実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第243回】筆談ホステス本論の巻(第一部完結編)

1. 花盛りの「実写版」


『あしたのジョー』生誕40周年記念、山下智久主演で劇場版実写映画化というのは本当みたいだね。
以前、私は『宇宙戦艦ヤマト』実写化をハナから信じていなかったら、本当に実現するみたいなので、今回は疑わずに信じることにしたい。文句も言わない。ただTBSが出資するらしいので、亀の三兄弟だけは出さないでくださいとお願いするほかない。

(左)『あしたのジョー』より、矢吹丈 /(右)『ブザー・ビート』より、山P
(左)『あしたのジョー』より、白木葉子 /(右)『太陽と海の教室』より、北川さん
(左)『あしたのジョー』より、林紀子 /(右)ネットのどっかから拾ってきた、沢井さん

いや、これ別に意味はないです。山下さん以外のキャストはまだ一切流出していませんから、みなさん勘違いしないでね。ただの個人的な願望です。そういえば山Pって昔『あしたのJ』という番組に出ていたね『J』とはこの場合ジャニーズ事務所を意味する。
で『宇宙戦艦ヤマト』の方だが、すでにみなさん、沢井美優さんのブログ「MY HEART」の告知で先刻ご承知であろう。

2010年12月1日公開「Space Battleship ヤマト」ヤマト乗組員 技術班 東田 役

おめでとう。で私は、これを読んで次のような画像をキャプチャしたんだが、なかなか出す機会がなかったので、今回ついでに紹介しておく。

1980年の劇場版3作目『ヤマトよ永遠に』より、ヤマト乗組員の東田。ヤマトのベテランメカニック真田に鍛えられた新人として、この作品で初めてヤマトに乗り込み、1983年の『宇宙戦艦ヤマト・完結編』までシリーズ後期のレギュラーをつとめる……はずだった。
いや、確かにちゃんとヤマトに乗ってはいるようだ。しかしこの人、当時アニメ雑誌などで公開された初期設定資料のなかでこそ「東田(工作班・中央コンピューター室要員)」と一人前に紹介されているが、完成された作品ではセリフも無ければ名前すら呼んでもらえず、単独でアップになるカットがわずかこれ一回という、完全に「その他大勢」扱いである(あとは『完結編』にチラっと登場)。
大丈夫か東田?いや沢井美優。やっぱりセリフのないチョイ役ですか。こうなったら小松彩夏をしのぐ、日本一の「私を見つけて女優」の座を目指せ(なんかもうやけくそだな)。
というわけでマクラはこのくらいにして、本編です。

2. ママの辛い過去


クラブ「ダイアナ」の店内に貼ってあった「ホステス募集中・経験不問」のチラシを見るなり、杏子ママに「耳が聞こえないとできないんですか?」と詰めよる里恵。

その一途さがちょっと唐突に感じられることは前回も書いた。しかしまあ、あえて(このドラマの)里恵の心情をはかれば、このとき彼女は、すでに接客業が自分の天職であることに気づいていたわけだ。「JackPot」が楽しかったのは、もちろん服を選んだりコーディネイトするのが好きだから、ということもあるけれど、何よりも自分に「お客さんを満足させる」才能があり、そのことを気づかせてくれたのがあのお店だったからだ。
そういうふうに自分で自分が分かっていたから、ホステス募集のチラシを見るなり、これぞ私の生きる道とばかりに、まっすぐ突入していった。そう考えるべきなんでしょうね。
確かにホステスこそ究極の接客業であろう。私はクラブへ行ったことなんて数えるほどしかないし、まして自分で払ったことなど一度もないので、クラブで一晩遊ぶとどのくらいのお金がかかるのかさっぱり分からない。でもその料金のほとんどは、飲食代ではないはずだ。ホステスって、芸者のように三味線とか歌とか、何か芸を見せてくれるわけでもない(と思う)。まあ北川さんぐらいの人が隣にいたら、鑑賞しているだけでお金を払ってもいいようなものだけど、ただの美人ではホステスはつとまらない(と思う)。あれは純粋に「おもてなし」を売る職業なんだろうね。純粋接客業。

というわけで、順調にホステス街道を歩み始める里恵。でも、彼女が洋服屋の店員をやっていた時さえ浮かない顔だったお母さんは、もちろん嬉しいわけがない。事実を認めたくないのか、娘が水商売をやっているのを知りつつ、見てみぬ振りをしていた母親だが、ある晩、里恵がだいぶ酔った様子で帰って来て、ふらつく足どりで階段を上がるのを見て、とうとう怒りが爆発する。里恵の部屋にずかずか入っていって、クローゼットのハンガーから、豪奢なドレスを剥ぎ取り、汚らわしそうに投げ出す母と、怒って激しく抵抗する里恵。


母「酔ってるのね。今までお母さんが気づかないとでも思っていた?(母が里恵のバッグをさぐると、中から真っ赤なワンピース)こんな仕事、今すぐやめなさい。分からないの里恵、やめなさい、やめなさいよ!」
 (遮ろうとする里恵を押しのけてクローゼットを開く母。ハンガーにかかったドレスを、次々に床に投げ捨てる)
母「やめなさいよ。こんなもの着て、お酒なんか飲んで、男の人のご機嫌とって、やめなさいよ」
兄「なにやってるんだよ」
母「悟志は黙ってて!」
兄「やめろって、何時だと思ってるんだよ、二人とも…」
 (抵抗する里恵に、思わず手を挙げる母)

私はお母さんが「こんなもの着て、男の人のご機嫌とって」なんていう場面で、ふと「やさしい悪魔」の網タイツを思い出してしまった。「やめなさいよ。お母さんも昔、男の人に媚びた格好をして、その画像が今でもネットに出まわって恥ずかしい思いをしているのよ!」なんてね。

余計なお世話だね。ともかく、お兄ちゃんの仲裁もむなしく、勢い余って娘の頬を思い切り叩いてしまう母。

父「勝手にママを不幸にするな……お前に何が分かる!」

あっ、またわざとらしく間違えちゃいましたね。訂正します。

母「ホステスだけはやめなさい。ホステスなんて…仕事じゃないのよ!」

ぶたれたときの表情の作り方に、マジメ女優北川景子の5年間の成長をお認めいただきたい、ということはさて措き、ともかくここでのお母さん、たいへんな剣幕である。
前々回のコメント欄で、M14さんが「結局このお母さんは娘に何になって欲しかったんだろう」というような疑問を書かれていた。これは台本と演出の責任だろう。時間の都合で無理だったのかも知れないが、たとえば「洋服屋で活き活き働く娘の姿を見て嬉しそうなお母さん」とか、あるいは「書道教室の前を通りすがりに、子どもたちを指導している若い先生と娘の姿を重ねて、うちの子もこういう仕事に就いてくれないものかしら、と想いにふけるお母さん」という描写が前半にあればよかったのだ。そうすればこの場面でも「なのにこの子、よりによってホステスなんかになって」というショックが、もっときちんと伝わったと思う。
でも、そういうの抜きで、いきなり「ホステスだけはやめなさい!」なんて逆上されると、「ホステスだけは、って何か水商売に特別な悪印象があるのかなあ」と邪推してしまうわけだ。実はパパが家にあまり居ないのは、外にホステスを囲っているせいだ、とか、実はママは昔、生活が苦しかった頃、網タイツ姿で場末の酒場をどさ回りして「やさしい悪魔」とか歌っていた過去があって、娘がホステスなんかするとその頃の辛い記憶がよみがえる、とか。

しつこいね、私も。

3. ママVSママ


そんなわけで、ケンカのいきおいで家を飛び出してしまった里恵。辿り着いたのは火川神社だ。

レ イ「家、飛び出してきたの?親とケンカ?」
うさぎ「なんで分かるの、霊感?」
レ イ「まさか、まあ、経験ってとこよ
      ……行くとこないんなら、神社の仕事、手伝う?」
うさぎ「え……いいの⁉」

はい、もちろん違いますね。今回は北川さんは家出した側で、受け入れる側ではないです。ごめんなさいね。
高校を中退しちゃった里恵に、訪ねる友達の家もない。杏子ママの所くらいしか行く場所なんてない。杏子ママも杏子ママで、夜遅くやって来た里恵を、何も聞かずに温かく迎え入れる。

杏子「そんな所に立っていたら、寒いでしょ。中に入んなさい」

余裕である。まあ、家族には内緒でホステスやっていた店の子が、親バレして家に居られなくなって転がり込むぐらいの状況は、ママとしては経験ずみなのだろうな。でもやっぱり、里恵に対してはちょっと特別な想いを持っていることも、それとなく画面から伝わる。
手塚理美がトレンディドラマで活躍されていた1980年代、私はテレビも持たない下宿生活の大学生だったので、多くのことを知らないのだが、しかしこのドラマの彼女は良いね。ドラマ全体のカナメになって、事務所の後輩をもり立てている。

手塚理美のキャリアも長い。中学1年でユニチカのマスコットガールになったのをきっかけに、ローティーンの頃から芸能界に身を置いていて、20歳になった1981年には、早くも沢渡遡の撮影でヌード写真集を刊行、翌1982年には、篠山紀信撮影でヌード写真集を出すのと並行して、NHK朝の連続テレビ小説『ハイカラさん』のヒロインをつとめている。こんな人、他にいるのだろうか。朝ドラのヒロインとヌード写真集をダブルブッキングしたら、NHKから睨まれたって文句言えないのではないか、とも思うが、でもその後も大河ドラマ『山河燃ゆ』(1984年)に出たり、朝の連ドラ『ふたりっ子』(1996年)でマナカナの母親役をやったりと、別にNHKから干されたふうでもない。このあたりが、やはり彼女やスタッフの人徳というものだ(推定)。

で、21世紀に入ってからは「旬の若手女優の母親役」としてステイタスを確立する。金曜ドラマ『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004年)では綾瀬はるかの母親、映画『笑う大天使』(2006年)で上野樹里の母親、映画『アルゼンチンババア』(2007年)で堀北真希の母親、映画『余命一ヶ月の花嫁』(2009年)では榮倉奈々の母親、ドラマ『ブザー・ビート』(2009年)で北川景子の母親、と錚錚たる顔ぶれだ。北川さんとは『ブザー・ビート』以来2度目ですね。
しかしそういうことを言うならば、田中好子だって負けてはいない。っていうのもおかしな言い方であるが、むしろスーちゃんは「元アイドルから母親役に」という道を開拓したパイオニアの一人であり、母親役としてのキャリアは手塚さんより早くからスタートさせている。『家なき子』(1994年)では安達祐実の母親、『神様、もう少しだけ』(1998年)で深田恭子の母親、『ちゅらさん』(2001年)では国仲涼子の母親、映画『インストール』(2004年)では上戸彩の母親、リメイク版『赤い疑惑』(2005年)で石原さとみの(血のつながらない)母親、そしてこの『筆談ホステス』で北川景子の母親ということで、手塚理美と田中好子、二人の母親がタッグを組むと、いま第一線で活躍中のアイドル女優がかなり網羅できてしまうことになる。ここにぜんぶ名前を挙げてしまったので、今回のこのブログは無駄にアクセス数が増えそうだなあ。
話を戻して、その手塚理美演じる杏子ママから「当分ここに居ればいいじゃない」と温かい言葉をかけてもらい、ひとまず落ち着いた里恵は、ふと部屋に飾られた写真に気づく。夢のようにきらびやかなネオンを背景に微笑んでいる若くあでやかな女性。それはかつて、銀座で働いていたころのママの写真だった。ここで、ホステスになったばかりの東北の少女は、銀座という場所が「ホステスにとって夢の舞台。日本一の場所」であることを知るのである。


いやあ今回は、せめて北川さんが上京するまでは話を進めるつもりだったんだが、大人の女性二人に惑わされて、また力つきてしまった。とりあえずこれで第1部完結ということにして、次回は「筆談ホステス第2部:銀座編プロローグ」ってことで。
正直言って、実写版セーラームーンほど作り込んであるドラマでもないので、もういいかげん飽きているんだこれ。北川さん主演のドラマや映画は他にもいろいろあるしさ。でも乗りかかった船だ。なんとか完結させます。ではまた。