岡祐太に「プロファイラーなのに、そんなことも分からないんですね。私なら自分のミスは自分で取り返す」と言ったときの北川さんは、けっこう怖かったね。でも、このAct.8で「うさぎ、自分の失敗は自分で取り返さなきゃ」と言うときのレイは、すごく優しくて、私はどうせなら優しく言われる方が好きだ。誰もそんなこと私に聞いていないのだが。

まこと「助け合って強くなるんだよ」
レ イ「一人一人が強くなるべきよ」
   うさぎが割って入る。
うさぎ「待って待って、ごめん。私、自分でやる。忘れて、ね」
まこと「冷たいんだな」
レ イ「……」


台本では最後にうさぎが「やめてってば〜」と、なんとか二人の関係を修復しようと努めている。でもそのセリフはカット。まこととレイが対立する場面でも、それを見守るうさぎの複雑な表情を入れないように、うさぎは後頭部だけが映るアングルになっていて、ともかく、うさぎは画面から排除し、まこととレイの二人の関係に特化して、今回のエピソードの基本構造を明確する演出ですね。てことで、シーン4まで考察を終えました。次回はダーク・キングダムのゾイサイトとジェダイト。

4. 次回予告


……と思ったんだけど、実は先日、冒頭に書いたようにひろみんみんむしさんにお会いして、その時になんと、Act.1の台本のコピーをいただいた。当ブログではAct.48Final ActそしてAct.8と、3本の台本を紹介してきて、今後も手持ちのものを、話数順に少しずつご紹介しようと思っていたところ、いきなりAct.1が手に入ってしまった。せっかくだから次回はさっそく、この全文を資料として提出してみたいと思います。ですから次回はAct.8レビューは一回休みでAct.1の撮影台本です。よろしく。ひろみんみんむしさんどうもありがとう。お礼にもならないけど、録画しそこねたという例の画像を。『仮面ライダーOOO(オーズ)』第32話「新グリードと空白と無敵のコンボ」(5月1日OA/脚本:小林靖子/撮影:倉田幸治/監督:諸田敏)のアバン・タイトルより、医師役で登場した窪寺昭。


闘いに倒れてしまった仮面ライダーオーズ=火野映司(渡辺秀)を、第2の仮面ライダー、仮面ライダーバース=伊達明(岩永洋昭)が、古い知り合いのつてをたよりに、病院に担ぎ込む。
この伊達明という男は、かつては国境なき医師団みたいな海外医療支援ボランティアとして、世界の戦地・紛争地・辺境を駆け巡った経験のある医師らしい。で、いまは何らかの事情で日本に帰り、悪い奴を倒すと得られる賞金目当てに仮面ライダー稼業をやっているという人だ。
どうも小林靖子は最近、主人公の火野英司=オーズより、明らかにこっちの「伊達さん」=バースの方に入れ込んで脚本を書いているように見える。少なくとも今後しばらくは、この人の過去に焦点を絞って、海外ボランティア医師だった彼が、どういう理由で賞金稼ぎライダーになったか、という謎の解明を中心に話が進んでいく感じがする。そんな展開の矢先、彼の昔の同僚で、過去を知っているらしい医者の役でクンツァイト窪寺が登場である。今週は主人公の火野英司の様子をちょい見して、旧友の伊達にレントゲン写真を託して去って行くだけの役であったが、一回ぽっきりの出演ではないような気がする。
四天王の『オーズ』への出演はガメル松本博之に次いで2人目。こうなると今後も目が離せませんね。
ではまた。