実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第267回】小松彩夏降誕24周年記念ムービーレビュー『僕は妹に恋をする』の巻



暑いですね。そして夏休みファミリーミュージカル『白雪姫』三越劇場公演も千秋楽ですね。でも私は名古屋で、塾の特別プログラムに行く娘を送り迎えしたり、息子と一緒に夏の恒例、ウルトラマンライブを観に行ったりしています。
薦めもしないのに自分から高校受験強化コースに参加申し込みするなんて、できた娘だなあと感心する反面(親馬鹿)やたらと金がかかるのでどうしたものかとも思う。
ウルトラマンライブ、7月24日の名古屋公演は、ウルトラMCガールズ東海支部のエース、ミナお姉さん(小笠原未奈さん)の司会でした。今回のステージのお話は、「ガンバレー」とウルトラマンを応援するフリをしていたミナお姉さんの正体が、実はザラブ星人だったという大どんでん返しがあったり、ワイヤーワークでウルトラマンゼロが空を飛んだりと、新たな進化がありました。

 


さてAYAKAこと小松彩夏さん、24歳のお誕生日おめでとうございます。
最近は戦士の皆さんのバースデーがやって来ても、お祝い企画も思いつかないネタ切れ状態のこのブログでありますが、小松さんに関しては、昨年も全映画リストなんて作ったり(これ)わりとマメにやっております。どうしてかというと、この人の場合、誕生日が近づくとブログやホームページにイベントの告知が出るんですね。それでなんとなく「何かしなくちゃいけないかな」というソワソワした気分にさせられてしまいます。
で、今年は最初、2007年12月8日に関西テレビで放送された『桂ざこば芸歴45周年&還暦記念ドラマ 子ほめ』のレビューでもしようかな、と思ったんです。関西のみのオンエアだったドラマですが、小松さんがとても綺麗に撮れていて、全国のみなさんに観ていただきたいくらい印象的だったのです。でもいざ探してみると、さる筋(関西在住の身内のことだが)から入手して保存してあるはずの録画ビデオがどこにも見つからない。ガシュン。でもStreamKatoさんからDVDが発売されているとの情報を教えていただいたので、取り寄せることにしました。現在は到着待ちです。前回のコメント欄を読まれた方ならご存じの通り、このドラマについては、タイトルがらみでちょっとした謎が生じておりますが、その問題についても、DVDチェック後あらためてとりあげたいと思います。

さてそこで、これに代わる企画として思いついたのが、映画における小松さんの代表作『僕は妹に恋をする』のレビュー。この映画は嵐の松本潤が主演だし、小松さんはこのたび、マツジュン主演の月9ドラマ『夏の恋は虹色に輝く』に出演されるそうなので、タイムリーだし、私としては松本潤さんに、今回もできれば『バンビ〜ノ!』のこずえくらい注目度の高いキャラクターにしてやってください、とお願いする気持ちをこめて、松本さんの単独初主演映画を誉めたたえようと思ったのです。
でも改めて深夜『僕は妹に恋をする』をDVDで鑑賞していて思い出した。昨年も確か、最初はこの映画の感想を書こうと思ったんだけど、観ているうちに地味な気分になって、書こうという意欲が失せて、結局ヤメにしたんだった。で、今回も同じ感想だ。
つまらないわけではない。最初に書いておくが私は大好きだ。ただレビューは書きづらいです。なぜかというと、この作品の良さは、メイン俳優四人(松本潤・榮倉奈々・平岡祐太・小松彩夏)のナマの魅力に尽きる。旬の素材を十二分に活かしたお造り定食みたいなものである。だから、たとえば私がいくら誉めても「そもそもマツジュンの顔が生理的に無理」なんて人の評価はやっぱり変わらないだろう(実際、M14さんはブログのどこかにそんなことを書いていたはずだ)。
そういうわけで、いつもほどレビューを書く気が湧いてこないのだが、ましかし、今回は暑いし、仕事は詰まっているしでちょっと疲れ気味である。いまからほかのネタを探す気力もなければ、気分をリセットして、Act.7を観なおして、実写版レビューに戻る精神的余裕もない。ダレダレで申しわけありませんが、手みじかに『僕は妹に恋をする』を紹介して、小松彩夏様のお誕生日祝いに換えさせていただきます。


この映画は2007年1月20日に全国公開されたが、同時期の2007年2月3日に北川景子主演の『Dear Friends』も公開された。どちらもだいたい同じような客層(たぶん女子高生くらい)を狙った青春もので、しかもどちらも、元セーラー戦士がベッドシーン(的な場面)を演じるらしい、というので、当時の実写版ファンの間では、マーズVSヴィーナス対決の再来と、たいへんな話題になった(私の言うことをあまり真に受けないで下さい)。

しかしどちらの作品も(PTA的な観点からすれば)十代が観るには少々刺激的な内容なので、レーティングがどうなるか注目されていた。結果『Dear Friends』の方は、黄川田君と北川さんのネッキングとか、けっこうエロい表現もあったのにお咎めなしで、『僕は妹に恋をする』はPG-12(12歳までは両親の同伴が望ましい)であった。それで我々は「やっぱり映倫の中の人も、北川さんより小松さんの方がエロいと思ったのかなあ。決定的な違いは胸の大きさか」なんてくだらない話をしていた。
……いやそんな話題で盛り上がっていたのはこのブログだけだったかも知れないが、ともかく当時は私も「どっちもあまり差はないのにね」などと思っていた。でも、あらためて考えると、やはり『僕は妹に恋をする』の方が、エロティックな描写うんぬんよりも、近親相姦というテーマの本質的なヤバさでひっかかったのかな、とも思う。タイトル通り、この映画は兄妹の恋愛を扱っている。それもあだち充の漫画のように「実は血がつながっていない」というような逃げ道はない。ガチで、きっちり血のつながった双生児の兄妹のストレートな恋愛物語を正面から描いている。
オープニングは、幼い頃、草原の二人。ロケ地は静岡の朝霧高原だそうです。「郁は僕のお嫁さんだよ」

この少女は大森絢音。後に『太陽と海の教室』第3話で山本サソード裕典の妹として出演、北川景子と共演をはたすことになる。

ぜんぜん関係ないが、私が『太陽と海の教室』でいちばん好きな北川景子の顔は、第3話のラストシーンの笑顔です。

さて、そんなふうに幼い頃、結婚の約束を交わした二人だけれども、やがてその感情が許されないものであることを知る。
そして成長するにつれ、お互いの気持ちを胸の内にしまうようになる。特に聡明な兄の頼(松本潤)は、対称的にあまり成績の良くない双子の妹、郁(榮倉奈々)に対して、何かにつけて冷淡な態度をとる。だけどこっそり妹を盗み見る視線はものすごく愛おしそうなのである。

そんな危うい均衡は、高校3年のある日、兄の親友の矢野(平岡祐太)が郁に交際を申し込んだときに崩れる。

最初は「お前の好きにすればいい」と妹の相談にのらなかった頼だが、隠し続けていた感情を抑えきることはできなかった。思春期まっ直中だもんなあ。しかも母親(浅野ゆう子)一人で家計をきりもりしている経済的事情もあって、年頃の男女なのに、ひとつ部屋で一緒に寝起きする暮らしである。お互い好き合っていたら、これはたまんないよ。とうとうマツジュンの方から告白して、二段ベッドの下の段で身体の関係を持ってしまう。

こうなっちゃうと、まだ若いお二人ですから、なかなか抑えることは難しいよね。放課後の理科教室でキスしたり、真夜中に家を抜け出してタンデムでサイクリングを楽しんだり、甘美な逢瀬を重ねる。いや逢瀬って、そもそも日常的に同じ部屋に寝泊まりしているんだけど、母親がちょっと、二人の間をうたがっている風もあって、そうあけすけに自宅の部屋でいちゃいちゃできないのである。
このあたりがなかなかエロティックで、PG-12指定を受けた由来かな、とも思う。ただこれは国映の成人映画ではないし、主演の松本潤や榮倉奈々はアイドルである。だからもちろん直接的な描写はない。直接的な性描写はないのに、なんかこう作品全体に、そこはかとなくエロい空気が漂っている。

なんて私が書くと、たんなるじじいの下世話な興味にしか見えないだろうが、これは重要な要素だと思う。
青木琴美による原作漫画『僕は妹に恋をする』は『少女コミック』連載作品である。『少女コミック』といえば、一時期、少女漫画界のレディースコミック誌ともよばれたアレだ(笑)。性表現がエスカレートして、地方自治体や教育関係諸機関から「有害図書」「子供に読ませたくない雑誌」に選ばれたあの雑誌である。この原作にも、なかなかに濃い性描写が散見される。過激と呼ぶかどうかは人それぞれだが、普通の少女漫画のラブシーンがアメリカンだとすると、トルココーヒーぐらいには濃い。
でもその濃さは「双子の兄と妹の、肉体関係も含めた恋愛」という作品のテーマからして必要なレベルだと思う。これはプラトニック・ラブの話でも、少年漫画的なシスター・コンプレックスだけで終わる話でもないのだ。そういう物語が単行本(全10巻)累計600万部を売っている事実もすごいが、まあ携帯小説が馬鹿売れするよりはまっとうである。いやそんなことはともかく、つまり少女漫画らしいファンタジーとリアルな十代の性が、微妙なさじ加減でブレンドされているところが、この作品の眼目だ。

そういう意味で、松本潤主演という配役は、よくぞ考えついたと思うよ。原作者もおおいに納得したというが、確かに大正解だ。何しろジャニーズで嵐であるから、これはもう少女漫画の映画化にふさわしい王子様だ。しかもこの王子様は(ファンには叱られそうだが)妙にエロい。『きみはペット』のドラマ版を私は観ていないが、歳上の女性にペットとして飼われるのが松本潤と聞いて、妙に納得したことを憶えている。理由はよく分からないが、マツジュンは、別に脱いだりしなくても、ジュンとエロいフェロモンがにじみ出てくるような気がする(何だそれは)。なんかキスシーンも多いしさ。そういう、いろいろと妄想のふくらむ人なのだ。違いますか。

それからヒロインの郁を演じた榮倉奈々について、私は多くを知らないが、目がくりんとして可愛くて、背が高くて少しボーッとしている。ってこれもファンに叱られるか。つまり大柄で存在感があるわりに(たとえば上野樹里とは違って)「受け」の芝居をするタイプのように見える。だからこの子の場合、自分で状況を作っていく役よりも、巻き込まれ型のヒロインが似合うのではないでしょうか。この映画の彼女の役柄はまさにそういう感じで、幼い頃から双子の兄を一途に想い続けてきた妹である。兄が冷たい態度を取るので、自分の気持ちを胸に秘めてきていたけれども、兄も自分に同じ思いを抱いていることを知って、まっすぐその胸に飛び込んで、あとは一直線で気持ちにブレがないという、とてもふさわしい役だったと思います。
そしてこの二人の恋路を邪魔する敵役が平岡祐太と小松彩夏です。

平岡祐太の矢野は一番よかった。郁(榮倉奈々)に告白して最初に状況を動かすと同時に、頼(松本潤)の親友として、妹と恋愛しちゃうなんて「そりゃダメでしょ」と忠告する。まあ当然である。でもその一方で「逃げるなよ、お前が揺れたらおしまいだぜ。自分の気持ちにウソつくなよ」とアドバイスもする。止めようとしているのか応援しているのか、どっちなんだか。途中から彼自身、実は榮倉奈々よりもマツジュンが好きで、だから二人の関係に介入したがるんじゃないかという、なにやらホモセクシュアル的ニュアンスまで加わり、見る者を惑乱します。

一方、小松彩夏が演じる楠木友華は、郁(榮倉奈々)の元クラスメートで、頼(松本潤)を一途に愛している。こういうのは彼女にとって、映画女優としての代表作『恋文日和』(2004年)で演じたのと同系統の、最も得意とする役どころで、それだけに好演でした。
主人公カップルに嫉妬して、二人の仲を裂こうとするのは、普通の恋愛ドラマなら悪役以外の何者でもない。実際、原作漫画の友華はかなりの鬼畜ぶりも発揮するキャラクターである。でもこの映画版ではそれほど非道なこともしなくて、けっこう内に向かって屈折している。だいたいね、自分が恋した相手に、すでに彼氏か彼女がいて、でもそれはその人と血のつながった兄もしくは妹だった、なんて知ったら、みなさんどうですか?普通は「そ、それって異常過ぎない?」とドン引きして、恋心も冷めてしまうと思うんですけどね。
ところが小松彩夏の友華は、もともと妹を見つめる兄の目に普通じゃない熱情を感じ取っていたし、二人が結ばれた直後、放課後の理科室で抱き合いキスするのを盗み見してもいる。どうやらこの兄姉がお互いに禁じられた感情を秘めていたことは先刻ご承知の様子で、頼(松本潤)の気持ちが決して郁(榮倉奈々)から動かないことも分かっているのだ。それでも、二人の仲をバラされたくなかったら自分と付き合え、とマツジュンに迫るのであるから、これはそうとう歪んだ性格だよ。

頼「付き合う?……好きじゃないけど、それでもよければ、付き合おう。……オレって最低だろ」
友華「いいよ……いいよ、好きじゃなくても。その代わり、好きじゃない間ずっと付き合って……キスして。あたし、頼の困った顔も好きだよ」


かなり屈折した、エキセントリックな性格であることは間違いない。そういう友華のキャラクターと、小松彩夏の、普通の演技だったらマイナスにしか働かない要素が、ここではぴたりとハマっている。声質はとっても魅力的なんだけど、妙に不安定で聞いていてあぶなっかしい歌とか、いったい台本ではどこに句読点が打ってあるのか確かめたくなるような、奇妙な区切り方のセリフ回しとかね。それが観ていて、けっこう快感なのである。
あと双子の母親役として浅野ゆう子が出てくるが、大人たちはあくまで遠景であり、基本的にこの映画は、松本潤・榮倉奈々・平岡祐太・小松彩夏の四人だけで進んで行く。舞台はだいたい学校。それも授業風景は、最初の方に英語の授業風景が出てくるくらいで、後は体育館の用具置き場とか、放課後の教室とか、校舎の屋上とか、なんかやっぱりアダルトビデオの女教師ものの舞台に使われそうな淫靡な雰囲気の場所ばっかり。

ラスト、二人は冒頭に出てきた幼い頃の想い出の土地、朝霧高原を訪ねる。そして、初めからこれといった出口の見つかりそうになかった話は、これといった出口が見つからないまま終わる。
誉めているのかなんだか分からないレビューになってしまったけれども、私はわりとこういう薄暗くて地味な青春映画って好きだなあ。もちろん「音楽が単調すぎる」(テーマ曲1曲しかないんじゃないか?)とか「小松彩夏と並んだ榮倉奈々がでかすぎる」(こういう場合、背の高い榮倉奈々の方をわざわざ画面手前に配置するのはいかがなものか?)とか、多少気になる点はないでもない。

でも、動きの少ない長回しのカットは(私が目にした幾つかのレビューで言われていたほど)退屈なものには思えなかった。むしろこの映画の基調となる停滞感をよく伝えていたのではなかろうか。
そして松本潤に振られた後、ぽつんと取り残された孤独感を、あの独特の囁くような歌声と背中で表現した小松彩夏を観ていると、結構この人の女優としてのスケールが感じられると思う。まだご覧になっていない方は、一度どうぞ。

なにしろ私はATG映画育ちだからさ(笑)こういうたぐいの映画を観ていると、小松彩夏が21世紀の森下愛子に見えてくるわけだ。
じゃ今回はこのくらいで。マジで今回はスランプだ。

 

作品データ】『僕は妹に恋をする』製作:「僕妹」フィルムパートナーズ(東芝エンタテインメント、小学館、日本テレビ放送網、ジェイ・ストーム、ズームエンタープライズ)/製作プロダクション:ズームエンタープライズ/製作協力:ブロッコリ/配給:東芝エンタテインメント/2007年1月22日公開/122分

 

<スタッフ>企画:泉英次/エグゼクティブ・ブロデューサー:鈴木良宜/製作:亀井修、奥田誠治、藤島ジュリーK./プロデューサー:尾西要一郎/アソシエイト・プロデューサー:畑中正美、神蔵克、原藤一輝/ライン・プロデューサー:池原健/原作:青木琴美(小学館「少女コミック」)/脚本:安藤尋、袮寝彩木/音楽:大友良英/エンディング・テーマ:クリスタル・ケイ「きっと永遠に」/挿入曲(小松彩夏が歌っている曲):Cocco「ひこうきぐも」/撮影助手:赤池登志貴/撮影効果:鈴木陽祐/撮影:鈴木一博/照明:上妻敏厚/録音:横溝正俊/美術:松本知恵/編集:冨田伸子/スクリプター:水口裕子/キャスティング:狩野善則/助監督:久保朝洋/製作担当:安田憲邦/監督助手:井上雄介、土岐洋介/監督:安藤尋

 

<キャスト>結城頼:松本潤/結城郁:榮倉奈々/矢野立芳:平岡祐太/楠友華:小松彩夏/結城咲:浅野ゆう子/結城頼(子役):石井柾圭/結城郁(子役):大森絢音/岡本奈月/工藤あさぎ/渡辺真起子/諏訪太郎/真柳美苗/工藤あかり/鈴木颯人/小西結子/秋山綾香/萩原彩/放映プロジェクト