映画『Dear Friends』(2007年)より、どんな髪形でも似合う北川景子さん。
女優の北川景子が、2018年に『第159回直木三十五賞』を受賞し、映画化が決まった島本理生氏の小説『ファーストラヴ』で主演を務めることが、発表になった。北川は同作で演じる真壁由紀にあわせ、『美少女戦士セーラームーン』(03年)のデビュー以来、初めてのショートヘアに。
自らの発案で髪の毛を30センチ以上カットし、美容室でも自ら最初にはさみを入れたという北川は「別人になれた気がします。髪を切ったことで、由紀というキャラクターにちゃんとなれた」と同作に対して並々ならぬ意気込みを見せている。 (「ORICON NEWS」2019年11月7日)
ちょっと前、【第734回】(ここ)のコメント欄で、小松彩夏が今月の戦士会の写真をブログにアップしたのにすぐ削除した、というご報告をいただいて首をかしげていたけど、この報道後にはインスタにアップされて、要するに北川さんのショートヘア情報が解禁される前のフライングだってことがはっきりした。
こういうブログ写真は事務所チェックとかあって、他事務所のタレントさんが一緒の場合はいろいろ確認とかあるんだろうけど、なにせ小松彩夏さんは現在、個人営業だからな。そのへんが甘かったということだろう。何にせよ、おおごとではなくてやれやれ。
それにしても髪の毛を切っただけで芸能ニュースになるのだからすごい。ただアレだね、原作の主人公は「臨床心理士」だったのに、映画版は「公認心理師」っていう変更に、国の意向に対するソンタクのようなものを感じるけどな。なぜ臨床心理士ではダメなのか。
あと監督が堤幸彦だ。これは半信半疑で言うのだが、ひょっとしたら浜辺美波のドラマ『ピュア!』(脚本:蒔田光治/演出:藤原知之)や映画『屍人荘の殺人』(脚本:蒔田光治/演出:木村ひさし)といった、堤幸彦の身内による堤幸彦テイスト全開の作品が(『屍人荘の殺人』はまだ観ていないけど)なぜ本家、堤幸彦の演出ではないのかなと謎だったのだが、ひょっとすると、北川さんの映画の監督をやる話があったので、北川景子主演作品が浜辺美波主演の後というのはちょっと……という、つまり主演女優の「挌」に関する配慮があったりするだろうか?
真偽はともかく、北川景子が今やそのくらいの挌だということは間違いないやね。だから名古屋支部ではそういうふうに理解して喜んでおく。
さてそんなわけで、そろそろ『屍人荘の殺人』のプロモーションも始まっているみたいだし、今回はマスター渋江譲二がゲスト出演した『ピュア!』のレビューでもしようかね。
*今回は(今回も)ミステリドラマの真相・犯人等に関するネタバレを含むレビューです。ご注意ください。
『ピュア! ~一日アイドル署長の事件簿』は、2019年の夏の8月13日から15日の3夜連続で、夜10時からNHK総合で放送されたお盆休みスペシャルドラマである。
浜辺美波が演じる黒薔薇純子(くろばら・じゅんこ)は、すごく可愛いのにあちこち痛すぎて売れないアイドル。出したCDはデビュー曲「黒薔薇ブルース」「黒薔薇音頭」そしてこの2曲を含むベスト盤的性格のファーストアルバムぐらいのようだ。名前はピュアな「純子」だが、性格は「黒薔薇」という名字のとおり真っ黒でトゲだらけ。「売れるための努力」を「ライバルを蹴落とす」こととはき違えている。
いきなりダーツで、SKEのセンターっぽい子の額を射ぬく場面から始まるんだからたまんない。
純 子「(舌打ちして)くそぉ」
純 子「何で こいつが こんなおいしい仕事を!」
純 子「はあ~」
れ な「急なことですが、本日付けで事務所を退社し、引退することにしました」
れ な「人の事が信じられず、もうアイドルを続けることができなくなりました。今まで応援してくださったみんな、本当にごめんなさい」
純 子「おお! 青葉れなが引退。 ヘヘッ。これで目障りな奴がひとり減ったな」
純 子「『レナちゃん 引退なんてどうして? 人が信じられないなんて言わないで』」
純 子「『私はいつでも、レナちゃんの味方だよ!』送信。ヘヘヘ」
純 子「あ?」
みちる「やったー! 前に言ってた連ドラのオーディションに通ったよ!」
純 子「何だと!? 何でお前が!」
純 子「ヘッ……ヘヘヘヘ」
純 子「『本当に本当におめでとう! 絶対応援するからね!』送信」みちる「ありがとう!!!」
純 子「そうだ みちるが言ってた体幹トレーニングマット、私も買ったよ。これってバランス取るの難しいよね!」
みちる「体をうまく使わなきゃ」
純 子「はい~ 頂きやした~!」
純 子「で、こっちの発言を削除してスクショを撮る」
みちる「やったー! 前に言ってた連ドラのオーディションに通ったよ!」純 子「本当に本当におめでとう! 絶対応援するからね!」
みちる「ありがとう!!!」みちる「体をうまく使わなきゃ」
純 子「ヘヘヘヘへ、我ながらこういうことだけは天才だなぁ」
純 子「あとはこれをどうばらまくか……」
阿 部「朝からご機嫌だな」純 子「おおっ! 」
純 子「あはは、いえいえ、笑顔と発声の練習をしてただけですよ」
阿 部「お前、くれぐれも警察からは、犯罪事件だけは起こしてくれるなと言われてる。 分かってるな」
純 子「やるわけないじゃないですか」
マネージャーの阿部(六角精児)もそれなりに彼女を売り込んでいるが、取れる仕事といえば、下町の警察署の一日署長くらい。
純 子「花言葉は いちずな愛!あなただけに愛をささげます」
純 子「黒くあでやかに咲くバラのように!」
純 子「みんなご存知、じゅんピョンこと黒薔薇純子です!」
純 子「一日署長よろしくね! 逮捕しちゃうぞ、バンバン!」
で「防犯まちづくりキャンペーン」のために、街の商店街をご当地キャラとパレード(歩きだけど)をするが、地元民の人気は、見た事のない自称アイドルより、ご当地キャラに集中。たとえば第2話は、栗島警察署の依頼で「栗島ハリ夫さん」と一緒に歩くが、完全に人気を奪われて撃沈する。
純 子「みんなご存知、じゅんピョンこと黒薔薇純子で~す」
純 子「じゅんピョンって呼んでね、じゅんピョンだよ~」
町の人々「かわいい かわいい!」
純 子「は?」
純 子「こんにちは!みんな大好き、じゅんピョンだよ~!」
純 子(なぜだ、ありえない。こんなトゲトゲ野郎に負けるなんて)
そして毎回、殺人事件が起こる。この人を一日警察署長に任命すると、わざわざ防犯キャンペーンの日に凶悪犯罪を連れてきてしまうのだ。たまったものではないが、本人は気にする風ではなく、むしろ一日署長という特権を利用して捜査に首を突っ込む。
そこへ、こちらも毎回さっそうと登場するのが捜査一課の藤堂刑事(東出昌大)。長身にコートを決めた派手なルックスと、本庁からわざわざ来てやった的エリート意識まる出しのイヤミな態度、そしておのれの捜査能力に対する過信と三拍子そろっているが、しかし本人が思っているほど有能ではない。
実は不可解な謎の断片を鮮やかに解決する名探偵は、藤堂刑事ではなく黒薔薇純子なのだ。純子が閃くとき、頭に黒い薔薇が咲いて全ての謎が明かされる。
第3話、最終回(2019年8月15日放送、NHK総合、脚本:蒔田光治/照明:坂本心/撮影:足立真仁/演出:藤原知之)。今回純子が行くことになった湾岸署ならぬ臨海警察署は、前の2話に較べると田舎っぽさも薄い。
出迎えてくれた署長の神谷(郭智博)は、キャリア組の若手エリート。未来の警視総監とも警察庁長官とも目される有望株ということだ。
ちなみにパレードの準備をしている会場のロケ地は、羽村市の「生涯学習センターゆとろぎ」。実写版『咲 -Saki- 阿知賀編 epsode of side A』で全国大会会場のロケ地になった場所だ。
今回のパレードの相方キャラクターは、地元の青年団が作ったエリン・ギギギギッチくん。
最終回だけあって、パレードも徒歩ではなくオープンカー。エリン・ギギギギッチくんは顔がでかい。
パレードを終えたところで、エリート署長さんがやってきて、じゅんピョンのSNS用動画を撮ってくれる。
が、スマホを返そうとしたところ、手もとが狂って落として、液晶を割ってしまう。
純 子「あっ、画面が」
神 谷「ああ、申し訳ありません。私の責任です。こちらで修理して お返しします」
純 子「えっ いいんですか?」
神 谷「はい、申し訳ありません。では引き続きよろしくお願いします」
純 子「お願いします」
なんて、全体的にユルユルな雰囲気で進んでいくのだが、そのイベントの最中に、やはり事件は起きてしまう。
被害者は都議会議員の藤井(渋江譲二)。自分の事務所で何者かに撲殺されてしまうのだ。
藤井議員は、以前から都の公共事業に暴力団が関与している疑いを指摘して、徹底的な真相究明を訴えていた。
藤 井「こうした開発工事を通じて、一部の反社会的勢力に、都民の貴重な税金が流れ込んでいるおそれがあります。私たちは、真相を徹底的に究明していかなければいけないと思っています」
ドラマじゃなくて現実の話になるけど、ひと月ちょっと前、オリンピックの選手村建設の下請けをやっている川口の設計会社が、労働力を調達するのに暴力団を使っていた、という記事が出ていたね。
ともかく渋江譲二はそういう糾弾キャンペーンを張っていて、それに対して脅迫状なんかも届いていて、奥さんの千佳子さん(白羽ゆり)はすごく心配していた。そして黒薔薇純子が一日警察署長をやっていたその日、とうとう殺されてしまう。
藤 井「やつら、本気で僕の命を狙おうとしているらしい」千佳子「え?」藤 井「もしかしたら そっちにも何か……あっ!」
ちょうどその頃、黒薔薇純子は午前中のパレードを終えて控室でまったり一休み。そこへ神谷署長がやって来て、初対面のとき渡したCDの感想をわざわざ、しかもこんなに早くに言いに来る。ちなみにCDは全12曲収録。
『黒薔薇 ザ・ベスト』
(帯)彗星のごとく現れた超大型新人アイドル、ファン待望のファーストアルバム!純子と会える!話せる!握手券付き! 大ヒットソング「黒薔薇ブルース」「黒薔薇音頭」収録
(収録曲)1 黒薔薇ブルース2 黒薔薇音頭3 黒薔薇ロック4 黒薔薇サンバ5 黒薔薇ラップ6 黒薔薇メタル7 黒薔薇パンク8 黒薔薇テクノ9 黒薔薇EDM10 黒薔薇唱歌11 黒薔薇ジャズ12 黒薔薇タンゴ
わざわざこんなCDの感想を言いに来るなんて怪しいよね。さらに挙動も怪しい神谷署長。純子と話している間に、タイミング良く渋江君の奥さんから知らせが来て、夫と電話で話していたが、様子がおかしいという。
(ノックの音)
純 子「はい〜! どうぞ」
純 子「あっ。お疲れさまです」神 谷「午前中のイベントはうまくいきましたか?」
純 子「はい おかげさまで」
神 谷「12時20分か、少し押してますね。ちょっとよろしいですか?」
純 子「はい、もちろんです。あっどうぞ。何にもない部屋なんですけど、どうぞ」
神 谷「黒薔薇さんのCD、早速聴かせて頂きました。いや、すてきな曲ですね」
神 谷「私はふだんクラシックしか聴かないんですが、これからは、もっといろいろ聴いてみなければと思うようになりました」
純 子「はい~。ありがとうございます~」
神 谷「……失礼」
神 谷「神谷です。 えっ 藤井君が? 彼は今 どこに?」
神 谷「事務所? 分かりました。私もすぐに向かいます。私が着くまで中に入らず、外で待っていて下さい」
神 谷「申し訳ありません、急な用事で出なくてはならなくなりました。午後のイベントもよろしくお願いします」
純 子「はい~」
藤江議員と神谷署長は大学の同窓生ということもあり、藤江議員の身を心配する奥さんは、ツテをたよって脅迫状のことを署長に相談していた。
署長は、何かあったらすぐ自分に連絡するようにと言っておいたので、奥さんは夫の異変を察知するなり、すぐ神谷署長に電話。それを聞いた署長もただちに動き出す。……という流れなんだけど、ね、怪しいでしょ。わざわざ廊下の時計で12時20分という時間を純子に確かめさせたところに、犯行を示唆する電話がかかってくる。まるでアリバイ工作みたいだ。
で、実際アリバイ工作なのだ。動機は、このキャリア組のエリート署長も、反社会的勢力と結びつきがあったんだね。だから友人の渋江、じゃなかった藤井議員が集めた資料から、必ず自分のかかわりも明らかになってしまう。
せっぱ詰まった彼は、まず純子のスマホを壊して簡単に時間が分からないようにして、控室の廊下の時計を20分早め、実際には12時ジャストなのに、12時20分に純子の控室を訪問したことにする。そしてその場で藤井の奥さんから電話連絡を受けたフリをして部屋を飛び出す。本当はこのとき、携帯に電話などかかっていない。
藤井をすぐ近くの地下駐車場に呼び出しておいた署長は、奥さんにも危険が迫ってるかもしれないから、すぐ連絡するよう忠告する。それを真に受けた藤井が奥さんに電話している隙に、背後から藤井を殴りつけて生命を奪う。
藤 井「もしもし、千佳子? よく聞け。やつら 本気で僕の命を狙おうとしているらしい。もしかしたらそっちにも何か」
藤 井「あっ!」
で、驚いた議員の奥さんはすぐ神谷署長に電話をかける。実際に12時20分に、被害者の奥さんから電話はかかってきたのだ。そのアリバイ工作を事前に作ってしまったところが、今回のメインのトリックね。
改めまして放送日は今年のお盆休み、2019年8月15日の午後10時。和歌山とか、大雨だったんだね。
署長はそのまま藤井の死体を車に積み込み、事務所に運び込む。そして外で待機して奥さんの到着を待つ。
タクシーで駆けつけた奥さんと合流し、中に入って議員の死体を「発見」した。
しかし純子は、仕出屋が12時前に弁当を届けたという証言を聞いてアリバイ工作に気づく。というのも、署長が出ていった後に、お腹が減った純子は、勝手にあたりを探り、あっという間に弁当を発見する。
そして純子用の幕の内弁当ではなく、VIP用の高級仕出し弁当の方を勝手に持ち出して食べてしまったのだ。
で、そのときのフカヒレスープがまったく冷めていなくて、熱々でおいしかったのだ。あの温かさは、届いた直後の弁当だった。ということは、あのとき廊下の時計が12時20分を指していたのは正しくない。とか色んな事実の断片を組み合わせているうちに、純子の頭に黒薔薇が咲いて、真相にたどり着く。
ラスト、純子は神谷署長を呼び出し、スマホをとり出す。最初は神谷が壊した責任をとって預かったが、結局、純子が自分で修理することにして取り戻したスマホだ。そこには、入っているはずのない、殺人現場の声が入っていた。
純 子「署長さん、今日これ一日中ポケットに入れっ放しでしたよね」
純 子「これ、画面は壊れちゃいましたけど、動画はずっと回りっ放しだったんです」
純 子「で、中に入っていた音がこれです。音質は悪いんですけど、よく聞いて下さいね」
藤 井「もしもし、千佳子? よく聞け。やつら 本気で僕の命を狙おうとしているらしい。もしかしたらそっちにも何か……あっ!」千佳子「あなた? あなた!」
純 子「これ、犯人に襲われた時の藤井さんと奥さんの声ですよね?」
純 子「なぜここに、こんな音が入っているんでしょうか」
どうも今回、渋江君は声だけの出演が多い。ともかく証拠を突きつけられた神谷署長は態度豹変、純子に襲いかかる。
ここで東出昌大が演ずる捜査一課の藤堂刑事の出番だ。実はドラマ全編にわたってもっと活躍しているのだけれど、今回のレビューはだいぶ話を省略したので東出くんはほぼ扱えなかった。すみません。
純子を殺そうとする神谷を制し、みごとなカウンターパンチで逮捕に追い込む。本人も鼻血はでたけど。
以上、かなりざっくりした紹介であったが、だいたい作品の雰囲気は分かっていただけたかな。たぶん『屍人荘の殺人』もこんな感じなのではないかと思う。ミステリ・ホラー・コメディ。基本的にはそれで良いと思うが、もうひとつ、なにかもの足りない感じもあるんだよね。まあでも楽しかったです。
改めて言いたい。NHKが受信料を取ることについて私は反対ではないが、その代わりオンデマンドの配信コンテンツは無料にして解放すべきではないか。
んじゃ今回はこのくらいで。