実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第263回】DVD第2巻:Act. 7の巻(月とSM女王の番外編)


本格的に暑くなって来ましたね。私なんか、もう夏バテ気味です。

夏と言えば、やっぱり「マックフル−リー」!


と言いたいところだが、私は「ジョッキ生」の方が…


さて『月の恋人』だが、第7話は「おでこ」もちょっとあったけど、メインテーマは「頭巾」

おさげがかわいらしいですね。
で、次回が早くも最終回だそうです。予告を見る限り、北川さんは「おでこ」仕様で、ラストにふさわしく伝家の宝刀「泣き芸」をも披露してくれるようだ。
最後までばんがれ!

1. 「THE MOON」あるいは「デジタル家電の変革期」


さて今回は、前回のコメント欄で話題になった例の件から行きます。

ヴィーナスから「危険なのよ、彼は敵だと思いなさい」と忠告され、ルナからも「タキシード仮面のことを好きになったりしてないわよね」と釘をさされて、悩ましげに布団をかぶる。でもすぐ眠れそうにもないね、というシーン。夜空には曇りなく月が見えるが、小さなジェット機の影がよぎっていく。
この「ジェット機の影」が、初めて恋の悩みらしきものに触れたうさぎの心象を表現している、というのは、黒猫亭さんのおっしゃる通りだろう。ただ、私は当初、これはたまたまジェット機の影が映り込んだ月の映像があって、それを使ったと想像していたわけです。
実写版セーラームーンは、オープニングの主題歌の終わりのところで、いくつかの月の映像が次々に流れるし、スタッフも、セーラームーンなんだからどうせ月の映像はいろいろ必要になるだろうと、田崎監督の指示で、番組が始まる段階でそれなりに撮りだめしておいたに違いない。そしてその中に、小さく飛行機の影が移り込んだショットがあって、おもしろいから使う機会を狙っていたら、台本に、うさぎがちょっと悩ましい表情で布団にくるまる場面が出てきたので、わりとマッチングがいいんじゃないかとその映像を使ってみた。まあ、だいたいそんな経緯を想像していたのだ。
でもコメント欄を見る限り、あれが偶然に撮れた映像の流用だと思ったのは私ぐらいで、大方は飛行機の影はCG合成だと思われていたらしい。さらにStreamKatoさんは、合成である証拠として、この月の映像は、Act.3のものと同じであるという資料を示してくださいました。
Act.3で、夜の街を疾走するセーラーVがビルの谷間をひとっ飛び、それを追いかけるルナという画がありましたよね。さすがの私も、これは合成だと思う(当たり前だよ)。特にセーラーV。こんなにのけぞりながらジャンプするのは大変だもんな(そこかよ)。

で、StreamKatoさんが、このAct.3の月と、今回のAct.7月を同じ大きさにして並べた比較図を作ってくれました。こういう感じ。(補記:別にリサイズはしなかったそうです。つまり、そのままの状態で同じ大きさだったということだ。)
確かに欠け具合と表面の模様は一緒である。明度や彩度をいじって色合いを変えて、別物のように見せたっていうことですね。なるほど。いろいろ画像を加工してくださって、ありがとうございました。
私だって別に固執しているわけではないので、ここまできっちり論証していただければ、合成であると認めるにやぶさかではないのですが、しかし合成なら合成で、それこそセーラーVの「のけぞりジャンプ」みたいに、もうちょっとハッキリ「飛行機ですよ」という大きさにすればいいのにね。こんなちっちゃい影では、せっかく手間をかけても気づかない人だっていると思うよ。ていうか、もし「ゴーッ」というジェットエンジンのSEがかぶせてなかったら、ほとんどの方が気づかれなかったんじゃないだろうか。
と、私が文句をぶつぶつ言ったら、これについて黒猫亭さんがフォローしてくださった。いわく、この段階ではうさぎもまだ、本格的に恋愛に苦しんだり悩んだりしているわけでもなくて、心にわずかなさざ波が走った程度なのだから、表現のバランスとしてはこの程度の大きさで良いだろう。よしんば視聴者が見逃したところで、とくにドラマの理解に差し障りがあるわけでもないしね。さらに加えれば、当時はちょうど大画面テレビが普及したころだったし、画面設計をいろいろと実験してみる意味合いもあったろう。だいたいそんなことであった。なるほどね。
実写版の放送が始まった2003年は、薄型テレビ(液晶・プラズマ)の出荷台数が初めてブラウン管テレビを上回った年である。また、実写版が終わった翌年の2005年の『魔法戦隊マジレンジャー』『仮面ライダー響鬼』を最後に、東映はテープ(VHS)でのリリースを終了しており、以降はセルもレンタルもディスク(DVD)のみになっている。そして翌2006年の『轟轟戦隊ボウケンジャー』から、スーパー戦隊もライダー同様、画面縦横比16:9のハイビジョン放送になった。
実写版セーラームーンの画面比は4:3だったし、ソフトはVHSとDVD両方がリリースされていたけれども、このスタイルがあと数年も経てば古びたものになることは、たぶん関わった誰もが認識していたはずだ。だからスタッフは従来型のフォーマットによりつつ、近い将来、解像度の高い大画面ワイド液晶テレビで再鑑賞されることをも想定しながら、画面設計を試行錯誤していたのかも知れないね。

2. 屈折する水星の上昇と下降、そして演出論的アプローチ


もうひとつ、黒猫亭さんの指摘で思い当たったことがある。
うさぎの心を月に見立て、そこに小さな飛行機の影をよぎらせて彼女の心理状態を表現する、なんてのは、心象表現としてかなりベタというか、教科書的な方法である。でもここで田崎監督は、あえてベタなやり方で、このドラマにおける心理描写のタッチとはこういうものだと、他の監督たちに伝えようとしたのではないだろうか。だいたいそんなご意見だった。つまりパイロット監督として、一種のお手本を示したというわけだ。
私は、なるほどな、と思った。実はそういう意味のことを、田崎監督自身が言っているのを読んだ記憶があるからだ。

実写版セーラームーンの後、田崎竜太が総監督、白倉伸一郎プロデューサーとなって、二人で組んで制作したドラマに『Sh15uya』(シブヤフィフティーン)がある。これは、もともとは田崎監督が東映の外で撮る予定だったが、諸般の事情で頓挫してしまった企画を、彼の才能を買っている白倉プロデューサーが引き取って実現させた作品である。全12話が2005年の1月から3月にかけて、毎週月曜の午前3時過ぎから放映された。すごいね。何かほとんど「観られるもんなら観てみやがれ」と言わんばかりの時間帯である。
そのあたりは実写版セーラームーンとだいぶ違うが、後は、スタッフ的にも、キャスト的にも、「スーパー戦隊でもライダーでもない東映特撮シリーズ」「15歳を主人公にした青春もの」というスタンスの独自性においても、実写版と何かしら通じあう部分があるように感じる。それにエンディングテーマ曲を小枝が歌っているしね。

で、その『Sh15uya』(しつこいようだがこれで「シブヤフィフティーン」と読む)のDVD第1巻に「総監督・田崎竜太の世界」と題する14ページのブックレットが入っていて、これがなかなか、読みごたえがある。テレビ小僧でアマチュアの映画ファンだった田崎監督がどうやってこの世界に入り、現在にいたったのか、というバイオグラフィ的な田崎竜太読本だ。ひょっとして特撮の好きな人の間では有名なのかも知れないが、私はまったく知らなかったので、その内容にいちいち驚かされた。田崎さんが中学受験で早稲田実業に進学したとか(いやそれはまあ別にいいんだが)中3の時、生徒会の役員になったら、その時の高等部の生徒会長が高寺成紀で、この出会いが特撮番組への道へ彼を導いたとかね。そして、東映入りした高寺プロデューサーの紹介で、大学時代にはもう『仮面ライダーBLACK』(1987年〜1988年)のサード助監督として演出家への道を踏み出したんだそうです。
その後は、見聞を広げ、経験を積むために特撮番組を離れ、Vシネ方面に行ったり、仮面ライダーと同じ石ノ森章太郎原作のテレビドラマ『HOTEL』第2シーズン(1992年)のチーフ助監督を努めていた時期もあったという。才能ゆたかな人なので、本人の身の振り方によっては、そのままゴールデンの一般ドラマのディレクターへ、という道もあり得たかと思う。
ところがその後、再びスーパー戦隊ものの世界に戻って、やがて高寺プロデューサーの『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)で監督デビューする。子供番組の世界に戻ったのは古巣から協力の依頼が来たため、と述べられているが、実際の理由はもうちょっと違うところにあったようだ。たとえばインタビューの中に出てきた次のような言葉に、私は本音を感じる。

「大人番組のチーフ(助監督)で、一番嫌だったのがスケジュール調整。人気出演者はNGだらけなわけ。例えば3人で話す場面。ひとりは撮影に来られない。で、いかに成立させるのか。監督に非常な無茶を強いなきゃいけない。それは作品作りとしてはどうなのか」
「子ども番組に戻ったら、主役の子達はいつも番組最優先。監督の希望通り撮影できる。チーフとしては本来こうあるべきなんじゃないかと思った」
(『Sh15uya』DVD第1巻付録ブックレット「総監督・田崎竜太の世界」より)

そうだよね。そういう状況はどうしても作品の空気に反映する。我々が、スタッフもキャストも予算も一流のはずのゴールデンのドラマよりも、しばしば深夜ドラマや特撮ドラマの方に入れ込んでしまう理由も、そのへんにある。
という話は余談であった。このブックレットの最後の方に、(当時の)近作である実写版セーラームーンについても、かなり詳しい記述がある。資料として重要だと思うので、以下に関連部分を全文、写しておきます。


 田崎は『劇場版 仮面ライダー555』の後、白倉プロデューサーが新たに担当することになった『美少女戦士セーラームーン』の第1話第2話を演出する。
「『仮面ライダー』ももちろんいろんな点で挑戦したけど、『セーラームーン』は自分的に挑戦度が高い。自分として慣れ親しんだジャンルではないので」
 田崎は、『セーラームーン』という作品を《自分の中にあまり無かった部分》として捉え、《得意な世界》じゃなくても、プロの監督として対応できるのか、という挑戦をすることになる。

第2話《マーキュリー誕生篇》で、水の戦士マーキュリーが覚醒する時、落下しながらセーラー戦士になってゆく、と脚本に書かれていた。それを手がかりに、覚醒する以前、孤独な亜美(マーキュリー)は、孤独感が募るほど、上へ向かってゆく、という演出設計をした。エスカレーターで上がってゆく、とか、屋上に行く、とか。最後は覚醒し、落ちてゆく。
 「こう設計できた時、自分で納得がいった。」ある意味《演出論》的アプローチで良いのではないか。「大学での映画の勉強が、ちょっと役に立ったのかもしれない」と田崎は思った。
 『セーラームーン』を演出して、「まだまだやれることがあるんだな、と気づかされた」と田崎は言う。「《子ども番組》という《レッテル》の陰には、実はいろんな可能性がある。《レッテル》に騙されないで、やらなきゃいけない。お客さんに“騙されないでね”って言う以前に、自分が騙されていることもある。自分で勝手に《境界線》を作ってしまう。その《境界線》を、上手く、モヤモヤッと馴染ませて、すこーし浸食してゆくような、そんなことができたらなぁ、と」
(『Sh15uya』DVD第1巻付録ブックレット「総監督・田崎竜太の世界」より)

優等生で常に成績トップをキープして、でもそれゆえに孤独だった亜美が、うさぎと出会い、心を通わせる。そのプロセスを、登りのエスカレーターに乗って、屋上で一人で弁当を食べていた亜美が「落ちる」という描写で表現する。それはある意味、理屈をそのまま画にしたような、非常に教科書的な演出プランだ。でも、むしろ教科書的なやり方で、作品の基本的なタッチを固めることこそ、実写版セーラームーンのように少々類例のないタイプの作品のパイロット監督として、やっておくべきことではなかろうか。田崎竜太はそう言いたいのだと思う。
そして、このAct.2を手本に舞原健三がAct.5を撮り、やがてシリーズの実質的なメイン監督となっていった経緯を考えれば、この田崎監督の考えの正しさは、誰の目にも明らかだ。
話を戻して、だからAct.7の「月をよぎるジェット機の影」のカットも、同じような意味で、この作品の心理描写の基本的なタッチを、パイロット監督として伝えたものなのだろうなあと、黒猫亭さんの書き込みを読んで、思ったわけです。いや長い話になってすまぬ。

3. ひざまづいて足をお舐め


というわけで、今回はまだ本編に入っていない。それどころか、前回お約束した「うさぎちゃんパジャマ祭り」にすら入っていないのだが、ひさびさに真面目な文章を書いたら(そうか?)疲れてしまったので、最後にひとつ、心なごむネタを披露して、それで終わりにさせていただきます。
さっき触れた『Sh15uya』(2005年)と書いて「シブヤフィフティーン」と読ませるドラマ、とにかく制作がセーラームーンの翌年だけあって、エンディングテーマを歌っている小枝をはじめ、共通するスタッフ、キャストが多い。Act.10ゲストのニセタキシード仮面の弓削ちゃんなんて、こっちではかなり重要な役回りのレギュラーで出ている。
しかし、そんななかでも特筆すべきは、現在はラウド系ハードロックバンドLAST REUNIONのヴォーカル「yst」(と書いてヨシトと読む)として活躍中のゾイサイト(遠藤嘉人)のゲスト出演である。

この人はゾイサイト以外は役者としての出演自体が少ないので、けっこう貴重ですね。
登場するのは第8話。なんと「ニュー道玄坂劇場」というストリップ劇場の看板を首からさげているサンドイッチマンである。ハードSMクイーンが来場されるそうだ。それは誰だ?
バトルスーツ(造形:竹田団吾)に身を包んだ戦闘美少女エマ(新垣結衣)にちょっかいをかける遠藤。
北川景子もビッグになったが、この新垣結衣もビッグになったよなあ。なのに……いや、やめておこう。
まあ突っ張ってはみても、しょせんは顔色の悪いゾイサイトである。新垣結衣のキック一発で路上にぶっ倒される。そのとき、ゾイサイトが首にかけている看板の全貌が明らかに!
問題はいちばん左側のお名前ですね。
なんとSMクイーンの名は「別里瑠」さまだった!
ワーオ!
別里瑠さまのSMショーが4, 500円(学割あり)で鑑賞できる。しかもゾイサイトつきで!


ベリル「わらわを愚弄しおって!」
ゾイサイト「ううっ!」
(Act.32)



失礼しました。少々取り乱しました。最後はエンドタイトルです。遠藤君の正しい役名は「サンドイッチマン」ではなく「サンドイッチマン風」だそうだ。

それにしても(友情出演)って、誰との友情だよ。う〜ん、私の想像では、きっとこの人との「男の友情」だ。
いい話ですね。最後の画像は実写版Act.44(監督:鈴村展弘)より。
そういうことで、また次回。次回はまず、うさぎちゃんパジャマ画像集ということで。
運が良ければ加藤夏希のコスプレ緊縛画像も登場します。(何のブログだよここは…)



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